カテゴリー: 開成 Page 1 of 2

過去問はいつから?やり方の注意点は?

夏前あたりから、「受験校の過去問題はいつから解き始めたらよいのか?」というご質問が増えてきます。

首都圏や大阪圏のように、私立中学がしのぎを削っているエリアでは、学力の輪切りが進んでいます。

たとえば「偏差値50〜55くらいの子は、第1志望はA中学かB中学、55〜60だとC中学かD中学で…」と、同程度の学力と得点力を持っている子どもたちが受験することになります。

当然、ボーダーライン付近に、一番多くの子どもたちがひしめき合うことになります。

その混戦から一歩抜け出すためには、該当校の傾向対策が大切なポイントになります。

その学習の仕方や、量や時期が大切になります。

ところが、塾によって入試か顧問を解く時期の指示が大きく違います。

サピックス・日能研・四谷大塚・早稲アカという大手塾でも大きく違いますから、親御さんが混乱されるのも当然だと思います。

「『うちの塾の先生は、11月からで充分です。』とおっしゃったのに、仲良しの○○ちゃんの通っている塾では、夏から過去問の勉強が始まるらしい。」

このような相談が増えることになります。

過去問の学習は、「通っていらっしゃる塾の志望校別日曜特訓の有無やカリキュラム」や、「志望校の入試問題傾向」や、お子さんの現状の学力、併願校の入試問題傾向などをすべて考慮して考えていく必要があります。

ですから、ご相談への返答はお一人お一人異なります。

でも、ポイントは次の4点になると考えています。

1. 塾の志望校別日曜特訓と並行し、10月あたりからやっていくとよい。

2. 設問の文章が長かったり、記述の文字数が多かったりなど、特徴がはっきりしている学校への対策は、早めに始める。

※9月あたりからが望ましい。志望校の過去問題だけではなく、類似の問題を出す学校の問題も数多く解くように計画を作る。

3. 基礎学力が、志望校に明らかに届いていない場合は、傾向対策よりも弱点対策を重視する。そして、傾向対策は12月から集中的に行う。

4. 併願校は、入試問題の傾向が似ている学校から探すことが出来れば理想的。そうできない場合でも、あまりに問題傾向のかけ離れた学校を併願するのは危険。

上記のことから考えて、早めの過去問学習が必要になってくるのは、下記の学校になります。

・開成の国語

・麻布の算数・国語・理科・社会

・桜蔭の国語・算数

・栄光学園の算数・理科

・筑駒の算数・国語

・武蔵の国語・理科

・渋幕の算数・理科・社会

・渋渋の理科

・学習院女子の国語・理科

・海城の理科・社会

そして、過去問演習で注意していただきたいこととして、下記に注意していただければと思います。

1. 制限時間を守る

2. 問題文を読み飛ばさないように注意する

3. やりっ放しにならないように、間違った問題の復習をしっかりとする

4. 間違った問題をすべて復習してはいけない

(合格者平均点に届く点数くらいを目処に)

5. 解説が詳しい過去問題集を使う。

6. 解答用紙は、拡大コピーして使う。

過去問の学習は、学力通りの点数を取るために必要なことです。

直前になって慌てることがないように、今から予定を立てておかれることをおすすめします。

2021年入試は「取り組みやすい」学校が多かった!?

この時期は行われた入試に関して、傾向の変化などについて聞かれることが多く、メディアの取材も「2021年の入試はどうだったか」という内容が多くなります。

 

私たち名門指導会の内部でも、入試問題の研究会や傾向分析のミーティングなどを頻繁に行い、先生方の間で情報交換を行っています。

 

その中で私が強く感じるのは、2021年の入試は例年にくらべて易しかった学校が多いことです。

易しかったというと語弊があるかもしれませんが、少なくとも「解きやすかった」という印象をもった受験生が多かったようです。

 

