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小6のタイプ別学習法 part1

前回、小6生の学習プランは出来るだけ早いほうが良いことを言いました。

今回は、タイプ別の学習プランニングです。

縦軸に志望校レベルをとり、横軸に学習意欲をとります。そうすると4つの領域に分かれます。

それを4つのタイプと名付けることにしましょう。
 

タイプ① 志望校レベルが高く、学習意欲が高いタイプ。

一見すると理想的なタイプです。

でも、このタイプの子どもでも合格と不合格に分かれてしまいます。

その差は、自分の頭を使っているかどうかと、処理が正確かどうかの2点です。

まじめなこのタイプの子どもの場合、授業中の演習で解けそうにない問題が当たったときに、

「しっかりと先生の話を聞いてちゃんと復習しよう」と考えます。

それは間違いではないのですが、”あきらめが良すぎる”のです。

解けそうにないと感じたときに、「いやいや、僕には解けないはずがない!」と仕切り直す意欲が大切なのです。

難しく感じれば感じるほど、自分に向かってIt's so easy!と言って欲しいのです。

そうは言っても、授業中の演習時間は短いものですから、正解にたどり着ける事は多くありません。
 

ですから、家庭学習の中に取り入れて欲しいのです。

サピックスの★★★の問題や、四谷大塚の演習問題応用編を学習するときには、ゆったりと構えて

「かんたん、かんたん。僕には解ける!」

とかけ声をかけながら挑戦させてください。そして、ミスを起こす原因を一つ一つ取り除く工夫も同時にさせてください。

例えば、

・図や式を書いてから計算をしているか。

・計算スペースをあらかじめ予定しているか。

・計算の文字は読みやすく大きさがそろっているか。

・問題文は、しっかりと読んで、内容を理解してから解き始めているか。

そのような時間を1週間の中で2時間は確保してください。

また、塾から出される多量の宿題のせいで既に「アタフタ学習」になってしまっている場合は、特にこの2時間は大切です。
 

高ランク校受験においては、1つでも苦手教科があると大きなハンディになります。

学習プランニングにおいては、4教科のバランスを考えてください。

理科や社会は暗記すれば何とかなると考えがちですが、そろそろそうはいかなくなります。

知識同士の繋がりや理由や原因などの因果関係を尋ねる問題が増えてきますから、単純な丸暗記だけにならないようにしてください。

そのためには、テキストの説明を精読する時間が必要です。

蛍光ペンを片手に、隅から隅まで読み込む時間です。各30分は必要でしょう。
 

次は、処理の正確さとスピードを鍛える訓練です。

計算のスピードを上げるには、ある程度の暗算が必要です。

ところが、無理な暗算をするとミスが増えます。

このさじ加減の練習が必要なのです。使うのは、少し難しめの計算の問題集です。

サピックスの基礎トレでは少し易し過ぎるかもしれません。

時間を計りながらヨーイドンでやっていくのですが、速く解き終わる意識よりは、

「1問も間違えるものか」という意識を強く持つように言ってあげてください。
 

このように、タイプ①(志望校レベルが高く、学習意欲が高いタイプ。)の子どもは、

じっくり時間をかけての学習項目を充実させることが効果的です。
 

小6の学習 スタートダッシュが勝負を決める!

親御さんは、「あと10ヶ月しかない!」という思いでしょうが、子ども自身はのんびりモード。

「うちの子は分かってるのかしら!」、「やる気があるのかしら!」と思われているお母様方が多いのではないでしょうか。

子どもにとって、10ヶ月先はず~と遠くの話しなのです。

どうも、子どもの中を流れる時間と大人の中を流れる時間は、違っているらしいのです。

でも、実は入試合格を見据えた場合は、親御様の感覚が正解なのです。
 

以前、「小5までの学習が受験可能校のレベルを決め、小6での学習が合否を決める」とお話ししましたが、

この合否を決める学習が始まったとお考えください。
 

例年、10月や11月に家庭教師依頼のメールや電話が多く入ります。

ほとんどが小6の方々です。

私たちは、残された短い期間で出来ることをピックアップして合格を目指して指導していきますから、

ほとんどの方は合格されています。

でも、第1志望に合格できない子が数人いらっしゃるのです。

あと3ヶ月早かったら何とかなったのにと、毎年悔しい思いをしています。
 

 

