志望校、併願校を検討しましょう

先週は、夏休みに向けて5・6月のうちにしておきたいことをお話しました。

今日は、そのような学習面の準備と合わせて、今のうちに考えておいてほしいことをお伝えします。

それは、「志望校・併願校をどうするか」ということです。

志望校あっての受験ではありますが、「とりあえず」で受験勉強を始めた人や、憧れの学校はあるけれども漠然としている人、まだ何も考えてもいない人も多いでしょう。

少し余裕のある今の時期を利用して、ぜひ志望校・併願校を検討してみてください。

そう言われても、一体どこから手を付けて良いか分からない‥‥‥‥‥という場合には、まずこんな方法で学校をピックアップしてみましょう。

1. 絶対に行きたい学校・気になる学校

多くのみなさんが、憧れの学校や、気になる学校があるのではないでしょうか。

残念ながら去年に引き続き、学園祭や様々なイベントは中止になっているところが多いですが、ウェブ学園祭を開催している学校や、学校説明会・学校紹介の動画を用意してくれているところもたくさんありますね。

公式ホームページにアクセスし、気になる学校をチェックしてみましょう。

やりたい勉強・部活動はできそうですか?

学校の環境や、家からの通いやすさはどうですか?

先生・生徒の雰囲気は合いそうですか?(これは直接行かないと分からない場合もありますね)

進学率はどうでしょうか?

そんなところを確認してみてくださいね。

偏差値が自分の現状とかけ離れていても構いません。

2. 親御さんやご家族、先生がおすすめしてくれる学校

たとえばそれが「男子校が良い!」とか、「私服の学校が良い!」という自分のこだわりにそぐわない場合も、騙されたと思って、とりあえずホームページをのぞいてみてください。

あなたを大切に思ってくれている人たちのすすめる学校ですから、もしかしたら、意外と気に入ることがあるかもしれません。

また、塾や家庭教師の先生がすすめてくれた理由には、その学校の入試傾向が非常にあなたに合っていて、本来の偏差値よりもかなり高いレベルだけれども是非トライしてほしい、という場合もあります。

自分が3年、あるいは6年、もしかしたら10年関わることになるかもしれない学校選びです。

頑なにならず、ぜひ、色々な意見に耳を傾けてみてくださいね。

3. 偏差値や希望条件に合う学校

偏差値から狙いやすい学校、希望の条件を満たす学校も、とりあえず視野に入れてみましょう。

たとえば、「自宅から45分以内で通える学校」「大学まで受験無しで行ける学校」「学校の理念や宗教が自分に合う学校」などでも構いません。

これら1~3の学校をピックアップできたら、偏差値、受験日程、入試傾向などもしっかり加味しながら、いよいよ志望校・併願校を絞っていきます。

その際は、ご家族とよく相談するのはもちろん、中学受験の豊富な情報・知識を持った専門家にぜひアドバイスを求めてくださいね。

サピックスでは6年生の秋に「学校別サピックスオープン」、日能研では「合格判定テスト」が行われますので、最終的にはそれらの結果をふまえて志望校・併願校を決定するご家庭が多いです。

あせることはありませんが、ぜひ今の時期を利用して検討してみてください。

志望校が定まることは、きっと大きなモチベーションにつながりますよ。

夏休みに向けて、今しておきたいこと

街路樹の緑もいよいよ色濃く、吹き抜ける風が心地よい季節になりましたね。

まだまだ先と思っていた夏休みも、いつの間にかそこです。

昔から「夏は受験の天王山」と言いますが、受験生の皆さんは「天王山」がどんな山か知っていますか?

天王山は、現在でいう大阪である「摂津国」と、京都である「山城国」の国境にある山です。

たびたび戦の舞台になったことで有名で、1582年に羽柴秀吉が、主君であった織田信長かたきを討とうと明智光秀と戦った「山崎の戦い」の際には、この山を制した者が天下を取る!ということで「天下分け目の天王山」と呼ばれました。

