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お子さんのノート、ときどき見てあげましょう

私が主宰する家庭教師「名門指導会」では、定期的に東京、大阪で所属する講師を集めて研究会を行なっています。

 

教室という場所がある塾にくらべて、講師が直接ご家庭に訪問する家庭教師の場合、講師と講師が顔を合わせる機会がなく、他の家庭教師派遣センターなどでは、ほかの講師と会ったことがない、というようなことも多いようです。

 

ではなぜ名門指導会が定期的な研究会を行うのかというと、先生方のノウハウをシェアすることがとても有意義で重要だと考えているからです。

 

先日は、子どものノートについての話題でした。

 

学校や塾の授業で、お子さんたちがとるノート。

 

そもそも、いったいなんの目的でノートをとるのでしょうか?

 

①「書きながら授業を聞いたほうが、頭に入ってきやすい」

②「授業後、ノートを見ながら復習するため」

③「テキストに書かれていない重要なことを先生が言ったときに、メモをとるため」

 

おおまかには、これくらいの理由でノートをとるのではないでしょうか。

 

①が理由であれば、走り書きでも頭に入りさえすればよいでしょう。

でも②の目的もあるのだったら、ある程度「あとで見直す」ことを前提に、ノートをとる必要があります。

 

具体的には、日付やテーマ(単元名)テキストのページや問題番号などを書いておくなどの工夫です。

 

③の目的の場合、テキストのどの部分に関連することかがわからないと、後で見たときに一体何のためにとったメモなのかがわからなくなりそうです。

もしかすると、このような目的のメモはノートではなく、テキストに直接書き込むのがいいかもしれませんね。

 

まだまだたくさんの話題が出てきたのですが、ひとつ先生方のみんなが「確かに」とうなずいたのが「ノートがカラフルすぎ、美しすぎる子は成績が悪い」ということでした。

 

ノートを丁寧に取ることはいいことなのですが、あまり度が過ぎてそれが目的のようになってしまうと、本末転倒だということです。

 

でも、そんな癖がついてしまう子はもともと真面目な子が多く、「授業で習ったことをしっかり書いておきたい」という欲求から「美しすぎるノート」となってしまっている場合が多いので、ノートのとり方を変えさせる場合も、頭ごなしに伝えることはせず、ソフトランディングで変更していく必要があります。

 

そんな場合の対応も、ベテランの先生方にはそれぞれノウハウがあって、興味深いものです。

 

お子さんのノート、ときどき見てあげてくださいね。

 

もちろん上手にとれていたら褒めてあげましょう。

 

「あれ・・・」と思うような部分があれば、よければご相談いただければと思います。

 

『定番塾』の勉強と入試問題がズレ始めている!?