小6の学習は大きく3つに分かれています。

7月まで単元毎の学習期間。

総復習の8月から10月。

志望校の傾向対策が中心となる11月から1月です。
 

 

7月までの単元毎の学習は、応用が中心です。

これまでに学習してきた基礎事項を組み合わせることが多くなっています。

ここを確実にしていくことが、上位校合格には必須なのです。

サピックス偏差値では50以上、日能研や四谷偏差値では56以上、首都圏模試では60以上の中学校を考えた場合、

小6の7月までの学習内容を避けては通れないのです。

ところが、子どもはのんびりしています。子どもの切羽詰まった気持ちを待つわけにはいかないのです。
 

ここでは、親御様のプランニング力が必要になってきます。

まず、大切な項目を書き出して見ましょう。

1 授業の復習(特に応用レベルの問題)

2 盤石の計算力(易しすぎない毎日の計算練習)

3 豊かな語彙 (意味を考えた毎日の漢字練習)

4 毎週の社会の暗記(事件や出来事や流れを理解した暗記)

5 毎週の理科の暗記(重要事項どうしの繋がりや因果関係を理解下上での暗記)

6 テストを利用した弱点補強

7 2学期志望校別日曜特訓の参加資格を得るためのテスト対策(ほとんどの塾で7月に行われます)

8 塾から出される宿題(子どもに必要、不必要を考えて取捨選択する必要があります)

などなど・・・。

いくらでもやるべき事が見つかってしまいます。

これらを、1週間のタイムスケジュールに落とし込んでいただきたいのです。

 

そのときに注意していただきたい事があります。

それは、スローな学習とスピーディーな学習の区別です。

じっくりと理解したり試行錯誤をしたりという時間のかかる学習と、処理スピードを高めていくためのパターン把握や計算練習などの区別です。

スローな学習が必要なものは、まとまった長い時間を予定し、

スピーディーな学習は、時間を区切って集中力を高めることを意図するのです。
 

この時間配分は、お子さんの今の状況によって大きく異なります。

これまで多くの学習を積み重ねてきたのに成績が頭打ちのお子さんの多くは、

スローな学習が不足していることが多く、

解くための知識が不足しているお子さんにはスピーディーな学習を増やす必要があります。

このタイプ別の学習プランについては次回以降に書いていきたいと考えています。
 

小5の学習 part2

前回は、小5の学習について、内容や量についてお話ししました。

今回は、やり方や気持ちについてお話ししたいと思います。


小5の学習は4までの学習に比べて量が多くしかも質も高まっていますから、

小4までと同じタイプの学習を続けていると間に合わなくなるのが普通です。


小4までの算数は、解答には一段階でたどり着くことが出来ました。

Aだから○○のやり方を使ってBの答えが出る、というタイプがほとんどでした。

ところが、小5のの算数ではこれが二段階になるのが多いのです。

AからBを求め、BからCを求めるというタイプです。

これが問題の種類が飛躍的に増える原因です。


小4までであれば、1つ1つの解き方を丸暗記していればとりあえず何とか解くことが出来ました。

ところが、2つを組み合わせるとなると種類が多すぎて覚えるのが大変ですし、

問題を解く時にどの方法を使うのかを思い出し判断することも大変です。

 