つまり、受験では夏を制した者が志望校合格を勝ち取る!ということなのですが、戦いには備えが肝心ですよね。

それは「受験戦争」においても同じです。

来たる2021年の夏を制するために、5・6月の少し余裕のある期間を使ってしっかり準備しましょう。

具体的に少しお話しすると、まず4年生の皆さんには、この時期に学校と塾通いの両立が出来る上手なリズムを探って欲しいのです。

塾の宿題にどれくらい力を入れ、時間を使うのか。(以前からお伝えしているように、宿題は取捨選択してくださいね。)いつ、どのように身体を休めるのか。

秋を迎える頃からは勉強も難しくなるので、今のうちに良いサイクルを作っておきましょう。

5年生の皆さんは、今のうちに自分の通っている塾のカリキュラムやシラバス、テキストを確認し、自分が夏に何を学習するのか確認しておくと良いと思います。

その上で、ならば自分は夏が来るまでにどのあたりをテコ入れしておけば良いか、夏までどのように学習を進めるか、今のうち算段し、準備を始めましょう。

5年生の夏は、受験で最も大切なことをみっちり習う時期です。

有意義な時間に出来るように、万全の態勢を整えましょう。

6年生の皆さんは、基本的に全ての単元を一通り終えている時期です。

本格的な演習に向けて、積み残した単元を確認しましょう。

そして、その復習を毎週の勉強の中に組み込んでいくための時間配分や方法を具体的に考えることが大切です。

朝やお風呂の後など、決まった時間にルーティンとして行うのも良いですね。

ボリュームが有る場合や、不安な単元の状況が深刻な場合は、家庭教師などを利用して復習をしっかり挟み込むのも良いと思います。

復習は自分の通っている塾のテキストに固執せず、他塾の問題集や市販のドリルを合わせて使うことも検討してみてください。

6年生はこれから勉強量・時間ともにさらなる負担がかかってきます。

特に長休みは気が滅入ったり、やる気が途切れたりしやすい時期ですから、新鮮な気持ちで取り組める工夫も重要です。

今の時期を利用して、自分のやる気を刺激してくれる教材を探しに本屋さんに足を運んでみるのもおすすめですよ。

皆さんが、5月・6月を上手に使って、受験の天王山を見事に制してくれることを願っています。

【関西】今からでも間に合う志望校別特訓の受講資格について

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

6年生の志望校別対策講座はいつから?

塾での6年生がスタートして、はや3ヶ月が過ぎました。

これまで、「第1回合否判定テスト」、「第1回プレ灘中入試」、「第1回プレ甲陽学院中入試」、「第1回プレ星光・洛星・六甲・西大和中入試」、「第1回プレ神戸女学院・四天王寺中入試」(以上、希学園)、「第1回・第2回灘中オープン模試」、「第1回合否判定学力テスト」、「第1回女子最難関中オープン模試」(以上、浜学園)など、中学校の名前をつけた「冠テスト」や「合否判定」という6年生にとってはとても気になる名称のテストが行われてきました。

また、これらのテストのほかにも、「灘中合格特訓」(浜学園)や「志望校別特訓 コース別特別講座」(希学園)なども実施され、初夏にして、はやくも受験モード全開といった感があります。

しかし、実際問題として、志望校別の本格的な対策講座はいつから始まるのでしょうか。

大手進学塾の場合、志望校別対策の中心となる講座として「日曜志望校別特訓」(浜学園)や「志望校別特訓」(希学園)が準備されています。

希学園「志望校別特訓(第期)」の受講は57月の公開テストの成績で決定

このうち、希学園の「志望校別特訓」は6年生の1年間を通して開講されており、すでに2月から第期がスタートしています。

 

 第Ⅰ期 

 第Ⅱ期 

 第Ⅲ期 

 第Ⅳ期 

 実施期間 

 2月~4 

 5月~7 

 8月~10 

 11月~ 

とはいっても、一部のコースを除くと、第期は「徹底した基礎固め」(2021年春 入試実績報告会資料より)が中心となりますから、本格的な志望校対策が行われるのは8月からです。

しかし、この第期の志望校別特訓を受講するためには、各コースに設定された「コース在籍下限値」をクリアすることが原則として必要になります。

この「コース在籍下限値」は灘コースを除き、第期は57月の公開テストの平均偏差値となっていますので、これからの3ヶ月間の公開テストの成績がとても重要になってきます。

浜学園「日曜志望校別特訓」の開講時期と受講基準

では、浜学園の「日曜志望校別特訓」はどのようになっているのでしょうか。

日曜志望校別 

特訓コース 

主眼校 

受講基準 

M灘コース 

灘・東大寺・洛南高附属・西大和 

62 

男子最難関コース 

灘・東大寺・洛南高附属・西大和・甲陽・星光・洛星 

56 

女子最難関コース 

神戸女学院・西大和・洛南高附属・須磨学園・清風南海・四天王寺(医志・英数Ⅱ)・高槻 

55 

男女難関コース 

六甲・関西学院・神戸海星・清風・明星・大谷(大阪)・同志社香里・関大系列 ほか 

受講基準なし 

(※浜学園 20193月配付資料より)

浜学園の「日曜志望校別特訓」は6年生の後半となる7月から開講されますが、ここで気をつけておきたいことは、78月期の「日曜志望校別特訓」が夏期講習と連動している点です。

例えば、夏期講習を男子最難関コースで受講するためには、「日曜志望校別特訓」の受講コースも男子最難関コースであることが必要になります。

その「受講基準」を決めるテストは、次のようになっています。

上記のテストのうち、どれか1回のテストの偏差値が「受講基準」をクリアすればよいのですが、テストの開催日程を見ますと、4月の公開学力テストや合否判定学力テストはすでに終わっていますし、5月の公開学力テストも実施予定日が59日ですから準備期間がほとんどないように思われます。

 

対象となるテスト 

実施予定日 

日曜志望校別特訓 

78月期) 

577回 公開学力テスト 

411 

1回 合否判定学力テスト 

425 

578回 公開学力テスト 

509 

もし、この5月の公開学力テストでも「受講基準」を満たすことができないと、「受験の天王山」とも言われる夏期講習も希望のコースで受講することができなくなってしまいます。

