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【中学受験の核心】公式は「最強の武器」か、それとも「成長を阻む足かせ」か?

こんにちは、西村則康です。

中学受験の算数において、多くのお子さんが「公式」や「解法テクニック」の習得に膨大な時間を費やしています。塾のテストで点数を取るために、新しい公式を次々と覚え、それを当てはめる練習を繰り返す――。スラスラと問題を解くお子さんの姿を見て、親御さんは「うちの子は算数が得意になった」と安心されるかもしれません。

しかし、長年プロ家庭教師として多くの子どもたちを見てきた私から見ると、そこには**非常に危うい「落とし穴」**が潜んでいます。

今回は、公式が持つ「短期的な有用性」と、その裏に隠された「長期的な弊害」、そして将来の学習にまで及ぼす影響について、じっくりとお話ししたいと思います。


公式の「光」:圧倒的な速さと正確さという誘惑

もちろん、公式を覚えることには明確なメリットがあります。それは、制限時間のある入試において**「解くスピード」と「正確さ」**を劇的に高めてくれることです。

典型的な例が、平面図形の「葉っぱ型(正方形の中の扇形が重なった部分)」の面積問題です。一辺の長さを 10としたとき、中学受験界では「10 × 10 × 0.57」という数値(0.57倍)を暗記して解くテクニックが有名です。

これを知っていれば、複雑な計算をショートカットして、数秒でミスなく答えにたどり着くことができます。

他にも【出会い算】や【多角形の内角の和】など、便利な「武器」はたくさんあります。

これらを装備することが合格への近道になることは言うまでもありません。


2. なぜ塾では「詰め込み」が加速するのか?

ここで一つ、親御さんが抱くであろう疑問にお答えします。**「そんなに弊害があるなら、なぜ塾では公式や解法パターンを詰め込むのか?」**ということです。

その理由は、集団授業の構造的限界にあります。 数十人を一度に教える集団授業では、講師が子どもたち一人ひとりの「思考のプロセス」を細かく追うことは物理的に不可能です。その状態で、入試に出題される無数のパターンを網羅させるには、**「とにかく情報を大量に与え、型を経験させ、詰め込む」**のが最も効率的なのです。

実際に、この方法で合格を勝ち取る子もたくさんいます。その意味では、一つの「有用な戦略」であることは否定しません。しかし、それはあくまで「パターン通りの道」を走り続けられることが前提の、綱渡りの学習法でもあるのです。

公式の「影」①:ひねられた瞬間に思考が停止する

しかし、公式に頼りすぎる学習には、受験本番で致命傷になりかねない弊害があります。それは、「問題の本質を読み解く思考プロセス」を放棄させてしまうことです。

近年の難関校の入試問題は、単純な公式や解法パターンに当てはめただけでは解けない問題が多く作られています。

  • 図形が少し変形されている。
  • 複雑な条件が組み合わさっている。
  • 「なぜその答えになるのか」という過程を説明させる。

こうした問題に直面したとき、丸暗記に頼ってきた子は途端に手が止まります。彼らにとって算数は「どの箱に数字を放り込むか探す作業」になってしまっているからです。

さらに怖いのが、「似ているけれど違うパターン」の取り違えです。 例えば、多角形の内角の公式を覚えたばかりの子が、星型の図形の先端の和を求めるときに、混乱して公式を無理やり当てはめようとする。 

「どうしてその式になるのか」という視点が抜け落ちていると、忘れる、取り違える、そして最後には手が出なくなります。

「解法をど忘れしたから解けない」という状態は、裏を返せば「解法を知らなければ自分で道を切り拓けない」という思考の硬直化を意味します。塾のパターン学習のレールから少しでも外れたり、忘れてしまった瞬間、多くの子が行き詰まってしまうのは、このためです。


レベルが上がると「無用の長物」に変わる

さらに私が危惧しているのは、中学受験で覚えたテクニックが、その後の数学の学習で「足かせ」になるという事実です。

先ほどの「0.57」という数字。これは円周率が「3.14」であることを前提とした近似値です。中学生になり、円周率を「π(パイ)」で扱うようになれば、この数字は全く使い道のない無用の長物へと変わります。それどころか、いつまでも具体的な数値計算に固執することは、数学的な抽象思考を妨げ、計算ミスの温床にすらなり得ます。

高校数学の「三角関数」や「ベクトル」も同様です。

これらは結果を覚えるのではなく、図形の性質や論理的な組み立てをするために「自然に使いこなす感覚」が求められる分野です。小学生のうちに「なぜそうなるか」を考えず、便利な解法を「作業」としてこなす習慣がついてしまった子は、高度な数学の壁にぶつかったとき、自らの過去の学習習慣に足をすくわれてしまうのです。


理想は、公式を「主役」から「ツール」に格下げすること

では、公式とはどう向き合うべきなのでしょうか。

私が理想とする思考の順序は、以下の通りです。

  1. 問題を観察し、状況を把握する。
  2. 「何がわかっていて、何を求めるのか」という道筋を、自分の言葉と図で組み立てる(想像する)。
  3. その組み立ての中で、「ここでこの公式を使えば、より安全に、速くゴールできるな」と判断した時だけ使う。

つまり、公式は思考の「主役」ではなく、あくまで思考を助けるための「ツール(道具)」であるべきなのです。

もし公式が使えそうになければ、自分の持っている基本原理(根本原理)を総動員して、一から解法を構築すればいい。この「粘り強く道を切り拓く力」こそが、今の中学受験で、そしてその先の大学受験で最も求められている資質なのです。


「一生モノの思考力」を鍛える機会としての中学受験

中学受験は、単なる知識の詰め込み競争ではありません。

問題の条件と導き出すべき答えの間に、どのような論理の橋を架けるか。その「想像力」と「構築力」を鍛える、またとないチャンスです。

この能力は、高校・大学受験はもちろんのこと、社会に出てから正解のない課題に立ち向かう際にも、必ずお子さんの助けとなります。

親御さんにぜひお願いしたいのは、お子さんが公式を使って正解したときに、**「それってどうやって解いたの?」と聞いてみたり、ノートを見ながら「こういうことだったんだ!でもここがちょっとわかりにくいかも。教えてくれる?」といった形で、あえて思考を促す問いかけをしてあげてほしいということです。

「速く解けること」以上に、「仕組みを理解して面白がること」を大切にする。

そんな「勉強メンタル」を育むことが、結果として志望校合格、そしてその先の豊かな人生へと繋がっていく。私はそう信じています。

【メディア掲載】「先取り学習」が子どもを勉強嫌いにする?

