終わったばかりの今回の入試問題の分析を進めています。
前回は、算数についての話しでした。
今回は、理科について少し書いてみたいと思います。
理科の出題傾向を学校毎に見ていくと、「例年通り」だといえます。
また、塾の通常授業で扱われている知識で解けるはずの問題が、60%~70%あることも例年通りです。
ところが、4~5年たった後で振り返ってみると変化していることに気づくことが多いのです。
それは、入試問題の傾向が常に同じ方向にジリジリと変化しているからなのです。
1年分の変化としては小さくても、それが積み重なればはっきりとした変化として見えてきます。
理科の問題の変化の方向は
・単純知識を聞く問題の減少
・原因と結果の因果関係や、現象とその原因の理解を聞く問題の増加
・実験や観察の資料という体裁をとる問題の増加
この三つです。
重要事項や重要言語を覚える学習が大切であることは変わりませんが、
重要事項や重要言語どうしの関連やつながりを理解したうえで覚えることがますます大切になっています。
こんなふうに書きますと、何か特別なことが必要になると思われがちなのですが、
特別に複雑で難しいことへの理解を求めているわけではないのです。
「水素は水上置換で集める。」「水素の重さは空気の0.07倍の重さだ。」「水素は空気にほとんど溶けない。」
というこの三つの重要事項をばらばらに覚えるのではなくて、
「水素は空気の0.07倍の重さしかない軽い気体だけれど、水にはほとんど溶けないので、水上置換で集める」
と繋いで理解し、それを覚えることなのです。
サピックスのコアプラス、四谷大塚の4科のまとめ、日能研のメモリーチェックなどの暗記教材を、
繰り返し繰り返し覚えてもなかなか点数が上がらないのは、知識同士のつながりの学習になりにくいからなのです。
一方、塾でのテストを振り返ってみると、小4や小5の段階では単独知識を聞く問題が多くなっています。
この段階では、一問一答形式で覚えていっても充分に効果が現れることになります。
テキストの太字だけの丸暗記(日能研のテキストには太字がありませんが)で高得点がとれてしまいます。
ところが、小6の夏以降の入試に即した合否判定テストになると、その知識が生かされないことになってしまうのです。
その段階で知識同士のつながりを学習していくのは大変です。全単元全項目にわたって総復習することになってしまいますから。
小4や小5の時期から、繋がりを意識した学習をしておいて欲しいのです。
「○○は□□だから△△だ」、「○○は□□だけれど、△△だから××だ」というような文章で理解することなのです。
そのためには、説明部分の文章を隅から隅まで2回以上読む。
その後大切そうなところに蛍光ペンで線を引く。
蛍光ペンの箇所を覚える。
そして、覚えたかどうかの確認で問題を解いてみる。
このような、順を追った学習が大切になります。
ところが、多くの子供達は、宿題として出された問題を解いて、時間に余裕があれば太字を覚えるという学習をしてしまっています。
「説明部分の文章を隅から隅まで2回以上読む。」が抜けてしまっているのです。
中学受験の理科は、ちょっとだけ繋がりに興味を持って学習するだけで、プラスアルファを生むことが出来る教科です。
この時期に学習方法のチェックをお願いします。