都内はもとより全国でも屈指の難度の、筑波大学附属駒場中学校。

この学校の理科では例年「てこ」など力学の難問が出題されます。

どのような部分で「難問」なのかというと、「考えられる場合をすべて考えて検討しなければならい」というもの。

単に計算が複雑とかそういったことではなく、さまざまな要素を考えて比較検討し、答えを絞り込んでいくということが必要で、それには非常に時間と手間がかかるのです。

 

今年も力学の問題はありましたが、例年にくらべてぐっと手間が少なくて済む問題でした。

 

他の難関校も、傾向は例年と大きく変わらないものの、問題の解きやすさ、取り組みやすさでいうと、例年よりもちょっとハードルが低い問題を出していた学校が多かったように思います。

 

開成中の算数は、大問3では例年よく出る「手を動かしているうちに解き方が見えてくる」という問題がありましたが、特にテスト前半の問題では「塾で習ったような」問題が多く、差が付く部分が見えやすかった印象です。

 

開成に関して言えば、例年難度の変化は大きく「どんな問題が出ても対応できるように準備しておく必要がある」と言えますから「今年易しかったから来年もこの傾向が続く」とも言えないと思います。

 

桜蔭のように、今細かい作業が必要で得点がしにくかったという学校もありました。

「見たことがあるような問題が多い」と感じても、いざ解き切るにはかなりの「作業力」が必要というわけです。

 

今年は「少し解きやすくなった学校が多かった」とはいえ、難関校では、難度が下がれば「ミスができなくなる」テストになり、その面での競争が顕著になるわけで、受験生としては「どちらに転んでも」という準備はしておかなければなりませんね。

学校ごとの入試分析の細かな結果は、名門指導会のホームページで近日中に発表できると思います。

 

志望校の入試傾向に変化があったのか、難度はどうだったのか、ぜひ確認いただければと思います。

 

2021年の入試を分析してわかったこと

2月10日、主任相談員を務めさせていただいている中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主催の「2021年 入試分析セミナー(オンライン)」の弁士を務めさせていただきました。

御三家をはじめ、主要な中学校の入試問題をいち早く確認して行ったものですが、いくつかの中学校で見られた2021年の入試の特徴として「傾向はそのままに、ややソフトな出題だった」というものがあります。

入試分析セミナーのひとコマ。オンラインでの開催にも慣れてきました。

■力学の難度が控えめだった筑駒

筑波大駒場のように、事前にいくつかの単元を「入試範囲外」として指定した学校もありましたね。

筑駒の理科は攻略が難しいことで知られるのですが、その大きな理由が「力学」単元の問題の難しさです。
てこなどの計算問題なのですが、様々な場合を試すことで正解に近づかなければならないことが多いのです。
そのために「標準レベル」に設定された他の問題(とはいえ選択問題の選択肢の多さや紛らわしさに手間がかかるのですが)をいかに短時間でクリアして、力学の問題に時間と労力を費やすかがポイントになるのです。

その筑駒で、力学の問題の「厄介さ」が今年はやや控えめだったのです。
このことは、その部分で差がつきにくいとも言え、他の部分でますますミスができない試験だったということになります。

■開成の算数は「傾向なし」!?

開成の算数は、年度によってその難度に大きく幅があることで知られています。
85点満点の試験なのですが、年度によっては合格者平均点が9割近いこともあれば(2020年)、半分ちょっとという年もあります(2018年)。

今年の合格者平均点は55.8点。
パッと見た感じ「解きやすそう」と感じた受験生も多かったのではないでしょうか。

大問1は小問4つ、(1)がうるう年に関する問題、(2)は三角形を(特に三角形以外でも同じことですが)直線で区切った場合にいくつのエリアに分かれるかという問題。
(3)は正六角形の面積を辺の中点を結ぶ線で区切る問題。これは新6年生の算数の得意なお子さんなら正解を出してしまう問題でしょう。

ただ、すべてがすんなりいくかというとそんなことはなく、(4)は「循環小数」と高をくくって取り組むと手こずることになる、という良問です。

上記のように非常にやさしい年度もありますが、逆もまたありますから、開成の算数に関しては「どのような難度の問題が出されても対応できる」という対策を立てて実行しておくことが大切ですね。