■「研究会」を開催しています
主宰する家庭教師「名門指導会」の先生方と、関西も含め月3〜4回研究会を実施しています。
その研究会の中で今月話題にあがったのが、奇しくも東西の「トップ塾」の話題です。
御三家、灘中などの多くの合格実績を出し、「難関中に行くなら◯◯塾」と多くの親御さんから認知されている塾。
その「定番塾」に、若干疑問が湧いてきているのです。
ある最難関中学校に特化した模試を長年行い続けてきたことで、子どもに演習させる「◯◯中対策問題」には事欠かない塾。
合格者数も全国一を保っています。
でも、それを実際やっているお子さんは「これは◯◯中で出る頻出パターンだから覚える」という学習パターンになっている・・・。
よくある話です。
中学校側としても「過去問の『パターン』をすべて暗記している」というお子さんに来てほしいのではなく、初めて見る問題にも臆することなくチャレンジしてくれるお子さんを求めているのですが、塾のデータベースが完璧すぎてミスマッチが起こっているのではないか、と感じるのです。
興味深いのは、首都圏でも関西でも同じような現象が起こっていることです。
塾に行って勉強していることが、結果として「暗記型」になって「自分で考える」というスタイルになっていないのです。
■最上位の子は対応するのですが…
早い時期から頭角を現し、塾の最上位クラスを突っ走って最難関中に合格、という子も中にはいます。そんな子は、塾で与えられる大量の問題にも対応します。なんならもっと精神年齢の高い子なら、さっさと自分で取捨選択して、自分に必要のない問題は切り捨ててしまうでしょう。
でも「遅咲き」の子に、今の進学塾のトップクラスの内容を小さいうちから与えてしまうと、早い時期に潰れてしまうのです。
もっとゆっくり受験勉強を進めてあげれば、勉強自体がもっと充実感に満ちたものだったろうし、結果も良かったはずなのにな、という例が目立っているということです。
■中学受験は「またとない機会」
私は、中学受験は子どもたちにとって「またとない機会」だと思っています。
なぜなら、中学受験は若干11才、12才の子が高度な思考の鍛錬を積むことで大きく成長する機会であり、しかも多くの大人が持つ「子どもにこんな高度なこと考えるの無理でしょ?」という先入観はいい意味で裏切られることを知っているからです。
中高一貫都立校なども多くなってきた今、私立中も「思考力」「判断力」「表現力」を問う問題をさらに出題するようになってきています。
私たち「受験サポート」を行う立場の人間も、しっかり対応していかねばと考えているこの頃です。
2018年3月14日「2018年入試からわかる 2019年入試までにすべきこと」セミナー後。
急遽お母さんたちとの座談会になりました(^^)

中学受験 算数の点数を20点上げる方法

■暗算がいけないのではない
計算間違いを多くする子の中に「なんでも筆算でする」という子がいます。
お母さんに「暗算はやめなさい」「必ず筆算をしなさい」と言われ続けてきた子です。
こういう子の筆算を見ていると、もう高学年なのに必ず繰り上がりの数を書いて計算しています。
繰り上がりの数を書くことは悪いことではないのですが、こういう子に2ケタ×1ケタの計算を暗算させてみると、計算ミスが多いのです。
ふだんから2ケタ×1ケタレベルの計算で、繰り上がりの数を短時間記憶する訓練ができていない(筆算では繰り上がりの数を書いているので記憶する必要がない)ためです。
この訓練ができていないと、制限時間のあるテストで焦って暗算した場合に計算ミスをしてしまうのです。
実際の入試、模試などで点を取ろうとすると、2ケタ×1ケタの計算くらいは素早く暗算できなければなりません。
ぜひ、お子さんの「暗算力」見直してみてください。
■暗算結果はメモ
計算ミスのもう1つの大きな原因は、何もかも頭の中だけでやってしまおうとすること。
暗算である計算をして、さらにその答えを使って別の計算をして・・・このような作業をすべて頭の中だけで済ませようとすると、どこかでミスをする可能性が高くなります。
また、間違ったときに「どこに戻ってやり直せばいいか」がわからなくなってしまいます。
だから、ひとつひとつの暗算結果はメモしておき、できれば単位などもつけて、何を計算したのかがわかるようにしておきましょう。
このような工夫で、算数の点は5点、10点と変わってきます。
「暗算はダメ」の一点張りではなく、なぜ計算間違いしているのかに注目すると、実は暗算の訓練が計算ミスの解決方法だった、といったことがわかることもあるのです。
▪️「一行問題」は典型的なものしか出ない
サピックスのマンスリーや組分けテスト、日能研の公開模試などのテストで出る「一行問題」と呼ばれる短い文章問題は、そうひねったものは出ません。
このような問題で間違う子は、実力がないというよりは、勉強のしかたが間違っている場合が多いのです。
例えば、次のような問題があります。
ある年のサピックスの1月「新学年組分けテスト(新6年)」の大問2のうちの1つ。
「10から99の2ケタの整数をすべて合計すると(     )になります。」
そう難しい問題ではありません。
時間さえあれば1つ1つ足しても答えが出る問題です。
「10から99までの2ケタの整数は全部で(      )個あります」
だったらさらに基本問題ですね。
10から99までの2ケタの整数は、90個あります。
基本的な考え方は、1〜99の99個の整数から1〜9の9個の1ケタの整数を引けば、10〜99の2ケタの整数の個数がわかる、というもの。
多くの子どもたちは、連続する数字や等差数列の合計を
(はじめの数 + 最後の数) × 個数 ÷ 2
で計算することができることを知っています。
(この公式に関しても「どうしてその公式で計算できるの?」と聞いてみてあげてください)
たとえば
1 + 2 + 3 + 4 + 5
の計算なら、
1 + 2 + 3 + 4 + 5
をひっくり返して元の式と上下に並べ、縦に足し算すると
1 + 2 + 3 + 4 + 5
5 + 4 + 3 + 2 + 1
↓     ↓     ↓     ↓     ↓
6   6   6   6   6
6が5つできますね。
これが、
(はじめの数 + 最後の数) × 個数
の意味です。
ただし、実際には
1 + 2 + 3 + 4 + 5
の計算を2つ分してしまった訳です。
だから
(はじめの数 + 最後の数) × 個数 ÷ 2
なんですね。
だからはじめの数が10で最後の数が99で、数の個数が90個だったら、
(10 + 99 )× 90 ÷ 2
で答えが出ることがわかるでしょう。
さて、お子さんにこの問題を一度出してみてあげてください。
2ケタの整数の個数が90個であること、上記の公式で計算できることが正しく出てくるでしょうか。
怪しければ、勉強のしかたを少し見直してみてはどうでしょう。
このあたりの見直しで、算数の点は10点、20点変わってくるものです。
 