今からでも間に合います

しかし、そのような場合を想定してか、浜学園には2つの『救済策』が用意されています。

ひとつは上記の偏差値が「基準」であって「資格」ではないということです。

「受講基準」は、「志望校に対する最低限度の努力目標と各コースの最低限度の授業レベルを示すもの」と配付された資料に書かれていますから、偏差値が基準に達していなくても希望すれば受講することは可能です。

もうひとつは、「各時期の途中の月であっても受講資格が取得できた時点で、希望のコースへ移籍することができます」(同資料)というものです。

つまり、これまでの「公開学力テスト」や「合否判定学力テスト」で、受講したいコースの偏差値を獲得できていない場合でも、6月の公開学力テストで受講基準をクリアできれば、7月から始まる「日曜志望校別特訓」や「夏期講習」の受講が可能になるということです。

希学園の「志望校別特訓 第期」の「コース在籍下限値」を決めるテストも、浜学園の「日曜志望校別特訓」と夏期講習の「受講基準」を決めるテストも、まだ残されています。

もし、現時点で希望するコースの偏差値をクリアできていない場合でも、これからのテストに向けて課題を整理し、それらを解消していけば間に合います。

何が課題かわからない、成績を伸ばすための学習がわからないようでしたら、お通いの塾で教育相談をお受けになられてみてください。

お時間がなかなかとれないという場合には、名門指導会でも電話でご相談を承ることができます。

いずれにしてもできるだけ早めに準備を開始して、志望校に一歩でも二歩でも近づいていきましょう。

GW、あせらずいきましょう。

今年もゴールデンウィークが始まりましたね。

去年は緊急事態宣言が発令され、全国的に「STAY HOME」が叫ばれる異例のゴールデンウィークでしたが、今年も残念ながら3度目の緊急事態宣言が発令されてしまいました。

お子さんたちはどのように過ごしていますか?

サピックスでは、去年は中止になった特別講座「GS特訓」を、今年は予定通り実施することが決まりました。しかし、毎年この時期に灘中オープンを行っている浜学園をはじめ、恒例のテストや講習を中止・延期した塾も多いようです。

コロナ禍で息の詰まる日々の中、これらを楽しみにしていたお子さんもたくさんいるでしょう。勉強の場といえど、特別模試や特別講習はお子さんにとって、ちょっとした非日常を味わえるイベントでもあるわけです。

ただでさえエネルギーを持て余した受験生のお子さんたちが、このような状況の中でも腐ることなく、充実した長期休暇を過ごすにはどうしたら良いでしょう。

まず、親御さんにお願いしたいことは、決してあせらないでほしいということです。

コロナで講習がなくなり、テストも延期された。勉強が遅れてしまわないだろうか。受験に間に合うのだろうか。貴重なゴールデンウィークを無駄にしたくない……

そんな風にあせる親御さんの気持ちはお子さんにも自然に伝わり、お子さんの心を不安定にします。

特に、間違っても授業内容を先取りさせたり、歯もたたない過去問を解かせたりはしないでくださいね。

そもそもゴールデンウィークは「調整期間」です。

この時期に大手の塾で新しい単元の学習はありません。

講習では主に復習内容が扱われますが、多くのお子さんにとっては不要なものです。これまで学習した各分野の上辺をサラサラなでるような講習を受けるよりも、この貴重な時間を、お子さんの弱い部分・抜けている部分を見極め、強化すべき時間に充ててください。

内部事情を明かせばゴールデンウィークは、正月も夏休みもない各塾の先生たちの、一年で唯一の息抜き期間でもあるのです。

よく確認すると、普段より授業時間が気持ち短くなっていたり、テキストも(先生方にとっても負担のない)易しい内容になっていることに気が付かれると思います。

これまでもたびたびお伝えしていますが、塾が提供するすべての宿題・すべての講習を、言いなりになってこなす必要は全くありません。

皆も受けるようだから……と恐れずに、勇気をもって、今のお子さんの状況に最適な選択をしてあげてくださいね。

もちろん、不安があればご相談ください。

次に大切なのは、休憩(遊び)と勉強のバランスです。

勉強も筋トレと似たようなところがありますね。

漢字や算数の計算は、筋トレのように少しずつで良いので、毎日続けていることが効果的です。

これまでの日課でそういう時間があったなら、休み中もぜひ続けてください。

特に取り組んでいなければ、これを機に習慣作りをするのも良いと思います。

朝ごはんの前や歯磨きの後など、忘れずに済むタイミングがおすすめです。

朝起きる時間や寝る時間をだいたい決めて、やる気があるからと言って深夜まで勉強したり、逆に、今日は集中できないから遊びの日!などとヤケになったりしないことが大切です。

長期休暇中、毎日毎日、1日中勉強をしていなくてはならないわけではないこと。

そんなことは非効率的であり、親御さんも望んでいないこと。

お子さんは、それらが分かると非常に安心することが多いです。

初めは大変でも、毎日のリズムを決めて、家族で協力してそれに沿って過ごしてみてください。休むべきところは、もちろんしっかり休みましょう。

リズムが整うと、だんだんお子さん自身が心と身体をコントロールしやすくなると思います。

うまくメリハリをつけて、気負わず充実したゴールデンウィークを過ごせるといいですね。

おうちでの勉強、どこでやるのが正解?

