カテゴリー: その他 Page 1 of 5
うまくいっていないのなら「取捨選択」を
■年度を通して多いご相談は・・・
年度を通して多いのは「がんばって宿題をしているのに成績が上がらない」というものです。
このお悩みには、学習塾の過剰ともいえる「サービス」も関係していると思っています。
入試、特に難関校の入試には、毎年「初見」の問題が数多く出されます。
暗記に頼った学習ではなく、因果関係などをもとに論理的に考えることができるかといったことを見るには、パターン問題では不十分だからです。
学習塾は、そのような問題をどんどんテキストに収録していき、テキストは年を追うごとに肥大化していきます。
いわゆる平常授業だけではそれらを網羅しきれず、講習会、GWの特訓などすべての「オプション講座」が必修化されていく。
受験生とそのご家庭には休む暇がありません。
■がんばっても結果が出ないから、やる気が出ない
そして、最初の質問、ご相談になるのですが、このようなご相談をくださるご家庭のお子さんは、多くの場合やる気をなくしています。
やってもやっても宿題は終わらず、成績にも結びつかないためですが、親としては「そんなやる気がないんじゃ、ますます成績が下がる」と必死でやらせようとする。
ケンカが絶えなくなり、勉強時間にムダな時間がどんどん多くなっていく、という悪循環に陥っていきます。
一度、立ち止まって考えてみましょう。
「ほんとうにこんな量の勉強が必要なのか?」
■うまくいっていないのなら取捨選択を
多くの場合、宿題を整理してやるべきことを最小限に絞ったほうが、結果は出ます。
宿題の取捨選択は専門家以外では難しいのが現実ですが、「基本ができていないのに応用なんて・・・」と感じているなら、いっそ応用問題はカットして、基本的な問題をきちんとマスターすることに主眼を置くのが良いことも多いものです。
その際気をつけていただきたいのは「解き方の丸覚え」をさせないということです。
どうしてそのように考えるのか、なぜその解法で解くのかという因果関係を説明させるようにしてください。
せっかく時間ができても、それを「丸覚え」に費やしてしまうと意味がありません。
うまくいっていないと感じるなら、ちょっと根気は必要ですが、宿題の量と質を調整し、問題を解くのに付き合ってみてあげてください。
今回は、家庭教師の選び方の最終回です。
6 解き方の引き出しをたくさん持っている。
少し前の相談電話にこのようなことがありました。
「ある、大きな組織の家庭教師会社からにプロ家庭教師の体験授業をお願いしました。
そのときに、差集め算を子供が面積図で解こうとしたところ、
「その解き方はダメだ、私の解き方でやりなさい。」
と言われてしまった。
以前、子供が差集め算で苦労している時に、お母さんが工夫を重ねて面積図で説明したところ、
ちゃんと理解できて解けるようになったのに、それを否定されてお母さん自身もショックだったそうです。
その先生の解き方をお子さんは体験授業時間内には理解できなかったそうです。
私のこれまでの経験では、解き方の引き出しの少ない先生は特定の解き方を押しつけることがよくあるようです。
たった1問の算数問題でも解き方はいくつもあります。
どの方法がよいのかは、「時期(どんな方法を習ったことがあるのか)」・「お子さんの得意不得意」・
「受験校の問題傾向」などによって決めていくものです。
また、算数の正しい解法とは、子供が絶対に正しいと思えることを組み合わせて正解にたどりつくことができる方法です。
子供が解く課程で遠回りをしていたり無駄な処理をしてる場合には修正を加えるべきですが、
解き方の大筋は子供の思考過程を認めていくべきです。
その上で余力がある場合には、「こんな方法もあるよ。」と提示してあげることはよいことです。
正しい解き方であるのも関わらず、「その方法はダメ!」と言うのは狭量だと思うのです。
子供の思考に寄り添って、今何を感じて何を考えようとしているのか、何を発見できそうなのか、
何に気づかずに立ち止まっているのか。
このように、目の前の生徒について、どんどんと仮説を立てて一緒に考えていくような指導を
目指してほしいものだと考えています。
私達の名門指導会では、全員がそれを目指しています。
先生方の熟練度とは、この仮説の精度ではかられるべきだと思っています。
7 こわもてので叱咤激励だけの講師はダメ。
「こんなこともできないのか!」
「これは、前に教えたろ!なぜ覚えていないんだ!」
「宿題もやっていなかったのか!」
このように家庭教師に罵倒され続けた生徒が、