■ その他の学校に関しても分析を進めています

2月10日という異例に早いタイミングでの開催になったため、今回の入試分析会では御三家や灘をはじめとした主要校に絞って扱いましたが、その他の学校に関しても講師たちと協力して分析を進めています。

名門指導会のウェブサイトで後日公開しますので、楽しみに待っていてください。

2021年の入試は、昨年からのコロナ禍をふまえたものとなり、上記の筑駒のように範囲を限定した学校や、受験生が感染、あるいは濃厚接触者となった場合の追試日程を発表する学校が出るなど、いろいろな意味で「異例」のものとなりました。

各学校、状況に合わせて開催に苦慮したと思うのですが、それでも分析の結果わかったのは、各学校の基本的な入試に対する考え方、つまり「新中1生として、こんな受験生に入学してほしい」というメッセージは例年通り、明確だったということです。

2021年は「コロナ禍から日常を取り戻す」1年になると思います。
次の受験生たちはこれらのことを念頭に、しっかり準備を進めていきたいですね。

6年生は過去問演習の「青写真」を描こう

夏期講習が始まっています。
今年は学校の夏休みよりも、塾の夏期講習のほうが先に始まる、という異例の夏です。
早い塾では、6年生のこの時期から過去問の演習が始まります。
サピックスでは例年「全国有名中入試問題集」(通称「銀本」)の中から指定された学校の問題を家庭学習で演習するよう指示が出ます。
サピックス以外の日能研や四谷大塚、浜学園などでも9月からは本格的な志望校別特訓が始まりますから、そこではどんどん過去問に取り組むことになります。
サピックス、その他多くの塾でも同じように特訓はあるのですが、特訓で扱う過去問はおもにちょっと古い年度のもの。
それらを年度ごとではなく、分野ごとにまとめたテキストを使って演習します。
そして近年の過去問を1年分ずつやるのは家庭学習で、というスタイル。
つまり塾の平常授業と日曜日の特訓の宿題以外に、過去問演習の時間を確保しておく必要があるのです。
この過去問演習に、かなり時間がとられることをあらかじめ知っておかねばなりません。
首都圏のお子さんの場合、第一志望校以外にもいくつか受験予定校があると思います。
たとえば東京のお子さんで、2月1日に「本命」の学校を受験するなら、まずは1月に埼玉や千葉の学校を「お試し受験」するケースは多いと思います。
そして2月1日以降に5〜6校受験、というパターンも珍しくはないですね。
第一志望校以外の学校も、やはり過去問は演習しておきたいと思うものです。
やはり学校によって傾向は違うし、だいたいどれくらいの時間で問題数はどれだけあるのか、など知っておきたいことはたくさんあります。
また偏差値と問題の難度も、必ずしも比例しません。
どういうことかというと、偏差値が低い学校だからといっ問題が易しいかというと、必ずしもそうではないのです。
またその逆もあり、開成中の理科や社会のように、偏差値から考えると問題が易しく非常に平均点が高い(つまりミスできない)入試もあります。
そんなことをいろいろ考えると、第一志望校は5年以上、それ以外の学校でも2年分くらいは演習しておきたいのではないでしょうか。
その時間を、9月からの家庭学習の中にとっていかなければなりません。
4科目、1年分の過去問を演習してその答え合わせと直しまでと考えると、数時間はかかります。
半日とられるくらいのボリュームになるのです。
受験する学校と科目数をあらかじめリストアップし、どこに組み込めそうか、夏の間に大まかにでも「青写真」を描いておきたいですね。

筑駒、開成の算数で感じた「難関校の算数トレンド」

今月、東京都と大阪で開催した「入試分析セミナー」でもお話ししたのですが、今年の難関校の算数で印象に残ったのが、「手を動かす」問題が多かったことです。
特に首都圏の中学校で、この傾向が顕著に感じられました。

