皆さん、こんにちは。
塾ソムリエ西村則康が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。
西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。
■あと3ヶ月弱で5年生も受験学年に
前回の西村コラムで「5年生は秋から6年生の準備が始まります」とお話しました。
具体例としてご紹介しましたように、希学園では11月、12月、1月の公開テストの偏差値の平均で6年生の2月から始まる志望校別特訓の受講目安が設定されていますから、まずはこれから3ヶ月間の公開テストの準備が必要になります。
また、浜学園の場合でも、6年生から始まるオプション講座に、次のような受講資格が設定されています。(下記以外のオプション講座もあります。)
オプション講座 |
受講資格 |
主な対象校 |
最高レベル特訓 算数 |
過去3ヶ月の公開学力テストで3科男女総合順位または算数順位600位以内の成績を1回以上収めていること |
最難関中 |
最高レベル特訓 国語 |
過去3ヶ月の公開学力テストで3科男女総合順位または国語順位600位以内の成績を1回以上収めていること |
(記載なし) |
女子トップレベル算数特訓 |
過去3ヶ月の公開学力テストで3科男女総合順位または算数順位600位以内の成績を1回以上収めていること |
神戸女学院中(K) 西大和学園中(N) 四天王寺中(S)(医志・英数Ⅱ) 清風南海中(S特進) 須磨学園中(B) 高槻中 |
女子トップレベル国語特訓 |
過去3ヶ月の公開学力テストで3科男女総合順位または国語順位600位以内の成績を1回以上収めていること |
神戸女学院中(K) 西大和学園中(N) 四天王寺中(S)(医志・英数Ⅱ) 清風南海中(S特進) 須磨学園中(B) |
※浜学園ホームページおよび2019年11月配付資料より(女子トップレベル国語特訓は2020年9月配付資料)
■希学園の5年生公開テスト(10月実施)を振り返ると
では、5年生の公開テストがどのようなものなのか、2020年10月11日に行われた「希学園 第341回 小5公開テスト」を例に見ていこうと思います。
希学園の公開テストの成績資料には、正答率と問題の難度が4段階で示されています。
また、どの3問が正解できれば偏差値がいくらアップするかも書かれており、振り返りの目安がわかりやすくなっています。
問題 番号 |
単元 |
難度 |
正答率 |
問題 番号 |
単元 |
難度 |
正答率 |
1(1) |
計算問題(整数計算) |
A |
85% |
3(1) |
数の性質(演算記号) |
A |
97% |
1(2) |
計算問題(小数計算) |
B |
78% |
3(2) |
数の性質(演算記号) |
A |
96% |
1(3) |
計算問題(分数計算) |
B |
74% |
3(3) |
数の性質(演算記号) |
B |
51% |
1(4) |
計算問題(小数計算) |
A |
86% |
4(1) |
文章題(仕事算) |
A |
86% |
1(5) |
計算問題(整数計算) |
A |
86% |
4(2) |
文章題(仕事算) |
B |
54% |
1(6) |
計算問題(逆算) |
A |
83% |
4(3) |
文章題(仕事算) |
D |
27% |
1(7) |
計算問題(計算の工夫) |
A |
87% |
5(1) |
平面図形(直角二等辺三角形) |
C |
49% |
1(8) |
計算問題(単位計算) |
B |
70% |
5(2) |
平面図形(直角二等辺三角形) |
D |
16% |
1(9) |
計算問題(単位計算) |
A |
83% |
5(3) |
平面図形(直角二等辺三角形) |
D |
10% |
1(10) |
計算問題(単位計算) |
B |
64% |
6(1) |
場合の数(カードの出し方) |
A |
84% |
2(1) |
規則性(数列) |
A |
96% |
6(2) |
場合の数(カードの出し方) |
D |
14% |
2(2) |
規則性(数列) |
A |
87% |
6(3) |
場合の数(カードの出し方) |
D |
2% |
2(3) |
規則性(数列) |
B |
55% |
|
上の表で、難度別の配点を見ますと、A問題が48点、B問題が28点、C問題が4点、D問題が20点となっています。
例えば、このテストで得点帯が70~79点の偏差値は53.62~59.84でしたから、70点後半の点数を取ることができれば、すべての志望校別特訓のコース在籍下限値を超えることができます。
難度別の配点でいうと、A問題とB問題で失点をしなければよいことになります。
■A問題、B問題の具体例を見ると
上記のテストから、A問題、B問題の具体例として、問題2を見てみましょう。
(1)は、例として6番目まで書かれていますから、残り4つを書き出すと答えを求められますし、「かけ算の前にある数(かけられる数)は、『番目』と同じ数」であることに気づければ、10番目のかけ算は「10×11」とわかります。
書き出しても答えのわかる問題ですが、正答率は96%となっており、4%の受験生が正解できていません。
「自分にとって見やすく書く」という普段からの練習が大切だと分かる問題です。
(2)は、書き出して答えを求める方法では少し大変そうに思えますが、例の続きは、7×8=56、8×9=72、9×10=90、10×11=110、11×12=132、12×13=156、13×14=182、14×15=210、15×16=240と、意外に早く見つけることができます。
「240をかけ算のかたちにして考えればよい(または『約数』を求めればよい)」と考えることができれば、240=1×240、2×120、3×80、4×60、5×48、6×40、8×30、10×24、12×20、15×16のようにして答えを出すこともできたでしょう。
なお、もう少し考え方を進めて、「240は10の倍数だから、5の倍数の両隣の整数の積になるはず」という解き方もあります。
この問題も「書き出し」で答えを求められる問題ですが、正答率は87%です。
「粘り強く調べる(このときも見やすく書くことが大切です)」という練習も算数では重要です。
この練習ができていると、(3)も「30番目まで書き出せる」という自信につながり、正解を得ることができたと思いますが、実際の正答率は55%で、約半数の受験生しか正解できていません。
(2)で「5の倍数が利用できる」ことに気づいた受験生は、(3)も同じようにして答えを求めることができたと思いますが、(2)の15×16のように「かけられる数だけが5の倍数」と思い込んでしまうと失敗してしまいます。
「注意深さ」の有無も、約半数の受験生しか正解できなかった理由のひとつでしょう。
このように、公開テストの準備をするときには、「苦手単元が何か」や「抜けている知識はないか」といったことの他に、「見やすく書く」、「粘り強く調べる」、「思い込みで問題を解かない」など「間違えた問題の解き方の過程」にも気を配ることができると、失点を減らして点数を伸ばしていくことができると思います。