塾の授業の価値を高める聴き方

今回も講師の先生方のミーティングの話題です。

これまでのミーティングの話題の中心は、家庭学習において子供自身の頭を活発に
働かせる方法でした。
ですから、このブログも家庭学習のやり方ややらせ方についての話題が中心です。

各塾で夏期講習を受けるに当たっての注意点の情報交換をやっていたときのことです。
ある講師がこんな事を言い始めました。
(A講師)「夏期講習、特に小6のように長時間の講習の場合、塾の授業と家庭学習を
セットで考えないと片手落ちになるね。
授業を積極的に聞く事から始めないと、いくら家庭学習をちゃんとやっても効果は半減する。」

確かに正論です。
(私)「授業を積極的に聞くというのは、どういうこと?」
(A講師)「通常、小6の夏期講習は、(問題演習)その後(解説)を繰り返すものだけれど
授業の受け方って言われるとどうしても解説授業の聴き方を中心にとらえてしまうよね。
でも、実は、解説授業の前の問題演習の時のマインドがその後の解説授業の価値を
決めていると言えないかな。」

(私)「問題演習を真剣にやることで、解説授業が良く理解できるということかな。」

(A講師)「もちろんそれも大きな要素。それ以外には問題を考えるときの注意力や
気付きの問題も大きい。」

(私)「もっと、詳しく説明してもらえる?」

(A講師)「基礎力はあるのに応用問題が解けない、とか、初見の問題に弱い子って多いよね。
でも、そういう子のほとんどは理解する力はちゃんと持っている。
そして、理解できる子の中に応用できること出来ない子、初見の問題に強い子と弱い子がいる。
その違いは、問題を解くときの思い入れの強さにあるように思う。
なんとしても解いてみせるぞ!と思いながら解く子と何となく解いている子では、
問題文から抽出できる情報の質や、自分の記憶の中から探り出してくる知識の妥当性に
大きな差が生じるよね。」

(私)「確かにそうだよね。全く同感!」

(A講師)「真剣に問題に取り組んだ後に聞く解説授業の価値は、
いい加減に解いた後に聞く授業の価値よりも格段に高いと言えると思う。
ああ~、そこに気付けば良かったのか!
とか、僕もまんざらじゃないなとか、
授業を聞きながら納得感が高まったり自己肯定感が高まったりする。
同じ解説授業を聞いていても、その授業の価値は問題演習時の真剣さや
マインドにかかっている。」

(私)「演習の後で解説があるからと思っていい加減に解いていると、
手痛いしっぺ返しがあるということだね。
全く同感。そのことを子供たちにわからせたいね。」

A講師の話を聞きながら、昔教えたある女の子のことを思い出していました。
お母さんとの面談では、いつも同じ話です。
「うちの子家で本当に勉強しないんです。9時にはベッドに入ってしまいます。
これで良いんでしょうか。」
でも、成績はいつもトップクラスです。
ある授業で、秘密がわかりました。
ちょっと難しめの問題の解説をしているときです。その子が、
「先生、その問題は2回目でしょ。」
「そうだよ、良く覚えていたね。」
「だって、3ヶ月前に203の教室の黒板の右の方に書いて説明してくれた問題だったもん。
自分では解けなかったんだけれど、あのときの説明を聞いてよく分かったんだから。」

驚きました。確かに3ヶ月前に説明した問題です。
言われてみれば、あの授業は日曜特訓でしたから、203室です。
黒板の右に書いて、スペースが足りなくなって左に書いてあった前の問題解説を
消したような気がします。
恐るべき集中力です。
その子は、当然のごとく桜蔭中学に合格しました。

今日6月6日は、金星の太陽面通過でした。でも、残念ながら朝からずっと曇りでした。見たかったな。
次は、8月14日の「金星食」(金星が月に隠される)を楽しみにしておきます。