こんにちは、西村則康です。

Wedge ONLINEでの連載、第2弾が公開されました。 今回は、多くの親御さんが良かれと思って取り組まれている「先取り学習」に潜むリスクと、本当の意味で「伸びる子」が持っているものについてお話ししています。

タイトルは、 『先取り学習で勉強嫌いに? 本当にかしこい子は「勉強メンタル」が育っている』です。

「やり方」を覚えるだけの怖さ

塾のカリキュラムについていくために、あるいはライバルに差をつけるために、「先へ、先へ」と進ませたいというお気持ちはよくわかります。

しかし、自分の感覚が伴わないまま、ただ解き方のパターンや公式だけを丸暗記する学習を続けていると、子どもはどうなるでしょうか。 それは「勉強=意味のわからない作業」になり、やがて学びの楽しさを失ってしまいます。これが、私が危惧する「勉強嫌い」への入り口です。

「ああ、あの時のアレか!」という感動

記事の中では、本当にかしこい子が持っている**「自分に引き寄せて学ぶ力」**について触れています。

例えば、理科で「熱の伝わり方」を習ったとき、 「ああ、あの時、公園の鉄のベンチがすごく熱かったのは、こういうことだったんだ!」 と、自分の実体験と新しい知識がガチャンと結びつく瞬間。

この「納得感」や「感動」こそが、私が提唱する**「勉強メンタル」**の正体です。 実体験(身体感覚)という土台があるからこそ、知識は本当の意味で自分のものになり、忘れられない宝物になります。

焦る前に、日常のなかの「学び」を

特別な教材や難しい問題集以前に、日々の生活のなかで「見たり、聞いたり、触ったり」することが、実は中学受験、そしてその後の学びの最強の武器になります。

「うちの子、先取りがうまくいっていないかも……」 「勉強を苦痛に感じているみたい」 そんな不安を感じている親御さんにこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

▼記事はこちらからご覧いただけます 先取り学習で勉強嫌いに? 本当にかしこい子は「勉強メンタル」が育っている

【メディア紹介】Aera with kids様に拙著をご紹介いただきました!

こんにちは、西村則康です。

先日、子育て・教育メディアとして多くの親御さんに支持されている**「Aera with kids」様**の公式Instagramにて、私と辻義夫の共著をご紹介いただきました。

投稿の中で綴られていた言葉が、まさに私たちがこの本に込めた願いそのものでしたので、こちらでも少しご紹介させてください。


「先へ、先へ」と急いでしまう親心に。

Aera with kids様の投稿には、こんな一節がありました。

子どもの将来を心配するあまり、つい「先へ、先へ」「いろいろたくさん」やらせようと走りがちな親の心を「今、この時点の子どもを見てあげましょう」と落ち着かせてくれます。

これをお読みになって、ハッとされた親御さんも多いのではないでしょうか。

「あれもやらせなきゃ」「このままじゃ間に合わない」 中学受験や日々の学習において、親はどうしても「未来の不安」に突き動かされてしまいがちです。しかし、勉強のエンジンを回すのは、他ならぬ**お子さん本人の「心」**です。

「勉強メンタル」とは、心の動きそのもの

本書で提唱している「勉強メンタル」とは、単なる根性論ではありません。

  • 「なぜだろう?」という好奇心
  • 「わかった!」という感動
  • 「できた!」という達成感

こうした心が伴う学びこそが、本当の意味での「かしこさ」を育みます。 知識を詰め込むだけではなく、世の中のことを「自分ごと」として捉え、自分の人生を自分で切り拓いていける大人になってほしい。そんな想いを「勉強メンタル」という言葉に込めました。

迷ったとき、立ち止まりたくなったときに

子育てに正解はありません。だからこそ、迷うのは当たり前です。 Aera with kids様が書いてくださったように、本書が「こうしてあげればいいのね」と、親御さんの心がふっと軽くなるような道標になれば、これほど嬉しいことはありません。

素敵なご紹介をいただいた Aera with kids様(@aera_kids)、本当にありがとうございました!

本当にかしこい子になる!
勉強メンタルの育て方

【メディア掲載】難関中学が求める「本当のかしこさ」とは?

こんにちは、西村則康です。

先日、Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)にて、私と辻義夫が執筆した記事が掲載されました。

タイトルは、 『難関中学が子どもに求める「本当のかしこさ」の正体とは?』

昨今の首都圏の中学入試を分析していると、ある明確な変化を感じます。 それは、「知識の量」を競う時代から、「持っている知識をどう使い、自分の言葉でどう表現するか」という、いわば「思考の質」を問う時代へとシフトしているということです。

「丸暗記」の限界

ひと昔前の中学入試、特に難関校では、重箱の隅をつつくような難問・奇問が出題されることも少なくありませんでした。その結果、大量の演習と丸暗記で突破しようとする、いわゆる「詰め込み型」の勉強が主流になってしまった側面があります。