4月も半ばになり、道端には色とりどりの花が咲き始めましたね。運動不足解消もかねて、わたしも毎日散歩を楽しんでいます。 

去年の今頃は新型コロナウィルスの影響で全国的に一斉休校になっていましたが、今年は多くのお子さんが無事に新学期をスタートしているようです。

一部の学校では、いまだに新しいクラスメイトと顔を合わせられていなかったり、ご家族の誰かが風邪を引いただけでも登校を控えなくてはならなかったりと厳しい制限が続いていると聞いていますが、皆さんお元気でしょうか。

引き続きお子さんがお家で過ごす機会も多いと思いますが、そろそろ在宅学習の新鮮さも薄れ、勉強に集中できなくなってくる頃かもしれません。

そんな時は、ぜひお子さんが勉強に取り組む環境を見直してみてください。

まずはお子さんの勉強場所です。

以前からお伝えしていますが、ご家庭では、自室よりもリビングでの学習がおすすめです。

ただでさえエネルギーを持て余しがちな小学生にとって、自由時間のほとんどを勉強に費やさなくてはならない中学受験は大きな試練。ましてやこのコロナ禍では、そのストレスは輪をかけて大きいでしょう。

静まり返った自室に閉じこもり、毎日黙々と何時間も集中するのは、大人でも至難の業ですよね。

マウスの実験では、完全な無音状態では学習することはできないことが証明されています。ある程度の雑音、たとえば、「ザー……」という砂嵐の音(ホワイトノイズ)を聞かせた方が、学習効果は高まることが分かっているのです。

これは人間にもいえることで、無音よりも50デシベルくらいの雑音がある方が学習や作業には向いているといわれていますが、ご家庭であればそれに近いのがリビングです。かすかに聞こえる冷蔵庫の音、野菜を刻む音、キッチンの流水音……。窓を少し開けておけば、虫や鳥の声、風の音や葉ずれの音、鳥の声、虫の声も入ってくるでしょう。

また、親御さんの姿が時々目に入ることも安心感につながります。

ぜひお子さんをリビングに招き入れ、無駄なプレッシャーや緊張から解放し、脳がリラックスと集中に導かれやすい環境に置いてあげてください。ただし、テレビはもちろんラジオやご家族同士の会話は集中力の妨げになるので気を付けてあげてくださいね。

次に、お子さんへの声掛けです。

親御さんによっては、「どう?進んでる?」「手が止まってるわよ」「もう少しきれいに書いたら?」などと、お子さんの様子が気になってひっきりなしに声をかけてしまうようですが、これは良くありません。

その都度、集中が途切れてしまいますし、親御さんに監視されていると感じてしまうと、無駄な緊張感も生まれます。

あくまでもお子さんの様子をそっと見守り、勉強に区切りがついたときや、プリントやテストに勉強の成果が表れたときに、「すごいね」「がんばっているね」「一緒におやつでも食べない?」などと、さりげなく、お子さんをねぎらう声掛けをしてあげてくださいね。

また、在宅学習だからといって、先生の代わりに勉強を教えてあげないと、と親御さんが焦る必要はありません。指導はできるだけ学校や塾の先生に任せましょう。

ただし、通学・通塾が難しい状況などで、お子さんが先生に質問しづらい場合は、「その数字は、どうしてそうなったの?」「次に何がわかりそう?」というような声掛けで、お子さんの思考を導いてあげると良いでしょう。

親御さんにしかできない一番大きな役割は、「勉強が楽しい」「できるようになったらうれしい」というお子さんの意識を育ててあげることです。

お子さんがお家にいる時間が長いと親御さんも大変ですが、この機会に、中学受験を乗り切れる親子の強い絆とより良い関係を育めることを祈っています。

【関西】6年生の合否判定テストについて

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

6年生が対象となる合格可能性を判定するテスト

今回のコラムでは、6年生が対象となる志望校の合格可能性を判定するテストについてお話ししたいと思います。

6年生になる以前でも、浜学園の「小5 志望校判定模試」や希学園の「小5 合否判定テスト」などのように、中学受験の合格可能性を判定するテストは行われていますが、本格的な判定テストが実施されるのは6年生になってからです。

「灘中オープン模擬入試」や「プレ星光・洛星・六甲・西大和中入試」のように中学校名をつけた「冠テスト」が年に何回もありますし、より多くの中学校について合格可能性を判定する「浜学園 小6合否判定学力テスト(4月・6月・8月・10月)」や「希学園 小6合否判定テスト(3月・6月・9月・11月)」もあります。

6年生が始まって間もない3月や4月から志望校の合格可能性を判定するテストを行うことができるのは、この2塾の学習カリキュラムに理由があります。

首都圏を中心とする大手進学塾が5年生から6年生の夏前までの1年半をかけて受験に必要なことを指導することが多いのに対し、関西エリアの主な大手進学塾は5年生の1年間で一通りのことを終える学習カリキュラムとなっているため、6年生のはじめから志望校の合格可能性を判定するテストを行うことができるのです。

