小5小4で成績が中位 大切な子供のマインド

今回は、困っている子供たちの気持ちつまりマインドに注目してみます。

成績が停滞している子供たちの多くは、学習すべき内容を整理してあげると
どんどんと成績を上げていきます。
ところが、それだけでは全く効果が無い子供が常に一定の割合で存在します。
それは、子供の気持ちでが原因です。そして子供の学習に向かう意欲を妨げるマインドの
原因を作っているのは、子供本人では無く周りであることが多いのです。

1 やらされ感一杯の嫌々学習
 家に帰ってくれば、「早く勉強をしなさい!」。
 学校の勉強が終わったと思ったら、「早く塾の勉強をしなさい!」。
 塾の勉強をしていると、「いつまで計算をやっているの、そんなにだらだらやっていると、
文章題ができないでしょ。それに、社会や理科の暗記はどうするの。
それに、国語の宿題もあるでしょ!」
 このようなお母さんの台詞が日常化することが、こどもの「やらされ感」を高めてしまいます。
 これをやっても、その後あれもやらないといけないし、それが終わってもあれもやらないと、・・・・。
永久に終わらないような呆然とした気持ちになってしまいます。

・あれもこれも一度に話さない。今やるべきことを最大2つだけに絞って話す。
そして1つが終わったら、「頑張ったね。」と認めて労ってあげる。

2 親子喧嘩
 お子さんのいい加減さを見つけたときに、ここぞとばかりに攻め立てていませんか。
 「何この片付け方は!このプリンとはこっちに仕舞うように言ったでしょ。
この前もそうだったでしょ。
いつもいつもそうなんだから。
そんなことをやっているから、成績が上がらないんでしょ。
お母さんが見張っていないとちゃんとできないの!
この前もそうだったでしょ。
目を離したすきに、プリンとを引き出しに突っ込んだでしょ。
そんなずるい事をやってて良いと思っているの!・・・・・」

・叱ったりたしなめたりするときは短く、そして威厳を持って。
 過去の話を持ち出して長々と説教を続けるのは最悪です。
 30秒を越える説教の内容は聞いていません。
そして長くなればなるほど、内容よりもお母さんの苛立ちや怒りだけを感じとるようになります。
それがお母さんへの反抗心のもとになります。
 また、お母さんの説教や激怒ですら、首をすくめて時間が経つのを待っていればよいことを
学習してしまいます。
そうなると、お母さんとしてはより強い言葉、より子供の気持ちにぐさりと突き刺さる言葉を
使わざるをえなくなってしまいます。
そのうちに、「うるさい!くそばばー!」という信じられない反撃を食らうことは、
珍しいことではありません。

3 こどもの自己肯定感をどんどん壊してしまう台詞
 「なぜ、こんなのが分からないの!」
 「この前もやったのに、もう忘れたの!なぜ、そんなに早く忘れるの!」
 
 こんな台詞を使う塾の講師や家庭教師は、子供を教えるべきではないと思っています。
そんな簡単なことをなぜ納得させられなかったのか、
なぜそんなに早く忘れてしまうような理解しか与えることができなかったのか。
自己反省の材料にすべきことを、子供への責任転嫁をしているわけですから。

そして、親御さんもこのような言葉を使わないでほしいのです。
このような言葉を、ダブルバインドといいます。
「なぜ、こんなのがわからないのか」と聞かれて、
「あまりよく聞いていなかったから。」と言えば叱られて、
「頭がよくないから」と言えば、「言い訳ばかりをして」と叱られます。
どのような返答をしても、責められることがわかっている質問を、ダブルバインドの質問と言います。
このような質問を投げ掛けられた子供は、反抗心を沈殿させながら、鈍感の鎧を身に付けるしか、
なすすべがありません。

 中学受験の過程で、家族のコミュニケーションが深まりお互いを信頼しあえるようになることが
最良です。
ところが、中学受験のために親子げんかが増え、関係がぎくしゃくしてしまっている例を
無数に見てきました。