読み物から得る理科社会の知識

麻布中学を筆頭に、渋幕や渋渋、時には海城や学習院女子には、子供たちにとって始めて
見聞きする内容が入試に出題されます。特に理科や社会に目立っています。

これらの初見の問題は、長い説明の後で設問があり、その後にまた説明の文章が続
きそして設問・・・。このような問題構成となっています。
内容は、ほとんどの小6生が、過去効いたことも見たことも無いような
現象や知識や考え方についてのものです。
これらの問題を解くためには、長い説明文を正確に読み取り、過去の経験や学習したことに
照らし合わせて考えていくことが必要です。
説明の文章を丁寧に正確に読み取ることが出来れば、その中に解答が隠れている
問題とも言えます。

でも、これは誰にでも出来る事ではありません。
普通の入試問題や塾の試験では高得点が取れるのに、いわゆる麻布傾向の問題では
さっぱり得点できないというお子さんが多いのです。
説明内容を正確に読み取り、自分の過去の経験値に照らし合わせて
考える事が出来るためのいくつかの素養が必要だからです。

それは、下記の3つになります。
1 いろいろなおもしろい現象があるんだなと感じ取ることが出来る。
2 それらの現象には、必ず原因があるんだなと感じることが出来る。
3 現象を知ったり、原因を理解する事に楽しさを感じることが出来る。

これらのいわゆる「知的好奇心」は、どの子供の中にもあります。
初めは眠っている知的好奇心も、適切な刺激を与えられると急激に活性化します。
日常生活でいろいろな経験を重ねること。
どういうことに「不思議」が隠れているのかのアドバイスやヒントを与えてもらう事。
読み物を通じて、不思議に出会うこと。
これらのことが大切になってきます。
特に入試問題への適応力については、活字から情報を得る練習が不可欠ですから、
何を読ませるのかが重要です。

何を読ませたら、不思議を感じる能力が育ち活字からの情報収集力が高まるのか
というご相談を多くの方から頂きます。私の知っている範囲で書いてみますと。

・朝日小学生新聞
・読売KODOMO新聞
・毎日小学生新聞
・ジュニアアエラ(月刊)
などがあります。

ジュニアアエラなどは、一つの項目についての記載分量が多く、大人でも楽しく読めます。
最新の知見も何気なく入っていますから、入試には有利に働くと感じています。

金環日食をご覧になりましたか

金環日食をご覧になりましたか。

私も、6時過ぎに起き出して近所の公園で観察しました。

太陽の右上が欠け始めてから40分ほど経ってやっと金環食に、
それから40分ほど経って普通の太陽に戻りました。

近所の公園では、小学生や幼稚園の子供たちが親と一緒に観察していました。
理科の知識は体験によって確実に補強されます。なぜだろうという疑問も起こり、
それが知的好奇心につながっていきます。

この子供たちは、今後学校で日食を習うときに、
「そういえば何年か前に見たことがあるな」
と思い出し、そのことで学習の能率があがり、深く理解する事が出来るはずだと思います。

その観察されている様子を興味深く見ていたのですが、大きく二つのタイプに
分かれているようでした。

一つは、お父さん(お母さん)自身も興味津々で、
「あっ欠けてきたわ!太陽の右・右よ!」
「今リングになった~!」
「リングが切れちゃった~」
と子供たちと楽しんでいるタイプ。

もう一つは、ただ黙って子供たちに付き添っておられるタイプです。

人の記憶力は、活字の意味情報だけを単独で大脳に収納するよりも、画像情報や
音声情報そして嗅覚の情報と共に収納する方が強化されるものです。

あのときのお母さんは楽しそうだったなとか、
公園の脇に植えてある花の良い匂いがしていたなとか、
得意げに日食の起こる理由を公園の地面に書いて説明してくれた、
あのときお父さんの声が優しかったな。
このような周辺情報と共に呼び起こすことが出来る知識は忘れにくいのです。

