投稿者: 西村 則康 Page 2 of 60

中学受験 大量の塾プリントやテキスト、ベストな整理方法は?

大手塾では新年度が始まり早くも2ヶ月が経ちましたね。

中学受験生の皆さんはそろそろ新しいリズムに慣れてきましたか?

中には日々の課題に精一杯で、きちんと整理出来ないまま机の上に積み重なっていく大量の塾のテキストやプリント類に不安を覚え始めている人も多いのではないでしょうか。

そこで今日は、ドンドン増えていく塾テキストやプリント類のおすすめ整理方法をお伝えしようと思います。

まず整理のペースですが、授業があった「その日のうちに」やるのがおすすめです。

忙しい皆さんですから、週に1回整理整頓の時間を取って・・・・・・というわけにはなかなかいきませんよね。

また、高学年は特に配布物が多いので、たとえ1週間でもそれらを溜めてしまうと、どれがいつのものか分からなかったり、答えと問題が揃わなかったりと、整理に余計な手間と時間がかかってしまいます。

ですから、塾でもらってきたテキストやプリント類は、帰宅したらすぐに処理しましょう。

「処理」と言ったのは、それらをファイルなどに仕分けする前にある手順を踏んでほしいからです。

まずテキストですが、サピックスのように授業毎に配布される場合は、その都度プリンターでスキャンします。

3・4年生のうちは保護者の方にお願いしても良いですが、5・6年生になったら一緒、もしくは一人でやれると良いですね。

この作業は慣れるまでちょっと面倒ではありますが、たとえ復習する時間や体力が残っていない日もスキャンだけは欠かさず行う習慣が出来ていれば、少なくとも毎回、その日習ったことにざっと一通り目を通すことになります。

その日に習った内容を日々自覚すること、これは小さなことのようで、意外と効果的なことですよ。

また、前年度のテキストは、ある単元において基礎から全く判っていないことが発覚した場合など余程のことが無い限り、見返すことはありません。

けれども「もし捨てたら後悔するかも・・・・・・」と捨てることに抵抗がある人もいるようです。

そんな場合も、こうしてデータで残しておけば次の学年に上がった時に躊躇なく原本をドサッと捨ててしまえますね。

1年分のプリントやテキストがごっそりなくなると、部屋が見違えるほど清々します。

整理整頓された心地よい環境では集中力もアップするのでおすすめですよ。

自宅にあるプリンターにデータ名の記録やファイリング機能も備わっている場合は、ぜひスキャンの際に単元名やテキストナンバーを入力して保存しておきましょう。

出来ればデイリーチェックテストのみ、基礎問題のみなどの分類でも仕分けておくとより便利です。

この一手間で、復習テストの際に必要な教材を簡単に探したり、過去問演習で発覚した苦手なジャンルの類題のみをチョイスして一気にプリントアウト出来たりと、とても重宝しますよ。

日能研のようにテキストが学年や学期の初めに配布される場合は(あまりに分厚いため通称「電話帳」と呼ばれています)科目ごとに分割しておき、講習が終わったらスキャンしておけば良いでしょう。

カラーのデータが乏しいと感じる場合はスキャンの際にネットや参考書からテーマごとに重要な写真やデータを選んで加えておくと、自分だけの充実した復習教材が出来上がりますね。

次にプリント類ですが、これらはテキスト内容と重複していることがほとんどですから、科目・種類ごとにファイルやボックスを作り、授業の度にきちんと仕分け保存しておければOKです。

ボックスの背に科目や種類の名前を書き(もしくはシールなどを貼り)、復習しやすいように、時系列にきちんと並べてしまっておきましょう。

塾で配布されるテキストやプリント類は、各塾の講師陣による長年の過去問研究結果が凝縮された頼もしい受験のパートナー達です。

皆さんがこれらを上手に整理・保存し、志望校合格に向けて存分に活用出来るよう願っています。

「アタフタさん」の勉強になっていませんか?

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私の著書「難関校合格のすごい勉強習慣では、私が平素より様々なところでお話ししている「スピーディーな学習とスローな学習」というテーマを中心に、中学受験に向かってがんばるお子さんと、そのお子さんを支える親御さんの努力をしっかりと結果に結びつけるためにすべきことをまとめています。

書籍の中には「アタフタさん」と「ちゃくちゃくさん」が登場します。

実は前者の「アタフタさん」こそが、進学塾の勉強に忙殺されるあまり、努力が結果に結びつかない(むしろ逆効果になりがちな)勉強法の典型で、すぐにでも結果が出る勉強法に変えてあげたいと私が思うお子さんです。

 

今でも現役の家庭教師としてご家庭に伺っている私ですが、近年この「アタフタさん」が急増しています。塾から子どもたちに課される学習量が増え続けていることが一つの理由だと思います。多くの子ども達は、内容を理解することより、終わらせることを目的とした家庭学習に陥っています。

そのような症状の子ども達を、「アタフタさん」と呼んでいるのです。

その「アタフタさん」のお子さんでも、適切な勉強法に変えていけば、必ず結果が出るようになります。そして、がんばった分だけ結果が出ることモチベーションも上がり、「嫌なもの」だった勉強が面白いものへと変わっていきます。