 
 
 
 
 

科目別「勉強法」をお伝えしていきます

昨日、そしてその前の土曜と、私が主任相談員を務めさせていただいている「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主催の授業イベントが行われました。
授業、取材などが入っており私は参加できなかったのですが、20日の算数、27日の国語授業とも、とても興味深いものだったようです。
次の土曜は理科について行われるのですが、意外に「勉強法」について、「塾では教えてもらえない」という声をいただくことが多く、各科目それに応える講座になっています。
■テストで「◯」ならOKというわけではない
私たちがお子さんたちを指導していて、とても大切なのが「×の中に潜んでいる◯」「◯の中に潜んでいる×」を見つけ出すことなのです。
「どういうこと?」と思った方もいらっしゃると思うので、説明しましょう。
たとえば
38 × 99
とい計算問題があるとします。
テストに出ていて、お子さんが正解だったとしましょう。
テストなおしを「テストの間違いなおし」と捉えていると、正解ですから振り返ることなく終わってしまいます。
しかし、この計算問題の下にお子さんが「38×99」のかけ算の筆算を書いていたらどうでしょう?
38 × 99
は、「38を99回足す」「38が99個ある」といった意味ですが、大切な視点は「あと1個あれば100個になる」ということです。
38 × 100
の計算なら、暗算でも間違う子はほとんどいないでしょう。
だから
38 × 99 = 38 × (100 − 1)
と考え、
3800 − 38 = 3762
と工夫することを知っていたか、使っていたかを確かめておきたい。
そういった視点でお子さんの勉強法を見直してみましょう、といったことが、今回行われている講座で扱われている「勉強法」です。
■「式」ではなく「イメージ」に落とし込む
20日の算数の講座は「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒させていただいたいる前田昌宏先生が講師だったのですが、記録された当日の映像を見て「うんうん、その通り!」と膝を叩いて同意してしまうポイントがいくつもありました。
算数では「式を書く」ということが大切と言われます。
「先生、うちの子暗算ばかりして式や筆算を書かないのでミスが多くて・・・」
といったご相談もふだんから多く受けます。
確かに式を書いておけば、間違ったときに「どこで間違ったのか」を確認しやすいというのは事実です。
しかし、私がときどき授業中にお子さんに「これは式と同じくらい、いや、式なんかよりもっともっと大切なことだから、絶対覚えておいて。」という事があるのです。
それは、図や表、グラフなどを書いて、問題の状況を「見える化」すること。
たとえば速さの問題で、時間の条件が多い問題を解くときにどうするか。
簡単な問題なら、問題文を読んで、すぐに式を立てられるかもしれません。
しかし、そもそも速さの問題で条件が多いとなると、一筋縄で片付かない問題である可能性が高い。
そんなとき、式よりもまず「どうやって、どんな形に整理するか」が大切です。
時間に関する条件が多いのなら、整理のためのツールは「グラフ」が筆頭になります。(速さのグラフを「ダイヤグラム」といいます)
なぜなら、ダイヤグラムを使って「縦軸=距離」「横軸=時間」として示せば、どれくらいの時間でどれくらいの距離を進んだかがわかりやすいからです。
「こんなにグラフの傾きが急になってる・・・。短い時間でたくさんの距離を進んだんだな。すごいスピードだ!」
お子さんがこんなことを考えながら解けるのが理想です。
「答えがあっている」「式を書いている」の手前にある、とても重要なことです。
■勉強法をお伝えするイベントを行っていきます
今回を伝えしたようなことをたくさんお伝えする講座、次回は理科とのことで、楽しみです。
担当されるのは、同じく「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」でご一緒している、辻義夫先生。
残念ながら理科にも私は参加できないのですが、参加される幸運なご家族には(少人数での特別な講座なので、募集するとあっという間に定員に達するようです)「理科を目一杯楽しんでください」とお伝えしておきましょう。
「塾の使い方」をテーマに様々なことを私たちがお伝えしている「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」ですが、今後は塾でもなかなか教えてもらえない「科目別の勉強のしかた・ポイント」をお伝えするイベントをたくさん開催しようと考えていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