このような自然のイベントを観察するチャンスは多くはありません。
次の6月6日に起こる金星の太陽面通過も是非お子さんと一緒に観察してください。
そして、そのときにはお子さんと一緒にはしゃいで楽しんでいただければと思います。

「もう勉強なんかしたくない!」(2)

子供が塾のテキストを破り捨てたり、「もう勉強なんかいやだ!」と言って部屋にこもってしまったりする、
このような相談は意外に多いということを前前回に書きました。

そして、そのようになる共通の状況があるように感じるのです。
それは、「身の丈以上の学習を強要されている。(と子供がいつも感じている)」事です。
親は子供のためを思い、このぐらいはやって欲しいと要求し、
塾はこの程度の質量はこなしてくれないと困ると思い宿題を出します。
それを子供がやっとの思いでやり終わった時に、親御さんがこのような言葉かけを
続けていたらどうなるでしょうか。

1)「何、そのやり方は。間違いだらけじゃないの。そんな事をやっているから成績が上がらないのよ!」
2)「宿題が終わったら、すぐにテスト直しをしなさい。ゆっくりしている時間は無いのよ!」
3)「宿題だけやっていて良いと思っているの。テレテレやっているから社会の暗記時間が無くなってしまたじゃないの!」

たぶん、大人だっていやになってしまいますね。

「たくさんの宿題を頑張ってやったね。大変だったね。」から話し始めてあげたら子供の気持ちは
どのように変化するでしょうか。
ねぎらいの言葉を充分にかけてから、
「頑張ったことは分かるんだけど、慌てすぎてあちらこちらに間違いがあるみたいね。
間違い直しまで今やれたら、もっと気持ちがすっきりすると思わない?」
というような言葉をかけてもらった子供は、テキストを破り捨てたりしないものです。

中学受験の勉強は、この年齢の子供たちにとって各自のキャパシティーの限界近くまで
頑張るべき時期もあります。
ところがそのキャパシティーは子供たちの気持ちや感情によって大きく変化します。
たくさんの勉強をやった後でも、「すごく頑張ったね。」と褒められれば、もっと頑張ってみようという
気持ちにもなります。

同じ量の勉強をしていても、それを過剰な負担と感じる子供がいる一方で、平気な子もいます。
ストレス耐性が高い子供になってもらうために、子供への言葉掛けに一工夫をお願いしたいと思います。

明日から、小6の連休特訓に参加する人たちへ

大手塾を始めいろいろな塾で明日からGW特訓が開講されます。
その塾に通っている限り、なかなか不参加を申し出ることは出来ないものです。
塾に言われるままいつの間にか参加することになった人も多いのではないでしょうか。
 どうせ参加するのであれば、効果が出るように上手に利用してくださいね。

 どの塾でもこの時期のオプション授業は、「早い時期に入試問題に慣れる」事を目的にしています。
ある塾では、「入試問題を解かせて、君たちにショックを与えることが目的だ。」との説明すらありました。
これはあながち嘘では無いのです。

 普段、細かくパターン分けされたカリキュラムに従って授業を受けている最中ですから、
入試問題のような、いろいろなパターンを組み合わせた問題や、無闇に文章量が多い問題は
学習していません。
いきなり、明日からのGWの特訓でそのような難問や複雑な問題に挑戦することになります。
いつも自信たっぷりに学習している人にとってはこれまでの学習を見直す良いチャンスです。
ところが、毎週のかりカリキュラムをこなす事でいっぱいいっぱいの多くの子供たちの場合は、
自信喪失を招く危険を考えておく必要があります。

GWの特訓に参加する子供たちには、
1 難しい問題が出来なくても大丈夫。
2 複雑な問題の解説を最後まで粘り強く聞くための訓練だと分からせておく。

そして、授業の後の復習はやらせすぎないようにお願いします。
授業内容を完璧に復習させようとすると膨大な時間がかかります。
2~3問だけをピックアップして、解く過程を丁寧に振り返るような復習をお願いします。
せいぜい1時間が目安です。