親子関係が子供のマインドを決定してしています。和やかな明るい親子関係を心がけてください。

 
 

小5小4で成績が中位 大切な学習内容

今回は、「小5小4で成績が中位、そして上がらずに困っている人」のついて、学習内容を書いて行きます。

家庭学習の優先順位は、普通
1 宿題
2 授業の復習
3 暗記
であることが多いのですが、これが実は間違いなのです。
理想は、
1 授業の復習
2 暗記
3 宿題
です。

復習主義の(今のほとんどの進学塾です)塾の宿題は、授業中にやった問題の類題が宿題に出ます。
授業が終わってまだあまり時間が経っていませんから、
「あの公式で解ける問題だ」とか、
「あれは割り算で解けた問題だ」
とかの記憶が鮮明です。
そのために、なぜその式を使うと答えになるのか、なぜ割り算なのかを理解しなくても、
正解が出てしまうことになります。
入試に向かう最終段階では、「問題を読んだ瞬間に使うべき公式が分かる」状態にする
必要があるのですが、そうなるためには問題パターンの本質をとらえる必要があります。
問題パターンの本質をとらえるには、「何が分かって」、「何を出す問題か」、
そしてその過程で「どんな考え方が必要なのか」を理解して、自分なりに分類していくことです。

この本質をとらえる時間を省略して、いくら類題演習を繰り返しても学力が向上しないのです。
近頃の御相談の大多数を占めるのは、
「頑張って勉強しているのに成績が上がらない」
「復習テストは出来るのに、総合テストになると点数が取れない」なのですが、
この原因が、本質を理解する事を省略しているからなのです。

塾の授業から帰ってきてすぐに、授業の再現をしてもらいたいのです。
原則は頭の中で行う作業です。
ノートとテキストを出して、問題文を読み、ノートの書き込みを見て、先生からどんな説明を聞き、
その時にどのように感じて、どのように納得をしたか、
これを思い返す時間が大切なのです。
これが授業の復習です。

始めは、お子さんを先生役に、親御様が生徒役になって、
「先生、この問題を教えて!」(親御様)
「エッヘン、それじゃあ良く聞いておくんだよ。これはね・・・・」(お子様)
このような場面を作っていただくのは、すごく効果的です。
ユーモアにあふれていますし和やかです。
 このような数問の復習によって、理解の幹ができあがります。
その後に宿題をやって欲しいのです。
 「こんなにたくさん宿題があるな!急がないと間に合わないぞ!早く終わらせなくっちゃ!
」このような心の動きが日常化してしまうことが一番危険な事なのです。

暗記を二番目に挙げました。これは理科や社会の学習についてです。
理科や社会の宿題は、ほとんど問題を解く事です。でも、問題を解く事は、
「必要な知識を覚えたかどうかの確認」にしか過ぎません。
特に小4小5段階では問題が単純な分、なおさらです。
まだ、覚えてもいないのに、確認をしても意味がありませんね。

必ず、覚えてから確認をするように学習の順序を修正してください。
そして、覚える前に、説明部分をしっかりと読む事も忘れずに実行して欲しいのです。
重要語句だけの暗記は、知識の離れ小島を増やすだけで、本格的な問題には対応できません。
文脈の中で理解して覚えた知識がテストで使える知識になります。

細かく見ていけば、お子さん一人一人、修正すべき箇所は異なります。
でも、上記の2つに注目していただくだけでも大きな効果がありますのでお試しください。

9月以降の学習(小5中位生編)

小5小4で成績が中位、そして上がらずに困っている人向けに書いて行きます。

見直すべき大項目は3つ。
1 時間の使い方。
    1日の中での時間の割り振りと、1週間での曜日毎の時間の割り振り。
2 学習内容
    授業の復習・宿題の取捨選択・テスト対策
3 勉強をするときの気持ちの持ち方