「受験テクニック」を教え込まれてきた子の中には、能力が高いにもかかわらず、せっせと数えだしたり試行錯誤するような類のことに対してモチベーションが低い子がいます。

まるで、そんな子をはじくことを意図して作られたような問題が多かったのです。

もちろん、解法を知っていること、覚えていることは重要です。
しかし「便利な必殺技」を知っているだけでなんとかなる問題は、少なくとも難関校の入試からはなくなっています。

この流れは、今後も変わらないのではないかと思っています。

たとえば筑波大駒場中は、例年「解き方はわかるんだけど、正解を出すのは難しい」タイプの問題を出題します。
日々がんばって勉強に取り組んできたかを見るのに、知識の量ではなく「作業力」で測っているかのような問題です。

今年は開成中も(昨年は「易しすぎる」と話題になりましたが)じっくり読んで状況を整理、理解しないと合格点が狙えないような問題でした。

「知っているだけ」
「覚えているだけ」

でなんとかなる問題は、明らかに1問もなかったと言えます。

来年以降、難関校の受験を目指している受験生には、ぜひ「数えだす」「書き出す」「整理する」といった、算数の基本とも言える力に注目して勉強しておいていただきたいと思います。

そのためには、日々塾の宿題に忙殺されるような状態は避けねばなりませんね。

いつも色んなところでお伝えしていることですが、宿題は取捨選択して優先順位をつけ、順位の高いものから重点的に取り組むことです。

とはいえ、お母さんが優先順位をつけるのもなかなか難しいもので、そんなお手伝いをするのも私たち家庭教師の役割です。

まずは、塾の先生に「今週の宿題の中で特に大切な問題はどれですか?」と質問してみるのもいい方法だと思います。(塾の先生がどれくらい力になってくれるかによりますが・・・)

「宿題は何が何でも全部やる」という考え方から、まずは抜け出してみるのが重要です。

難問に回帰した開成中学校2020年算数

2月に入り、東京、神奈川の6年生たちの受験本番がいよいよスタートしました。
1日に試験があったおもな学校の問題も、手元に集まりつつあります。
関西の学校については2月6日に開催する「入試分析セミナー」で詳しく解説することをお伝えしましたが、首都圏の学校についてももちろん開催します。
2月19日(水)に渋谷にて開催を予定していますが、それに先がけて名門指導会の講師たちも、早速問題を解き始めています。
私も開成中の算数を解いてみたのですが、昨年、一昨年とくらべて難度が上がっていると感じました。
関西の学校が、軒並み算数の難度を下げていたのとは、対照的でした。
よくよく文章を読んで、問題の条件を噛み砕いて整理すれば極端な難問ではないのですが「見るからに解きやすそう」な問題は一問もないため、ふだんから「パターン学習」に陥っているお子さんは「全滅」に近い結果になった可能性があるとも感じました。
たとえば大問1は速さに関する問題ですが、単純な旅人算などではありません。
いくつかの種類のカードに書かれた指示によって2つのロボットが進むのですが、その2つのロボットの間の距離をグラフに表している問題です。
いくつかの種類の指示によって様々なパターンの動きをするロボットと、その隔たり。
子どもたちにとっては非常に「とっつきにくい」タイプです。
このような問題への対応力をつけるには、普段からどんどん難問ばかりにチャレンジさせればいいのかといえば、単純にそうとも言えません。
難問を処理する力は一足飛びにつくわけではないので、手順を踏んで計画的に指導していく必要があるのです。
もちろん、塾の講座の受講や宿題のしかたなどについても「あれもこれも」ではなく取捨選択し、日常から「勉強の質」を上げるようにしていく必要があります。
その意味では、難度が下がった関西の中学校の算数に関しても目指すところは似ていて「ふだんから自分の頭で考えて勉強しているか」を問う出題を意図していたのではないかと、強く感じました。
国語の出題でも感じたのですが「普段からの勉強の質」を上げていかなければ対応できない出題が増えています。
特に難関校を目指すお子さんにとっては、これからの勉強の指針を示す入試だったのではないかと感じています。
6日(木)の関西、そして19日(水)の東京での入試分析セミナーでは、具体的な対策についてお話ししたいと考えています。