お子さんの勉強のしかたが

・「やっつけ」になっている

・終わらせることが目的のように・・・

・とにかく急いで解いている

というようになっている感じられたら、「アタフタさん」になっている可能性があります。ぜひ勉強のやり方、家庭学習サイクルを見直してみてください。

もちろん勉強には「テキパキと素早く終わらせる」べきものもあります。日々の計算練習などは、その典型ですね。

では「じっくり取り組む勉強」ができている「ちゃくちゃくさん」とはどのようなものでしょうか。

その1つは「どうしてそのように考えるとよいのか」を常に考えながら勉強しているという状態です。

たとえば年令算は線分図を書いて解くことが多いですが、「ちゃくちゃくさん」は「なぜ線分図を書くと考えやすいのか」を考えながら勉強しています。

常に言葉にして考えているわけではないのですが、問題を解きながら常に頭の中では上記のような「回路」が、様々な形でつながっているとイメージしていただけるといいと思います。

年令算で線分図を書くことが有効なのは「2人の年令の差は何年経っても広がったり、縮まったりせず一定だから」ですね。

ですから、お子さんが「○○算なら〜という解き方」となかば無条件に考えているようなら、ときどき「どうしてそのように考えると解けるのかな?」という質問をしてあげるといいですね。

 

春休み、塾の春期講習会などもありますが、学校が休みということで普段に比べると時間に余裕があると思います(サピックスでさえ講習会は数日間です)。

この期間に「スピーディーにやる勉強」と「じっくり取り組むべき勉強」をあらためて「仕分け」してみてはいかがでしょうか。

中学受験 ~春休みにやっておきたいこと~

開花宣言はまだですが、あちこちで早咲きの桜が美しく咲き乱れていますね。

6年生の皆さんは来たるべき中学校生活の準備を楽しんでいますか?

5年生の皆さんは、いよいよ本格的な受験勉強に突入ですね。

塾ではすでに2月から「新6年」として新年度がスタートしていることと思いますが、学習の状況はいかがでしょうか?

 

新年度になると、前の学年に比べてグッと学習量・宿題量が増え、家庭学習の負担は約1.5倍になると言われています。

特に新5年生・新6年生はその変化の大きさに戸惑っている人も多いことでしょう。

これから始まる春休みは、一度立ち止まって状況確認ができる貴重な時期ですので、今日は春休みのうちにぜひやっておきたいことについてお話します。

 

具体的な各科目の学習内容はともあれ、まず今のうちにやっておきたいのが学習場所ややり方、スケジュールなど、「学習環境の見直し・改善」です。

学習場所について具体的に言うと、新34年生くらいのお子さんは特にリビングでの学習がおすすめです。

生活音などある程度のノイズがあり、親の目を感じながら行う学習の方が小さいうちは身につきます。

逆に子供部屋に一人でこもっての学習は集中力が持たず、結局半分は何をやっているか分からないような状況に陥っていることがほとんどでしょう。

ただし、リビング学習の際テレビは必ず消しておきましょうね。

 

56年生であれば、自分の部屋が良い場合もあります。

特に6年生の夏頃(実践演習が増え、毎日過去問を解くようになる頃)からは基本的に自分の部屋が良いでしょう。

過去問は正確に時間を測って解かなくてはいけませんし、親子ともどもピリピリする時期ですから、トラブルが起こりやすいリビングは避けておきたいということもあります。

採点や解き直しはリビングで、と使い分けるのも良いですね。

 

また、学習の際の椅子の高さと照明にもぜひ気を使ってみてください。

大人用の椅子は子供の体格には合わずいまいち集中できなかったり、足が床につかないためにブラブラ揺らすくせがついてしまったり、姿勢が悪くなってしまったりすることもあります。

照明は、オレンジの暖色より白色の方が学習に向いています。

自室で一人で学習する場合は特に、照明を白色のものにしておきましょう。

 

環境を整えることも効率的な学習には非常に有効なので、ぜひ余裕のある春休みに見直し・改善してみてくださいね。

 

 

次に、スケジュールについてです。

たとえば大手塾の新4年生ならば、この時期は週に2回程度の通塾が基本です。

塾のある日と無い日の学習リズムを整え、今のうちに毎日の勉強を習慣化しておきましょう。

 

5年生は、学習面でもグッと難度が増し、これまでの基礎を土台に応用問題や難問の割合も増えてくる時期です。

宿題や復習をすべてやるのは不可能に近いことですし、決して有効でもありません。

ここから大切なのは、宿題を終わらせることに追われず、自分に必要な問題を「取捨選択」し、効率的に学習していくことです。

 

色々なところでお話していますが、意識的に「スピーディーな学習」と「スローな学習」の使い分けを行いましょう。

「スピーディーな学習」は、短時間でスピーディーにこなしたい、ドリル的な学習です。具体的には計算や漢字などがそれに当たりますが、これらは時間を測ったり、朝学習に回したりと、集中して短時間で済ませることを意識しましょう。

一方「スローな学習」は、授業内容が「本当に分かっているか」の確認や、内容理解をより深め、定着させるための学習です。

ただ答えを出せれば良いのではなく、「どうしてこの解き方で解けるのか」といったことまで深く理解し、授業で習ってきたことをしっかりアウトプットできる状態にすることが大切です。

 

5年生で「スピーディーな学習」と「「スローな学習」」を上手に使い分けられるようになると、6年生の学習も大変うまく進んでいきます。

 

そして、新6年生は少しずつ具体的な志望校・併願校を検討し、それらの学校の過去問に目を向け始める時期です。

最終的に第一志望校を決めるのは1011月でも構いません。

ぜひ、学校見学や説明会への参加(合同説明会もオンラインでたくさん開催されています。)を積極的に行いましょう。

「気になる学校」が出来るだけでも、学習へのモチベーションが大きく変わりますよ。

新6年生に入ると学習量・宿題量・難度は一気に増しますから、効率良く身になる学習をするために、1日・1週間・1年間の「スケジュール作り」をしっかり行うことが重要です。

