こんにちは。
高学年の皆さんに向けた記事が続きましたので、今日は久しぶりに低学年・未就学期に関してお話したいと思います。

最近はお子さんの可能性を広げるため、もしくは受験準備のために、小さな頃からたくさんの習い事をさせるご家庭が増えましたね。
もちろん習い事も良いのですが、未就学~低学年の時期に最も大切にしていただきたいと思っているのは、親子の信頼関係、絆を育むことです。

習い事をさせるにしても、陥っていただきたくないのは、結果次第でお子さんを認めたり認めなかったりすることや、結果「だけ」を褒めることです。

どんな結果であれ、お子さんやお子さんのがんばりそのものを認めてあげること。
良い結果が出た場合はその結果だけでなく、ぜひそこに至るプロセスを認め、褒めてあげてください。

結果ももちろん大切ですが、結果しか誉めてもらえないのでは、子どもは結果さえ良ければ良いのだと、そこに至るプロセスを大切にしなくなります。
具体的には、問題集の答えを丸写しして無理やり全問正解の答案を作ったり、答え合わせの際に間違っていても答えを書き直して赤丸をつけてしまうというような無意味な行動を取ってしまったりするようになることもあります。

お子さんがそのようなことをしてしまうと困っていらっしゃるご家庭では、そのような背景が原因となっていることもあるので気をつけたいですね。

答えを導くプロセスを大切にする気持ちを育む声かけを心がけ、その中で経験できる学びの楽しみや驚きをたくさん経験させてあげるよう促すことが大切だと思います。


また、この時期は、「他の子と比べる」ことをしないように気をつけてください。
発育や学力の差が大きく出始める就学前~低学年の時期は、ついつい我が子と周りの子を比較しがちです。

それ自体はある程度仕方のないことですが、それを利用してお子さんをコントロールしようとしないでほしいのです。
たとえば
「◯◯ちゃんはこんなにがんばってるそうよ」
「◯◯くんはもうこんなこともできるんだって」
「◯◯さんは△△でクラスで一番になったそうね」
といったさりげない声がけは、
お子さんのやる気を引き出したり鼓舞したりするどころか、脅かし、傷つけていることの方が多いものです。

“周りの人ががんばっていることを伝えるという「さりげない」やり方で、実は必死にお子さんのお尻を叩こうとしていることを、お子さんは敏感に感じ取ります。
そして、それがうまく作用することは殆どありません。

むしろそういうやり方はお子さんの過度なストレスやプレッシャーとなり、余計にやる気を削いだり、今の自分ではだめなんだと自尊心を傷つけてしまうことになりかねないのでぜひ気を付けてください。

ありのままのお子さんの存在やがんばりをそのまま認めてあげることで、お子さんは、自分が大好きな親御さんからそのままの自分自身で愛されていると感じられ、すくすく育っていきます。

特別な言葉や内容でなくても、
「今日、保育園でお魚が食べられたんだね。」
「○○ちゃんと手を繋いでお散歩ができたんだね。」
「ごめんなさいがちゃんと言えてすごいね」
といったことでも十分です。
ありのままを認める声がけで、お子さんが「かけがえのない大切な存在」であることを、ぜひ毎日たくさん伝えてあげてくださいね。

また、これは以前からよくお話ししていますが、
「褒める」「認める」「ちょっと我慢させる」
3つはこの時期、特に大切なことで、これらはそれぞれ関係しています。
なにかをお子さんが我慢しようとがんばっていたら、そのことを認め、褒めてあげましょう。
「本当は◯◯したいけれど、我慢しようとしているんだね。その気持ちがお母さんにも伝わっているよ」
そして、お子さんが無事我慢することができたら、結果についてもまた褒めてあげましょう。


こうしたことは、未就学児~低学年の時期以外にも有効で、大切なことです。
たとえば6年生の受験生ががんばっているのになかなか成果を出せないとき、
代わり映えしない結果の部分だけを見て
「残念だったね」
「あと一歩がんばりが足りなかったのかな」
「次はもう少し早い時期から取り組んでみようか!」
などと言うのではなく、ぜひ、努力しようと気持ちの面で頑張っている今のありのままのお子さんをまず認めてあげてほしいのです。


きっと皆さんご自身も、つらいけれど勉強をはじめよう、と思っていたときに「そろそろ勉強したらどうなの?!」などと言われて、やる気をなくした経験をお持ちだと思います。
親としてどういう声がけをするべきか、などとあまり難しく考えることはなく、まず自分が小さい頃に嫌だと感じたことはお子さんにもしない、という気持ちを持って接してあげるだけでも、お子さんへの声がけの仕方が変わってくるかと思います。

お子さんだけでなく、家族全体が成長できる。
お子さんを育てつつ、自分自身も変わり成長していけることも、子育てや受験というイベントの素敵なところであり、楽しみの一つですよね。

そして最後に、これも言い続けていることですが、我が子に対して、「うちの子だから大丈夫」という根拠のない自信を持ってあげること。

根拠はなくていいのです。
子どもには、ちゃんと育つための強固なプログラムが備わっています。
そこを信じることです。

「うちの子だから大丈夫」という信頼があれば、親御さんがお子さんを見る目は穏やかに変わります。
そして、そんな接し方をされているお子さんは、安心して、自分の取り組んでいることにきちんと熱中できるようになります。
この熱中力というのが受験においても非常に重要です。

さて、長くなってきましたので、この「熱中力」についてと、お話の続きは、またの機会にお話ししますね。

それでは、雨続きの滅入りがちな季節ですが、皆さま元気にお過ごしください。