「テストで間違った問題でも家で解き直しをさせると正解が出せるのですが・・・」

というご相談を多く受けます。

これが、1つ1つの問題の解き方を覚えるような学習をしているお子さんの代表的な症状なのです。

子どもも親御さんも、実は分かっていたんだから単なるミスだろうととらえがちなのですが、学習方法の間違いであることが多いのです。


小5では、一般的には、算数に一番時間がとられます。

今、その算数は、公約数や公倍数が終わり分数計算に入っています。

“長方形の紙を切り分けて正方形にする”問題と、

“長方形の紙を並べて正方形にする”問題で

混乱があるという症状も、暗記学習の弊害だと言えます。

長方形の紙を切り分けて正方形にしたとき、正方形の1辺は、長方形の縦と横の長さを割りきることが出来る数字だ、だから最大公約数だ。

長方形の紙を並べて正方形にすると、正方形の1辺は、長方形の縦と横の長さをそれぞれ何倍かした数字だ。だから最小公倍数だ。

このような、理解と納得に基づいた学習をした生徒は混乱しないのです。


理解や納得を大切にした学習は、一見すると悠長で時間がかかるように思えますが、

問題レベルが上がれば上がるほど合理的な学習方法なのです。


理解や納得を大切にした学習をしているかどうかは、子どもに説明させてみるとすぐに分かります。

塾で習ってきた少しだけ難しそうな問題を指さして、

「これ、難しそうだからお母さんに教えてくれる?」と言ってみてください。

「お母さんダメだね。これはね、・・・・・・・」と得意満面に教えてくれるようなら大丈夫です。

「先生に教えてもらったこの公式に当てはめると出るんだ。」

とか、

「これからこれを引いて、それをこの数字で割れば良いんだ!」

というような説明をする場合は、本当のところは分かっていないととらえる方が安全です。
 

小5の学習が始まったばかりの今、丸暗記の算数をしているのか理解や納得を大切にした学習をしているのかを

見てあげてください。

小5の学習 part1

小5で習う数々の単元は、入試本番に直結します。

算数は、多くの塾で、入試に必要な全単元を基礎レベルで一巡します。

国語は、長文が難しくなり入試問題レベルに一歩近づきます。

理科は、入試に必要な知識単元のほとんどが終了します。

社会は歴史単元のほとんどを扱います。
 

「小5の学習が受験可能校レベルを決め、小6の学習が合否を決める」と言えるのかもしれません。

大切な小5での学習ですが、この学年で躓く子どもが多いのです。その理由は、大きく見て二つです。

1 学習すべき量が増えて間に合わない。

2 学習のレベルが上がってついて行けない。

この二つの中で、今回は”学習量”の問題点をお話しします。
 

多くの塾では、小5になると宿題が増えます。

授業テキスト・宿題用テキスト・補助プリントなど多種多様な宿題です。

4教科の宿題を合わせると、ほとんどの子どもにとってこなしきれない量になることが普通です。

そして、これだけをやっていて良いわけではありません。
 

宿題以外にやるべき事は、下記のようなものです。

・塾の授業の復習

・テスト対策(サピックスのマンスリーテスト・日能研のセンター・四谷系列の月例テスト)

・テストの復習

・弱点対策

・理科や社会のテキストの読み込み
 

宿題と、それ以外にやるべき事を合わせると、睡眠時間を切り詰めることになってしまいますし、そうしても時間が足りなくなります。

大切なのは、優先順位です。

最優先は、授業の復習です。宿題の前に授業の復習をして欲しいのです。

先生から、どんな解き方を教わったのか、その手順はどうだったのか、なぜその方法で解けるのか、これらの思い出し作業です。

 

算数ならば、「授業中にだいたいわかったけれど、まだ自信が持てない問題」数問を解き直す事になります。

国語なら、「なぜその答えになるのかという理由の確認です」

理科や社会なら、テキストと授業ノートを開いて、授業の説明はテキストのどの部分なのか、

何が大切で何が覚えるべき事なのかをピックアップしておくことです。

出来れば、授業があった日に最大30分でこなして欲しいことです。

一晩寝ると、記憶は半分に減ってしまいますから、その日のうちが効率的です。

 