スケジュールは計画を立てて終わりではなく、実際の使い勝手に応じてどんどんブラッシュアップしていきましょう。

 

一度で完璧な計画を立てようと思わず、何度も作り直して構わないので、春休み中にトライ&エラーを繰り返し、無理のない自分なりのスケジュールを作り上げてくださいね。

 

中学受験生の皆さんが春休みを大いに有効活用し、4月以降の学習をより充実したものに出来るよう願っています。

中学校の準備を始めましょう ~受験の振り返りと心がまえ~

6年生の皆さん、入試お疲れさまでした。

大変な状況の中、皆さん本当によくがんばりましたね。

4月からの進学先も決定し、少し心に余裕が出て来る頃かと思います。

良い機会ですので、皆さんがそもそもなぜ中学受験をすることにしたのか、ぜひこの機会に思い出してみてください。

「合格したら、弁護士になる夢に一歩近づけるから」

「合格したら、中学のクラブで大好きなサッカーが思い切りできるから」

「大学受験をしたくなかったから」

「失敗しても、受験勉強で培った知識や学習習慣は今後に生かせると思ったから」

など、理由は様々だと思います。

しかし、いずれの場合も中学受験はあくまでも皆さんの人生を充実させるための通過点であり、最終ゴールでは無かったのではないでしょうか。

ですから、来たるべき中学校生活を存分に楽しみ充実させるために、今からぜひ少しずつ準備を始めてみてほしいと思います。

中学校生活では本格的な部活動が始まったり、教科ごとに担当の先生がいたり、能力別クラスがあったりと様々な点でこれまでと異なりますが、特に学習面において、これまでとは目指すところが変わってくるのが大きな特徴です。

皆さんがこれまで取り組んできた受験勉強は「合格」が目標でしたから、過去問で合格点(7割前後)を取れればOKでしたよね。

それが、今後は100点満点を目指す学習に変わります。

中学校に入ると学期末などに定期的に試験があり、そこで学習の定着度が測られます。

普段の授業をもとに作成されるテストですから、普段からしっかり授業を聞き、予習復習・試験対策を怠らなければ、満点に近い結果が出るはずなのです。

ですから、中学に入ったら、より確実で丁寧な学習が必要になります。

特に第3、4志望や公立の学校に進学することになった場合、初めは授業内容や試験が易しいと感じられることもありますが、油断して学習を怠ればあっという間に成績は転落します。

「こんなはずじゃなかったのに」「レベルの低い学校でやる気が出ないな」などと、もしも考えている人がいたら、今すぐ気持ちを切り替えましょう。

これから六年間通う学校で常に上位を目指すことを忘れず、「より確実に」「より速く」解けるように学習を継続していきましょうね。

出来れば入学式までに数学と英語の1学期分くらいは予習しておくくらいの準備をしておきましょう。

時間に余裕のある今のうちにしっかり予習をしておけば、気持ちの良いスタートが切れますよ。

また、せっかく中学受験をしたのですから、満足の行く結果だった人も、そうでなかった人も、今回の受験についてゆっくり振り返る時間を作って欲しいと思います。

「なぜ最後にグッと成績が伸びて合格できたのか」

「何が問題で落ちてしまったのだろう」

など、結果の善し悪しに関わらず、今回の受験を自分なりに考え、出来れば、それをご家族とも話してみましょう。

目的はあくまでも中学受験という貴重な経験を今後に生かすことです。

失敗の犯人探しをするような態度や、喧嘩を招くようなきつい言い方はお互いにやめましょうね。

反省点だけでなく、お互いにしてもらって嬉しかったこと、すごいなと思ったところ、良かった点などもどんどん話し合ってみてください。

思いやりを持って冷静に話し合えたら、たとえ合格という結果が得られていても反省点が見つかったり、不合格であったとしても、色々な面でご家族がサポートしてくださっていたことが判り感謝の気持が芽生えたり、たくさんの発見と学びがあると思います。

皆さんが今回の貴重な経験を活かし、中学校生活をより楽しく充実したものにできるよう願っています。

中学受験、不合格の我が子にどう接したら良い?

中学受験も終盤を迎え、進学先が決定した生徒さんも増えてきましたね。

コロナ禍での受験戦争は、ご本人も保護者の皆さんもあらゆる面で大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。

まだ残りの試験が控えている皆さんもいらっしゃるかと思いますが、今日は既に受験を終えられた生徒さん、中でも残念ながら志望校に不合格であった生徒さんの保護者の方に向けてお話ししたいと思います。

受験を終え見事お子さんが合格を勝ち取ったのであれば、もういったん何も考えずワイワイお祝いをしたり、遅いクリスマスやお正月代わりのゆったりした日々を満喫したりとのびのび楽しめば良いのですが、望まない結果と向き合うことになった場合はそうはいきませんね。

落ち込んでいるお子さんを、どのようにケアしてあげたら良いのでしょうか。
そして、この不合格を今後に最大限活かすために果たして何が出来るでしょうか。
まずお子さんへの声かけ、心のケアについてですが、大切なことは、お子さん自身が現実を受け止める時間をきちんと与えてあげることです。

不合格が発覚したとき、ご自身もショックの余り、慌ててこんな発言をなさってはいませんか?