2020年になりました

2020年になりましたね。
1月〜2月にかけて受験生たちを入試に送り出すという立場上、私は「お正月=めでたい」とのんびり思えず過ごすことが多いのですが、ご家庭ではひとときの団欒を楽しまれたでしょうか。
■ 中学受験は変化している?
昨年を思い返せば、春先に「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している辻義夫先生との共著「つまずきやすいところが絶対つまずかない-小学校6年間の図形の教え方」が出て、12月の末には「難関校合格のすごい勉強習慣」が出版となりました。
その間を縫って、さまざまなメディアで発信させていただきましたが、直近で印象に残っているのは「日本初 答えがない問題も?スマホ持ち込みOK入試」というテーマで「羽鳥慎一モーニングショー」に出演させていただいたことです。
私も実際に問題に取り組んでみたのですが、中学受験の問題はここ近年で大きくバリエーションが広がっています。
既存の2科目(算数/国語)、4科目(算数/国語/理科/社会)での受験問題の中での新傾向問題というのももちろんありますが、入試区分自体が新しいという試みも多く見られます。
この流れのきっかけの1つとなったのは、まぎれもなく大学入試改革ですが、そちらがどのような結果を迎えるにしても、中学入試の近年の変化は好ましいものだと私は感じています。
教科のテストで測れるもの以外に目を向けた入試が、今後どのように定着していくかはまだわかりませんが、今は各学校が試行錯誤している状況です。
今後なくなる入試区分ももちろんあるでしょうが、多面的な目で受験生を見る視点は、今後さらに増えていくでしょう。
■ 「勉強の王道」を目指せ
一方で、以前もお伝えしましたが「変わらない入試」というのも厳然と存在します。
教科の勉強はもちろん大切なのですが、ただ単に知識がある、たくさんのことを覚えているだけでは太刀打ちできないのが一流校の入試であり、過去からすでに「思考力・表現力」などを問うものです。
受験生のみなさんには、ますます「勉強の王道」を目指してがんばってほしいと思います。
「勉強の王道」と私が表現するのは、限られた手がかりから問題解決の方法を模索し、仮定や試行を重ねて正解にたどり着く過程を大切にする勉強です。
「覚えて、答えたら丸がもらえる」という勉強が難関校の入試で役に立たない(将来世の中に出てもです)ことは明白だということは、多くの方がすでに感じていることだと思います。
■ 「長文化」「読ませる出題」を意識しよう
たとえば開成中学校の入試問題をみたとき、近年明らかに文字が多く、しっかり読まなければならないという傾向が強まっていることがわかります。
これは国語ではなく、算数の話です。
「解き方を知っている」ということだけではなんともならない問題なのです。
算数や理科社会の問題にも読解力を要求する。
そんな出題は開成に限らず増えています。
そして、この傾向は続いていくのではないかと私は考えています。
いわゆる「パターン問題」というのはさらに減っていくでしょう。
始まりつつある2020年の入試問題がどうなるのか、興味深く見ています。

9月、あらためて男子御三家についておさらいしよう

いよいよ9月、各塾の6年生の志望校別特訓(サピックスではSS、日能研では後期日特)が本格的に始まりましたね。
 
お子さんが5年生までのご家庭、お母さんも、来年、再来年はうちの子も、と気になるところかもしれませんね。
 
9月以降、学校別の対策模試なども行われ、6年生はどんどん志望校と受験校がはっきりとしてくる大切な時期です。
 
具体的には、模試などの結果を見て志望校を具体的に受験する方法で進んでいくのか、あるいは方針転換をするのか、厳しい選択を迫られる場合もあるということです。
 
特に志望校が御三家など難関校の場合、シビアな選択もありえます。
 
できればお子さんの第一志望校合格への道筋をつけさせてあげたいですね。
 
今回は、これから中学受験の勉強を始めようとしているご家庭、志望校を決めたいと考えているご家庭に向けてという意味もあり、あらためて男子の難関校である御三家(開成・麻布・武蔵)について、簡単に校風や出題傾向についておさらいしておきたいと思います 。
 
