2月17日(水)に、入試問題分析会を開きました。

この分析会は私たち名門指導会では、毎年やっています。

2月17日までに、各自が自分の担当教科の入試問題を解き、それをレポートにして持ち寄り、口頭で発表するというものです。


今年の、講師たちの発表は私にとって実に感慨深いものになりました。


それぞれの講師が、自信に満ちて発表している様子を見て、この仕事をやってきてよかったという思いと、高いレベルの仲間に巡り会えたんだという幸福感でいっぱいになったからです。


講師たちの力量が、この1年でまたまた格段に上がっていることを心の底から実感できました。


各講師の話す内容は、実に興味深い物でした。


私にとっては専門外の国語や社会の発表ですら、「なるほど、そうだったんだ。」という内容が随所にありました。

これは、何らかの方法で次年度の受験生や保護者の方々にお知らせしなければといけないと決心しました。

でも、大ぴらにはできない話や、ちょっとしたエピソード的な話も、実はいろいろ出たのです。


「なんでこんなつまらない問題を出したんだろう」とか、「なぜこの塾のこの中学校の合格者数が減り、この塾の実績が伸びたのか」とか、「この中学校を受け
るんだったら、あの学校の入試問題の設問を変えて練習すると効果的」というような、同業者や学校関係者にはあまり知られたくない内容も数多くありました。

公表できる内容については、1週間後を目処に名門指導会のホームページですべて公開します。

でも、大々的には公開はできないが、でもどうしてもお知らせしたいことを、オブラートに何重にも包んで、この場で少し発表してみたいと思います。

 

ある大手塾が、開成の合格者数を大幅に下げたにも関わらず、早慶付属の合格者を増やした、納得できる理由。

 この大手塾は、宿題がとても多いことで有名です。そして算数においては公式多用型の授業をしています。

 さて、開成中の入試問題の講評です。

(開成中 算数)

・難易差が極端であり、点数差がつきにくかった。

    合格者平均64.6  受験者平均56.3となっていて、ばらつきが小さい。

  *例年は合格者平均と受験者平均の差は15点程度

   ・2番は、作図をしっかりと書いてこそ考え方や解き方がわかる問題。

   ・1番の(3)は、すべて書き出す問題。ああでもないこうでもないと試行錯誤する力が必要。

   ・3番の(2)はかなりの難問。普通の時計算に見えて、実は場合に分けて考えるという首都圏の塾ではあまり扱わない問題。秒針を頭の中で動かしながら(実際に鉛筆で秒針を書きながら)、このときはこうなる、あのときはこうなると考えていく問題。

では、慶応中等部の算数はどうでしょう。

(慶応中等部 算数)

   ・昨年は小問合計18個、今年は20個と増えている。問題に対する慣れとスピードが必要。

   ・1番2番の1行問題群は、各塾で繰り返し練習を続けてきた定番の問題。

   ・3番も、比例式を分配法則を使って解く定番。

   ・4番5番の平面図形も、必ずどこかで見たことがあるはずの問題。

  などなど。

開成中と慶応中等部の問題傾向の違いがおわかりいただけたでしょうか。

 一言で表現すると、開成中は「試行錯誤する力」、慶応中等部は「パターン問題の習熟」ということになります。裏技や公式を多用し、解き方を覚えさせることを目的にした授業や宿題の効果が慶応中等部には現れ、開成中には逆に働いたと考えることができそうです。

 

ある女子中学校は、こんなのばかりを出題してくるので対策は立てやすい!

 この、ある中学校とは、女子御三家の1つです。その国語の講評です。

難しい文章の読み取り如何が合否を決める。デジャブ(既視感)が大切。

1)             
随筆文

筆者は画家(ここは、美意識や想像力、創作意欲というコトバ<記述に使える用語>が大好きな学校。女子校にふさわしいが、こんなのばかりを出題しているので対策は立てやすい。)

2)             
物語文

いつもの問題。しかも設問のフォーマットも変化無し。

大人が読んでも、ん?とうなってしまうほど難しい文章を出してくるこの学校の入試問題も、このS講師にかかると形無しです。しかもこのS講師から耳寄りな情報が発表されました。

 

読み取りレベルやテーマが似通っている学校

1 フェリス・白百合・桜蔭・日本女子大附・雙葉

2 麻布・駒東・武蔵

3 開成・桜蔭

設問形式は、学校ごとに若干の違いがあるから、指導する際に設問を変えてあげるとより効果的との話がありました。今年も、この女子中合格100%を達成したS講師、さすがです。