「頑張ったのだから良いじゃないか。切り替えて元気を出さなくちゃ!」
「落ち込んでいるの?ママは全然落ち込んでいないわよ、結果がすべてじゃないもの」
「さあ、明日から高校受験に向けてがんばろう!」
「◯◯ちゃんもダメだったんだって。落ちたのはあなただけじゃないわよ」
「お母さんも残念だわ。勉強を頑張り始めたのが少し遅かったわね。」
「だから『安全校』も受けた方がいいと言ったじゃない。あなたが選んだ道なのだから仕方ないけれど。」
などなど。

どれもご自身の気持ちのやり場がなかったり、ご本人を元気付けるためだったり、良かれと思っての言葉だとは思いますが、これらはどれもお子さんを追い込んでしまう発言です。

受験校の検討が甘かったこと、エンジンのかかるのが遅く合格レベルに達せなかったこと、落ちたのは自分だけではないこと、気持ちを切り替えて頑張らなければならないこと……。
どれもこれも、ご本人はもう痛いほど思い知り、判っているのです。

そんな現実を改めて周りの人間から諭されたくないことは、ご自身が何か失敗してしまった時のことを想像なされば、大人の皆さんも容易にご想像がつくと思います。

ではどうすれば良いかと言えば、上述の通り「お子さん自身が現実を受け止める時間をきちんと与えてあげる」ことです。
必死に励ましの言葉を考えたり、蕩々とお説教をしたり、ご自身の落ち込みをごまかして明るく振る舞う必要はありません。

今は静かにお子さんの気持ちを思いやり、お子さん一人の時間を作ってあげてください。
二人三脚(もしくは三人四脚)でここまで歩んできた皆さんの今のお気持ちは、何も言わずともお子さんに伝わります。
色々声をかけたいところをグッと我慢してあげる。しばらく余計な声かけをせず静かに見守ってあげることこそがお子さんへの最大の優しさであり、不合格体験を今後に活かす大切なポイントだと思います。

自分自身を静かに振り返る時間が出来て初めてお子さんは現実を受け止めることが出来ます。そして、いずれ次の段階として「なぜ志望校に落ちたのか」「これから自分はどうして行くか」についても考え始めることでしょう。

実際、中学受験は文字通り、合格だけが全てではありません。
この経験を生徒さん自身がしっかりと受け止め振り返ることで、不合格体験からも合格体験以上の学びと成長の機会を得ることができ、それが今後の成功の礎となるのです。

そして、お子さんがある程度現実を受け入れ、自分自身の受験生活について振り返り、今後について考えることが出来始めたら、ご本人が進学することになった学校について、ぜひ一緒に話してみてください。

偏差値だけの受験校選びをしていなければ、皆さんの進学することになった学校は「ここは良い学校だな」もしくは「通っても良いな」と思えた学校のはずです。

中学受験で第1志望に合格出来るのはたった3割のお子さんで、殆どの場合は第2志望以下に進学します。
大切なのは、ここからどう伸びていくかです。

ですからお子さんが今回の受験を振り返っている間、保護者の皆さんはぜひお子さんが4月から通うことになった学校について良いところを改めて見直しておき、
「良い学校に決まって良かったね」
「ここはあなたの入りたい◯◯部の活動が盛んだから楽しみだね」
「家から20分で通えるから自由な時間がたくさん出来るね」
「ここはタブレット端末を生徒一人に一台貸与してくれるんだよね。ICT教育に力を入れていて、あなたたちの時代にぴったりだね」
などと、言葉にしてお子さんに伝えてあげてくださいね。

信頼する保護者の方の前向きな発言こそが、お子さんの新生活のモチベーションとなり、4月からの中学校生活を楽しみにさせてくれることと思います。

決して、「残念な学校へ通うぼく、わたし」というイメージで春を迎えることがありませんように。

これまでにも何度もお伝えしていますが、”全ての子どもにとって最も良い学校”などというものは存在しません。
“良い学校”とは、そこに通うお子さんにとって居心地が良く、日々前向きに楽しく勉学や部活に励むことができる環境が整っており、友人に恵まれる学校生活を送れる場所ではないでしょうか。

それは自分のモチベーションの持ちようによっても変わってきますし、実際に通ってみなければ分からないものです。

中学受験は合格を目標にやってきたのですから、もちろん第一志望合格こそが最高の結果であり、努力してきた皆さんへのご褒美といえます。
しかし、繰り返しになりますが、たとえ不合格となっても、その失敗体験からお子さんが多くのことを学び取り、自分自身を変革し、今後の人生に活かすことが出来たならば、それは大きな「成功」となり得るのです。

全ての受験校に不合格となり公立中学に進学する人も、その良い点を見つけ、活かしましょう。
公立小学校に通う場合、家から近い分学習に費やせる時間は多くなりますし、教育費も私立進学よりずっと少なく済みますから、その分を今後の学習を支える塾代や家庭教師代に回すこともできるでしょう。

中学受験にチャレンジした生徒さんはそうでない生徒さんに比べ知識が豊富で学習習慣も身についていますから、入学後もしっかり努力を続けていれば、公立中学で3年間トップクラスの成績を取り続け、大きな自信を得ることも出来るでしょうし、学校推薦の道が拓ける場合もありますね。
進学先には小学校の友達も数人いるでしょうから、初めのうちは特に心強いかもしれません。

また、指定区内から通いたい中学校を選べる「学校選択制」が利用できる地域もありますから、その場合はよくホームページなどを確認し、お子さんにあった中学校を一緒に選んであげてくださいね。

どんな結果であれ、受験生の皆さんが与えられた現実をしっかりと受け止め、この経験を人生の財産としてよりいっそう輝いて行けることを心から願っています。

入試後半戦、最後まであきらめない!