翌日は、前日の授業で出された宿題をやっていくことになります。

これも思いつくままにこなしていくのではなくて、大切だと思うものからやっていって欲しいのです。

算数の例で言いますと、授業中に説明を聞いたにも関わらずさっぱりわからない問題に長い時間をかけても効果が薄いのです。

逆に、その子にとって、簡単すぎる問題に時間をかけるのも非効率です。

「僕は、基礎が苦手だから基本問題の宿題からやろう」とか、

「僕は、基礎はわかっているから、まず練習問題からやってみて躓いたら基本問題の宿題もやろう」

という判断が大切なのです。

はじめから自己判断が出来る子はほとんどいませんから、親御さんの協力が必要な部分です。

 

勉強を続けているうちに、寝る予定の時間になってしまったら、切りの良いところで終わらせてください。

睡眠時間を切り詰めて無理矢理学習することが常態化するのは良くありません。
 

次に、テスト対策についてお話ししましょう。

塾で行われる大きめのテストは学力確認のチャンスですし、クラス分けテストを兼ねています。

このテストに向けて学習することで、効率的な復習が出来ますし、クラスアップも図れることになります。

多くのテストは、月例テストの形式をとっていますから、ここ1ヶ月の学習内容から半分以上出題されることが普通です。

この1ヶ月分を復習して欲しいのです。

 

効率よく復習するには、毎週の学習時に、「ここは月例テスト前にもう一度やる問題」マークや、

理科や社会では、「ここは月例テスト前に覚え直すところ」マーク

をつけておくことです。

小さな付箋を貼っておくことも良いですね。

このようにすると、テスト対策が過剰な負担になることを防ぐことが出来ます。

このように、学習の優先順位をつけ取捨選択をし学習のやり方を工夫しても、どうしても宿題が終わらなくて、

「塾に行くと先生に叱られる!」

と子どもが通塾をいやがる場合には、親御さんから塾の先生宛お手紙を持たせる方法があります。

「宿題を一部やり残していますが、子どもなりに精一杯やりました。

宿題の中で、優先順位をつけて出来るだけ多くをやろうと頑張っているようでしたが、

○○や□□などがあり終わらなかったようです。ご寛容な対応をお願いします。」

というような文面です。それでも、子どもを怒鳴りつけるような先生なら、次の対応を考える事になります。
 

小4の学習 プランニング編

今年度の入試傾向分析「2014年中学入試傾向分析と2015年度入試対策について」をホームページにアップしました。

私が話している動画もあります。名門指導会のHP から入ってみてください。

 

さて、今回は小4生の学習プランニングについてお話をしたいと思います。

プランニングには、三つの要素があります。
一つ目は、何をやるかという”内容”、
二つ目は、いつやるかという”時間”、
三つ目は、何のためにやるのかという”目的”です。

「何を」「いつ」やるのかは、最終的に一週間のタイムスケジュールの表に落とし込めれば良いのですが、

いきなりやろうとすると失敗します。

 

(準備期間)

1週間程度、夜寝る前にその日にやったことを箇条書きにします。

この段階で、学校の宿題や塾の宿題がどの程度出ているのかが把握できます。


次の1週間は、学校から帰ってきたら、その日にやる事を箇条書きにします。

そして、終わったら線で消していきます。終わりきらなければ、それを翌日の最初に書き留めます。

このようにして、実際に学習した内容を2週間分書き留めた上で、1週間の予定を考えていきます。
 

(1週間の学習プランの作り方)

・塾の授業があった日に、その日の復習を入れる。

 全部出なくても構いませんが、授業を思い出せる程度の復習は必ず入れてください。

・4教科のバランスを考えてください。

 不足しがちなのが、理科と社会です。この2教科については、宿題の問題を解くだけにならないようにしてください。

「説明を読む時間」「覚える時間」「問題を解く時間」を区別してください。

・多すぎないように心がけてください。

 小学校から帰ってきてから寝るまでが、勉強で埋め尽くされているのはよくありません。

塾のレベルが合っていないのか、学習プランが間違っているかのどちらかです。

「子供が、ちょっと頑張れば実行できそう」な量にしてあげてください。
 

さて、三つ目の目的です。

学習には、「練習する」「覚える」「考えたり理解したりする」という3つの要素があります。

塾の多量の宿題をやっていくうちに、「覚える」学習ばかりになりがちです。

理科や社会は当然そうですし、そのうちに算数も解き方を覚える意識が強くなりすぎる傾向があります。


4年生で重視したいのが、練習です。計算練習・漢字練習・音読練習などです。

いわゆる「読み書きそろばん」です。

計算練習では、だいたいできるレベルではなくて、素早く確実に出来るようになることことが大切です。

出来れば、毎日計画的にやって欲しい事柄です。

 