合格可能性を判定するテストの出題範囲

従って、6年生の春先に行われる1回目の合格可能性を判定するテストから、出題範囲は「全範囲」となっています。

具体例として、2019428日に行われた浜学園の「第1回 小6合否判定学力テスト 算数」の出題分野を見てみましょう。

出題分野 

算数 

算数 

数の計算 

(1)(2)(3)(4)(5) 

1-(1)(2) 

数の性質 

(6)(7) 

23 

単位と量 

 

1-(3) 

割合 

(9)(10) 

 

速さ 

(14)(15) 

6 

2量の関係 

 

 

平面図形 

(12)(18)(19) 

57 

立体図形 

(13)(16)(20) 

 

文章題 

(8) 

 

その他(場合の数、推理・論理) 

(11)(17) 

4 

浜学園の「合否判定学力テスト 算数」では、1行問題形式の算数と大問形式の算数2つのテストが行われます。

上記の表のように、6年生の4月に行われるテストでもほぼ全ての分野からまんべんなく出題されています。

合格可能性を判定するテストの対策

では、このようなテストの対策はどのようにすればよいのでしょうか。

はじめにしておくことは、どの分野について対策をするのかを決めることです。

「数の計算」については、「小6 計算&小問 完全マスター」(浜学園)のように毎日取り組めるような塾教材で練習をしていますので、まちがえやすい問題は分かっていると思います。

また、「数の性質」は6年生の2月・3月に塾で学習したばかりですので、どのような問題が苦手なのか、マスターコースやベーシックの復習テストを見ればわかります。

また、希学園の場合は春期講習で「数の問題」と「平面図形」(除:灘コース)を、浜学園でも「平面図形」と「立体図形」を春期講習で取り扱いましたから、テストにむけてすべきことがはっきりしているでしょう。

しかし、「割合」や「速さ」、「場合の数」などの問題は取り組む機会があまりありませんでしたから、忘れかかっていることもあるでしょうし、具体的にどのような問題が苦手だったか分からなくなっているかもしれません。

5年生の教材や復習テストは量が膨大なため、これらを利用してすぐに振り返りを行うのは難しいでしょうが、この2月と3月の「公開学力テスト」や「公開テスト」を活用すると、比較的短い時間で確認することができます。

というのも、6年生の「公開学力テスト」や「公開テスト」も出題範囲が無制限となっていますので、「割合」や「速さ」、「場合の数」の問題が出されているからです。

そこで、これらのテストをチェックして対策が必要な分野を絞り込みます。

分野が決まったら、次は取り組む優先順位です。

西村が提唱する「○△×方式(○:必ず解けると思える問題 △:自力で解くには自信がない問題 ×:よく分からなかった問題)」を応用しましょう。

対策をする時間は限られていますので、つい気になりがちな×の分野はいったん保留にして、△の分野=もう一息で解けるような分野や問題を優先順位のトップにします。

その際、同タイプの問題だけでなくその周辺知識となる問題も含めることがコツです。

例えば、2月の希学園の6年生の公開テストの問題3-(1)は「順列」に関する問題でしたが、この問題の間違い直しが解説を見てできた(=△)のであれば、「順列」とその周辺知識である「組み合わせ」の復習をする、といった具合です。

浜学園の4月の合否判定学力テストは目前なので厳しいかもしれませんが、6月の「合否判定学力テスト(浜学園)」や「合否判定テスト(希学園)」まではまだ少し時間があります。

お通いの塾の先生にアドバイスをいただくなどして可能な範囲の対策をしておきましょう。

ゴールデンウィークの特訓は受けるべきか

春休みが終わりました。

 

すっかり暖かくなり、まさに季節は春爛漫です。

学校でも新しい学年を迎え、気持ちも新たに頑張っているお子さんも多いと思います。

 

新学期が始まったばかりですが、すぐにゴールデンウィークがやってきます。

 

塾では2月に新学年がスタートし、春休みを経て学習内容もだんだんと難しくなってきていますが、GWは絶好の復習の機会ということができます。

 

GWの期間は一週間ほど平常授業がストップする塾が多いですが、その期間にサピックスのGS特訓のようなイベント授業が行われるケースや、関西の浜学園などのように「灘中オープン」といった特別なテストが行われる塾もあります。

 

早稲アカや四谷大塚ではこの時期に「GW合宿」が行われていましたが、今年はどうやら開催されないようです。

 

よくいただくのが、このようなイベントに関して「受けるべきなのか」というご質問です。

 

この質問への答えですが「多くのお子さんにとっては必要なし」となります。

その理由が、このようなイベント授業の特徴が「演習授業」であるということです。

 

GWの多くのイベント授業は、難関校を目指すお子さんが集まって、志望校の傾向に似た問題をみんなで解き、その解説を聞くことで志望校の問題への対応力を上げる、といった趣旨ですが、これはコンセプトとして9月〜行われる「日曜志望校別特訓」と全く同じようなものです。

 

学校名を冠したコースの案内などを読むと、非常に魅力的に感じるのですが、なぜ日曜志望校別特訓が夏休みのあとにスタートするかを考えてみれば、「今であること」が必須ではないとわかります。

