算数と数学が同じように見えて、本質はかなり異なるものだと言うことはおわかりいただけているのではないでしょうか。

ここでちょっと復習しておきます。

算数は、今わかっていることから次に何がわかるかという外に広がっていく思考が中心です。

数学は、今わかっている数々のことがどのような法則や公式に集約されるかという中に向かう思考です。

また、算数は具体的なもののイメージが大切で、数学は式という抽象的なものが大切なものだという言い方も出来ます。

ですから、親御様が子どもに算数を教えるときには、数学的な手法は極力避けていただきたいのです。

算数を解くときに数学が有効になるのは、わずかに「倍数算」と「倍数変化算」だけだと考えています。
 

また一方で、学習の効率を高めるには、視覚、聴覚、体感覚をフル動員することが有効です。

お母様方も経験があると思いますが、英単語の暗記は、「発音しながら」「書きながら」「見ながら」やってこられたのではないでしょうか。

ベッドに寝転がりながら単語帳を眺めているだけではなかなか覚えることが出来ませんね。

暗記の場面だけではなくて、考えたり、次の一手に気づいたり、共通の規則を発見したり・・・。いわゆる「考える」時にも大変有効です。
 

算数の図法には、線分図から始まって、面積図、てんびん、ダイヤグラム、状況図、ベン図・・・・。

多種類あります。これらの図を描くことで、子ども達は具体的な長さや広がりをとらえることができます。

算数の応用問題を解くときに大切なことは、

「何がわかっているか?」という問題の仮定をとらえること。

そして、「何が聞かれているか?」という結論を理解することだと、何度も書いてきました。

図を書くことで、今わかっていることを利用しやすい形にまとめることが出来ます。

また、「何がわかっているのか」を細かくチェックすることも同時に出来てしまいます。

手を使い、目を使い、自分の頭の中で言葉を使い・・。複数以上の感覚を使います。

しかも、大きいとか小さいとか、広いとか狭いとか、長いとか短いとか、一見してすぐにわかるように書かれています。
 

難問を解くときには、その糸口を見つけるのが一番むつかしいのですが、

図を書くことが得意な子どもの場合は苦も無く見つけてしまうことが多いのです。

逆に図を書き慣れていない子どもは、腕組みをしたまま固まってしまうのです。
 

このブログやメルマガだけではなく、TV番組「100秒博士アカデミー」でも鉛筆の持ち方を強調させていただきました。

これは、読みやすい文字を素早く書くためだけではなく、わかりやすい図を素早く描くためにも大切なことなのです。
 

一度、子どもの家庭学習用の算数ノートを見てあげてください。

上記のいろいろな図が書いてあれば大丈夫です。今後伸びていく可能性が高いと思ってください。

反対に、図がほとんど無く、いきなり式ばかりが書いてあるようなら心配です。

もっと心配なのは、式がなくていきなり計算が始まっているノートなのですが。