GWの特訓に参加しない人たちにとっては、弱点対策のチャンスです。
一番苦手な単元を中心に復習してください。

□ 塾なんかもう嫌だ! □

「合格したいけど、しんどい。もういい。外で遊びたい。」
「もう塾なんか嫌だ!」
こんな、言葉をお子さんが発し始めたら親御さんはどうされるでしょうか。

うちの子に限ってそんなことは無い、とお感じになっているかもしれませんが、
実はご相談の中で15~6%を占める程に多いのです。
この2件は、ここ1週間で寄せられた中の一部です。
 
順調に受験勉強を続けてきた子供が、このような事を言い始めるには、
共通の条件があります。

1 塾の先生の言うことは絶対で、宿題は細大漏らさずやっていかないといけないと
強く思っている。
2 根がまじめ。
3 頑張ることは良いことだとわかっていて、いつも頑張ろうと思っている。

このような環境の中で、何かのきっかけで負担感が増したり、ストレスが強くなったときに、
感情があふれ出して自身でのコントロールが効かなくなるからなのです。

このようなきっかけになるのが、
1 何かの原因で、テストの成績が下がったとき。
2 塾の新しいオプション授業が始まったとき。
3 クラスが変わり厳しい先生になったとき。
4 親御さんの焦りを子供が感じ取ったとき。
なのです。

解決のための詳細は次回以降に書いていきます。

今回は、「解決法は、親御様の中にある」と言っておきましょう。
と言いますのは、上記のご相談をされたお母様は、
「志望校への綿密な計画と戦略があれば、あとは能力と性格に合わせたポイントを絞った
効率的なやり方があるのでは?」
とおっしゃっていました。
このお母様は既に本質を感じ取っていらっしゃるようでした。
そして、ほとんどの場合、親御様は原因を無意識のうちに感じ取っていらっしゃるのです。

国語の読む力と算数の力

 先日、あるお子さんの授業にうかがって”あれっ”と思いました。
先週まで多かった読み間違いや意味の取り違えがほとんどありません。
そして、問題文をしっかりと目が追っています。

近頃、”問題文をちゃんと読まない”子供が多いことは、このブログでも何度も取り上げています。そのような子供に共通な行動は、「問題文を一瞥しただけで解き始めてしまう」、
または「数字や漢字を眺めただけで考え始めてしまう」というものです。
そのような悪い癖が劇的に改善されているのです。
何があったんだろうと考えて、ハタッと気がつきました。春休み中の国語の授業です。

春休みを利用して、国語の家庭教師を2回だけお願いされました。
その授業終了後お母様から電話を頂きました。
「2回だけでしたけれど、すごく良かったです。どんなふうに読んでいけば良いかが本人にもよ~くわかったようです。」
嬉しいお電話でした。
普段私は算数と理科を教えに行っています。
その授業の中で、「なぞるように読む。」「なぞっている手の動きと視線の動きを合わせる」「何がわかっていて何が聞かれているのかを理解した上で解き始める」。
このような練習を繰り返していました。
少しずつ良くなっていたのですが、国語の授業の後の変化は劇的でした。

国語の文章の読み方は、「鑑賞するために読む」のではなく、
「正解が出るように」読むことです。
問われている事を咀嚼し、その答えが書いてありそうなところを読み直し、
これだという言葉を探し・・・。という読み方が正しいのです。

読んだ後の答えの導き出し方は算数とは違いますが、読むところまでは全く同じです。

このお子さんは、その国語の授業の後、教えてもらった方法で国語の問題を解く練習を
重ねたそうです。その練習の後が私の算数の授業だったわけです。

算数のミスが多いお子さんの場合は、国語の読み方をチェックすることが有効だということを
再確認しました。

先日、「アエラwithキッズ」の取材を受けました。
6月中旬発売だそうです。興味のある方は手にとってご覧ください。

海外から帰国 中学入試

近年、海外勤務から帰国するにあたって子供を中学受験させたいというご相談が増えています。
一方、私立中学校でも帰国子女枠を設けているところがどんどんと増えています。
ところが、海外から帰国したお子さん方が私立の中学を受験する環境が整って来たとは
言えない状況なのです。