関西に続き、関東の中学受験もいよいよ後半戦です。
すでに前半の結果が出ている学校もあり、場合によってはご本人も保護者の方も臨機応変な行動が求められますから、なかなか気持ちの休まらない日々ですよね。

すでに第一志望を勝ち取った生徒さんは、おめでとうございます!
厳しい結果を目の当たりにしてしまった生徒さんは、ここから立て直しましょう。

大切なことは、芳しくない結果を翌日以降に引きずらないことです。
これまでの生徒さんの中にも、前半で得られた気づきを活かし、後半で本領発揮、見事合格を勝ち取った生徒さんはたくさんいますから、安心してください。

大きなメンタルの崩れがあった場合は、その原因を振り返りましょう。
試験で緊張するのは皆同じですが、もしも原因に心当たりがあれば、就寝時間や当日の服装なども含めて、いつも通りの実力が発揮できる状態に整え直してきださい。

また、特に志望校に2回目、3回目のチャンスが控えている人は、ミスのあった分野、あと一歩だった分野をよく復習しましょう。
同じ問題が出ることは考え辛いですが、2回目以降も同じ先生が問題を作成していることは大いにあり得ますし、数字を変えただけの問題を敢えて出題し、複数回出願の意欲を買ってくれようという学校もあります。

そして前半に体調を崩してしまった人は、まず焦らず身体を労わりましょう。
新型コロナウイルス感染症の関係で試験を受けられなかった人もいると思いますが、現在はオミクロン株の感染拡大が猛威を奮っているため、各学校でもさまざまな緊急対応を行っています。

急な救済措置が設けられる場合もありますから、志望校・併願校のホームページは必ず毎日チェックしましょう。
また、相談に応じて個別に対応を行っている学校もあります。必要であれば入試相談窓口などに直接確認してみることも視野に入れ、最後まであきらめないでくださいね。

ちなみに、先月の時点で以下の私立中学校は既に追試日程を設置、公表しています。

【日程】
2
10日、16日 和洋九段女子
2
12     芝浦工業大学付属
2
18     光塩女子学院
2
19     栄光学園、頌栄女子学院、東京電機大学、

明治大学付属中野八王子
2
20     世田谷学園、国学院大学久我山
2
23     開成
2
26     東京都市大学付属、淑徳
2
27     城北

また、神奈川県では221日に「共通問題」を使った「共通追試」を実施することが発表されました。(神奈川大学付属、慶応義塾普通部、聖光学院、清泉女学院などが参加予定)

都立中高一貫校においても225日に対応措置が発表されているので、必要のある人はホームページを確認してみましょう。

前半に大きなミスをしてしまった生徒さんも、病気やトラブルに見舞われてしまった生徒さんも、勝負はここからです!
皆さんが最後まで前向きにこの期間を走り抜け、笑顔で受験を締めくくれることを祈っています。

本番に向けて ~受験当日の服装~

先日関東では思いもかけない大雪が降りましたね。
受験生の皆さんは、凍った地面で転んだり、風邪をひいたりしませんでしたか?

この冬は震え上がるような寒さの日が少ないように感じますが、ラニーニャ監視速報によると「ラニーニャ現象は続いているとみられる」と発表されており、今週も東日本で平年より低い気温になる確率が60%、西日本でも70%と予想されています。

今年の「大寒」は120日で、特にこれから立春の24日頃までは一年で最も気温が低くなりますから、試験当日もかなり冷え込んだり雪が降ったりするかもしれませんね。

そこで今日は、入試当日の服装についてお話したいと思います。

試験当日、身体が冷えないよう暖かくして出かけるのはもちろんですが、入試会場である教室の中まで寒いとは限りません。
席によっては外と変わらないくらい寒いこともありますが、むしろ暖房で温度が上がり過ぎていて、試験中眠くなってしまったり、汗だくで集中できなかったりすることもよくあるので注意しましょう。


おすすめの服装は、どのような環境でも温度調節がしやすい「重ね着」スタイルです。

着慣れた長袖Tシャツにトレーナーやフリースを重ねるなど、脱ぎ着しやすく腕や身体が窮屈でない格好が良いでしょう。

首周りがチクチクするものや、締め付けが強めなものも、緊張する場面では気になることがあるので避けておきましょう。

面接がなければ特にかしこまった服装である必要はありませんから、襟付きのシャツやブレザーなどを着る必要はありませんよ。


ただし、あまりにも常識外れで奇抜な格好は避けましょう。

学校側は入試要項などで、服装は直接合否と関係しないことを表明している場合が多いですが、あまりにも目立つ格好では、周りの視線に自分自身が落ち着かなくなるかもしれません。

過去に気合いを見せるため裸足に下駄で行った、半袖で行ったという人もいましたが、風邪を引くだけですからやめましょうね。

また、現在ほとんどの面接やグループ面談は新型コロナウイルス感染症予防のため中止されていますが、もしも学科試験に加え面接もある場合は、普段より少しフォーマルな格好を意識すると良いと思います。