この中の1つでも欠けると効果は半減します。

1の時間の使い方について。
理想は1週間の曜日毎の学習プランに基づいて、その日の学習内容を決めていくことですが、
それが出来る子はそうそういません。
そこでお勧めしたいのが、その日一日でやろうと思うことを箇条書きにすることです。

 小学校から帰ってきたら紙を一枚出して、「今日やれれば良いな~」と思うものを箇条書きにします。

 ・算数の○○の宿題
 ・社会のP○○からP○○までの暗記
 ・国語の長文P○○の演習

このような具合です。

お母さんは、横で多すぎないかどうかのチェックです。

「そんなにたくさん出来ると思っているの!ちゃんと考えなさい!」悪い見本のような声かけです。
「やる気になってるわね。そのやる気は認めるけれどちょっと欲張りすぎだと感じるんだけれど、どう?」
このように、何かを認めてあげる言葉をかけてから修正を持ちかけてください。

子供はこの箇条書きしながら、「これを頑張ろう」とか「これが出来たら気持ちいいだろうな」とか
「できそう気がする」というように少しは感じ始めています。
その気持ちをボッキリと折ってしまうようなセリフはやめましょうね。

そして、このときに大切なのは、お母さんとの非言語のコミュニケーションです。
 「うちの子、放っておけば何を書くか分からないんだから。」
と思いながら眉間にしわを寄せて見ていれば、そのお母さんの感情は間違いなく子供に伝わっています。
その結果、反抗的なめちゃくちゃな計画を書くか、
それともお母さんをその場だけ満足させるような(本人にとってはあまり気乗りがしない)
計画をでっち上げる事になります。
 
「子供なりに、少しは成功の予感を感じながら書いてくれているはずだ。」と
無理にでも思いながら、笑顔で「どれどれ」とのぞき込むようにしてください。

このときにお母様にもう一つお願いがあります。
子供は、1週間の学習すべき内容を俯瞰して、その日一日のやるべき内容を考える事は
ほぼ不可能です。
それをお母様の役割にしていただきたいのです。でも、これも表現の仕方に注意してください。

「あれはいつやるのよ!いつも嫌いなことを後回しにして!」と叱るよりは、
「それだけ出来たら気持ち良いだろうね。その良い気持ちで○○もやってみれば?」
というように提案してあげて欲しいのです。

箇条書きにしてた内容の1つが終了する度に、蛍光ペンでグイと消していく事も提案してください。
「よ~し終わった」という開放感と共に、「よく頑張った」という満足感も感じながら、
この作業が子供にとってのささやかな快感になります。
 
このような、一日毎の箇条書きが1~2週分たまったところで、
1週間の学習プラン作成に取りかかってください。
また、この「日々の箇条書き」をずっと受験まで続けていただいても構いません。

学習内容と学習マインドについては次回以降に書いて行きます。

9月以降の学習(小5上位生編)

今回は、9月以降の小5生の学習についてです。
ある程度は出来るんだけれど、親御様としては何か物足りなさをお感じになっている。
このようなお子さんが多いのではないでしょうか。

今回は、実際に寄せられた御相談を例にしてお話ししたいと思います。

まさにある程度以上出来るお子さんです。
狭い範囲の復習テストでは点数が取れるのに、総合的な問題では点数が取れない。
どうすれば良いかという御相談です。

(御相談への返信)
○○塾の□□クラスとのこと、優秀なお子さまなのですね。
 
さて、○○テストでは点数がとれるのに組み分けなどの範囲の広いテストになるととれないという理由から
考えていきたいと思います。

小5段階で、上位クラス以外のお子さんなら、各回の理解が浅いことが原因のほとんどです。
 一方、上位クラスのお子さんの場合は高得点を目指すことになりますから、
上記の原因を払拭したとしてもなかなか満足できる点数には到達できません。
メールにお書きの通り、初見の問題への対応力が大切になってきます。