このような「演習授業」を受けて効果があるのは、すでに5年生までの勉強が完璧に身についている、各塾でも上位10%程度のお子さんです。

 

多くのお子さんにとっては、6年生の春は弱点を補強したり基礎力を鍛えるといった「インプット」を重視したほうが効果が高いのです。

春の間にしっかりと弱点を補強し、インプットを増やした上で夏休みを乗り切り、いよいよ9月から入試対策に取り組むのが効果的です。

 

GWの特訓やイベントを受けるかどうか迷ったときは「今、我が子がすべきことはなにか」を考え、優先順位の高いものから取り組まれることをおすすめします。

 

もう一つ注意しなければならないのは、GWの休み期間、塾からかなりの量の宿題が出るということです。

もちろん一週間塾の授業がないわけですから、その期間に「やるべきこと」は必要ですね。

ただ塾から指定される宿題は、幅広い分野を「広く浅く」というものになっています。

 

お子さんによって苦手分野や弱点は違います。

宿題もいいのですが、まずは「我が子が真っ先に解決しなければならない問題は何か」を考え、宿題の中でもその分野に最優先で取り組むなど、工夫が必要です。

 

せっかく塾の授業が一週間空くわけですから、その期間を「なんとなく宿題をして」過ごしてしまうことが無いよう、今から計画を立てておくのがよいですね。

 

学校でも新学年 新しい学習サイクルを

都内では例年よりも早く桜が咲き、すでに緑の葉も見られるようになっています。

花だけのサクラも美しいですが、眩しい新緑もまた清々しい気分にさせてくれますね。

春休みもそろそろ終わり、小学校でも新しい学年が始まろうとしています。

■ 学校の新学年 学習サイクルを新たに構築しましょう

すでに塾では2か月前から新学年が始まっていますが、学校の学年が上がると生活も大きく変わります。

今一度、学習サイクルが順調にに回るよう、調整を行いたいですね。

2月に新刊が2冊、立て続けに発売になり、そのプロモーションもあってラジオやテレビへの出演、取材などでバタバタしていてブログをなかなか更新できずにいました。

実は昨年の年末くらいから、主任相談員を務めさせていただいている、中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主催で「魔法の学習プラン作成セミナー」というオンラインセミナーを開催しています。

これは、会員になってくださった親御さんたちと、月1回のペースでセミナーでお話ししながら、皆さんのお子さんにピッタリの日々の学習プランを「一緒に作っていく」という主旨のものです。

すでに200名近い方が会員になってくださっています。

その中で毎月学年別にセミナーでお話しし、皆さんの質問にお答えしているのですが、毎月のテキストを作る過程で、私もいろいろなことをあらためて感じています。

もっとも強く感じるのは、塾のカリキュラムがあるとはいえ、親御さんだけで学習計画を考え、それをお子さんに実行させていくのは並大抵のことではない、ということです。

■ 進み続けるサピックスのカリキュラム

たとえばサピックスの5年生の算数のカリキュラムですが、2月〜4月までは次のようになっています。

<2月~3月>

平面図形(1)

平面図形(2)

約数

倍数

総合(01~04)

分数と小数

<春期講習>

数の性質

和と差に関する問題

平面図形

<4月>

立体図形(1)

旅人算(1)

旅人算(2)

いちおう「総合」という週がそれまでの数週間の復習、という位置づけにはなっているのですが、春期講習会だからといってそれまでの復習をするわけではなく、どんどんカリキュラムが進んでいきます。

春休みはまだ短いから良いのですが、夏休みも同じようにどんどんカリキュラムが進んでいきますから、想像以上に大変です。

2月〜4月だけを見ても重要単元が目白押しで、特に「約数」「倍数」や「数の性質」などは他の単元の学習でも使う考え方、解法をたくさん習うため、非常に大切です。

つまり、ここで「コケて」しまうと後々に響いてくる、というとても重要で「怖い」単元でもあるのです。

このようなカリキュラムの「クセ」を前提に、効果の上がる学習サイクルを作っていくには、親御さんのマネジメント力が求められるわけです。

親としては本当に大変だと思います。

■ 『今月の学習プラン作成』セミナー

少しでもそんなみなさんの力になれるよう、カリキュラムをこなしていく上で「注意すべきこと」をあらかじめお伝えできるよう、毎回のセミナーのテキストを準備しています。

またセミナーの復習をいつでもしていただけるよう、また必要に応じて「あの単元では何が大切なんだっっけ?」と思い出していただけるように、セミナーはすべて動画に残して参加者の皆様にご覧いただけるようにしています。

春休みが終わり、また平常授業の学習サイクルが始まります。

次に学習の見直しができそうなのは、ゴールデンウィーク。

一週一週の内容を完璧に、というのはは無理かもしれませんが、おおまかには身につけていけるよう、学習サイクルを回していきましょう。

「おおまか」では物足りないとお感じになるかもしれませんが、各塾のカリキュラムは「スパイラル」(らせん状)になっており、一度習ったことが繰り返し出てくることになります。つまり次に同じ単元が出てきたときに「かなりの割合で忘れてしまっている」ということを防ぐことが、まず第一に大切なことです。