「そんなにやる気がないんだったら、もう教えに来ないぞ、いいのか!」
と聞かれて、
「いいよ。」
と答えてしまった。これは、初めて伺った体験授業で聞いた話です。
その家庭教師の方としては、
「叱咤激励することで、子供のモチベーションを高めよう。」
と思って投げかけた台詞だったのでしょう。
子供から拒絶されて驚かれたことと思います。
でも、私はその家庭教師に同情はできません。
しかりつけたり、理解しないことを罵倒することでは、子供の頭は働いてくれないことぐらいは理解しておいてほしいとおもうからです。
少なくともプロ家庭教師を自称するなら、そのぐらいの知識を持ち合わせて効果的な手法を研究してほしいのです。
子供は、成功の予感があるときにはがんばります。
難問を前にうんうんうなっている状況でも、子供に解ける予感があれば解けてしまいます。
それは、子供の表情を観察しているとわかります。
がんばれると感じることができれば、子供はがんばるものです。これらは大人でも同じだと思っています。
がんばれそうとか、解くことができそう、宿題をやりきれそう。
子供にそう思わせる手法はいろいろあり、時と場合によって使い分けていく必要があります。
どの場面でどのような言葉をかけてあげるか、何を言ったらダメなのか。
このような試行錯誤する力は、教える側に一番必要な資質だと考えています。その資質の源は、その講師の精神性だと思います。
教えるという職業は、「教えながら教えられる」ことが多い素敵なものだと感じています。
目の前の生徒の成績を上げてあげたい。
子供に必死の思いで日々関わっていらっしゃるお母さんに、安堵の気持ちと自信を持ってもらいたい。
ひいては、ご家庭が明るく幸せであってほしい。こんなことを直接考えて行動することができる幸せな職業だと感じています。
私の目からは、叱咤激励や罵倒は、職業上の幸福感から一番遠いものに感じるのです。
よくないことは、当然しっかりと指摘し修正させていく必要があります。
そういう時でも、その生徒の生活履歴や学習履歴や学習環境に目を配り、
そうなった原因を一緒に取り除いてあげるような暖かい視点が大切です。
それがあれば、経験値に応じて対応方法の引き出しはどんどん増えていくものだと信じています。
3回にわたって「どんな家庭教師や個別指導が良いのか」を書いてきました。
でも、各項目について神経質に観察する必要はありません。
体験授業を通して、親御様がお感じになった、
「この先生は誠実そうだ」、「この先生は、うちの子のために一生懸命になってくれそうだ」、
このような感覚を大切にしてもらえればと思います。
今回は、家庭教師や個別指導教室の選び方について、特に講師の人柄や指導方針についてお
話ししたいと思います。
中学生や高校生相手ではなく、今まさに思考力も共感力もコミュニケーション力も未完成。
今まさに発展途上の小学生ですから、その課程でよい指導者に巡り会えば、その時に得たものは
一生の宝になりますし、ふさわしくない指導者に当たればひどいことになります。
4 無表情な講師はNG。表情が豊かな講師が良い。
皆さん、意外に思われるかもしれませんが、対人恐怖の人が多いのです。
目が合わせられないとか、KY(空気が読めない)であるとか、極端な場合は鉄面皮。
算数オリンピック優勝を目指したり、最難関校に1番で合格するためというのであれば、
その講師の教科の力量が重要です。
少々無口であっても愛想がなくっても、見事な解法で子供を魅了することが可能でしょう。
でも、99%の方の目的はそうではありません。
学習へのモチベーションを高め、最速で塾の成績を上げ、将来につながる正しい学習の仕方を身につけさせる。
これが目的だと思います。
子供の気持ちを動かす言葉が使えることが大切ですし、子供への言葉かけの精度を高めるために
日々自己研鑽する姿勢が講師に求められます。
でも、子供が受け取る情報は「言葉の意味」だけではなく、その言葉に付随する「表情」「語調」「抑揚」
「イントネーション」「身振り手振り」から感じ取る印象です。
しかったり、ほめたりという場面では、「言葉の意味」よりも言葉の周辺情報が大切になってきます。
言語のコミュニケーションだけではなく非言語のコミュニケーションが上手なこと。
そのためには表情が豊かなことが必要だと考えています。
「こんにちは。初めまして。」という玄関先の会話から観察してくださいね。
5 子供の短所を見つけるのではなく、長所を見つけるのが上手な講師が良い。
短所と長所は表裏一体になっていることが多いのです。たとえば、