 この初見の問題への対応力をつけるには、授業中の演習で真剣に正答を目指す学習姿勢が
大切になります。
ところが、真面目である程度成績がよいお子さんたちの中には、かなりの割合で、
「授業中の真剣さや理解の不足を家庭学習で取り返す」タイプの学習を重ねている生徒が多いのです。
 この学習方法ですと、習った問題やよくある問題を完璧に仕上げることはできますが、
切り口の見つかりにくい問題や条件が複雑に絡まった問題では歯がたちません。

 小5の今は、初見の問題であっても、そんなに難しくはありません。
これが、小6の2学期になりますと、数段階難しくなります。
 それは、小5では、「この問題の解き方を知っていますか?」とか
「この知識を覚えていますか?」という趣旨での出題がほとんどなのですが、
小6の2学期の問題や上位校の入試問題では、
「この問題の解き方を見つけることができますか」という趣旨の問題が増えるからです。
 
ところが、お子さんに「授業中の演習は、真剣に正解を目指せ」と説教しても効果はありません。
お子さんなりの真剣さでがんばっていると感じていますから、
「ちゃんとやっているよ!」という無駄な反抗心を芽生えさせてしまいます。
 
解き方が見つからなかったときの基本動作(身体的なものや気持ちの作り方や自分への声かけ)を
身につけさせることが効果的です。
その基本動作の練習場として授業中の問題演習を利用するという考え方です。
 
1 問題を正面に置き直して、目と問題との距離を少し変えてみる。
 
2 問題を必ず読み直してみる。
 
3 「なにがわかっているか」を自分に問いただす。
 
4 「なにを聞かれているか」を自分に問いただす。
 
5 何を書けば解けそうに感じるかを自分に聞いてみる。
 
5年生段階では上記の5個になります。今は後半の3つが重要ですが、小6では前半が大切になります。
 
「この問題の解き方を見つけだすことができますか」という設問趣旨ですから、
見つけだしにくいようにノイズになると文章や言葉が入っていたりするからです。
 
なお、親御様がお子様の学習につきあわれる際は、できる限り説明しないことを心がけてください。
遠回しなヒントを与えるとか、お子様に説明させることを中心にしてください。
 
お子様の受験成功を心から祈っています。

 
小5の二学期以降に習う単元は、全て入試に直結する単元です。
そして、これまでに学習してきた知識があることを前提として設定されている単元が数多くあります。
ですから、初見の問題と言えども自分の頭の引き出しを探してみれば、
何らかの糸口が見つかるはずなのです。

「教えてもらうのを待つ」、「解説が始まるのを待つ」という学習マインドから、
「解説までに何とか解きあげてみせる」という意欲的なマインドへの変化が大切なのです。
 

小6 入試5ヶ月前からの学習方法

2学期の授業が始まりました。
小6は入試直前のまとめ授業に入りますし、小5は入試の直結する重要単元が目白押しです。
小4は、文章題が本格的に始まります。

(小6)
 日曜日の学校対策が本格的に始まります。また、週日の平常授業はいつも通り続いていきます。
そして塾によっては、土曜日にも授業が追加されています。
カリキュラムが、2つも3つも同時並行で進んでいくことも珍しくありません。
この時期に大切な事は、優先順位です。
一般的に、第一優先は日曜日の志望校別、二番目は平常授業になります。
第三番目の授業カリキュラムは、無視する方が良いこともあります。
例えば、ある塾の土曜特訓については、
「授業には参加するが、授業内で完結させて家庭学習に持ち込まない」、
または
「授業を欠席することに躊躇しない」。
このような思い切った方法を使う方が良いお子さんも多いのです。

この時期に大切な事は、
1 知識の総まとめをする。
理科や社会の知識は、それ自体が得点源です。
また、考え方や解き方も大切な知識です。
そして、何度も何度もチェックを繰り返すこと。
人間は忘れる動物です。
忘れてしまう事に嫌悪感や劣等感を持つ必要はさらさらありません。
「忘れる以上のスピードで覚え直していけば良いんだ。」と思ってくださいね。
これを、私は「知識のモグラたたき」と呼んでいます。

