国語の大切さについて、前回は「読み」についてお話ししました。
今回は「正解を得る」方法です。
少し前に、作家のよしもとばななさんが何かに書かれていたことです。
自分の作品が入試問題に使われていたので、解いてみたところ満点がとれなかった。
自分の書いた文章なのに不思議だという趣旨の文章でした。
入試問題は、作者ですら間違うほど難しいと言いたいわけではありません。
素材文は、あくまでも作問者にとっては素材です。
作問者が自分なりの理解や切り口で問題を作りますから、作者がこう書いたつもりでも作問者が異なる理解をしていることもあります。
作問者が間違っているわけでもありません。
作問者がその文章から触発されて、作者の意図以上の理解をしたのかもしれません。
そうした場合は、作者だからこそ間違えたと考える方が納得できます。
問題を解くときは、作者と会話をするのではなくて、「作問者と会話」してください。
作問者との会話する方法
その一
問題文は、しっかりと読みましょう。
「傍線1につて、太郎君が感じたことについて、その原因となったことを次のアからエから選びなさい。」
「傍線1につて、太郎君が感じたことについて、それがわかる場所を○○字で抜き出しなさい。」
という問題に対して、多くの子ども達は「傍線1につて、太郎君が感じたこと」までしか読んでいないのです。
目は、最後まで追っているのですが、意味が意識されているのは前半だけなのです。
そのために、「太郎君は何を感じたんだろう?」と考え始めてしまうのです。
その二
質問の意図に沿って考える。
「西欧的なモニュメントと、日本においてのモニュメントはどのように異なると言っていますか。モニュメントの素材の違いを考慮して答えなさい。」
という問いについては、「モニュメントの素材の違いを考慮して」が大切なヒントになります。
「どのように異なる・・」という質問は漠然としていて答えようがありませんね。
ところが、「モニュメントの素材の違いを考慮して」で、西欧と日本で使われる素材を書かないといけないと判断できます。
そして、素材の性質の違いがモニュメントの存在意義の差異を生み出しているんだ、ということを書けば良いことがわかります。
作問者は、「モニュメントの素材が持っている性質が異なるから、モニュメントそのものの意味合いが異なっているんだ」と、
理解したからこそこの問題を作ったわけですから。
「うちの子は本好きでいっぱい読んでいるのに点数がとれない」というご相談も多いのですが、
その多くは本文の内容だけにこだわりすぎていることが多いのです。
「僕はこう感じた」「僕はこう思う」に、こだわりすぎているとも言えます。
小学校の国語指導は、「あなたはどう感じましたか?」「あなたはどう思いましたか?」が中心です。
「問題を作った人はどう思っていますか?」を尋ねられることはありません。
受験勉強における国語と小学校の国語では、視点の転換が必要なのです。
そして、設問に対して、そのまま素直に答えるというシンプルな思考や方法が大切になってきます。
その訓練にも、実際の入試問題を上手に利用してください。
「こんな問いを作ったということは、問題を作った人はこの部分でどのように感じたのかな?」という声掛けも有効です。