「うちの子、早とちりが多くて・・」とか「うちの子計算ミスが多くて・・・」
とおっしゃる親御さんに、
「では、お子さんの処理スピードは速いですね。」とか「直感が優れていますね。」
と申し上げると、ほとんどの場合当たります。
この例では、頭の処理スピードに、頭の中の言語処理スピードが追いついていないとか、
頭の処理スピードに視覚の処理スピードが追いついていないというアンバランスが原因です。
ミスが多いとか早とちりが多いという欠点だけではなく、何かアンバランスを引き起こすほどに
優れたものがあるはずだという思いからの視点が大切なのです。
その視点がないと、欠点を矯正しようとして、「角を矯めて牛を殺す」ことになってしまうことになります。
「暗算はしないで、何から何まで筆算をしなさい。」とか
「問題文は3回読んでから解きなさい。」
このような間違った対策は、短所だけを見つけるのが得意な講師に多いのです。
私自身、今なお家庭教師としてご家庭に伺っています。
その一方で、「かしこい塾の使い方(e-jyuken)」というサイトで
学習全般についての主任相談員を長年続けて来ました。
そこでは、
「○○塾に通っていて、今□□の状態になってしまっているのですがどうしたら良いのでしょう」
というご相談が多いのですが、それ以外にも、
「どんな家庭教師が良いのでしょう?」とか「よい家庭教師の見分け方は?」
という質問を多くいただきます。
数回に分けて、お話ししていきたいと思います。
1 子供の勉強部屋で体験授業をしてもらう事はNG。
家庭教師という役割には、コミュニケーション能力が一番問われます。
子供に対するコミュニケーション力や、子供を取り巻く環境の最大要素である親御様との
コミュニケーション力共に必要です。
その講師が言葉を発したときに子供の表情がどのように変化するかまたはしないのか、
その講師は子供の言葉や表情時には息づかいに注意をはらっているか、
親御様自身が見て判断をして欲しいのです。
講師の情報を感じ取る力と情報発信力を親御様が感じ取ることが大切です。
コミュニケーションは、言葉だけで行われるものではありません。
どちらかというと、言葉に関わらない非言語コミュニケーションが大切です。
立ち居振る舞い・表情の変化・言葉の抑揚など、人と人との関係において安心感や信頼感を持てるかどうかです。
子供の勉強部屋で体験授業をしてもらって、講師が帰った後で、
「どう、よく分かった?」
「うん。」
これでは、良い講師・悪い講師の判断はつきません。
2 質問に即答できる力量があるか。
あるご家庭に体験授業に伺ったときのことです。お母様が、こんな事を話されました。
「先生は解答をごらんにならないんですね。びっくりしました。
これまでの家庭教師の方は机の下で解答を見てから子供に説明されていましたから、
そんなものだと思っていました。」
プロ家庭教師としてある家庭教師派遣会社から来ていらっしゃる人でした。
実はこのような「自称プロ」が多いのです。
プロと言えるための要素は、数々あります。その中の教科力については、最低でも下記の3つは必要です。
・塾の教材レベルなら、問題を一瞥するだけで説明を開始できる力量がある。
・その問題の解き方を、複数個以上一瞬で思いつく力量がある。
・その子に適した解き方で説明出来る力量がある。
3 テストの問題用紙に残った計算や式やメモ書きの跡から、子供の癖を見抜く力があるか。
テストの問題用紙に残った子供の作業の跡は、情報の宝庫です。
筆圧が変化していたり、字が変化していたら、何らかの気持ちの変化があった事を現します。
また、必要なはずの図が書かれていない場合は、直感的(大雑把)に解くような習慣があるかもしれません。
その問題の最後の最後に計算ミスがある場合は、
「これを計算し終わったら答えだ!」と思った瞬間に集中力が切れてしまう傾向があるのかもしれません。
必要なはずの式が書かれていな場合は、暗算を二重に重ねるうちに、「今何を出そうと考えていたか」
を忘れてしまったのかもしれないと判断出来ます。
得点や偏差値だけでは見えてこない、でも、指導上どうしても必要で大切な情報を見つけ出そうという
意欲や視点を持っているかどうかが大切なのです。
「この問題は間違えちゃったけれど、ここまでは良く出来たね。
なぜこの先がこの式になったのかな、今ちょっと考えてみようか。」
とか、
「この問題を解き始める前に、時計を見た?」
「うん。あと10分しかなかった。」
「焦ったから、問題文をちゃんと読めなかったのかな?