2 入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。
これまでに何度も書いてきましたが、小6の一学期までは、
「こんな知識を持っていますか?」
「こんな解き方を知っていますか?」という設問です。
ところが、入試問題は、
「この問題を解くための知識や考え方を見つけることが出来ますか?」
という問いが中心になります。上位校ならばなおさらです。

そのような問題では、
・文章が長い。
・「何が分かっていて何を聞かれているのか」(仮定と結論)を見つけ出す事が難しくなるように、
問題文にノイズ(わかりにくい言い回しや、必要で無い情報)が含まれている事が多い。
このような特徴があります。
一瞥してすぐに問題を解き始めるという習慣が身についてしまっているお子さんが、
「テストの時には間違ってしまったのに、家に帰ってきて解けばすらすらと解けてしまう」
という症状を示す理由がここにあります。

1の「知識の総まとめをする。」はスピーディーに。
2の「入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。」場合は、
じっくりと落ち着いて。
勉強のやり方や気持ちの作り方を変化させる必要があります。
この時期には、「じっくり落ち着いて」が出来ないお子さんが多いのです。

志望校の過去問演習がそろそろ始まります。
これを「じっくり落ち着いて」勉強する材料として上手に利用してあげてください。

小5と小4については次回以降に書いて行きます。

中学以降の学習(2)

中学受験の学習を通して、間違った学習方法を身につけてしまった場合の修正方法について
書いていきます。

間違った学習方法とは、
1 何から何までお膳立てが出来ていて、学習の工夫をする習慣を身に付ける事が出来なかった。

2 学習内容を納得せずに、丸暗記で過ごしてきた。

この2点に集約されると思います。

中学受験においては、学習のプランニングの大筋は親御様の方でやるべきです。
それは、優先順位をつけて、必要なものから順にやっていくことが子供には難しいからです。
時には、塾で出された宿題を無視してまで必要な事柄を優先しなければいけない事もあります。
そのような場合は、塾の先生の強制力に勝る親御様の強力な指導が必要になりますね。

でも、細部の工夫はお子さんの役目です。
 「まずノートを見ないで解いて、分からなかったものについてノートを見よう」とする方が効果的なのか、
「授業ノートをしっかり見直した上で、解き直しをする」方が効果的なのか。
このような事をお子さん自身が判断すべきなのです。
だいたい理解出来ていることなら、まず解いて見る事から始める方が良いでしょうし、
難しいと感じていることなら、ノートの復習から始める方が得策でしょう。
「だいたい分かった」とか「難しくててあまりよく分からなかった」というような
自己判断から始める学習の工夫をしてきたのか、
それとも、いつもいつも同じ方法で機械的に繰り返してきたのかの違いです。
 この工夫の無い学習を、「自己判断の無い、質より量を重視した学習」とでも名付けましょうか。
 
一方で、「納得の無い、質より量の学習」もあります。
なぜかは分からないが、とりあえずこの方法で解けば正解が出る。
とりあえずそれを覚えてしまおうという心の動きに従ってしまう学習です。
「とりあえずの暗記学習」とも言えます。
ところが、高校の数学になると、三角関数の公式だけでも10個以上あります。
2~3個の基本公式だけを身に付けておいて、他の公式を自力で導き出せるようにしておけば
負担は少ないのですが、10個とも覚えておこうとする生徒が多いのです。
これは物理においても言えます。
なぜかを理解して、公式の意味と導き出し方を理解しておくと、覚えるべき公式の数は
1/4以下に出来ます。
 「とりあえずの暗記学習」が、日本の子供たちの理系教科の学力低下の原因の一つだと
私は考えています。