 
■ 御三家は、子どもたちの自主独立を求めている
 
 男子御三家とは、もちろん開成中・麻布中・武蔵中の3校です。
それぞれに独自のカラーがある学校ですが、共通点もあります。
東大を始めとする難関国公立大学への現役合格者数、合格率もさることながら、勉強だけでなく日常生活における自主独立生という点でも、この3校は共通する部分があります。
 
高い大学合格実績を誇りながらも、カリキュラムは独自、そして生徒活動などに関してもユニークなものがあるというのも、この3つの難関校の共通点の1つです。
 
 
■ 開成中
 
何と言っても、東大合格者数が圧倒的なのが開成です。
現役で140名、OBを合わせると180名を超える卒業生が東京大学に進学します。
ただ、ガリガリの進学校というだけでは全く無く、「知性」「自由」「質実剛健」を重んじる教育理念を掲げています。
「ペンは剣よりも強し」をモチーフとした校章も有名ですね。
生徒の自主性を尊重した学校行事も盛んで、特に体育祭は開成の象徴ともいえます。
 
入試では、2018年に「適性検査型」ともとれる国語の問題を出題したり、びっくりするくらい易しい算数の出題があったりと(もちろんその逆もあります)、受験生は「全方位死角ゼロ」といった準備を求められます。
 
理科社会の問題が学校の偏差値レベルから考えると易しく、平均点が8割を超えるなど、ミスが許されない高得点勝負となるのも開成の特徴です。
 
男子御三家の中で唯一、高校からの募集を行っているのも特徴で、これがこの先どうなっていくかが注目されていますね。
 
 
■ 麻布中
 
私は麻布中の入試問題が大好きです。
このことはもう何年も前から公言していて、毎年、特に理科の入試問題は楽しみにしています。
もちろん12歳の小学6年生が取り組む問題ですから、中学、高校生しか知らないような公式や定理は使えません。
しかし「ここまで生きて、勉強してきたことを総動員して考えてご覧」と言わんばかりの問題は、理科好きのお子さんにとっては手応えじゅうぶん。
まるで麻布の先生に授業をしてもらっているような気分で、入試問題に取り組むことと思います。
 
国語は15問程度の設問中、10問が本格的な記述問題。
「とにかく書かせる麻布」と言われる出題傾向です。
 
校風の自由さも有名で、文化祭や体育祭にもよく表れています。
校則がなく、茶髪の子も多い。
伸び伸びとした学校ですね。
 
 
■ 武蔵中
 
建学の精神「武蔵の三理想」として「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」「自ら調べ自ら考える力ある人物」を掲げる武蔵も、やはり生徒の自由と自主性を重んじ、校則がなく生徒自身の責任と判断に委ねています。
 
東大合格者数が低迷しているということが話題になりがちですが、武蔵の教育の本来の目的はそこだけではない、というのが武蔵中高の向いている方向だと思います。
 
これは入試問題にも表れていて、伝統の「お土産問題」を必ず出題する理科の問題をはじめ、非常にユニークかつ、子どもたちの「12歳なりの教養」を問う問題は、他の学校には見られないものです。
 
国語の「字数制限のない記述問題」、算数の調べ上げ問題なども特徴的です。
 
 
■ やっぱりそれぞれに個性的な御三家
 
以上、簡単にまとめただけでもそれぞれの特徴が際立つ3校。
 それぞれに応じた受験対策が必要ですね。
 
また御三家に限らず「なぜこの学校を目指すのか」はとても大切なことです。
志望校は、偏差値や実績だけでは決められません。
 
その学校の「教育理念」に賛同する、ここが核心だと思っています。

2018年、開成中と麻布中の出題傾向は変わったか

首都圏での入試もほぼ終わり、進学校が決まったお子さんも多いのではないでしょうか。

若干の変動はあったものの、首都圏の主要校の倍率などは例年同様でした。

今年なにより関係者の話題をさらったのが、開成中学校の算数が非常に易しかったこと。
開成出身の名門指導会のトップ講師も「OB会でも話題になるのでは」と言うほどでした。