「考えたり理解したりする」事も重視したいのです。

受験勉強が始めに身についた思考習慣は、後々の学習に大きな影響を及ぼします。

ところが、「考えなさい」「理解しなさい」と言っても子供にはどうして良いのかわかりません。

子供が先生役になり、親が生徒役になる家庭内ミニ授業をお勧めします。

 

そして、学習項目を1週間の表に書き出したところで、

「練習」を目的とするものには「練」、

「暗記」を目的とするものには「暗」、

「考えたり理解すること」を目的にするものには「考」

を目立つように書き込んでいかせるのです。


今は覚える練習だ、次は考える練習だ・・・・と意識させることで、暗記学習だけになりがちな意識を変えることが出来ます。

一度お試しください。
 

新年度の学習 新小4part1

塾では、新学年が始まって数週間がたちました。いかがでしょう、新学年の学習ペースはつかめていますでしょうか。

数回に分けて各学年毎の話しを書いていきたいと思います。

今回は新小4生です。

まず、気持ちの作り方をお話ししましょう。

小学校の学習とは質量ともに違うことに驚かれている親御さんが多いことと思います。

小学校で1ヶ月かけて習うことを1週間で終わらせるスピードですし、それぞれが格段に難しい無いようになっています。

でも、これが受験の基礎なのです。

大切なのは、子供に「難しさ」というマイナスイメージを持たせずに、

新しいことがわかる「楽しさ」のプラスイメージを持たせることなのです。
 「難しくて大変だから頑張りなさい」という文脈で子供に語ると、

「僕には出来そうにない」とか、「いやだ!」という気持ちを高めることになってしまいます。


お子さんが塾から帰ってきたときに、

「今日は、どんなことを習ってきたの?」

「○○や□□を習ったの。」

「へ~、すごいじゃないの。お母さんも知りたいから、どんなことを習ってきたのかをちょっと教えて。」

「○○だけれど、このテキストのこの問題をやったんだ。線分図を書くとね、・・・・・。」

「よくわかったわね。さすが我が子だ!」

このような会話が最高です。


逆の会話例も書いておきましょうか。

「今日は、どんなことを習ってきたの?」

「○○や□□を習ったの。」

「難しいところをやっているんだから、しっかりと聞いてこなくちゃダメよ。」

「わかってるよ!」

「○○のところを、何を聞いてきたかお母さんに説明して。」

「わかっているからいいよ!」

「そんなことを言っていると、そのうちにわからなくなってしまうわよ。素直じゃないんだから!」
 

日常生活の会話としては、後者の方が圧倒的に多いと思うのですが、いかがでしょう。

この良い例と悪い例は、ほんのちょっとした言葉の差のように思われるでしょうか、声をかけるお母さんの意識には大きな差があります。

普通、前記のような理想的な声掛けはなかなか出来ないのです。

かなり意識された声掛けなのです。

例えば、「難しい」「ダメ」などの否定的な言葉を使わないようにしようと意識することが大切ですし、

朗らかでいようという気構えも必要になってきます。


”難しい授業を一生懸命聞いてきて、お母さんにちゃんと説明すると喜んでくれる”