ところが、大学入試において国立大学の理系に進学しようとすれば、
5教科7科目のセンター試験で高得点をとらなければいけません。
医学部ならば9割以上必要です。
朝から晩までの長時間学習をしても、この方法では決定的に時間が足りません。

また、別の難しさもあります。
それは、算数から数学への学習法の変化です。
中1で習う1次方程式の文章題は、実は算数でいとも簡単に解けてしまいます。
食塩水の問題でも、てんびんや面積図で数秒です。
方程式を使うと、立式と計算で1~2分かかることになります。
ところが、この時期に算数を禁じ手にして、方程式に慣れておくことが大切なのです。
今後難しくなる数学を解くための道具(方程式)の使い方を訓練すべき時期です。
ですから、中学入学後1年間は、多量の計算練習が大切なのです。

 このように、時期によって目標が異なります。
1 基礎訓練の時期(中1・2)
2 応用力を身に付ける期間(中3・高1)
3 得点力を身に付ける期間(高2・高3)

この2回で書いてきたことを覚えておいていただいて、お子さんに時期に応じたアドバイスをしてあげてください。

中学校以降の学習(1)

夏期の授業に忙殺されてブログの更新が遅れてしまいました。

ここ数年、中学生や高校生の授業依頼が増えています。新規の方も多いのですが、
中学受験終了後も引き続いて依頼される事も多くなっています。
また、中学受験時に担当させていただいた方から1年後2年後に連絡が入ることもあります。

私立中学に進学した生徒たちを教えながら、いろいろと感じる事があります。
私立中学に進学した生徒たちの少なくとも50%以上は、学習面において何某かの劣等感を抱えて
6年間を過ごしているのではないのだろうか、という思いです。
成績上位の30%の生徒たちだけが、楽しく充実した学校生活を送っているように思えてならないのです。

合格の歓喜に浸っているうちに、いつの間にか中学の学習が始まってしまい、
いつの間にか授業について行けなくなった生徒も多いでしょう。
でも、このタイプの成績不振は、早い時期ならすぐに成績を回復させることが出来ます。
勉強量が不足しているだけですから、学習スケジュールの作り方を教え、自己チェックの仕方を教え、
何カ所かの学習の重要ポイントを押さえていくことで、学校の定期テストで高得点をとらせることが出来ます。

難しいのは、
1 中学受験の勉強の感覚が抜けきらずに、中学校の勉強を何となく続けている場合。
2 中学受験の学習を通して、間違った学習方法を身につけてしまった場合。
この2つの場合です。

今回は、1の中学受験と中学高校での勉強感覚の違いについて書いていきます。

中学受験と中学高校での勉強感覚の違いは、多方面にわたります。

・テストの目標点数も変わります。
中学受験時には70%で良かったのですが、中学校に入れば100点を目指す学習に
変えていくことになります。
中1の初めての中間テストでは、クラスの平均点が90点を超えることも珍しくありません。
80点をとって「まあこんなもんでいいかな」と思っていると、いつの間にか授業について行けなくなります。
学習の正確性や確実性が大切になってきます。

・予習と復習のバランスが変わります。
中学受験では、ほとんどが復習中心だったのですが、中学以降では予習が大切になります。
学校で出される宿題(予習の宿題はほとんどありません。復習の宿題です)だけに追われているうちに、
授業進度について行けなくなるのは珍しいことではありません。

・中学校以降は、どんな家庭学習をするのかを手取り足取り教えてくれません。
  自分で学習時間や学習方法を工夫する必要があります。

・中学受験以上に、問題を解く課程が重視されるとともに、その正しい表現が要求されます。

・運動クラブに入った場合は、短い時間を有効に使う学習方法が大切になります。

 夏休みはもう半分以上終わってしまいましたが、最後の2週間でこれまでの遅れを取り戻す事は
十分に可能です。しかも、中1生や中2生なら、友達に圧倒的な差をつける事すら可能です。
 今日寝る前に明日の学習予定を作ること。
 英語と数学については、2学期の予習をやっておくこと。
 