「集中力」と「基礎学力」が高学年での伸びしろになる

■「暗記型学習」になっていないか

 
サピックス、日能研、希学園といった大手の進学塾で高学年時に、特に5年生あたりで中位のクラスで伸び悩む典型的なタイプが「暗記型学習」タイプの子どもです。4年生くらいまでの単純な問題では、繰り返しパターンを暗記することで好成績をとれてしまいますが、5年生になると一気にパターンが複雑化するので、思うように点数が取れなくなります。
 
この暗記型の学習に決定的に欠けているのは「考える力」です。「考える力」というのは、何を問われているのかを正確に理解した上で、求められている答えまで、自分の中にある知識のストックを組み合わせながら筋道立てて考え、答えへ至る力のことです。
 
こういった「考える力」を養わずにきた暗記型の子は、今まで自分が見たことがない、解いたことがない問題を極度に恐れます。高学年になると学習内容はだんだん複雑になり、パターンも多様になってきます。暗記で全てのパターン網羅していくのは非常に非効率になり、ましてや難関中学で出題されるレベルの問題パターンを全て暗記していくのはほぼ不可能です。
 
 
■高学年は「考える力」をつけるチャンスでもある
 
しかし「考える力」がある程度身についている子であれば、初めて見る問題だったとしても、恐れることなく立ち向かっていけます。例えば、数列の1000番目の数字を求める問題で、公式のような解き方が分からなかったとしても、1000個の数字を間違えずに書くことができれば答えに到達できるというように考えます。そして2030個の数字を書いているうちに、簡易な計算で答えに到達する方法をみつけてしまったりします。
 
「暗記型」の勉強方法の子たちが、伸び悩んだり、成績を落としていく高学年の応用学習は、逆に考えると「集中力」と「基礎学力」をしっかりと身につけている子どもであれば、「考える力」をつけていく絶好のチャンスになるのです。