しかし、今の入試問題は違います。 「解答の導き出し方」そのものをその場で考えさせる問題や、長い初見の文章・図表を読み解く力が求められています。

なぜか?知識(塾が用意する中学受験のために用いられる知識)があるだけで解ける問題では、学校側が求める「大人になればAIが代用してくれるような知識」ではなく、「自らの頭で考え、試行錯誤できる子」を判断できなくなるからです。

「幸せに生きる力」を育むために

勉強は単に偏差値を上げるための手段ではありません。 これからの変化の激しい時代、情報を鵜呑みにせず、自分で取捨選択し、創意工夫を凝らして人生を切り拓いていく。その「楽しさ」を知っている子が、結果として中学受験でも、その後の人生でも強いのだと私は確信しています。

「とりあえず良いと言われるものをやらせる」という不安から一歩踏み出し、お子さんが「自分ごととして考える」習慣をどう育むか。

その具体的なヒントを記事にまとめました。 中学受験を控えた親御さんはもちろん、これからの教育に関心のあるすべての方に、ぜひご一読いただければ幸いです。

▼記事はこちらからご覧いただけます 難関中学が子どもに求める「本当のかしこさ」の正体とは?

また、こうした「勉強メンタル」の育て方について、さらに詳しく解説した新刊も発売されています。あわせて参考にしてくださいね。

伸びる子に共通する「割り切り」と「興味関心」の絶妙なバランス

中学受験の学習を進める中で、多くのお父様・お母様からこのようなご相談をいただきます。

「うちの子は、理屈がわからないと先に進めず、時間がかかりすぎてしまうんです」

「公式をただ暗記するだけで、少しひねられると手も足も出なくなります」

実は、学力をスムーズに、かつ深く伸ばしていくためには、相反するように見える「割り切り」「興味関心」という2つのエンジンを使い分ける必要があるのです。


1. お子さんの頭の中では、常に「どうして?」と「やってしまおう」が戦っている

勉強が進まないとき、お子さんの頭の中では葛藤が起きています 。

「理屈はわからないけれど、とにかく終わらせなきゃ」という焦りと、「納得できないものは気持ち悪い」という知的な誠実さのぶつかり合いです。

この葛藤を整理し、「今はどちらのモードで進むべきか」を導いてあげるのが、我々大人の役割です。

2. 「割り切り」という名のアクセル

一つ目は、「これはこういうものだ」と思い切って受け入れる力、つまり「割り切り」です。

中学受験の抽象度の高い概念(比の概念や特殊算など)や、イメージが難しい理科の原理(浮力や電気など)に出会ったとき、すべてをその場で完璧に理解しようとすると、学習スピードが極端に落ちてしまいます。

  • 「今はわからないけれど、まずはこのルールに従って解いてみよう」
  • 「先生がこう言っているから、一旦信じて進んでみよう」

このように「型」を先に受け入れてしまうことで、学習の停滞を防ぐことができます。

実は、「使いこなしているうちに、後から理屈が追いついてくる」というのは、勉強においてよくあることなのです。

3. 「興味関心」という名のエンジン

二つ目は、「これはどういうことなんだろう?」と立ち止まって考える力、すなわち「興味関心」です。

ただの丸暗記(割り切りすぎ)では、応用が効きません。

  • 「なぜこの公式が成り立つんだろう?」
  • 「この歴史の出来事の裏には、どんな理由があるんだろう?」

こうした疑問を持ち、自分の頭で納得しようとするプロセスこそが、本物の「思考力」を育てます 。興味を持って取り組んだ知識は、忘れにくい「生きた知識」としてお子さんの血肉になります 。


4. 大切なのは、この「二刀流」を使い分けること

では、どのようにこの2つを両立させればよいのでしょうか。

お子さんの状態必要なアプローチ親御さんの声かけ例
考えすぎて進まない時「割り切り」を促す「今は一旦ルールとして使ってみよう。後で絶対『あぁ!』ってわかる時が来るから大丈夫だよ」
作業的になっている時「興味関心」を刺激する「これ、図にしてみると面白いね。どうしてこうなると思う?」

勉強がスムーズに進んでいる子は、無意識にこのスイッチを切り替えています。

「ここはとりあえず飲み込む(割り切り)」「ここはじっくり味わう(興味関心)」。このリズムが作れるようになると、偏差値の壁をひょいと乗り越えていくことができます。


5. うまく回らなくなった……そんなときは?

特に5年生に入ると、学習量も難易度も一気に跳ね上がります。すると、どうしても「割り切り」の割合が増えすぎてしまい、「手順だけの暗記」でやり過ごそうとする子が急増します 。

しかし、近年の中学入試は、知識そのものではなく、持っている知識を活用して自分の言葉で答える「思考力」や「表現力」を問う問題へとシフトしています 。

具体化と抽象化の両軸を使い、目の前の問題に対して「なぜ?」と深掘りしていく姿勢が求められているのです 。もしお子さんが「作業的な勉強」に陥っていると感じたら、家庭では「教える」のではなく「教えてもらう」ことを試してみてください 。

「これ、お父さん(お母さん)にもわかるように説明してくれる?」 「あ、今の話、この前のニュースや、台所でお手伝いしたあのことと繋がるね!」

お子さんから教えてもらいながら、既知の知識や日常生活と紐づけていく。この活動こそが、本当にかしこい子の共通点である「勉強メンタル」を育てることにつながります。


6. 本当のかしこさを支える「勉強メンタル」とは

私が多くの受験生を見てきて確信しているのは、優れた頭脳を生かせるかどうかは、この「勉強メンタル」次第だということです 。

勉強メンタルとは、単なる精神論ではありません。「なぜそうなのだろう?」という好奇心や、自分の思考を客観的に捉える力(メタ認知能力)、そして「自分なら解ける」という自己肯定感の総称です 。