「西村則康と一緒に作る 魔法の学習サイクル『今月の学習プラン作成』セミナー」興味がある方は下記のページをチェックしてみてください。

https://peatix.com/group/52235/view

【関西】2021年度の関西エリアの男子難関中の受験状況

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■2021年度の関西エリアの中学入試①…受験状況

今回は、関西エリアで行われた2021年度の中学入試について、お知らせしていきたいと思います。

はじめに、学校より公開されている男子難関中の受験状況を見ていきます。

学校名

2021年度

2020年度

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

180

650

227

2.86倍

180

762

256

2.98倍

東大寺学園

200

869

402

2.16倍

176

909

361

2.52倍

大阪星光学院

190

703

278

2.53倍

190

695

297

2.34倍

甲陽学院

200

380

215

1.77倍

200

383

217

1.76倍

洛星(前期)

180

396

254

1.56倍

180

448

264

1.70倍

合計

950

2998

1376

926

3197

1395

※東大寺学園中は高校からの募集停止に伴い、募集人数が2020年度よりも増加しています。

上記の表のように、関西エリア2府2県の男子難関中学校の受験者数は、大阪星光学院中を除くと2020年度よりも減少しており、実質倍率も概ね下がって、やや「広き門」となっています。

■2021年度の関西エリアの中学入試②…得点状況

次に、科目別の得点状況を、同じく学校より公開されたデータで見ていきます。

下記は、合格者の科目別合格者平均点(※洛星中のみ受験者平均点)を2020年度と比較したものです。

合格者平均

国語1

80点

国語2

120点

算数1

100点

算数2

100点

理科

100点

合計

500点

2021年度

63.2

78.0

83.0

67.8

76.5

368.5

2020年度

58.1

79.9

72.0

71.2

66.7

347.9

東大寺学園

四科合格者平均

国語

100点

算数

100点

理科

100点

社会

100点

合計

400点

2021年度

66.1

61.6

68.2

73.3

271.4

2020年度

62.8

64.4

72.5

69.7

272.6

東大寺学園

三科合格者平均

国語

100点

算数

100点

理科

100点

合計

300点×4/3

2021年度

66.2

75.0

71.0

283.0

2020年度

61.8

75.1

74.8

282.2

大阪星光学院

合格者平均

国語

120点

算数

120点

理科

80点

社会

80点

合計

400点

2021年度

75.9

99.8

66.5

62.5

306.9

2020年度

79.6

82.2

58.8

63.5

285.3

甲陽学院

合格者平均

国語1・国語2

100点・100点

算数1・算数2

100点・100点

理科

100点

合計

500点

2021年度

116.2

143.8

56.4

316.4

2020年度

133.5

129.0

58.6

321.1

洛星(前期)

受験者平均

国語

120点

算数

120点

理科

100点

社会

100点

合計

440点

2021年度

70.7

68.4

71.1

74.2

281.4

2020年度

66.8

78.3

64.3

78.8

実質倍率は全体的に少し低くなったのですが、合格者平均点を見てみますと、灘中で20.6点、大阪星光学院中で21.6点と大幅に上昇している学校があります。

その内訳は、灘中の場合は、国語が3.2点、算数が7.6点、理科が9.8点と各科目で上昇しており、大阪星光学院中の場合は、国語が3.7点、社会も1点と合格者平均点が下がっていますが、算数は17.6点、理科も7.7点と大きく上がっています。

また、合格者平均点が前年よりも下がった甲陽学院中ですが、科目別でみると、算数の合格者平均点は14.8点と、これも大きく上昇しています。

実質倍率は下がりましたが、算数や理科の点数を伸ばしていく必要があるという点からは、受験生にとって厳しい入試であったことに違いはなさそうです。

■2022年度の入試に向けて

2021年度の中学入試では、昨年来の新型コロナウイルスの影響で小学校が一時休校となったことをうけてでしょうか、難関中の算数が、灘中をはじめとして、比較的解きやすい問題が多かったように感じました。

(令和3年度 灘中学校 入学試験問題 算数 第1日 より)

2 3つの容器A、B、Cにあわせて600mLの水が入っています。容器Bの水の体積は容器Aの水の体積の1.5倍です。容器Aから容器Bに水を40mL移すと、容器Bの水の体積は容器Cの水の体積の1.4倍になりました。水を移したあとの容器Bの水の体積は( )mLです。

12 ある立体の展開図を、幅が3cmの方眼紙にかくと、下の図の太線のようになりました。斜線をつけた三角形は正三角形です。また、正方形でない四角形の面はすべて長方形です。この立体の体積は( )cm3です。

灘中の場合、2021年度入試では上記のような取り組みやすい問題が出されたことや、直近3年間の算数1の合格者平均点が、2019年度の49.8点から、2020年度は72.0点、2021年度は83.0点と、2年連続して上昇していることを考えると、2022年度入試では算数の入試問題が難化する可能性が十分に考えられます。

大阪星光学院中も、算数の合格者平均点が、2017年度に87.4点、2018年度に88.3点と続けて上昇した翌年の2019年度では、74.8点と大幅に下がりました。