春休みの過ごし方、あまり満足でなかったという方へ

■春休みはどうでしたか?
春休みが終わり、学校での新学年が始まろうとしています。春休みの「出来」はどうだったでしょうか。
「けっこういろんなことができた」
「やりたいことはあったけど、あまりできなかった」
「やっぱり短くて、思うようには過ごせなかった」
様々ではないかと思います。。
普段から私たちが訪問しているご家庭であれば、あらかじめ春休みに塾でどんな授業が行われるか、今お子さんが最優先で取り組むべきことは何かなど、いろいろ前もって話し合ってから春休みに臨むのですが、春休み明けに初めてご相談に来られるお母さんは、「やろうと思っていたことはあったのにできなかった」という方もいれば、「なんとなく塾の春期講習会に行かせただけで過ごしてしまった」という方もいます。
塾の春期講習会が悪いと言っているのではありません。
塾は塾で、この時期お子さんたちに何をしてもらえば一番いいだろうかと、必死で考えて春期講習会のカリキュラムを組んでいるはずです。
・・・でも、なんだか流しただけで、身についている、何かが大きく前進したという感じがしない、とお感じの方が多いのです。
■塾は春期講習会で何を身につけさせようとしていたのか
お子さんが通われている塾の春期講習会のカリキュラム、受講前にご覧になって、どんなことを考えたでしょうか?
お子さんが日能研にお通いなら、春期講習のカリキュラムを見て「2月と3月に習った単元が扱われているから、この日の授業は復習ね」などと感じられたかもしれません。サピックスなら「この単元は5年生で一度習った単元だから、その復習なのかしら」と思われた方もいるでしょう。
でも、そもそもこの二人のお母さんの勘違いは「塾では純粋な『復習』の授業はない」ということです。復習のように見えても、前に習ったときとまったく同じレベルのことをするのではなく、復習をしつつもよりレベルの高い問題を習うのです。
だから、前に習ったときにわかりにくかった単元は、ここでもわかりにくかったり、「苦手単元」になってしまったりするのです。私が春休みや夏休みの前の時間があるとき(小学校が「短縮授業」になるところもありますね。しっかり活用しましょう)に、苦手克服をすべきだとお伝えしているのは、そんな理由からなのです。
しっかり苦手単元の克服を済ませずに講習会に臨むと、「消化不良感」が残るのは、以上のようなことが原因になっています。
■次のチャンスは夏休み、ではありません
春休みはもう終わってしまいました。では次のチャンスは夏休みかというと、そうではありません。ゴールデンウィークです。
ゴールデンウィークには、サピックスではGS(ゴールデンウィーク・サピックス)特訓という授業があります。これはいわゆる「テストゼミ」形式の授業で、お子さんがどんどん問題を解いて、その解説が行われる「問題演習とその解説」の授業です。
このような授業は、もうある程度学習が仕上がっているお子さんには最適です。しかし、苦手分野があるとか、知識の拡充がまだまだ必要という段階のお子さんには、ちょっと無駄が多いように思います。
また、ゴールデンウィークに大量の宿題を出して塾は休み、というタイプのところもあります。当然、自宅での大量演習、そして大半の場合は塾に提出して終わり、というタイプの宿題に効果が見込めるかというと、残念ながらそうではありません。
春の満足感が低かったというご家庭は、ここから1ヶ月の間、お子さんのここまでのテストを検証し、「我が子にとって,
ゴールデンウィークに何をするのが本当にいいのか」を考えてみてはいかがでしょう。 
きっと考える価値があることだと思いますよ。

中学受験 ノートの取り方を工夫しよう

私たち講師は、授業の技術を絶えず研くのは勿論なのですが、授業を受ける技術、方法はあまり注目されません。
 
たとえば授業中、生徒に集中して聞かせる授業の技術はいろんな講師が研究しているのですが、先生の話を集中して聞くために、生徒ができることは何かは、聞かせ方ほどには真剣には考えられていないように思います。
 
しかし、自分が学生だった時のことを振り返ったら、よく分かる先生の授業は、その「受け方」まで指導されていたような気がするのです。
 
たとえば、先生が次のことを説明し始めているのに、まだ前のところのノートをとっている子がいます。
 
「先生が話し始めたら、いったん手を止めて前を見なさい」
 
こう言うのは簡単ですが、それを確実に実行してもらうのは工夫が必要です。夢中になって書いていたら、先生が話し始めても気付かない場合があります。また、これを書いておかないと、ここがわからなくなったら先でもっともっとわからなくなる、と考えているかもしれません。
 