このメンタルを育む土台となるのが、実は「幼児期からの身体感覚」です 13

  • 公園のブランコで感じた「加速する感覚」
  • キッチンで計量カップを使い、水の「かさ」を体感した経験
  • 親御さんがいつもご機嫌で、どんな些細な疑問も面白がってくれたという「絶対的な安心感」

これらの豊かな経験が、受験勉強の抽象的な知識と結びついたとき、子どもは「あ、あの時のアレか!」と感動し、自走し始めます 。


7. 最後に

お子さんがもし、どちらかに偏りすぎていると感じたら、それは成長のチャンスです。

「全部理解しなきゃダメ」でもなく、「黙って覚えなさい」でもない。

この2つのバランスを意識し、こころの動きを伴った学習ができるようになれば、お子さんの視界はパッと開けるはずですよ 。

受験勉強を通じて、一生ものの力となる「勉強メンタル」を一緒に育てていきましょう。


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本当にかしこい子になる!勉強メンタルの育て方

熱中症対策を今一度!! 「災害級の暑さ」2023夏

一歩外へ出ればヒリヒリするほどの光が照りつけ、滝のように汗が噴き出す日々が続いていますね。

今年は世界各国で最高気温の記録が更新されており、気候科学者の間では「観測史上最も暑い年」を更新する可能性が非常に高いと予測されています。

「夏だね〜」とうちわをパタパタあおぎながら、ふりそそぐ蝉の鳴き声の中、家族でスイカにかじりつく……。
私が子どもの時分には当たり前だった「真夏の縁側で冷たいスイカ」という夏の風物詩も、もはや古き良き日本の原風景になりつつあります。

なんだか少し淋しいですが、扇風機さえあればやり過ごせた日本の夏も、今や一日中窓を閉め切ってクーラーをかけていなければ命に関わる時代になってしまいましたから仕方がないですね。




先日「子どもがいる家庭の熱中症・暑さ対策に関する意識・実態調査」が行われ、暑さが原因で体調を崩したことがある子どもは51.3%、食欲不振になったことがある子どもは51.2%いることが判りました。(明光ネットワークジャパン調べ)

夏休みに入り二週間ほど過ぎましたが、皆さんのお宅では熱中症対策や万が一の対処法等について、ご家族で話し合われましたか?

同調査によれば小中学生の子供がいるご家庭の57.1%が「熱中症について親子で話し合った」いう結果が出たそうですが、逆を言えば4割以上のご家庭ではそういう話し合いがなされていないということです。




夏休み真っ只中の現在、中学受験生の皆さんは夏期講習通いで連日猛烈な暑さにさらされていることと思います。
また夏は「受験の天王山」とも言われる大切な時期ですから、特に高学年の皆さんは知らず知らずのうちに日々気力・体力を使い果たし、疲れも出やすくなっています。

そこで本日は「熱中症」にまつわる基礎知識をまとめてお伝えします。

予防対策や万が一の応急処置もお話したいので少々長くなってしまいますが、「大暑の候」終盤、暑さの最盛期である8月上旬が到来する前に、今一度ぜひご家族で確認・話し合いをしてみてくださいね。




●「熱中症」は命にかかわる病気


2018年から3年連続で1000人以上が熱中症で亡くなっています。
2021年は死亡者数755人と前年の1528人から半減したものの、昨年(2022年6~9月)には再び死亡者数1387人と、例年と変わらぬ1000人以上という結果に戻ってしまいました。
対策が功を奏したというよりは、気温による一時的な減少であった可能性が高いと言われています。

熱中症はこのように思いの外恐ろしい病気です。
ただし対策は可能であり、私達の予防行動次第で避けることが出来得る病気でもあります。

後ほどお話しする「熱中症警戒アラート」も活用しながら、家族で万全の対策を取り、夏を無事乗り切りましょう。


●「WBGT(暑さ指数)」とは?


全国で令和3年から運用が開始されました。
前述の調査でWBGTを知っている保護者の方は34.2%のみでしたが、これは一言で言うと、環境省が情報提供する身の回りの暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)を指しています。

具体的には人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、気温・湿度・日射・輻射ふくしゃ・風の要素をもとに算出する指標として、熱中症発生の危険度を知らせるために用いられます。

各指数における注意事項の目安は以下のとおり。
◯25以上28未満:中等度以上の生活活動で起こる危険性 。運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。

◯28以上31未満:厳重警戒。熱中症患者の発生率が増えるため厳重な警戒が必要。外出時は炎天下を避け、激しい運動を避ける。室内では室温の上昇に注意。

◯31以上:危険な暑さ。全ての生活活動で起こる危険性。
高齢者は安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動。

※WBGT値は気温と区別するため、単位のない指数として表記されます。

暑さ指数は場所だけでなく、時間帯によっても変わるので、長時間外を歩く・戸外活動の予定がある等、気になるときには環境省熱中症予防情報サイトや、環境省のLINE公式アカウント等で事前にぜひ確認しておきましょう。



●「熱中症警戒アラート」とは?


環境省と気象庁が、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される際、暑さへの気づきを呼びかけ、熱中症予防行動を効果的に促すために発表するアラート。

令和3年より全国で運用開始。
今年も4月26日〜10月25日まで使用されます。
前述のWBGT(暑さ指数)に基づき、熱中症発生の危険性が極めて高くなると予想される日の前日17時、または当日朝5時の1日2回、都道府県ごとに発表されます。

熱中症警戒アラートが発表された場合は特に積極的に予防行動を取るように心掛けましょう。

熱中症警戒アラートの発表状況はテレビやネットのニュースや天気予報、環境省・気象庁のサイト等でいつでも確認できます。



●「熱中症」予防と対策


熱中症はそもそも炎天下などの猛暑で体温調節がうまくいかなくなり、体内に熱がこもってしまうことで発症しますので、暑さを避けることが最も重要です。

前述の「WBGT」や「熱中症警戒アラート」等も参考に、熱中症の危険性が高いと予想される日は不要不急の外出や屋外での運動、長時間の作業はなるべく控えましょう。

涼しい服装を心がけることはもちろん、人は軽度の脱水状態程度では喉の渇きを感じないため、喉が渇いていないと思っても、こまめに水分・塩分をしっかり補給することが非常に大切です。