この2点が大切です。

塾の予習は本当に不要?(その2)

前回は、「今の塾の子供たちは、解けないことに慣れすぎている」という話題でした。

 授業中の演習や、家でやる問題演習での正答率を高めるにはどんな方法が考えられるのでしょうか。
家庭学習での正答率を高めるには、授業中の正答率を高める必要があります。
というのは、授業中に間違った問題は、、家に持ち帰って解き直しをすれば、解説授業の理解に応じて
30%から600%の範囲で解けるようになります。
決して100%というわけではありません。
しかも、解く道筋を聞いた後ですから、この種類の復習は、解き方を見つけたり正解に少しでも
近づくための工夫をする力を高めるものではありません。
その方法に沿って解けば、オートマチックに正解出来る事を学んでいることになります。

ということは、授業中の演習では、始めから高い正答率を確保できる方が有利だと言うことになります。
習い始めたばかりですから、少ない情報量しか持っていません。
そのなかで試行錯誤する力量がものを言うことになりますし、試行錯誤すれば何とか解けるだけの
事前の情報を仕入れておくことが必要だということになります。

授業は、「基本の説明」→「基本演習」→「演習問題の解説」→「標準レベルの知識解説」→
「標準問題の演習」→「標準問題の解説」・・・このような順序で進んでいきます。 
速いスピードの解説について行けない子(このような子供たちが非常に多いのです)や、
過去そのような発想をした事が無く、その説明が理解しきれなかったりすれば、
解くための必要最小限の情報すら理解出来ない中で、問題演習に取りかかることになります。
当然正解出来る問題は少なくなります。
このように、「初めての挑戦では解けないことが当たり前」を何度も経験することになります。
演習時間を、何となくやり過ごしながら、そのうちに始まる解説授業を待つ。
このような、気持ちの反復練習を重ねていくことになります。
 
基本問題の演習に必要な知識や情報を事前に取り込んでおく事が出来れば、演習時間をもっと有効に
使えるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。つまり予習です。

テキストをとりあえず読んでおく。例題の1~2問だけでも解き始めておく。
これだけでも授業の理解が大きく変わり、これまで何となくやり過ごしていた時間が、
正解に向けて頑張る時間に変わる子供も多いのではないでしょうか。
今、大手塾は復習中心主義です。

日能研は予習が禁止されているようです。
予習をしていった生徒が叱られたという話をあちこちで聞きます。
またサピックスは、毎週授業始めにテキストを渡されますから、予習は現実的に不可能です。
四谷大塚では、一部予習が課題になっているようです。
ネットオークションでサピックスのテキストが高額で取引されているのは、
もしかしたら予習のためかもしれませんね。

社会の講師からはこのような意見が出ました。
「経験が少ない小学生が、授業の限られた説明だけで知識のつながりを頭の中に構築するのは無理だ。
事前に説明を読む程度の予習は必要だと切実に感じている。
特に、太字も無い日能研テキストの場合は必須だと感じている。」

塾の予習は本当に不要?(その1) 「テストでミスを多発する子は、普段の演習問題での正答率も低い。」

近頃の先生方とのミーティングは、私のその時々の興味に添って話し合っています。
この方法は、私の独りよがりにすぎないのではないのかという自問自答を繰り返してきました。
幸いなことにそうではないようです。
参加してくれている先生方の活発な発言を聞いていると、私が近頃疑問に思ったり、
悩んでいたりすることがかなり重複していることが分かってきたからです。

またまた、そのミーティングでの話です。
「テストでミスを多発する子は、普段の演習問題での正答率も低い。」
という話になりました。
決して他の子に比べて理解力が劣っているわけでもない、計算力が低いわけでもない。
それなのに、テストでいろいろなミスを連発する。こんな子が近頃大過ぎないかというわけです。
確かに、そう言われればこれまでミスを減らすために効果抜群だった方法が、
どうもうまく働かない子が出始めてきました。
そのような子は、確かに演習で間違うことに対して頓着していないようです。
塾の授業中の演習では、「間違っても、この後の解説を聞いて理解すればいいや。」
と思い込んでいるように感じますし、そのような気持ちで解く事が習慣になってしまっている
ようにも感じます。
 