子どもは急には止まれないのです。
 
少なくとも、子どもが手早くノートをとれて、気持ちに余裕を持って授業に参加していれば、先生の話をもう少したくさん記憶にとどめて帰ってくるのでしょう。
 
早く、きれいに書けるに越したことはないですが、はじめからそうできるわけではありません。たとえば算数の図形の単元では、自分でノートに問題の図を写して、その図に書き込んで解くことが多くあります。
 
授業中に素早く、きれいに大きく書くことができればいいですが、なかなかはじめからは難しいかもしれません。そんなときは、まずはノートに大きく問題の図をコピーしたものを貼り付けて塾に行くことから始めてみる。
 
そうやってうまく授業が受けられるようになったら、あらかじめ自分で図を大きめに書いて授業に行く。そしていよいよ上達したら、授業で実際に自分で図を書きながら考える。
 
4年、5年、6年と学年を追ってステップアップしていってもいいでしょう。
 
今の進学塾は、子どもにかなり大量の課題を短時間で処理することを要求しますが、それにはじめから対応できないからといって不安にならなくても大丈夫です。
 
自転車と同じで、はじめは誰かに支えてもらいながらでいいのです。そうやって覚えた自転車の乗り方は、すっと時間がたっても忘れないものです。そういう知識をお子さんにつけてあげてください。

図形は知識だ! part3

ここ2回にわたって、図形問題を解くときの知識の大切さをお話ししてきました。

ところが、知識をいくら覚え込んでも目の前の問題に利用できなければ宝の持ち腐れですね。

利用すべき知識を素早く的確に思い出すための方法をお話しします。

(普段やっておくこと)