年齢や状況により個人差はありますが、1日1.2リットルくらいが摂取量の目安です。
塩分の摂取にはスポーツ飲料や塩レモン飴なども手軽で良いですね。

室内にいる場合も油断せず、昼夜を問わず風通しを良くすること、エアコンなどを使用して部屋の温度に気をつけましょう。
その際は扇風機を併用して室内の空気を循環させるようにすると、温度が下がりやすくなります。
また、エアコンが効かない場合はフィルター掃除も有効ですので、できれば2週間に1回程度手入れをしましょう。

高齢者や乳幼児、体調不良の家族など、熱中症のリスクが高い人には進んで声かけやサポートをしましょう。

特に危険性が高いのは65歳以上の高齢者です。
発汗と血液循環の機能が低下しているためそもそも体温調節がしづらく、暑さも感じにくくなっていることが多いからです。



●「熱中症」重症度の目安


 分類       重症度/主な症状
◯Ⅰ度 軽度/現場での応急処置が可能
めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)、大量の発汗

◯Ⅱ度 中等症/病院への搬送が必要
頭痛・気分の不快・吐き気・おう吐。力が入らない、体がぐったりする(熱疲労、熱疲弊)

◯Ⅲ度 重症/入院・集中治療が必要
意識がなくなる、けいれん、歩けない、刺激への反応がおかしい、高体温(熱射病)

もしも家族などに不安な症状が見られたら、上記の目安で状況を判断しましょう。
万が一の対処法については次項でお伝えします。


●万が一「熱中症」になってしまったら?


・涼しい環境に避難させる
大量の発汗やめまいなど、軽度であれば風通しの良い日陰やクーラーが効いている室内など涼しい場所へ移して様子を見ましょう。
急変の恐れがあるので、落ち着いてもしばらくは一人にしないでください。

・身体を冷やす
衣服をゆるめ、濡らしたハンカチやタオル、冷たいペットボトルなどを首、手首、足首、鼠径部などにあてましょう。
身体から熱を放散させ、皮膚直下を流れている血液を冷やすことが有効です。

・水分補給をさせる
冷たい飲み物を飲むことは、身体の内側から過剰な熱を奪うことにもなります。
汗で失われた塩分も補えるよう、経口補水液やスポーツドリンクが望ましいです。

乳幼児で自分で飲めない場合は口からストローやスプーンを用いて少しずつ垂らす方法もあります。

ぐったりしている、呼びかけても反応がない、意識障害が疑われるなどの理由で自分で飲めない場合は中等症〜重症の可能性が高く、無理に口に含ませると誤って水分が気道に流れ込む危険性もあり危険です。
救急車を呼ぶなどしてすぐに病院に搬送しましょう(点滴で対応してもらえます)



●翌日はどう過ごす?


熱中症になった翌日は、激しい活動は控えましょう。
ふらつき、食欲低下、吐き気、筋肉の痙攣などの異常などの症状が出ていなければ、普段通り塾の夏期講習や学校、図書館での勉強等に出かけても構いません。
ただし、前日の症状が重度であった場合はなるべく家族の目が届く自宅で過ごすことをおすすめします。


以上、本日は熱中症にまつわる基礎知識をお伝えしました。

中学受験生の皆さんが「災害級の暑さ」である2023夏を、健やかな心と身体で元気に乗り切れるよう心から願っています。

身体の冬支度をしよう ~注意したい5つのキーワード~

色づいた木々が美しい季節になりましたね。

陰暦11月の異称は「霜月」ですが、これは「霜が降りるようになる月」という意味で名付けられたという説が有力です。

よく晴れた日中ならば上着もいらない現代の気候とはズレを感じるものの、冬らしくて素敵な呼び名ですね。

まだ肌寒い程度の今頃は、気持ち程度に「薄着」で過ごすのが良いとされています。

受験生が風邪を引いては大変と、早々セーターやダウン・マフラーを身につけるのはやめましょう。

普段からあえてほんの少しの薄着を心がけることで寒暖差に慣れ、これから迎える本格的な寒さに対応しやすい身体を作ることができます。

ただし、体温が1℃下がると免疫力が3、40%低下したり、血圧が上がったりするという報告もありますから、無理はせず、長時間外にいるようなときは避けましょう。

あくまでも「体温を下げない」環境にいられるときや、散歩など「軽い運動ができる」状況のときに限定してくださいね。

さて、季節の変わり目にも変わらず健康でいるためには、うがい・手洗い・アルコール手指消毒などの感染症や風邪対策が欠かせません。

今日はそれに加えて、家の中で注意したい5つのキーワードを紹介します。

1つめは「湿度」。

インフルエンザウイルスなどは、気温が低く乾燥した環境では感染力が強まります。

家族の中に調子の悪い人がいるときはいっそうの「加湿」を心がけましょう。

湿度が50%以上あれば、たとえばインフルエンザウイルスでは10時間程度で死滅するとも言われています。

しかし薄着と同様、こちらも無茶は禁物。

やり過ぎると部屋がサウナ状態になってのぼせてしまいますし、カビが繁殖してしまうこともあるので気をつけてくださいね。


2つめは「下半身」。

適度な薄着による健康法は先ほどお話しましたが、少しでも体調に不安があるときは一転して「厚着」を心がけましょう。

特に大きな血管がある下半身を温めると体温・免疫アップに効果的です。

タイツも良いですが、きつすぎると血管を圧迫し血流を妨げてしまうので、足首やウエストを締め付けすぎない保温性の高い下着や腹巻き、格好はわるいけれどももひき・スゥエットなどでゆったりと下半身やお腹を温めましょう。