という経験を子供に繰り返し繰り返ししてもらうことが大切なのです。


本格的な受験学習の始まりの時期に、「難しくていやだ」という思いをすり込んでしまうと、

あとあと難しいことが起こりがちです。注意してあげてください。


次回は、小4の学習のプランニングについてです。
 

入試本番の理科でプラスアルファを出せる勉強法

終わったばかりの今回の入試問題の分析を進めています。

前回は、算数についての話しでした。

今回は、理科について少し書いてみたいと思います。

理科の出題傾向を学校毎に見ていくと、「例年通り」だといえます。

また、塾の通常授業で扱われている知識で解けるはずの問題が、60%~70%あることも例年通りです。

ところが、4~5年たった後で振り返ってみると変化していることに気づくことが多いのです。

それは、入試問題の傾向が常に同じ方向にジリジリと変化しているからなのです。

1年分の変化としては小さくても、それが積み重なればはっきりとした変化として見えてきます。


理科の問題の変化の方向は

・単純知識を聞く問題の減少

・原因と結果の因果関係や、現象とその原因の理解を聞く問題の増加

・実験や観察の資料という体裁をとる問題の増加

この三つです。
 

重要事項や重要言語を覚える学習が大切であることは変わりませんが、

重要事項や重要言語どうしの関連やつながりを理解したうえで覚えることがますます大切になっています。

こんなふうに書きますと、何か特別なことが必要になると思われがちなのですが、

特別に複雑で難しいことへの理解を求めているわけではないのです。


「水素は水上置換で集める。」「水素の重さは空気の0.07倍の重さだ。」「水素は空気にほとんど溶けない。」

というこの三つの重要事項をばらばらに覚えるのではなくて、

「水素は空気の0.07倍の重さしかない軽い気体だけれど、水にはほとんど溶けないので、水上置換で集める」

と繋いで理解し、それを覚えることなのです。


サピックスのコアプラス、四谷大塚の4科のまとめ、日能研のメモリーチェックなどの暗記教材を、

繰り返し繰り返し覚えてもなかなか点数が上がらないのは、知識同士のつながりの学習になりにくいからなのです。


一方、塾でのテストを振り返ってみると、小4や小5の段階では単独知識を聞く問題が多くなっています。

この段階では、一問一答形式で覚えていっても充分に効果が現れることになります。

テキストの太字だけの丸暗記(日能研のテキストには太字がありませんが)で高得点がとれてしまいます。

ところが、小6の夏以降の入試に即した合否判定テストになると、その知識が生かされないことになってしまうのです。

その段階で知識同士のつながりを学習していくのは大変です。全単元全項目にわたって総復習することになってしまいますから。


小4や小5の時期から、繋がりを意識した学習をしておいて欲しいのです。

「○○は□□だから△△だ」、「○○は□□だけれど、△△だから××だ」というような文章で理解することなのです。


そのためには、説明部分の文章を隅から隅まで2回以上読む。

その後大切そうなところに蛍光ペンで線を引く。

蛍光ペンの箇所を覚える。

そして、覚えたかどうかの確認で問題を解いてみる。

このような、順を追った学習が大切になります。

ところが、多くの子供達は、宿題として出された問題を解いて、時間に余裕があれば太字を覚えるという学習をしてしまっています。

「説明部分の文章を隅から隅まで2回以上読む。」が抜けてしまっているのです。


中学受験の理科は、ちょっとだけ繋がりに興味を持って学習するだけで、プラスアルファを生むことが出来る教科です。

この時期に学習方法のチェックをお願いします。

麻布中の6番が解ける子にするために

前回は、御三家などの難関校に合格するために必要な概略をお話ししました。

今回は、話しをもっと絞って、「麻布の6番が解ける子にする」方法を考えてみたいと思います。
 

今回の首都圏の入試問題の中で、この麻布の算数6番は出色の出来だと感じています。

(1)で60°回転させて正三角形に気づかせる。

(2)で、垂直に気づかせて、

(3)で、「線対称な図形の対応する点は、対称の軸によって垂直に2等分される」ことから、(2)の結果が使えることに気づかせる。

(4)は、ここまでついてこられた子どもへのご褒美のように、解きやすい問題でした。

図は、毎年麻布に用いられる正三角形の模様です。

この問題の第1関門は、(1)を解く時に、目盛りを正確に数えて長さを合わせ、