・まず問題文を隅から隅まで読むことを習慣にする。

 問題の分を読まずに、これが聞かれているはずだと思い込んで解こうとする子供が意外に多いのです。

それでもたまに正解になることがあり、悪い習慣を修正するチャンスを失いがちです。
 

・問題の条件をすべて図に書き込むことから始める。

 辺の長さや角度など与えられている条件をもれなく、しかも読みやすく書き込むことが大切です。

凝視しないとわからないような小さな字もダメですし、どこからどこまでの長さかが曖昧な線の引き方もよくありません。

そして、問題についている図をそのまま丸写しするのではなくて、問題文に書いてある条件に沿って問題文を読みながら

書き込む習慣をつけさせることです。

ここで注意して頂きたいことがあります。

テキストに書かれている図が小さい場合は必ずノートに大きな図をフリーハンドで書き直させてください。

たとえば、サピックスのデイリーサポートの図ならば、長さで2倍ぐらいの図を書かせることが必要です。

入試問題そのものに書かれている図がそのぐらいの大きさですから。

・「たぶん」「何となく」を一切使わせない。

 子供が解いた跡を見ると、理由無く「90°」と書いてあったりします。

「なぜここが90°になったの」と聞くと、無言になるか、「そう見えたんだもの」と答たりします。

それでも4年生や5年生の段階では半分ぐらい結果が正しくなります。

ところが、6年生になり扱われる問題が入試本番レベルになると、直感で答えた数字がことごとく間違うようになります。

理由は簡単です。直感や当てづっぽうで答えると間違えるように作ってあるからなのです。

子供が、直感や当てづっぽうで解いている現場を見つけると、親としては叱りつけたくなるものですが、ぐっと押さえてください。

子供は直感的な動物です。そのいい加減な直感も正しい経験を積ませていけば、難問を解く際の「気づき」につながります。

 「なぜ、○○になったの?」とニヤニヤしながら聞いてやってください。

それを何回か繰り返した後で、「図形問題で、原因と結果をつなぐ頭の体操をしているんだから、

当てずっぽうをやっていると頭の使い方のフォームが崩れちゃうよ」とでも言ってあげてください。
 

・図形問題を解き終わった後に、どんな知識を使ったのかを振り返る。

 ほんの10秒で構いません。

「こことここの相似を使って、その後は辺の比から面積の比に変えたんだ」とか

「円の中の直角三角形を使ったんだ」

というように振り返ってみることです。

そのほんの10秒の頭の中での振り返りが1回分以上の効果があります。

はじめに練習させる際は、お母さんが横について、

 「よくできたね。これを解くのにどんな知識をどんな順に使ったのかな?」

 と1問ごとに聞いてあげてください。正確に説明できなくても構いません。

子供なりの要約された言葉で構いませんが、「何々を何々に使うと」というように「てにをは」をしっかりと発声させてください。
      
      
  3回にわたって、図形問題の学習について書いてきました。

  図形問題を正しく学習していくと、論理を正しくつないでいく能力が鍛えられます。

そしてその先のひらめきも少しずつ高めていくことができます。

これらの能力の高まりは、算数の文章題や他の教科に大きな好影響を及ぼします。

 

うちの子、直感頼りの勉強じゃないかしら、と思われたなら、

お子さんの勉強の様子を見るところから早速始めてあげてくださいね。
 

図形問題は知識だ!