参考になるのは卒業式や学校見学の際の服装です。

女子ならワンピースや、ブラウスに紺やグレーのブレザーやカーディガン、スカートの組み合わせが定番です。

スカートを好まない場合や寒い場合はもちろんズボンでも構いませんし、黒のタイツを着用する生徒さんも多いです。

男子はシャツに紺やグレーのブレザーと長ズボンの組み合わせが定番です。

ネクタイを締める場合は上着と同じ色のベースに、グリーンやエンジ、黄色などのストライプが入ったものがよく選ばれています。

また、男女とも通っている小学校の制服があるならば、普段着慣れているので非常に良いですね。

靴は革靴がですが、落ち着いたカラーのスニーカーでも構いません。

服も靴も、当日初めて身に付けるのではなく、出来るだけ数回着たり履いたりしておくと、リラックスして本番に臨めるのでおすすめですよ。

ちなみに保護者同伴の場合、保護者の方はナチュラルメイク・紺やグレーなどの落ち着いたスーツスタイル・お子さんと統一感のある服装を意識すると良いと思います。


最後に、当日忘れないように気をつけたいものや、持っていると便利なものについてお話します。


当日忘れてしまいがちなもの

・ハンカチ、ティッシュ

・上履き
・時計
特に上履きは普段持ち歩かないので忘れがちです。学校から指示がある場合は必ず早めに用意し、当日忘れないよう事前にかばんに入れておきましょう。

当日持っていると便利なもの

・ホッカイロ

・替えのマスク・のど飴

・ゴム・ヘアピン

・折りたたみ傘

・替えの靴下、(革靴の場合)行き帰り用の履きなれた靴

ホッカイロは、上着を着るほどではないけれど足元やお腹が冷えてしまった、というような場合にポケットに入れたりお腹に貼ったり出来て便利です。

少しかさばりますが、カイロが苦手な人は薄いひざ掛けを持って行くと良いでしょう。

ゴムやヘアピンは、試験中や面接時、さっと髪を押さえられて便利です。

替えのマスクやのど飴は、風邪や感染症の予防、ノドの乾燥対策にあると安心ですね。

大雨や雪など悪天候の場合は替えの靴下があると困りませんし、そうでなくても、革靴着用の場合は行き帰り用のスニーカーがあると歩きやすくて良いですね。

試験当日をリラックスした気持ちで迎えられるよう、服装や必要なものの準備はぜひ早めに整えておきましょう。

受験生のさんが、当日いつもどおり実力を発揮できることを心から祈っています。

入試本番に向けて~最終模試の活かし方

明けましておめでとうございます。

2022年がスタートしましたね。

関東の主要私立中学校受験本番までは1か月を切り、関西の皆さんは早くも15日に統一入試日を迎えます。

さて、6年生の1年間皆さんが怒涛のように受けてきた「模試」も、年内でほぼすべて終了しました。

今日は目前に迫った本番に向け、皆さんの合不合判定テストや合格力判定テストなど、大手塾による模試の最終結果をどのように活用したら良いかお話しします。

昨年末の大規模な模試は一部で日程が被り(首都模試とサピックス・オープンが同日でした)、1日のうちに4科目の試験を2回受けた人も多かったようです。

「合間に食事をとる暇もなく、午後はスタミナ切れだった」

「実力が発揮できず、これまでで最も悪い偏差値で終わってしまった」という人もいたようですが、皆さんはいかがでしたか?

最終模試の結果で合格可能性が20%・30%などと出ると、生徒さんも保護者の方も大抵ガックリ落ち込み、受験自体に迷いが生じてしまうご家庭もあるのですが、最終模試でそのような結果が出た人たちの中にも、見事第一志望に合格した人たちは実際にたくさんいます。

模試はあくまで模試であり、特に、自分の狙う志望校に特化して問題が練られた模試でない場合はなおさら、その結果を鵜呑みにする必要はありません。

皆さんの最終目標は「志望校合格」であり、「模試で良い結果を残す」ことではありませんから、最後に「志望校の入学試験で合格点を取る」ことさえ出来れば良いのです。

最終模試の結果、特に合格率に踊らされて、この時期に第一志望を再検討する必要はありません。

20%以上の結果が出ているのなら、合格可能性は残っています。

まずは冷静に模試の内容と向き合い、「科目ごとにどの分野で引っかかっていたのか」さらに「そこに志望校の過去問に頻出の分野は無いか」よく分析しましょう。

以前お話ししたように、この時期手つかずのジャンルや苦手なジャンルを深堀りしたり、一からやり直そうとしたりするのは非常に危険です。(そういうものが無ければベストですが)

分析を終えたら、その中でも「理解が今一歩及んでいなかった部分」「もう少しで解けそうだった部分」に重点を置いて復習しましょう。

繰り返しになりますが、必要なのは「志望校の入学試験で合格点を取ること」であり、それに最も近い試験はやはり「過去問」です。

ですから今の皆さんにとって最も効果的な学習は、本番までに過去問で百発百中、合格点に到達できる状態にしておくことなのです。

過去問の結果は表などにまとめていますか?

もしもやっていない人がいたら、今からでも簡単に結果を一覧にしてみましょう。

合格平均点、もしくは合格最低点はどの年度も突破出来ていますか?

そうでなければ、あとどれくらい点数があればクリアできるでしょうか。

そして、そのためにはどの科目で何点ほどアップ出来そう、もしくは、しなくてはならないでしょうか。

このように、志望校の合格基準点に到達するために自分がアップすべき点数、さらに、その内訳(科目ごとにアップ出来そうorすべき点数)を明確にしましょう。

その上で、最終模試を含めた重要な模試のジャンル・問題を取捨選択て復習することが最も効果的な模試の活用法です。

志望校合格に向け、自分の場合は各科目それぞれでどれくらい点数を上げられそうか(上げなくてはならないか)の判断や、自分が重点を置いて復習すべきジャンル・問題の取捨選択については、出来るだけ独断ではなく、塾の先生や家庭教師など中学受験の指導歴が豊富な専門家にも助言を求めましょう。

残り少ない日々、皆さんが志望校合格にしっかり狙いを定め、効率的・計画的に、充実した学習を行えることを心から祈っています。

試験本番、知らない言葉に出くわしたら?~国語のピンチ対処法~

いよいよ2021年も終わりを迎えようとしています。
来月からは関西、2月からは関東の主な中学校の受験本番が始まりますが、心の準備はいかがですか?