その上で60°の角度を正三角形の模様を利用して判断することです。

目分量でそれらしい場所に点をとってしまった子は、その先に進めなかったのではないでしょうか。

第2関門は、(3)の問題文を読みながら、(2)の垂直を頭の片隅におきながら、

「線対称な図形の対応する点は、対称の軸によって垂直に2等分される」ことに思いをはせることです。

「もしかしたら、(2)の垂直という答えは、この問題のために親切心で作ってくれたんじゃ」

と感じることが出来た子の半数ぐらいは、

「もしかしたら、(3)の図が(2)の図の中に書き込めるんじゃないだろうか」

と次に進むことが出来たのではないでしょうか。
 

そうすると、この6番を解くための能力は、「もしかしたら○○」と気付くことが出来ること、

その予測に基づいて書くことが出来る力だということになります。

仮説を立てて、それに基づいて試行錯誤できる力だとも言えます。

もしかしたら・・と気づくためには、線対称の性質が頭の中に利用可能な形で収納されている必要があります。

そして、丁寧で正確な作図力も必要でした。

御三家を中心に最上位校では、公式や裏技一発では解くことが出来ずに、

仮説に基づいて試行錯誤するタイプの問題が多く出題されます。それが解けることが合否を決めます。

条件反射的に素早く問題を解く力ではなくて、ゆっくりと集中力を保ったままで思考をつないでいく力が必要なのです。
 

少し前に読んだ、「知の逆転」(ジェームズ・ワトソン他 NHK出版新書)という本の中に、

「ゆっくりさが考えを洗練させる」という一節(164ページ)がありました。

これは、ネット社会の功罪についての記述だったのですが、

受験勉強についても同じことが言えるんだなと感じました。                                                  

 

多くの公式や解き方に精通し、それを素早く取り出す条件反射の練習だけではなくて、

気持ちの余裕を持って、ゆっくりと試行錯誤する学習も取り入れてください。

 

2014年 首都圏中学入試 概観

2014年度首都圏中学入試がほぼ終了しました。

「合格したよ~」という嬉しい電話の連続で、幸せにひたっています。

今、入試問題を分析中です。今週の7日にセミナーを開くためでもあるのですが、毎年先生方の協力を得てやっていることです。

取り急ぎ、今回はその算数と理科の概要をお知らせします。
 

算数 

多くの塾のテキストに入っている入試定番問題だけで構成されている学校と、

定番と言える問題がほんのわずかあり、「暗記の算数では全く通用しない」多くの問題で構成されている学校、

その2つの折衷型の学校も例年通りといえます。
 

定番問題で構成されている学校は、合格得点が高くなる傾向がありますし、

問題量が多めですからスピードが要求されることになります。

正確にしかも素早く解くことが大切になります。

一方、「暗記の算数では全く通用しない」問題を多く出す学校においては、

”試行錯誤をする力”、

”試行錯誤の中から解き方の糸口を見つける力”、

”多くの複雑な条件を整理する力”、

”多くの情報を素早く処理をしていく力”

が重要になります。
 

前者(Aタイプと呼ぶことにします)では、学習した内容が大切になり、

後者(Bタイプと呼ぶことにします)では、学習していく過程においてどのような学習をしてきたかが大切な学校だと言えると思います。


Aタイプでは、女子学院、慶応中等部などの計付属を上限に、その他多くの学校が当てはまります。

Bタイプは、開成・麻布・桜蔭・筑駒・渋幕・駒東などの最難関校に多いタイプです。

A・B折衷型は、早稲田中・浦和明の星などの御三家の次に続く学校に多く見られます。
 

どの塾でも授業においては、入試の定番問題を中心に学習することになります。

学習の過程において、「覚えてしまえ」と思うか、

「なぜか知りたい」「納得したい」と思いながら勉強するかによって、受験できる学校が分かれるとも言えます。

上位校をねっらている生徒は、小6の春あたりまでに「納得する楽しさ」を追い求めるような学習に切り替えて欲しいものです。
 

(理科)
入試問題の難易度は、これまでと変わっていないと思います。

やはり、麻布は「問題文を理解するのが難しい」問題が今年も出題されていますし、

知識を尋ねる問題が多かった学校はそのままの傾向です。

(開成と麻布で絶対零度を考えさせる問題がありましたが、これは単なる偶然だと思います)
 