平面図形にしても立体図形にしても、定義・公理・定理・公式がたくさんあります。

また、いろいろなテクニックも数多くあります。

塾テキストの図形問題を解く際も、入試問題の図形問題を解く際にも、これらの知識を駆使する必要があります。

知識やテクニックを知っていなければとても解けないような問題揃いです。

一方、「図形はセンスだ!」と言う人もいます。補助線1本をどこに引くのかは直感だ。生まれ持ったセンスが左右するというわけです。
                                
でも、まだ証明されていない深淵な公理や定理を証明するときには確かにセンスは必要でしょう。天才的な頭脳も必要なはずです。

でも、学問を究めることと入試問題を解くことは分けて考える必要があります。
 

中学入試問題や高校入試問題・大学入試問題でも、「証明しなさい」という問いであれば、必ず証明が可能な問題ですし、

何々の長さを求めなさいとあれば、必ず求めることができる問題です。

その正解に向けて最短最速で突き進むための道具が「知識」です。

文章題に習熟するには、「理解」→「類似題演習」→「新規問題に適用」という順に学習します。

ここに「暗記」が入っていないのは、「理解」と「類似題演習」において、解き方の知識が自然に身につくからだといえます。
 

一方、図形問題においては、理解できたとしてもなかなか問題を解くことができません。

類似題演習を重ねても、数ヶ月すると解けなくなっていることが普通です。

それは、図形の知識は、解いているうちに自然に身につくたぐいのものではないからです。

文章題の知識は言葉により深く結びつき、図形の知識はイメージにより深く結びついているからだと思います。

図形の知識は、覚えようと意識することが必要なのです。

ですから、「理解」→「覚える」→「類似題演習」→「適用知識の確認」→「新規問題に適用」という階段が必要になってきます。
 

教える側は、文章題の時とは違って、「これを覚えて!」、「この問題に使った知識は何だ?」という台詞があってしかるべきなのです。
 
次回は、イメージをより強く記憶するための方法についてお話しします。

どんな家庭教師や個別指導が良いのか part3

今回は、家庭教師の選び方の最終回です。

6 解き方の引き出しをたくさん持っている。

少し前の相談電話にこのようなことがありました。

「ある、大きな組織の家庭教師会社からにプロ家庭教師の体験授業をお願いしました。

そのときに、差集め算を子供が面積図で解こうとしたところ、

「その解き方はダメだ、私の解き方でやりなさい。」

と言われてしまった。

以前、子供が差集め算で苦労している時に、お母さんが工夫を重ねて面積図で説明したところ、

ちゃんと理解できて解けるようになったのに、それを否定されてお母さん自身もショックだったそうです。

その先生の解き方をお子さんは体験授業時間内には理解できなかったそうです。

私のこれまでの経験では、解き方の引き出しの少ない先生は特定の解き方を押しつけることがよくあるようです。

たった1問の算数問題でも解き方はいくつもあります。

どの方法がよいのかは、「時期(どんな方法を習ったことがあるのか)」・「お子さんの得意不得意」・

「受験校の問題傾向」などによって決めていくものです。

また、算数の正しい解法とは、子供が絶対に正しいと思えることを組み合わせて正解にたどりつくことができる方法です。

子供が解く課程で遠回りをしていたり無駄な処理をしてる場合には修正を加えるべきですが、

解き方の大筋は子供の思考過程を認めていくべきです。

その上で余力がある場合には、「こんな方法もあるよ。」と提示してあげることはよいことです。

正しい解き方であるのも関わらず、「その方法はダメ!」と言うのは狭量だと思うのです。

子供の思考に寄り添って、今何を感じて何を考えようとしているのか、何を発見できそうなのか、

何に気づかずに立ち止まっているのか。

このように、目の前の生徒について、どんどんと仮説を立てて一緒に考えていくような指導を

目指してほしいものだと考えています。

私達の名門指導会では、全員がそれを目指しています。

先生方の熟練度とは、この仮説の精度ではかられるべきだと思っています。

7 こわもてので叱咤激励だけの講師はダメ。

「こんなこともできないのか!」

「これは、前に教えたろ!なぜ覚えていないんだ!」

「宿題もやっていなかったのか!」

このように家庭教師に罵倒され続けた生徒が、

「そんなにやる気がないんだったら、もう教えに来ないぞ、いいのか!」

と聞かれて、

「いいよ。」

と答えてしまった。これは、初めて伺った体験授業で聞いた話です。

その家庭教師の方としては、

「叱咤激励することで、子供のモチベーションを高めよう。」

と思って投げかけた台詞だったのでしょう。

子供から拒絶されて驚かれたことと思います。

でも、私はその家庭教師に同情はできません。

しかりつけたり、理解しないことを罵倒することでは、子供の頭は働いてくれないことぐらいは理解しておいてほしいとおもうからです。

少なくともプロ家庭教師を自称するなら、そのぐらいの知識を持ち合わせて効果的な手法を研究してほしいのです。

子供は、成功の予感があるときにはがんばります。

難問を前にうんうんうなっている状況でも、子供に解ける予感があれば解けてしまいます。

それは、子供の表情を観察しているとわかります。

がんばれると感じることができれば、子供はがんばるものです。これらは大人でも同じだと思っています。

がんばれそうとか、解くことができそう、宿題をやりきれそう。

子供にそう思わせる手法はいろいろあり、時と場合によって使い分けていく必要があります。

どの場面でどのような言葉をかけてあげるか、何を言ったらダメなのか。

このような試行錯誤する力は、教える側に一番必要な資質だと考えています。その資質の源は、その講師の精神性だと思います。

教えるという職業は、「教えながら教えられる」ことが多い素敵なものだと感じています。

目の前の生徒の成績を上げてあげたい。

子供に必死の思いで日々関わっていらっしゃるお母さんに、安堵の気持ちと自信を持ってもらいたい。

ひいては、ご家庭が明るく幸せであってほしい。こんなことを直接考えて行動することができる幸せな職業だと感じています。

私の目からは、叱咤激励や罵倒は、職業上の幸福感から一番遠いものに感じるのです。

よくないことは、当然しっかりと指摘し修正させていく必要があります。

そういう時でも、その生徒の生活履歴や学習履歴や学習環境に目を配り、

そうなった原因を一緒に取り除いてあげるような暖かい視点が大切です。

それがあれば、経験値に応じて対応方法の引き出しはどんどん増えていくものだと信じています。

3回にわたって「どんな家庭教師や個別指導が良いのか」を書いてきました。

でも、各項目について神経質に観察する必要はありません。

体験授業を通して、親御様がお感じになった、

「この先生は誠実そうだ」、「この先生は、うちの子のために一生懸命になってくれそうだ」、

このような感覚を大切にしてもらえればと思います。

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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