あと10分しかない、と思ったときにはね、気持ちは○○○○○○のように変えようね。
そして、□□□□□のようにやっていくんだよ。」
このように、「現象の発見」「原因の洞察」「対策の提示」が必要です。
その後「対策の実行」「対策の検証」が必要になってくることは言うまでもありません。
次回は、講師の人柄や教え方を中心にお話ししていきたいと思います
前回は、各塾の様子をご紹介しました。今回はテストについて塾別にお話しましょう。
大手進学塾では、基幹講座の所属クラスが週例の宿題テストと月例の実力テストの
総合成績で決定され、6年生の志望校別特訓の参加資格も主にこの2つのテストの
結果から判断されます。
そこで、ご家庭でも毎回のテスト結果が重視され、得点の上下に一喜一憂することに
なるわけです。
ここで注意したいのは、それぞれのテストには役割があり、成績の判断基準も
変わることです。
復習テストやカリキュラムテストと呼ばれる宿題テストの成績は、
毎週の宿題消化の精度に比例します。
このテストで点が取れない場合は、1週間の学習サイクルが構築されていないことが多く、
より多くの勉強量よりも現状の課題を上手くまわすことが先決でしょう。
お子様がなかなか勉強に取り組めなかったり、宿題テストでのミスの多さが
目立つ場合も同様です。
一方、月例の実力テストが取れないお子様は、1週間単位では学習内容の定着が
見られるが、1ヶ月単位では忘れてしまう傾向が強いようです。
大手進学塾に通うと、その宿題の多さから翌週のテストの準備に気をとられてしまい、
復習の時間を作れないまま見過ごされていることが良くあります。
月例の実力テストでの成績を上げるためには、2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後に
振り返りの機会を学習計画に盛り込みましょう。
同時に公開テストでミスが目立つ場合は、科目内容の勉強と並行してミスの対策を
実践することが効果的です。
また、テスト結果は素点ではなく、順位や偏差値で判断する必要があります。
平均点が40点のテストと、60点のテストでは取りたい得点が異なるのです。
それでは、各塾のテストについてみてみましょう。
●浜学園
○復習テスト
・テスト内容がクラス帯ごとに異なる。
・宿題範囲も異なるが、クラスアップを予定して上位クラスの宿題も取り組みたい。
○公開学力テスト
・高学年では平均点が30点台と異常に低いことがある。
・算数では大問1番、2番の計算、小問から正答率30%前後の問題があり、
テストの受け方を学ぶ必要がある。
○志望校判定模試・合否判定学力テスト
・偏差値順に合格可能ラインが見えるように、申請する志望校の選び方に工夫が必要。
・1日に5本(3科)、6本(4科)のテストがあり、体力、精神ともに厳しく慣れが必要。
○冠模試
・灘中オープン、HKRSS、プレ入試等6年次に多数あり。
・成績の見方に注意が必要。(例)灘中オープンの偏差値50なら灘中合格の可能性大。
●日能研
○カリキュラムテスト
・低学年では隔週実施なので、2週間単位での学習サイクルが望ましい。
・前受けのシステムがあるが学習習慣の視点からは、利用は最小限とすることが望ましい。
・算、国は習熟度にあわせてテストの一部が基礎と応用に分かれるが、
基礎からのクラスアップを予定するときには応用も解いておきたい。
○公開模試
・素直に作られており、算数は1番から順番に解いて問題ないつくりとなっている。
・6年生では志望校選定テスト→志望校判定テスト→合格判定テスト等名称が変わり、
その都度合格可能性が示される。
判定はやや甘め。帳票のグラフの見方には注意が必要。
○入試実戦模試
・習熟度にあわせてA、B、Cの3種類に分別されており、自分の志望校にあった
テストの見極めが大切。
複数のテストを受験することもあり、どのテストの結果を重視するのかも事前に
予定しておきたい。
○トライアルテスト
・受験校別のそっくり模試。
・偏差値とともにA、B、Cの合否判定が出るが、各校の前年度合格者数を基準に
成績順位で判断したい。
●希学園
○復習テスト
・テスト内容が基幹講座のコースごとに異なる。