それは、受け入れ側の中学校の体制を見ますと、中学校毎に帰国子女の扱いが大きく異なること、
中学校毎に英語の扱いが大きく異なること、
中学校毎に定員の枠が大きく異なること、
判定基準が曖昧な(公表されていない)学校が多いことなどが原因です。

受ける側から見ますと、現地のインタースクールに通っているか日本人学校に通っているか、
塾に通っているかなど、赴任先の環境によって大きく異なっています。
そして、子供が小5の段階で帰国なのか、小6になってからの帰国なのかによっても
やるべき事が大きく異なってきます。

 「こうすれば合格しやすい」という標準が存在しないのです。

 通常の中学受験でも、お子さんの学力と志望校のマッチングがなかなか難しいのですが、
帰国子女のお子さんの受験には、それ以外の要因が数多く関わってきます。

うちの子は、インタースクールに通って英語が得意だから、英語を利用して中学校を受験させよう
と思っていたのに、調べてみると希望している学校は参考程度にしか考慮されないとか、
帰国子女枠での受験なのに入試問題は一般受験と同じであったり、また異なっていたり。

 一般の中学受験では、第1志望から始めて、第2第3志望と多くの中学校を受験することが出来ます。
そして、合格のための勉強は各学校共に共通であることが多いのです。
また、問題傾向を吟味することで学習の質をそろえることができます。
ところが帰国子女枠の受験についてはなかなかそれが出来ないのです。

例えば、K校の場合入試教科は、算数・国語・作文の三教科、
または算数・国語・理科・社会の四教科です。そして問題は一般の試験問題と同じです。

T校の場合は、算数・国語・英語で、問題は非常に易しく英語の出来が合否に直結します。
K校に向けた対策がT校には全く役に立たない事になります。

近い将来、お子様を帰国子女枠で受験させようと考えていらっしゃるなら、早めの情報収集と
早めの対策をお願いします。

・行かせたい学校をピックアップする。
・定員を調べる
・入試教科を調べる
・問題レベルについての情報を得る
・お子様の受験学力を判断する
・受験までのお子さんの何の学力を高める必要があるのかを判断する
・お子さんの学力を高める手段を考えておく
・日本に帰ってきてから行かせる塾を決めておく
・行かせる予定の塾のテキストを使って学習を始めておく
(必要ならば市販の受験問題集も用意する)

帰国されてからの情報収集では大きく不利になることがありますからご注意ください。

例えば、帰国されてからのお住まいがどの地域になるかによって、受験できる中学校が限定されますし、
通うことが出来る塾も制約を受けます。
帰国後の住まいについても事前に充分に考えておいてください。

小4生の皆様へ 入塾後6ヶ月間で大切な事

 各塾共に新学年の学習が始まりました。新小4の入塾したばかりの方も多いと思います。
入塾してから6ヶ月間の学習がその後の受験勉強の大勢を決めてしまうことが多いのです。
始まったばかりだから、慣れるまで様子を見ておこうという親御様の姿勢は間違いでは無いのですが、
下記の事だけはご留意ください。

□算数

・計算力を甘く見ない。
 塾によっては、毎日の計算練習のためのテキストが渡されます。
授業の復習や問題演習が優先される結果、計算練習はどうしても後回しにされがちです。
しかも計算力は一朝一夕に身につくものではなく、進歩が見えにくいものです。
ところが、小5生や小6生になると、正確性・スピード両面で大きな差がついてしまっています。
 計算練習は毎日15分。これを習慣にするようにお願いします。