今日はそんな皆さんに、試験本番で知らない言葉に出くわしたらどうすれば良いかというお話をしようと思います。

特に国語読解での話になりますが、皆さんはこれまで様々なテキストや問題集に取り組み、二字熟語、四字熟語、慣用句、ことわざはもちろん「矛盾」や「五十歩百歩」のような故事成語に至るまで、たくさんの語句を身につけてきたことと思います。

しかし、それでも試験当日、問題文で見たことも聞いたこともない(時には読むことも出来ない)言葉に出くわすことはあるものです。

そして、それが「アナーキー」のようなカタカナ語ならともかく、「面従腹背」や「堂に入る」などの漢字や熟語を含んだ言葉の場合、真面目な生徒さんほど焦ったり、その言葉が理解できないことで「本文を正しく把握出来ないのでは」と不安で立ち止まってしまったりしがちです。
さらに、「「堂に入った」とあるが、どのような様子からそう感じたのか」などと、その言葉が分からなければ設問の意味さえつかめない場合は、余計に怖くなってしまいますよね。

けれど、読解の時間は限られていますから、いつまでも分からない言葉ひとつに固執して目や手を止めているわけにも行きませんよね。

そんなときは、あせらず以下のことにトライしてみましょう。
【知らない言葉に出くわしたら、やってみよう!】
・前後の文脈から予想を立てる。
・語句に含まれている漢字を一文字ずつ訓読みしてみる。
・漢字の部分を用いた言葉を連想してみる。
・偏や旁(つくり)など同じ部分を持つ漢字を連想してみる。

いくつか実際にやってみましょう。
①「彼は『憤慨』し、足元の椅子を突然蹴飛ばした」
②「夏祭りは毎年の楽しみだったが、その事実を知って彼は一気に『興ざめ』した」
③「江戸では、京伝好みと銘(めい)うった『煙管』が売られていた」
④「こうして肚(はら)の中で考えたことを(漱石)先生の前で十分に云い得なかったということは……一種の『面従腹背』でもある」
⑤「彼は『無二』の友だ」
⑥「『広義に』解釈すれば……」

【言葉の意味の導き方(予想の立て方)一例】
①突然椅子を蹴飛ばしたのだから、ものすごく怒ったのかな。「憤」は、「噴火」の「噴」と旁(つくり)が同じだ。つまり「噴火するくらい怒った」という意味かな。
→「憤」・「慨」を「いきどお(る)」と訓読みできればベストだけれど、習うのは中学3年ごろなので、今はこのように文脈や漢字の一部から予測できればOK!

②「楽しみであった『が』」とあるから、そうではなくなったのかな。「興」は、「興味」の「興」だから、「興味」が「さめ」たということかな。

③「煙管」の「煙」は「けむり」。「管」は「くだ」。(売られている)けむりのくだ……つまり、「タバコ」のことかな?これは江戸時代の話だから、きっとこれは「きせる」のことだ!
→文脈からの予想は難しくても、このようにそれぞれの漢字を訓読みすると予測できるね!

④国語では「腹黒い」「腹の内を明かす」など、「腹」は本心を表すことがあるな。ということは「肚(はら)の中で考えたこと」ということは、「本心」のことかな。
「面従腹背」の「面」は「おもて」と読み、「お面」という言葉もある。つまり、「表面上や顔では従いながらも、本心では背(そむ)いている」ということかな?
→このように、自分の語句の知識を駆使して連想することも大切!

⑤「無二」は「無い」と「二つ」を組み合わせた熟語だ。つまり「二つと無い」とか、「並ぶものがない」ということかな?

⑥「広義」の「広」は「広い」。「義」は「義(よ)い」と読み下せるけれど、それでは分からないな。「義」を使った言葉では、「同音異義語」という言葉を知っているぞ。「同音異義語」は「同じ読みで異なる意味の言葉」だから、「義」には「意味」という意味があるはずだ。つまり、「広義」は「広い意味」ということかな?
→予想が立ったら、該当箇所に当てはめて読み直してみよう。
「『広い意味』で(に)解釈すれば……」となり、バッチリ意味が通るね!

このように、たとえ知らない言葉に出くわしても皆さんがこれまで培ってきた漢字・語彙力、読解力、柔軟な思考力で乗り切れる場面は多々あります。
ですから、そんなときはまず上記の方法で冷静に分析してみてくださいね。

それでも分からないときも、焦る必要はありません。
読み進むうちに文章の流れから意味が分かることもありますし、その言葉が分からなくとも、問題を解く上では何の支障も無いこともあります。
大切なのは、どんなときも目や手は止めず(思考停止せず)、冷静に対処していくことです。

そして、普段の学習や過去問演習の際も、分からない言葉が出てきた時にすぐ辞書を引かないことを心がけましょう。
低・中学年のうちは間逆のこと(「分からない言葉があったら辞書を引く」ということ)を言われていたと思います。
しかし、入試本番に辞書は引けませんし、高学年や本番で扱われる文章には難解な言葉が当たり前に含まれているものですから、分からない言葉があっても、自分の力である程度意味を予測し、読み切り、問題に取り組める力が必要なのです。

そのためには前述の通り、漢字、語彙力、読解力、柔軟な思考力が欠かせません。
そしてもちろん、全て解き終えた後は、つまずいた言葉を辞書できちんと調べ、語句用のノートなどにまとめて覚えておきましょう。

皆さんが、試験本番も冷静に、存分に実力を発揮できることを祈っています。

受験直前期にやっておきたいこと・やってはいけないこと

12月も後半戦を迎えました。

中学受験生の皆さんは、風邪など引かず元気に過ごしていますか?

