この時期は行われた入試に関して、傾向の変化などについて聞かれることが多く、メディアの取材も「2021年の入試はどうだったか」という内容が多くなります。
私たち名門指導会の内部でも、入試問題の研究会や傾向分析のミーティングなどを頻繁に行い、先生方の間で情報交換を行っています。
その中で私が強く感じるのは、2021年の入試は例年にくらべて易しかった学校が多いことです。
易しかったというと語弊があるかもしれませんが、少なくとも「解きやすかった」という印象をもった受験生が多かったようです。
都内はもとより全国でも屈指の難度の、筑波大学附属駒場中学校。
この学校の理科では例年「てこ」など力学の難問が出題されます。
どのような部分で「難問」なのかというと、「考えられる場合をすべて考えて検討しなければならい」というもの。
単に計算が複雑とかそういったことではなく、さまざまな要素を考えて比較検討し、答えを絞り込んでいくということが必要で、それには非常に時間と手間がかかるのです。
今年も力学の問題はありましたが、例年にくらべてぐっと手間が少なくて済む問題でした。
他の難関校も、傾向は例年と大きく変わらないものの、問題の解きやすさ、取り組みやすさでいうと、例年よりもちょっとハードルが低い問題を出していた学校が多かったように思います。
開成中の算数は、大問3では例年よく出る「手を動かしているうちに解き方が見えてくる」という問題がありましたが、特にテスト前半の問題では「塾で習ったような」問題が多く、差が付く部分が見えやすかった印象です。
開成に関して言えば、例年難度の変化は大きく「どんな問題が出ても対応できるように準備しておく必要がある」と言えますから「今年易しかったから来年もこの傾向が続く」とも言えないと思います。
桜蔭のように、今細かい作業が必要で得点がしにくかったという学校もありました。
「見たことがあるような問題が多い」と感じても、いざ解き切るにはかなりの「作業力」が必要というわけです。
今年は「少し解きやすくなった学校が多かった」とはいえ、難関校では、難度が下がれば「ミスができなくなる」テストになり、その面での競争が顕著になるわけで、受験生としては「どちらに転んでも」という準備はしておかなければなりませんね。
学校ごとの入試分析の細かな結果は、名門指導会のホームページで近日中に発表できると思います。
志望校の入試傾向に変化があったのか、難度はどうだったのか、ぜひ確認いただければと思います。