発熱がなければ炭酸入りの入浴剤を入れて、少し長めに半身浴をするのもおすすめです。

勉強しながら1時間以上入るという人もいるようですが、上半身が冷え切ってしまうのでやめてくださいね。

発熱してしまい入浴が難しいときは熱め(42℃くらい)の湯に足首のみを付ける足湯もおすすめです。


3つ目は「腸内環境」。

免疫機能は胃腸に集中していると言われています。

乳酸菌飲料や繊維質の多い食事を心がけて、いつもすっきり調子よくしておきましょう。

4つめは「温性の食べ物」。

以前もお話したことがありますが、食べ物には、身体を冷やす冷性の食品と、身体を温める温性の食品があります。

温性の食品はしょうが、ねぎ、にんにくなどの根菜(大根は例外)や鶏肉、エビなど、冷性の食品はレタス、キャベツ、ほうれん草、小松菜などの葉野菜や、きゅうり、トマト、ゴーヤ・セロリ、白砂糖、チョコレート、緑茶など。

冷え性の人は特に温性の食品を意識して摂るようにしましょう。

この時期の水分補給は、緑茶やコーヒーよりも身体を温める麦茶や黒豆茶、生姜茶をメインにすると身体がぽかぽかしますよ。

5つめは「ビタミン」。

ビタミン界のACE(エース)というのを知っていますか?

ビタミンの中でもA 、C、 Eは特に免疫アップに効果的だと言われています。

食品でいえば、鶏レバー、人参、かぼちゃ、くだもの、ブロッコリー、じゃがいも、かぶ、アボカド、種実類、ツナ、などに含まれます。

サプリでカバーしても良いですが、食品で摂る場合は生や、吸収力があがる「油」と摂ることが望ましいです。

油でさっと炒めるのも良いですね。

熱に弱く水に溶けやすいので、茹でるならば茹で汁ごと飲めるスープやシチューにするなど一工夫してみてください。

身体にためておくことができない成分なので、こまめに摂ることもポイントです。



以上、本格的な冬の到来を前に意識したいことをお話しました。

十分な休養と睡眠をとり、皆さんが健康に季節の変わり目を過ごせることを願っています。

中学校の準備を始めましょう ~受験の振り返りと心がまえ~

6年生の皆さん、入試お疲れさまでした。

大変な状況の中、皆さん本当によくがんばりましたね。

4月からの進学先も決定し、少し心に余裕が出て来る頃かと思います。

良い機会ですので、皆さんがそもそもなぜ中学受験をすることにしたのか、ぜひこの機会に思い出してみてください。

「合格したら、弁護士になる夢に一歩近づけるから」

「合格したら、中学のクラブで大好きなサッカーが思い切りできるから」

「大学受験をしたくなかったから」

「失敗しても、受験勉強で培った知識や学習習慣は今後に生かせると思ったから」

など、理由は様々だと思います。

しかし、いずれの場合も中学受験はあくまでも皆さんの人生を充実させるための通過点であり、最終ゴールでは無かったのではないでしょうか。

ですから、来たるべき中学校生活を存分に楽しみ充実させるために、今からぜひ少しずつ準備を始めてみてほしいと思います。

中学校生活では本格的な部活動が始まったり、教科ごとに担当の先生がいたり、能力別クラスがあったりと様々な点でこれまでと異なりますが、特に学習面において、これまでとは目指すところが変わってくるのが大きな特徴です。

皆さんがこれまで取り組んできた受験勉強は「合格」が目標でしたから、過去問で合格点(7割前後)を取れればOKでしたよね。

それが、今後は100点満点を目指す学習に変わります。

中学校に入ると学期末などに定期的に試験があり、そこで学習の定着度が測られます。

普段の授業をもとに作成されるテストですから、普段からしっかり授業を聞き、予習復習・試験対策を怠らなければ、満点に近い結果が出るはずなのです。

ですから、中学に入ったら、より確実で丁寧な学習が必要になります。

特に第3、4志望や公立の学校に進学することになった場合、初めは授業内容や試験が易しいと感じられることもありますが、油断して学習を怠ればあっという間に成績は転落します。

「こんなはずじゃなかったのに」「レベルの低い学校でやる気が出ないな」などと、もしも考えている人がいたら、今すぐ気持ちを切り替えましょう。

これから六年間通う学校で常に上位を目指すことを忘れず、「より確実に」「より速く」解けるように学習を継続していきましょうね。

出来れば入学式までに数学と英語の1学期分くらいは予習しておくくらいの準備をしておきましょう。

時間に余裕のある今のうちにしっかり予習をしておけば、気持ちの良いスタートが切れますよ。

また、せっかく中学受験をしたのですから、満足の行く結果だった人も、そうでなかった人も、今回の受験についてゆっくり振り返る時間を作って欲しいと思います。

「なぜ最後にグッと成績が伸びて合格できたのか」

「何が問題で落ちてしまったのだろう」

など、結果の善し悪しに関わらず、今回の受験を自分なりに考え、出来れば、それをご家族とも話してみましょう。

目的はあくまでも中学受験という貴重な経験を今後に生かすことです。

失敗の犯人探しをするような態度や、喧嘩を招くようなきつい言い方はお互いにやめましょうね。

反省点だけでなく、お互いにしてもらって嬉しかったこと、すごいなと思ったところ、良かった点などもどんどん話し合ってみてください。

思いやりを持って冷静に話し合えたら、たとえ合格という結果が得られていても反省点が見つかったり、不合格であったとしても、色々な面でご家族がサポートしてくださっていたことが判り感謝の気持が芽生えたり、たくさんの発見と学びがあると思います。

皆さんが今回の貴重な経験を活かし、中学校生活をより楽しく充実したものにできるよう願っています。

中学受験、不合格の我が子にどう接したら良い?

