前回のコラムでは、低学年・未就学期のお子さんへの接し方、「褒める」「認める」「ちょっと我慢させる」、そして「うちの子だから大丈夫」という根拠のない自信を持ってあげることの大切さをお伝えしました。
今回は、そのような接し方によってお子さんの中に育まれる「熱中力」についてお話します。
前回お伝えしたように、「うちの子だから大丈夫」という信頼があれば、親御さんがお子さんを見る目は柔らかくなります。
親御さんがそのような表情であれば、お子さんもリラックスして目の前のことに安心して取り組み、集中していけるようになります。
そしてこれが、受験にも欠かせない「熱中力」につながっていくのです。
例えば、勉強はあまりしないけれど魚の図鑑を眺めるのは大好き、というお子さんがいますね。
そのようなお子さんが図鑑に夢中になっているときには、決して「魚の図鑑ばかり見ていないでもっと本を読んだらどうなの?!」と邪魔をしないであげましょう。
どうせ夢中になるなら……などと色々思うことがあっても、ここはぐっとこらえてください。
穏やかな気持ちでお子さんの様子を見守ってあげることが大切です。
都立中高一貫校に限らず近年の中学入試では思考力を求める問題が急増しています。
知識の丸暗記では太刀打ちできないこれらの問題に対処するには、与えられた資料から自分で課題を見つけ、自分なりに解決方法を見出す力が欠かせません。
そして、そのような思考力を十分発揮するのに必要なのが「熱中力」です。
子どもたちが自分のやりたいことー図鑑や、砂遊びや、パズルなど―に熱中している時、親御さんから見れば有意義でない時間に見えるかもしれませんが、お子さんの頭の中では、自然と「思考訓練」が行われています。
自分たちが眺めている光景や音などに脳は反応し、
「このお魚と前に見たあのお魚は形が似ているな」
「でも違う名前だ。どこが違うのかな」
「この砂山はここに穴をほったら崩れてしまうな」
「僕がここから、あの子があそこからほるとトンネルが繋がりそうだな」
「あれ?崩れちゃった。お水が少ないと崩れやすくなるのかな」
というように、物の類似性や相違点を確かめたり、原因を探り因果関係を発見したりと、無意識のうちにフル回転しているのです。
このような体験は、お子さんがねばり強く最後まで考え抜く力や、自分で考え解決策を見つける楽しみを育んでくれるでしょう。
また、プラモデルや砂遊び、野菜を切るお手伝いなどが自然と立体図形の感覚を養ってくれるように、パズル、おつかいなど、子どもが夢中になっている遊びやお手伝いが、受験に必須である様々な感覚を養ってくれる場面も多々あります。
ぜひ低学年・未就学期には、お子さんのやりたいこと、熱中できることを自由にたくさん体験させてあげてくださいね。
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