前回は、男子御三家について校風や入試傾向をおさらいしました。
そして今回は、女子御三家に触れてみたいと思います。
東京の女子御三家といえば、「桜蔭」「女子学院」「雙葉」ですね。
それぞれの校風、そして入試傾向も面白いくらいに個性が出ています。
確認していきましょう。
その特徴を表すユニークなたとえ話として、とても有名なものがあります。
もしも空端に空き缶が落ちていたら、それぞれの学校の生徒はどうするか、というものです。
桜蔭生:本を読むのに夢中で缶が落ちていることに気づかない
雙葉生:そっと拾ってゴミ箱に捨てる
女子学院生:落ちている空き缶で缶蹴りを始める
こんなジョークが言われるくらい、それぞれに際立った校風の違いがあるのです
具体的なそれぞれの学校の校風、出題傾向は以下のとおりです。
■ 桜蔭中学校(東京都文京区)
1924(大正13)年創立。
全国の女子校の中でもトップクラスの進学率を誇り、卒業生の3分の1〜4分の1が東京大学に進学します。
校訓「1.勤勉 ・温雅 ・聡明であれ。 1.責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ。」が表す通り全体的勤勉な生徒が多い印象です。
3年時の「自由研究」は特徴的です。
それぞれが春にテーマを決め、疑問に思っていることなどテーマを約5か月かけて掘り下げ、論文にして秋に提出。自ら考え、調べ、表す力を育みます。
中学校240名、高校募集なし。
【入試傾向】
国語:素材文、設問ともに難度レベルは中学入試の最高峰。
社会科学的な知識や考えも要求されます。
算数:高度な処理力が求められる出題。
理科:超難問ではないが、塾の最上位クラスの内容を一通り完全理解していることが必要です。
社会:小問数40を30分で答える。スピードが要求されます。
■ 女子学院中学校(東京都千代田区)
1870(明治3)年創立。
キリスト教(プロテスタント)精神に基づいた教育を行っています。
自由な校風ですが、『なんのために生きるのか?』を話し合うイベント「修養会」が中2と高3のときにあり、普段は友達同士で話すことがない本質的なことを2泊3日で考えます。
ここで女子学院生としての芯が完成すると言われています。
中間・期末テスト以外の実力テストはなく、実験・レポートなどに力を入れています。
中学校240名、高校募集なし。
【入試傾向】
国語:論説文または説明文と随筆文の2題。自由記述はなく、抜き出しや条件記述が中心です。
算数:制限時間に対して問題数が多いのが特徴。
「処理力の女子学院」と言われる所以です。
理科:低くはないですが難問も少なく、高得点勝負となります。8割以上をとりたい試験です。
社会:ある特定の地域やテーマに沿った総合問題が出題されます。
一問一答的な知識ではなく、つながりの理解が求められます。
■ 雙葉中学校(東京都千代田区)
1909年創立。。キリスト教(カトリック)に基づいた一人ひとりを大切にする全人教育を行っています。
校訓は「徳においては純真に、義務においては堅実に」。
ボランティア活動や校内清掃など、カトリックの精神に基づいた全人教育を実践しています。
カリキュラムはしっかりしていて、中学の授業でも、高校で扱う内容まで深めて学びます。
また外国語教育に力を入れ、全員が英語の他にフランス語も学習します。
中学校100名、高校募集なし。
【入試傾向】
国語:記述式のい回答形式が多く、書き慣れておく必要がありますね。
算数:国語同様「書かせる」問題です。式や計算を残して解く練習をしておきましょう。
理科:知識の詰め込みでは対応しづらい問題です。知識どうしの「つながり」を意識しておく必要があります。
社会:基本的な出題が多く、高得点勝負になりがちです。ミスが命取りになります。
こうやって、あらためて簡単にまとめただけでも、出題傾向以上に宗教なども含めて校風の違いがはっきりした3校です。
志望校として考える場合は、そのあたりもよく考えて選びたいですね。
出題傾向を考えると、選べる併願校もそれぞれです。
よければ拙著「中学受験 基本のキ!」(日経BP社)など参考にしていただけると良いかと思います。