その後、2020年度に82.2点、そして今年が99.8点と上昇しましたので、2022年度の入試で再び合格者平均点が低くなる可能性があります。

ですから、新型コロナウイルスやその変異株が小学校などの学校教育にどのような影響を及ぼすのか、今の段階では予測がつきませんが、2020年の夏以降のように休校という事態がおこらない(そうあって欲しいと心より願っています)場合のことも見すえ、2022年度の受験生はこの2月から十分に対策を講じておくことが望ましいといえます。

【関西】2021年度の関西エリアの女子難関中の受験状況

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■2021年度の関西エリアの女子難関中の受験状況

前回は、関西エリアで行われた2021年度の男子最難関中の入試についてのお話をいたしました。

今回は、女子の最難関中の入試についてお伝えしていきたいと思います。

はじめに、公開されている女子の最難関中(共学校を含みます)の受験状況を見ていきます。

学校名

2021年度

2020年度

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

神戸女学院

(女子)

135

265

154

1.72倍

135

240

153

1.57倍

四天王寺

(女子)

医志約40

医志227

医志96

2.36倍

医志35

医志547

医志93

5.88倍

洛南高附属

(共学)

男女約280

女子263

女子81

3.25倍

男女約280

女子248

女子75

3.31倍

西大和学園

(共学)

女子約40

女子230

女子64

3.59倍

女子約40

女子208

女子36

5.78倍

高槻

(共学)

女子約90

女子588

女子195

3.02倍

女子約90

女子558

女子219

2.55倍

※注1…四天王寺中学校は、医志コースから英数コースへの変更合格(まわし合格)があります。

※注2…洛南高等学校附属中学校の募集人数は、内部進学者90名を含みます。

※注3…西大和学園中学校の受験者数、合格者数は、県外入試を含みません。

上記の表のように、関西エリア2府2県の女子最難関中学校の受験者数は、四天王寺中の医志コースを除くと、2020年度よりも増加しました。

■見かけ上は実質倍率が大きく下がった四天王寺中の医志コース

上の表を見ると、大阪府の人気校である四天王寺中の医志コースは、受験者数、実質倍率が、ともに大きく下がっています。

というのも、四天王寺中は2021年度より募集するコース制度に変更があったからです。

これまで四天王寺中には、医志コース、英数Ⅱコース、英数Ⅰコースの3つがあり、その中で最も難しい医志コースを受験し惜しくも合格点に達しなかった場合、英数Ⅱコース、英数Ⅰコースの合格点を満たしていれば、それぞれのコースへの変更合格、いわゆる「まわし合格」がありました。

2021年度からも、医志コース、英数Sコース、英数コースの3コース編成にはかわりがありません。

ですが、医志コースの受験結果が残念なものとなったときに、これまでの英数Ⅱコースに相当する英数Sコースではなく、従来の英数Ⅰコースにあたる英数コースへの変更合格に変わりました。

学校ホームページによれば、医志コースは「医歯薬学系進学」、英数Sコースは「非医歯薬学系を目指す生徒のために再編し、最難関大学進学」、英数コースは「最難関大学の文系・理系進学にとどまらない、社会で活躍できるリーダー」を可能にする学力を養成するとあります。

そのため、2年進級時にコース変更の機会があるとはいえ、「まわし合格」よるコースの違いが、受験コース選びをより慎重なものにさせたものと思われます。

この他、英数コースに併願、専願の2つの募集形態ができたことも2020年度との大きな違いです。

これらの募集方法の変更の結果、四天王寺中の2021年度の受験状況の詳細は下記のようになりました。

コース

2021年度

コース

2020年度

募集

人数

受験

者数

合格者数

実質

倍率

募集

人数

受験

者数

合格者数

実質

倍率

医志

約40

227

96

2.36倍

医志

35

547

93

5.88倍

英数S

約40

155

57

2.72倍

英数Ⅱ

90

189

変更合格185

合格30

­

英数

併願

約170

21

変更合格128

合格5

­

英数Ⅰ

120

変更合格178

合格69

英数

専願

316

160

1.98倍

合計

約250

719

446

1.61倍

合計

245

736

555

1.33倍

■2022年度の入試に向けて

四天王寺中の受験状況は上記の通りですが、その他の女子最難関中も見ていきますと、昨年度は応募者が前年比で10%近く減った神戸女学院中は過去5年で最も多い受験者数、洛南高等学校附属中や高槻中は前年比で約5%、西大和学園中は前年比で約10%、それぞれ受験者数が増えました。

このように女子最難関中が人気を集めるその理由の1つとして考えられるのが、新型コロナウイルスへの対応です。

学校が休校措置となったとき、いちはやくオンライン授業に取り組むなどした私立中学校の危機管理力は、最難関大学の受験を考えるご家庭にとって大きな安心材料になったことでしょう。

また、2021年度に限ればこれまでのセンター試験とあまり大きな違いがなかったといえそうな大学の共通テストも来年以降どのようになっていくかが不明ですから、そのような場合にも私学の素早く適切な対応力に期待するところが大きいのだと思います。

そういった意味で、2022年度の入試も最難関中や人気校については厳しい競争が予想されそうです。

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