実は、今年ほどではないにせよ開成、麻布の(筑駒を除けば)トップ2の出題傾向は例年対照的で「処理力の開成、思考力の麻布」という印象を持っている人も多いと思います。

開成の理科、社会の平均点の高さは例年有名で「ミスすると落ちる」典型的な出題です。
受験者平均で8割、合格者平均では9割に迫る平均点は「開成の理社で合格はできないが、不合格はあり得る」という通説を生んでいました。

ところが今年は算数も同傾向。

受験したお子さんたちも戸惑ったでしょう。
算数が得意なお子さんは、試験時間を持て余したのではないでしょうか。
そんな問題でした。

算数で差をつけたい、と思っていたお子さんたちは「なんでこんなに簡単なんだ!?」と思ったでしょう。

一方、麻布は例年通りの「思考力勝負」の出題。
開成とは逆に、受験生が「今まで受験勉強でやってきたことは何なんだ?」と思ってしまうような出題。
その場で条件を与えられ、その場で考える。
使わなければならない知識は最小限。

対照的な2校ですが、「らしい」といえる出題でした。

いずれにしても、何か特徴的な対策をするのが効果的というよりは、算数の「地アタマ」を鍛えるのが効果的と考えられる出題です。
条件設定をその場で与えられて考える麻布、そして「やるべきこと」がわかっている状態でミスなく確実にやりきることが求められる開成。

私が例年楽しみにしている2校の問題、今年も「らしい」ものでした。

来年に向け、しっかり準備していきましょう。

開成中2017算数と理科はどうだったか

■算数の大問2でうろたえなかったか

算数の大問2は、受験生にとっては題意の把握がやや難しく感じられた問題でした。しかもボリュームがあり「けっこう配点が高そう」と焦った受験生も多くいたのではないでしょうか。解いていくと(1)さえうまく乗り切ればOKだったのですが、入試当日、緊張の中難しかったかもしれませんね実際には大問1・3・4が標準的な問題だったので、ここでの失点がなかったが合否の境になったのではないかと思います。

85点満点で、開成中が発表している合格者平均点が54.8、受験者平均点が40.1と、14.7点もの点差がありました。「大問1・3・4が標準的な問題」と書きましたが、それは「開成受験者にとって」ということで、やはり難関校に対応できる受験対策をしっかり身につけてきたかどうかで合否が決まる、いわば「実力通りの結果が出る」問題だったと言えるでしょう。

■理科で合格することはなくても、落ちることはある

一方、理科はどうだったかというと、例年通りの「高得点勝負」となりました。開成中の場合「理社で合格することはなくても、落ちることはある」と言われるくらいで、理科社会の失点が命取りになる場合があるのです。

70点満点で受験者平均が56.8点、合格者平均は61.5点と、より配点が高い算数や国語よりも受験者平均、合格者平均ともに高いという、ある意味開成らしいテストでした。

大問1は燃焼に関する問題ですが、特に計算などもなく、大問2は地層と流水に関するもの。珍しく写真を問題に掲載していますが、地層に傾きはなく、内容は標準的。大問3は動植物の誕生と発生に関する問題。選択問題がやや紛らわしいものもありますが、開成受験者にとってはそ大きな問題ではなかったはずです。大問4はてこと浮力の組み合わせ問題。問7では「棒の左右どちらかの端を支点と考える」と合格者の多くが気付いたのではと思います。

■2018年受験に向けて

ざっくりと言うと、

算数、国語:受験者平均5割・合格者平均6割

理科:受験者平均8割・合格者平均9割(!)

社会:受験者平均7割・合格者平均8割

という結果になった2017年度の開成中学校の入試。理科の高得点化が際立っています。

特に理科社会に苦手分野や意識があるお子さんは、早急に解決して全方位隙のない状態を、受験までに整えなければなりませんね。

Page 1 of 2

▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

COPYRIGHT@西村則康公式サイト