・意味をとらえて式を書く。
 大人の場合は、問題を読めばその意味が自然に理解出来ます。
ところが子供の場合はなかなかそうはいきません。
そのために、どの数字をどの数字で割ればいいんだろうと迷ったような場合、
「割り切れる数字を選ぶ」ということをやりがちです。しかも、その答えは大概の場合は合っています。
問題の意味を頭の中の自分の言葉で理解せずに問題文の”雰囲気”で、割り算にしようかな、
かけ算にしようかなと考えても、正解になってしまう事も多いのです。
ところが、少しだけ込み入った問題になったり、小5生になって分数や小数が入ってくると、
「割り切れる数字を選ぶ」手法が使えなくなります。
 「うちの子は、そのあたりにある数字を、適当にかけたり割ったりしているだけのようなのですが・・・」
という御相談も多いのです。
 時には、「なぜこれは割り算にしたの?」と聞いて上げてください。
合っていれば、褒めてあげるチャンスです。
間違っていたなら、お子さんの中に納得が生まれていないことになりますから、
説明してあげる必要があります。
その問題の解き方の説明というよりは、「目に見えるように」話してあげる事です。
いろいろな硬貨を並べて10進数の仕組みを理解させたり、竹ひごを並べて切ったりつなげたりして
線分図を納得させたり。遊びの雰囲気を演出しながらお願いします。

・いろいろな体験を積ませる
 算数だけの事では無いのですが、体験したことが無いものは理解が難しいのです。
小5生あたりでも、500円で仕入れたものを600円で売ると利益はいくらになりますか?
と聞いたときに、分からないと答えたり600円と答えたりする子供が多いのです。
それは、「仕入れる」って何のこと?「利益」って何のこと?と、
頭の中にたくさんの?マークが点灯していて、何を考えていいのかが分からないからです。
 お掃除・お買い物・お料理・片付け・工作。まだまだ勉強に余裕がある時期ですから、いろいろな事をやらせてあげてください。

□国語

 小学校で扱われている文章と塾で扱われている文章は、質量共に格段の違いがあります。
その違いをお子さん自身が、理解する必要があります。

・テキストの文章を読み込む練習をする。
 問題を解くことは、”おまけ”くらいの気持ちで構いません。
それよりも、文章を何度も丁寧に読む練習を重ねてください。

・要約やあらすじを50字程度に書く練習をする。
 文章を精読して、自分なりに分かった内容をまとめながら、時系列を追う練習にもなりますし、
感情表現の熟練にもつながります。
全部の文章をやるわけにはいきませんが、時々は要約やあらすじ書きをお願いします。
 書き終わった後は、良いところを2~3褒めた後で、1~2個だけ注文をつける程度にしてください。

・漢字練習は毎日。そして意味に注意をさせる。
 語彙学習の中心は漢字です。
子供の場合、読めない言葉や知らない言い回しが1~2個あるだけで、文章全体の意味が
理解出来なくなることが往々にしてあります。
また、「偏や旁」の意味を理解しながら、漢字を覚えることで新しい漢字を覚えやすくなります。
丸暗記では無い漢字練習の習慣を、6ヶ月のうちにお願いします。

□理科・社会

 小4の理科は、知識単元が中心、そして社会は地理です。
暗記さえしてしまえば何とかなる部分だと言えますが、難関校の入試に対応するためには、
知識のつながりが大切になります。
小4の段階ではつながりを作る基礎となるカテゴライズ化を意識した暗記をお願いします。

 肉牛の生産は○○県、豚は□□県、・・・これらは「畜産物」。
 コンバインや耕耘機やトラクター・・・これらは「農業生産効率を高める工夫」
このようなカテゴリー分けです。

 細かな知識は良く覚えているのに、テストでは点数が取れない原因の多くが、
カテゴライズ化されていない知識の丸暗記にあります。
 いきなり重要業語句の暗期に入らずに、説明の文章をよく読むところから始めてください。

9月からでは志望校対策は間に合わない!

