近年、海外勤務から帰国するにあたって子供を中学受験させたいというご相談が増えています。
一方、私立中学校でも帰国子女枠を設けているところがどんどんと増えています。
ところが、海外から帰国したお子さん方が私立の中学を受験する環境が整って来たとは
言えない状況なのです。

それは、受け入れ側の中学校の体制を見ますと、中学校毎に帰国子女の扱いが大きく異なること、
中学校毎に英語の扱いが大きく異なること、
中学校毎に定員の枠が大きく異なること、
判定基準が曖昧な(公表されていない)学校が多いことなどが原因です。

受ける側から見ますと、現地のインタースクールに通っているか日本人学校に通っているか、
塾に通っているかなど、赴任先の環境によって大きく異なっています。
そして、子供が小5の段階で帰国なのか、小6になってからの帰国なのかによっても
やるべき事が大きく異なってきます。

 「こうすれば合格しやすい」という標準が存在しないのです。

 通常の中学受験でも、お子さんの学力と志望校のマッチングがなかなか難しいのですが、
帰国子女のお子さんの受験には、それ以外の要因が数多く関わってきます。

うちの子は、インタースクールに通って英語が得意だから、英語を利用して中学校を受験させよう
と思っていたのに、調べてみると希望している学校は参考程度にしか考慮されないとか、
帰国子女枠での受験なのに入試問題は一般受験と同じであったり、また異なっていたり。

 一般の中学受験では、第1志望から始めて、第2第3志望と多くの中学校を受験することが出来ます。
そして、合格のための勉強は各学校共に共通であることが多いのです。
また、問題傾向を吟味することで学習の質をそろえることができます。
ところが帰国子女枠の受験についてはなかなかそれが出来ないのです。

例えば、K校の場合入試教科は、算数・国語・作文の三教科、
または算数・国語・理科・社会の四教科です。そして問題は一般の試験問題と同じです。

T校の場合は、算数・国語・英語で、問題は非常に易しく英語の出来が合否に直結します。
K校に向けた対策がT校には全く役に立たない事になります。

近い将来、お子様を帰国子女枠で受験させようと考えていらっしゃるなら、早めの情報収集と
早めの対策をお願いします。

・行かせたい学校をピックアップする。
・定員を調べる
・入試教科を調べる
・問題レベルについての情報を得る
・お子様の受験学力を判断する
・受験までのお子さんの何の学力を高める必要があるのかを判断する
・お子さんの学力を高める手段を考えておく
・日本に帰ってきてから行かせる塾を決めておく
・行かせる予定の塾のテキストを使って学習を始めておく
(必要ならば市販の受験問題集も用意する)

帰国されてからの情報収集では大きく不利になることがありますからご注意ください。

例えば、帰国されてからのお住まいがどの地域になるかによって、受験できる中学校が限定されますし、
通うことが出来る塾も制約を受けます。
帰国後の住まいについても事前に充分に考えておいてください。