入試問題で正解を出すのに必要な知識量の中で、普段の塾の授業で得られるはずの知識の割合は、大きいのです。

もし、塾の授業で習ったことを100%覚えていて、それをテストに反映できたとすると、御三家でも合格点に近づきます。

塾の授業やテキストを上手に利用してもらいたいと思います。
 

その際に注意していただきたいことがあります。
知識を覚える際に、「つながりの中で覚える」・「文脈の中で覚える」・「納得しながら覚える」ことが大切だといわれます。

これらのことは、同じことなのです。機械的な言葉の暗記だけに陥らずに、分類を頭に置いたり、関連する事柄を思い出したり、

原因を考えたりしながら記憶していってもらいたいのです。

そして、テキストの問題を解く時には、一瞥して解くのではなく、

隅から隅まで読んで、グラフや表もしっかりと見て、それらを理解してから考え始めて欲しいのです。
 

普段の理科の学習においては、「覚え方」「解き方」に注意することが大切であることを再確認しました。

関西の入試概況

関西の受験は一段落しました。

年末から受験対応にかかりきりでお休みしていたブログの再開です。

更新を楽しみにお待ちいただいていた方(がいらっしゃれば)、お待たせしました。

今回は受験雑感です。
 

・受験パターン

関西の受験では統一日とその翌日(今年なら1月18,19日)の午後受験を実施する学校が増えています。

清風南海や西大和学園といった難関校も実施しているために、受験生全般でこの2日間で3校、4校の受験をするケースが増えています。

受験機会を増やせることにはなるのですが、お子様の負担が増える一方のような気がしてなりません。

学校によっては受験回数を増やし、その後にも受験日を持っている場合があるので、

お子様の負担軽減のために受験校の選択とその日程については十分に検討してください。

事前にプロに相談されることをお勧めします。
 

・最後まで頑張り抜く価値(勝ち?)

皆さんが統一日の受験で合格されると嬉しいのですが、残念ながらそうはいきません。

統一日にチャレンジ校を受験するお子様や、初めての受験の緊張感で力を出しきれなかったお子様の中には、

合格できずに受験が続く場合もあるからです。

何より、第一志望の学校の合格が出るまでは受験が終わらないので、

皆さん複数の学校を受験されます。
そして、「どんな結果が出ようと最後まで頑張り通した子供は納得のいく結果を導き出せた。」と、

この受験ロードの中で今年も感じました。

だから、私たちの指導を通して、次の受験生にもこの力を育んでもらいたいと思っています。
 

・受験後

合格の声をお聞きした時に、まずお伝えすることが二つあります。

一つは、思いっきり羽を伸ばして欲しいこと。

もう一つは、受験後2週目からは勉強を始めることです。小学校、中学校の宿題とは別に

1日に1,2時間の英語、数学の予習が適しているでしょう。

前者は、ねぎらいと共に算数頭を一旦は空っぽにして数学に備えるため。

後者は学習習慣が抜けてしまわないように。

何と言っても今回の受験で身についた一番の宝物は学習習慣なのですから。

知識?そんなものはいつでも詰め直しができますよ。でも学習習慣はあっという間になくなってしまうものなのです。

気をつけましょうね。

さて、塾では2月から新年度が始まります。次の1年の目標はすでにたっていますか?

1年後の夢や希望がなければ、そこから逆算した目の前の目標も立てることができませんよ。

ぜひこの機会に1年後の目標設定をしてみてください。

そして、逆算は受験のプロにお任せくださいね。

神戸市以西にお住まいの方、東洋大姫路付属中学校には注目していてくださいね。台風の目になるかもです。

首都圏は、受験の真っ最中ですね。体調に注意して最後まで頑張ってください。合格を祈っています。

(都関)

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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