前々回の講師ミーティング内容の続編です。

ある講師が話し始めました。
S講師:「塾のテキストは、入試問題に対応していない。」

塾のテキストは、順次改訂されていますからにわかには信じられませんでした。

私:「でも、塾のテキストは改訂され続けているんじゃないの?」

S講師:「確かに改訂はされています。でも、今の塾テキストは2~5年前の入試問題を基準に
作られていますね。
それを抜粋したり、改題したりまたはそのまま。
ところがそれでは今の傾向に合わない、間に合わないことがはっきりしたんです。」

私:「確かにそうだよね。」

S講師:「S塾にしてもN塾にしてもY塾にしても、小6の一学期までのテキストの文章レベルと、
実際の入試問題の文章レベルに大幅な乖離があるんです。
なぜなんだろうとずっと考えていたんだけれど、テキスト改訂のサイクルを考えてなるほどと
感じたんだよね。」

私:「Y塾が、小4生のテキストから順次改訂を始めているね。確かに難しくなっている。
塾のテキストは改訂を重ねる度に難しくなるね。」

S講師:「私みたいに、もう何十年もこの仕事をしていると、どうしても昔の入試問題や昔教えた
子供の学力を思い出してしまうんだけれど、どう考えても昔の方が易しい。素材文も設問も。」

T講師:「そうだよね。算数でもそれは感じる。」

私:「それって?」

T講師:「算数の難問がどのようにして生み出されているのかをいつも考えながら入試問題を
見ているんだけれど、今年の入試問題を解いていてもやはりそうなんです。
大学入試問題のアレンジが多いなと感じているんです。
また、最難関校が作り上げたいて大学入試問題からのアレンジ問題やオリジナルな難問が、
数年後には中堅校に改題されて出題されている。
大学入試問題それも東大の入試問題を毎年解いていると、これは中学入試問題に改題されそうだなと
感じることがあって、そのような問題の多くは中学入試問題に降りてきている。」

私:「前の話に戻るけれど、そのようなテキストに載っていない最新の入試問題への対応は、
9月からの5ヶ月では無理だということ?」

S講師:「記述が多い、文章が難しい学校ではとても無理だということがはっきり分かったと
言っていいでしょう。」

私:「なぜ無理なの?」

S講師:「子供たちの日常から大きくかけ離れた心理変化や状況把握が要求されているから、
慣れるのにどうしても時間が掛かる。そのような文章に関わっている時間が必要。」

T講師:「算数でも、塾の平常授業の指導がパターン把握を中心に行われている場合は、
試行錯誤の大切さを子供自身が感じるには期間が必要だと思います。
算数は、頭にしまっている解き方を当てはめれば一発で答えが出るものだと思い込んでいる子もいます。
成績上位生の中にもいっぱいいますから。」

私:「ということは、平常授業で単元を進めながらも、志望校の対策を並行してやっていかないと
間に合わないと。」

S講師:「そうそう。実体験が出来ないならば、文章を読んで疑似体験を多く積ませることが大切。
特に、自分の言葉でまとめさせる記述が多い学校については、書く練習も大切。」

T講師:「御三家などの試行錯誤が必要な学校については、どうしても時間が欲しい。
塾内のクラスアップだけに小6の1学期を使い切ってしまうと、後が苦しいですね。
今年の今年の○○君は、受かったから良かったんですが、私の実感ではギリギリ間に合った状態ですね。」

私:「なるほど、今年の開成の算数や桜蔭の国語などは、早めの対策がどうしても
必要だということですね。
ところで、Y塾のテキスト改訂の目的の1つが、入試に必要な全単元の基礎は小5で終わらせる
事のようだけれど、このことは上位校受験には大きなメリットになりそうだね。」

ST講師「それは当然ですね。」

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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