中学受験も終盤を迎え、進学先が決定した生徒さんも増えてきましたね。

コロナ禍での受験戦争は、ご本人も保護者の皆さんもあらゆる面で大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。

まだ残りの試験が控えている皆さんもいらっしゃるかと思いますが、今日は既に受験を終えられた生徒さん、中でも残念ながら志望校に不合格であった生徒さんの保護者の方に向けてお話ししたいと思います。

受験を終え見事お子さんが合格を勝ち取ったのであれば、もういったん何も考えずワイワイお祝いをしたり、遅いクリスマスやお正月代わりのゆったりした日々を満喫したりとのびのび楽しめば良いのですが、望まない結果と向き合うことになった場合はそうはいきませんね。

落ち込んでいるお子さんを、どのようにケアしてあげたら良いのでしょうか。
そして、この不合格を今後に最大限活かすために果たして何が出来るでしょうか。
まずお子さんへの声かけ、心のケアについてですが、大切なことは、お子さん自身が現実を受け止める時間をきちんと与えてあげることです。

不合格が発覚したとき、ご自身もショックの余り、慌ててこんな発言をなさってはいませんか?

「頑張ったのだから良いじゃないか。切り替えて元気を出さなくちゃ!」
「落ち込んでいるの?ママは全然落ち込んでいないわよ、結果がすべてじゃないもの」
「さあ、明日から高校受験に向けてがんばろう!」
「◯◯ちゃんもダメだったんだって。落ちたのはあなただけじゃないわよ」
「お母さんも残念だわ。勉強を頑張り始めたのが少し遅かったわね。」
「だから『安全校』も受けた方がいいと言ったじゃない。あなたが選んだ道なのだから仕方ないけれど。」
などなど。

どれもご自身の気持ちのやり場がなかったり、ご本人を元気付けるためだったり、良かれと思っての言葉だとは思いますが、これらはどれもお子さんを追い込んでしまう発言です。

受験校の検討が甘かったこと、エンジンのかかるのが遅く合格レベルに達せなかったこと、落ちたのは自分だけではないこと、気持ちを切り替えて頑張らなければならないこと……。
どれもこれも、ご本人はもう痛いほど思い知り、判っているのです。

そんな現実を改めて周りの人間から諭されたくないことは、ご自身が何か失敗してしまった時のことを想像なされば、大人の皆さんも容易にご想像がつくと思います。

ではどうすれば良いかと言えば、上述の通り「お子さん自身が現実を受け止める時間をきちんと与えてあげる」ことです。
必死に励ましの言葉を考えたり、蕩々とお説教をしたり、ご自身の落ち込みをごまかして明るく振る舞う必要はありません。

今は静かにお子さんの気持ちを思いやり、お子さん一人の時間を作ってあげてください。
二人三脚(もしくは三人四脚)でここまで歩んできた皆さんの今のお気持ちは、何も言わずともお子さんに伝わります。
色々声をかけたいところをグッと我慢してあげる。しばらく余計な声かけをせず静かに見守ってあげることこそがお子さんへの最大の優しさであり、不合格体験を今後に活かす大切なポイントだと思います。

自分自身を静かに振り返る時間が出来て初めてお子さんは現実を受け止めることが出来ます。そして、いずれ次の段階として「なぜ志望校に落ちたのか」「これから自分はどうして行くか」についても考え始めることでしょう。

実際、中学受験は文字通り、合格だけが全てではありません。
この経験を生徒さん自身がしっかりと受け止め振り返ることで、不合格体験からも合格体験以上の学びと成長の機会を得ることができ、それが今後の成功の礎となるのです。

そして、お子さんがある程度現実を受け入れ、自分自身の受験生活について振り返り、今後について考えることが出来始めたら、ご本人が進学することになった学校について、ぜひ一緒に話してみてください。

偏差値だけの受験校選びをしていなければ、皆さんの進学することになった学校は「ここは良い学校だな」もしくは「通っても良いな」と思えた学校のはずです。

中学受験で第1志望に合格出来るのはたった3割のお子さんで、殆どの場合は第2志望以下に進学します。
大切なのは、ここからどう伸びていくかです。

ですからお子さんが今回の受験を振り返っている間、保護者の皆さんはぜひお子さんが4月から通うことになった学校について良いところを改めて見直しておき、
「良い学校に決まって良かったね」
「ここはあなたの入りたい◯◯部の活動が盛んだから楽しみだね」
「家から20分で通えるから自由な時間がたくさん出来るね」
「ここはタブレット端末を生徒一人に一台貸与してくれるんだよね。ICT教育に力を入れていて、あなたたちの時代にぴったりだね」
などと、言葉にしてお子さんに伝えてあげてくださいね。

信頼する保護者の方の前向きな発言こそが、お子さんの新生活のモチベーションとなり、4月からの中学校生活を楽しみにさせてくれることと思います。

決して、「残念な学校へ通うぼく、わたし」というイメージで春を迎えることがありませんように。

これまでにも何度もお伝えしていますが、”全ての子どもにとって最も良い学校”などというものは存在しません。
“良い学校”とは、そこに通うお子さんにとって居心地が良く、日々前向きに楽しく勉学や部活に励むことができる環境が整っており、友人に恵まれる学校生活を送れる場所ではないでしょうか。

それは自分のモチベーションの持ちようによっても変わってきますし、実際に通ってみなければ分からないものです。

中学受験は合格を目標にやってきたのですから、もちろん第一志望合格こそが最高の結果であり、努力してきた皆さんへのご褒美といえます。
しかし、繰り返しになりますが、たとえ不合格となっても、その失敗体験からお子さんが多くのことを学び取り、自分自身を変革し、今後の人生に活かすことが出来たならば、それは大きな「成功」となり得るのです。