世の中はクリスマスだ、年末だとにぎわう楽しい季節ですが、皆さんはそんなものにかまっている暇はありませんね。

受験が終わるまで皆さんのお楽しみは「お預け」になってしまいますが、今しかできないことに全力で取り組み、ぜひ悔いのない中学受験にしてください。

皆さんのがんばりが報われる日は、もうすぐそこですよ!

さて、今日は受験直前期にやっておきたいこと・やってはいけないことをお話します。

まず、何度もお伝えしていますが、未だに夜型の勉強をしている人がいたら今日から朝型に切り替えましょう

新しい生活リズムに身体を慣らすには時間が必要です。

本番数週間前からでは間に合いませんから、今が最後のチャンスです。

午前8時~9時スタートの入試本番でしっかり頭が働くように、6時~遅くとも7時までには起きるよう習慣づけておきましょう。

また、起床からお昼まで何も食べないという人も明日からは朝食を取ってください。

ご飯など脳のエネルギー源となるブドウ糖を含む食材をしっかり摂り、頭が働きやすい状態で試験に臨みましょうね。

次に、学習内容についてです。

この時期は焦りや不安が高まりやすく、学習内容の「抜け」「苦手な部分」に目が行きがちです。

けれど、この時期「できないこと」にとらわれるのは禁物です。

もちろん学習内容の抜けや苦手分野を発見したら、その部分を埋め、克服すべきです。

しかし間違ったときは、しっかりその内容を理解し、類題を数問解いたらもう次に進みましょう。

この時期は「できない」部分の学習に膨大な時間をかけることよりも、得意分野で確実な得点力を磨くことの方が有効です。

いつまでも「できない」部分に固執して「もっと解かないと」「そもそも基礎から分かっていない気がする」「すべて初めからやり直さないと」「もう間に合わない……

と、無駄に自分のモチベーションを下げ、過去問に掛けるべき時間をそこに費やすのはやめましょう。

時間は限られています。

特に直前期は計画的に、志望校の教科ごとの配点や出題傾向を鑑み、必要な部分を、適切な優先順位で学習しましょう。

当たり前ですが、合格可能性アップ=総合得点アップです。

自分がどのようなバランス・順序で学習するのが最善なのか、ぜひ塾の先生や家庭教師の意見も取り入れながら進めてくださいね。

同じ理由で、この時期に新しい問題集に手を出すのも避けましょう。

「こんなこと知らない、今更どうしよう!」「買ったけれど最後まで終わりそうにない!」と、不安な本番を迎えることになるのは本末転倒です。

知識は一つでも多いに越したことはありません。

実際、以前お伝えしたとおり当日の朝覚えた年号や名称が受験に出たということもよくあることです。

けれども、最も得点アップに有効なのは、得意分野で確実に得点できるようにすることだということを忘れないでください。

新しいものに手を出すよりこれまで自分が一生懸命取り組んできたテキスト・問題集・参考書・過去問を何度も復習しましょう。

そして、同じ問題や類題が出たら、確実に得点することが重要です。

 最後に、保護者の方に気をつけていただきたいことが3つあります。

1つ目は、お子さんの睡眠時間です。

この時期のお子さんは気丈に振る舞っていても、心のどこかに緊張や不安を抱えているものです。

もっとやらなければと深夜まで勉強して寝不足になると翌日のパフォーマンスは著しく落ちます。

具体的には、計算ミス、誤脱字、文の読み違い、勘違いによる失点が多発し、集中力・記憶精度が落ちるため学習効率が下がります。

さらに、寝不足はメンタルの不安定も招くので、不安で眠れなくなってしまい、また眠れなくなる、という悪循環に陥る可能性もあります。

お子さんがいくら勉強したがっても、23時前には必ず就寝させてあげてください。

2つ目は、保護者の方の気持ちです。

この時期、ご本人はもちろん親御さんも不安定になりがちです。

ご自身ではどうにもしてあげられないもどかしさも相まって、余計にいても立ってもいられずあたふた取り乱してしまう場合もあるかもしれません。

けれど、そんなご自身の感情を「(お子さんの手前)隠さなくては」と無理に抑えようとなさらないでください。

大切なお子さんの受験を控えたこの時期、応募状況や倍率も耳に入ってきて、保護者の方は不安になって当たり前です。

どうかそんなネガティブな感情も、お子さんを想うからこそと受け入れてあげてください。

その上で改めて日々努力を続けるお子さんに目を向けられれば、きっといつもの調子が戻られ、大きな気持ちで構えていただけると思います。


そして最後が、声掛けについてです。
直前期の受験生は、自信を持つことが大切です。

「がんばれ!」「○○しておかないと駄目だよ」「不合格になったって良いじゃないか」など、お子さんの感情を逆撫でしかねない声がけは避けてください。

そして、大切なのはどんな言葉をかけてあげるかよりも、「この子は大丈夫」と、保護者の方ご自身がどんと構えた態度でいてあげることです。

ご自身の心の安定のためにも、ぜひお子さんの学習量、がんばり、今できていることの方に目を向け、日々の声がけは「おつかれさま」「がんばっているね」「ゆっくり休んでね」などのねぎらいの言葉にとどめてあげてください。

ご自身のどんと構えた態度と「大丈夫」の一言こそが、きっとお子さんに安心感と大きな自信を与えてくれると思います。

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▼2022年11月18日(金)

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