間違うことに慣れてしまう。間違うことが習慣になって、たくさん間違うことが普通の状態になっている。
それは、正しい答えを出すことよりも、終わらせる場合によっては答えらしいものを書くことが
大切な目的になってしまっていることです。

100点のテストで60点をとる場合、解答欄を全部埋めて60点の子供と、
解答欄の70点分を埋めて60点の子供と、どちらが今後伸びていきやすいと思われますか?

家庭教師の立場からすると、70点分を埋めて60点の子供の方が上げて行きやすいのです。
正しい答えを出すことに執着してくれていますから、インプットを手助けするだけで
順調に伸びていってくれからです。

 「今の受験勉強は、間違いだらけの解答を出す訓練を続けてしまっている子が多くなりがちだ。」
発言してくれた先生は、このような意味で問題提起をしてくれたわけです。

見事な解法は必要?

先日、関西での会合が終わり新幹線で帰京はTさんと一緒でした。
このTさんは私と同様に長年中学受験に携わっています。私が信頼するお一人です。
 京都を過ぎて関ヶ原あたりだったでしょうか、ある塾の話題になりました。
○学園の生徒を担当された場合に注意されていることは何ですか?とお聞きしました。
Tさんの返答はこのような内容でした。
○学園では見事な解き方で教るが、それが子供たちに再現できないような見事すぎる解法で
あることが多い。しかも、その方法での解き直しが宿題になり、その上宿題チェックが厳しいときている。
不真面目な生徒は良いとして、真面目な義務感の強い生徒はノートにとってきた式や数字を
丸写しにしている。
その子の身の丈に合った解き方で教え直すと、すばらしい理解を示すことがほとんどだ。
でもそのような方法で解いていくと塾でこっぴどく叱られる。
本当に○学園でスランプになった子供を復活させるのは難しい。

私も全く同感です。

この○学園だけではなく、いわゆる裏技がやたらと多い塾があります。
裏技に当てはめる事で一部の難問が魔法のように解けます。
ところが、問題文の表現が少し変わったり、条件を少し変わるだけでお手上げになります。

子供の理解を超えるような見事すぎる解法や裏技の多用が、子供たちを苦しめている場面を
多く見てきました。その一方で、それらを見事に使いこなすほんの一部の子供たちも見てきました。

まず、その問題を基本に忠実に解き、問題の本筋を理解した上で見事な方法に挑戦するという
二段構えの学習が必要だと思います。
例えば、今年の御三家の算数を見ますと、喜ばしいことに裏技で見事に解ける問題は多くありません。
条件を理解して題意をとらえて、愚直に処理を始めることが必要な問題が多かったのです。
うがった見方をすれば、中学校の先生方が、裏技の暗記学習を習慣にして入学してきた生徒に
疑問を感じられているともとらえる事が出来ます。

確かに、大学受験に向けての数学や物理の学習では公式暗記から入るのは愚の骨頂です。
公式の導き出し方やその意味の理解を最重要視するべきなのです。
「いざとなったら公式を自分で作ることが出来る」これが大学受験での本当の学力だと考えています。
ある有名予備校授業で、数学の看板講師の方が生徒たちを前に、
「私は、年間に2~3個しか公式を覚えろとは言わない」と宣言されたそうです。
さすがだと思います。

せっかく志望校に合格したのに、中学や高校で落ちこぼれてしまう子供やついて行けないと
感じている生徒が実に多い事をご存じでしょうか。
少なく見積もってそれぞれの中学校の30%の生徒がそう感じているはずです。
そうなってしまった原因の1つが、この裏技の暗記学習だと思うのですがいかがでしょう。

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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