全ての受験校に不合格となり公立中学に進学する人も、その良い点を見つけ、活かしましょう。
公立小学校に通う場合、家から近い分学習に費やせる時間は多くなりますし、教育費も私立進学よりずっと少なく済みますから、その分を今後の学習を支える塾代や家庭教師代に回すこともできるでしょう。

中学受験にチャレンジした生徒さんはそうでない生徒さんに比べ知識が豊富で学習習慣も身についていますから、入学後もしっかり努力を続けていれば、公立中学で3年間トップクラスの成績を取り続け、大きな自信を得ることも出来るでしょうし、学校推薦の道が拓ける場合もありますね。
進学先には小学校の友達も数人いるでしょうから、初めのうちは特に心強いかもしれません。

また、指定区内から通いたい中学校を選べる「学校選択制」が利用できる地域もありますから、その場合はよくホームページなどを確認し、お子さんにあった中学校を一緒に選んであげてくださいね。

どんな結果であれ、受験生の皆さんが与えられた現実をしっかりと受け止め、この経験を人生の財産としてよりいっそう輝いて行けることを心から願っています。

本番に向けて ~受験当日の服装~

先日関東では思いもかけない大雪が降りましたね。
受験生の皆さんは、凍った地面で転んだり、風邪をひいたりしませんでしたか?

この冬は震え上がるような寒さの日が少ないように感じますが、ラニーニャ監視速報によると「ラニーニャ現象は続いているとみられる」と発表されており、今週も東日本で平年より低い気温になる確率が60%、西日本でも70%と予想されています。

今年の「大寒」は120日で、特にこれから立春の24日頃までは一年で最も気温が低くなりますから、試験当日もかなり冷え込んだり雪が降ったりするかもしれませんね。

そこで今日は、入試当日の服装についてお話したいと思います。

試験当日、身体が冷えないよう暖かくして出かけるのはもちろんですが、入試会場である教室の中まで寒いとは限りません。
席によっては外と変わらないくらい寒いこともありますが、むしろ暖房で温度が上がり過ぎていて、試験中眠くなってしまったり、汗だくで集中できなかったりすることもよくあるので注意しましょう。


おすすめの服装は、どのような環境でも温度調節がしやすい「重ね着」スタイルです。

着慣れた長袖Tシャツにトレーナーやフリースを重ねるなど、脱ぎ着しやすく腕や身体が窮屈でない格好が良いでしょう。

首周りがチクチクするものや、締め付けが強めなものも、緊張する場面では気になることがあるので避けておきましょう。

面接がなければ特にかしこまった服装である必要はありませんから、襟付きのシャツやブレザーなどを着る必要はありませんよ。


ただし、あまりにも常識外れで奇抜な格好は避けましょう。

学校側は入試要項などで、服装は直接合否と関係しないことを表明している場合が多いですが、あまりにも目立つ格好では、周りの視線に自分自身が落ち着かなくなるかもしれません。

過去に気合いを見せるため裸足に下駄で行った、半袖で行ったという人もいましたが、風邪を引くだけですからやめましょうね。

また、現在ほとんどの面接やグループ面談は新型コロナウイルス感染症予防のため中止されていますが、もしも学科試験に加え面接もある場合は、普段より少しフォーマルな格好を意識すると良いと思います。

参考になるのは卒業式や学校見学の際の服装です。

女子ならワンピースや、ブラウスに紺やグレーのブレザーやカーディガン、スカートの組み合わせが定番です。

スカートを好まない場合や寒い場合はもちろんズボンでも構いませんし、黒のタイツを着用する生徒さんも多いです。

男子はシャツに紺やグレーのブレザーと長ズボンの組み合わせが定番です。

ネクタイを締める場合は上着と同じ色のベースに、グリーンやエンジ、黄色などのストライプが入ったものがよく選ばれています。

また、男女とも通っている小学校の制服があるならば、普段着慣れているので非常に良いですね。

靴は革靴がですが、落ち着いたカラーのスニーカーでも構いません。

服も靴も、当日初めて身に付けるのではなく、出来るだけ数回着たり履いたりしておくと、リラックスして本番に臨めるのでおすすめですよ。

ちなみに保護者同伴の場合、保護者の方はナチュラルメイク・紺やグレーなどの落ち着いたスーツスタイル・お子さんと統一感のある服装を意識すると良いと思います。


最後に、当日忘れないように気をつけたいものや、持っていると便利なものについてお話します。


当日忘れてしまいがちなもの

・ハンカチ、ティッシュ

・上履き
・時計
特に上履きは普段持ち歩かないので忘れがちです。学校から指示がある場合は必ず早めに用意し、当日忘れないよう事前にかばんに入れておきましょう。

当日持っていると便利なもの

・ホッカイロ

・替えのマスク・のど飴

・ゴム・ヘアピン

・折りたたみ傘

・替えの靴下、(革靴の場合)行き帰り用の履きなれた靴

ホッカイロは、上着を着るほどではないけれど足元やお腹が冷えてしまった、というような場合にポケットに入れたりお腹に貼ったり出来て便利です。

少しかさばりますが、カイロが苦手な人は薄いひざ掛けを持って行くと良いでしょう。

ゴムやヘアピンは、試験中や面接時、さっと髪を押さえられて便利です。

替えのマスクやのど飴は、風邪や感染症の予防、ノドの乾燥対策にあると安心ですね。

大雨や雪など悪天候の場合は替えの靴下があると困りませんし、そうでなくても、革靴着用の場合は行き帰り用のスニーカーがあると歩きやすくて良いですね。

試験当日をリラックスした気持ちで迎えられるよう、服装や必要なものの準備はぜひ早めに整えておきましょう。

受験生のさんが、当日いつもどおり実力を発揮できることを心から祈っています。

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