・テキストも異なるので、コースアップを予定する場合は要注意。
○公開テスト
・算数は問題用紙が2枚。1枚目で得点を稼ぎたい。
・国語は知識問題から攻める。
・理科は得意単元から取り組もう。
○志望校判定テスト・合否判定テスト
・偏差値順に合格可能ラインが見えるように、申請する志望校の選び方に工夫が必要。
・公開テスト同様3本(3科)、4本(4科)の実力テストだが、最難間校受験志望者には
同時に算、国のSテストの受験もあり、体力、精神ともに厳しく慣れが必要。
○冠模試
・入試実戦模試、プレ入試等6年次に多数あり。
・成績の見方に注意が必要。(例)灘中プレ入試の偏差値50なら灘中合格の可能性大。
希学園は、ベーシックや志望校別特訓のコース参加が希望制となっている点です。
(コース内のクラスはテストの結果により決定されます。)
これにより、テスト結果に縛られず、今必要な学習を見つけて実践する機会を
増やすことが可能。
入試直前期にはコース内順位が目安になりにくくなりますが、ガイドラインとして
合格可能の判断基準は示されています。
例えば25年度受験の場合、大阪星光中受験者は約80名で、
そのうち合格者は26名でしたが、受験者中、入試直前期にガイドラインとなる
偏差値56を超えていた生徒数がほぼ同数だったことを見れば納得です。
以上のように、各塾に多数のテストがあり、ご家庭では毎日のように
成績数字に向き合うことが求められます。
これが中学受験を難しくしている一因になっているようにも思います。
上手くテストを使って、志望校合格への最短距離を歩まれることを願ってやみません。
先日、学習DVDの撮影をしてきました。
お母さん向けの動画も撮ったのですが、その中で、思い切って
「割合の3用法やテントウムシで割合を教える事はよくない。」
と話しました。
こんな思い切ったことを言ってしまって良いのだろうかと逡巡しながらも、力強く断言してしまいました。
どの塾でも、ほとんどの受験参考書でも割合の学習の始めには、
・比較量=基準量×割合
・割合=比較量÷基準量
・基準量=比較量÷割合
この3つの式が出てきます。
これが割合の3用法は、大人にとっては当然と感じるはずの式です。
ところが、子供にとってはそうではありません。
割合を習う前までのかけ算と割り算は、ほとんど1より大きな数を掛ける、1より大きな数で割るものです。
掛けると大きくなり割ると小さくなるという経験ばかりをしてきたことになります。
ところが、割合の場合、掛けると小さくなり割ると大きくなります。
これまでの身体感覚と異なっているわけですから、ほとんどの子供にとってスムーズには
納得出来ないのは当然のことなのです。
公式は、数字を当てはめるとオートマチックに答えが出せる魔法のツールですが、
それだけしか知らなければ、ほんの少し問題が変われば解けなくなってしまいます。
割合の学習で言えば、1より小さい数を掛ける、1より小さい数で割る計算を充分に練習すること。
その後、「○○が□□の△△倍」と言い換えてみる練習が効果的なのです。
充分にその子の身体感覚(大きくなりそうだ・小さくなりそうだという感覚)が育った後で、
スピードアップのために公式を利用していくべきだと思うのです。
このようなやり方が、「公式と納得」の理想的なさじ加減だと思っています。
たぶん、大人の脳であれば、公式を利用して何度も何度も繰り返していれば、
その知識が他の知識に結びついたり、他の事象に気付いたりする事が期待できます。
それも運に左右されることですが、子供の場合はそんなラッキーな事は滅多に起こってくれません。
今よりもほんの少しだけ「納得」を大切にした学習をしていただきたいと感じています。
数日前に、国際数学・理科教育動向調査の結果が新聞に掲載されていました。
前回に比べて大きく上昇していたのは嬉しいことです。
ところが、「学習が好き」という統計においては、小4では、73%もあった「算数が好きだ」の割合が、
中2になると「数学が好きだ」の39%に下がってしまっていることが気になります。
「分かった!」という身体感覚を大切にした学習が、この問題解決のポイントになりそうな気がしています。