カテゴリー: 小6向けアドバイス Page 2 of 13

受験直前期にやっておきたいこと・やってはいけないこと

12月も後半戦を迎えました。

中学受験生の皆さんは、風邪など引かず元気に過ごしていますか?

世の中はクリスマスだ、年末だとにぎわう楽しい季節ですが、皆さんはそんなものにかまっている暇はありませんね。

受験が終わるまで皆さんのお楽しみは「お預け」になってしまいますが、今しかできないことに全力で取り組み、ぜひ悔いのない中学受験にしてください。

皆さんのがんばりが報われる日は、もうすぐそこですよ!

さて、今日は受験直前期にやっておきたいこと・やってはいけないことをお話します。

まず、何度もお伝えしていますが、未だに夜型の勉強をしている人がいたら今日から朝型に切り替えましょう

新しい生活リズムに身体を慣らすには時間が必要です。

本番数週間前からでは間に合いませんから、今が最後のチャンスです。

午前8時~9時スタートの入試本番でしっかり頭が働くように、6時~遅くとも7時までには起きるよう習慣づけておきましょう。

また、起床からお昼まで何も食べないという人も明日からは朝食を取ってください。

ご飯など脳のエネルギー源となるブドウ糖を含む食材をしっかり摂り、頭が働きやすい状態で試験に臨みましょうね。

次に、学習内容についてです。

この時期は焦りや不安が高まりやすく、学習内容の「抜け」「苦手な部分」に目が行きがちです。

けれど、この時期「できないこと」にとらわれるのは禁物です。

もちろん学習内容の抜けや苦手分野を発見したら、その部分を埋め、克服すべきです。

しかし間違ったときは、しっかりその内容を理解し、類題を数問解いたらもう次に進みましょう。

この時期は「できない」部分の学習に膨大な時間をかけることよりも、得意分野で確実な得点力を磨くことの方が有効です。

いつまでも「できない」部分に固執して「もっと解かないと」「そもそも基礎から分かっていない気がする」「すべて初めからやり直さないと」「もう間に合わない……

と、無駄に自分のモチベーションを下げ、過去問に掛けるべき時間をそこに費やすのはやめましょう。

時間は限られています。

特に直前期は計画的に、志望校の教科ごとの配点や出題傾向を鑑み、必要な部分を、適切な優先順位で学習しましょう。

当たり前ですが、合格可能性アップ=総合得点アップです。

自分がどのようなバランス・順序で学習するのが最善なのか、ぜひ塾の先生や家庭教師の意見も取り入れながら進めてくださいね。

同じ理由で、この時期に新しい問題集に手を出すのも避けましょう。

「こんなこと知らない、今更どうしよう!」「買ったけれど最後まで終わりそうにない!」と、不安な本番を迎えることになるのは本末転倒です。

知識は一つでも多いに越したことはありません。

実際、以前お伝えしたとおり当日の朝覚えた年号や名称が受験に出たということもよくあることです。

けれども、最も得点アップに有効なのは、得意分野で確実に得点できるようにすることだということを忘れないでください。

新しいものに手を出すよりこれまで自分が一生懸命取り組んできたテキスト・問題集・参考書・過去問を何度も復習しましょう。

そして、同じ問題や類題が出たら、確実に得点することが重要です。

 最後に、保護者の方に気をつけていただきたいことが3つあります。

1つ目は、お子さんの睡眠時間です。

この時期のお子さんは気丈に振る舞っていても、心のどこかに緊張や不安を抱えているものです。

もっとやらなければと深夜まで勉強して寝不足になると翌日のパフォーマンスは著しく落ちます。

具体的には、計算ミス、誤脱字、文の読み違い、勘違いによる失点が多発し、集中力・記憶精度が落ちるため学習効率が下がります。

さらに、寝不足はメンタルの不安定も招くので、不安で眠れなくなってしまい、また眠れなくなる、という悪循環に陥る可能性もあります。

お子さんがいくら勉強したがっても、23時前には必ず就寝させてあげてください。

2つ目は、保護者の方の気持ちです。

この時期、ご本人はもちろん親御さんも不安定になりがちです。

ご自身ではどうにもしてあげられないもどかしさも相まって、余計にいても立ってもいられずあたふた取り乱してしまう場合もあるかもしれません。

けれど、そんなご自身の感情を「(お子さんの手前)隠さなくては」と無理に抑えようとなさらないでください。

大切なお子さんの受験を控えたこの時期、応募状況や倍率も耳に入ってきて、保護者の方は不安になって当たり前です。

どうかそんなネガティブな感情も、お子さんを想うからこそと受け入れてあげてください。

その上で改めて日々努力を続けるお子さんに目を向けられれば、きっといつもの調子が戻られ、大きな気持ちで構えていただけると思います。


そして最後が、声掛けについてです。
直前期の受験生は、自信を持つことが大切です。

「がんばれ!」「○○しておかないと駄目だよ」「不合格になったって良いじゃないか」など、お子さんの感情を逆撫でしかねない声がけは避けてください。

そして、大切なのはどんな言葉をかけてあげるかよりも、「この子は大丈夫」と、保護者の方ご自身がどんと構えた態度でいてあげることです。

ご自身の心の安定のためにも、ぜひお子さんの学習量、がんばり、今できていることの方に目を向け、日々の声がけは「おつかれさま」「がんばっているね」「ゆっくり休んでね」などのねぎらいの言葉にとどめてあげてください。

ご自身のどんと構えた態度と「大丈夫」の一言こそが、きっとお子さんに安心感と大きな自信を与えてくれると思います。

6年生 残り2ヶ月の過ごし方、時事問題対策について

2021年もいよいよカウントダウンが始まりました。

中学受験に挑む6年生の皆さんにとっては特に1日1日が貴重な時期ですね。

そこで、今日は本番までの残り2ヶ月間の過ごし方についてお話しします。

まず、注意してほしいことが1つあります。

それは、この時期は塾の定期テストの結果にとらわれ過ぎないでほしいということです。

もちろん結果が良いに越したことは無いのですが、受験生の皆さんのゴールはあくまでも志望校合格です。

この時期はもう塾での偏差値や順位を上げることではなく、志望校の過去問で少しでも点数を伸ばすことのみに注力してください。

過去問の意義や取り組み方については、以前お話しましたね。(過去問「なぜ」「いつから」「どれくらい」?

過去問は志望校の出題傾向や自分との相性だけでなく、「どんな生徒を欲しがっているか」、すなわち志望校の「理想の生徒像」も教えてくれます。

残り2ヶ月はとにかく徹底的に過去問をやり込むことが何より重要で、効果的です。

第一志望の過去問ならば10年分を2・3周やっても良いくらいです。

誰よりも徹底して過去問分析・演習を行い、確かな合格力と自信を掴みましょう!

次に、残りの2ヶ月間欠かさず毎日行ってほしいことが「暗記」作業です。

暗記は、受験本番当日まで可能です。

本番当日の朝電車で覚えたことがそのまま試験に出た!という奇跡のようなエピソードは、中学受験界では実によく聞くものです。

ラスト1週間くらいからは、新しいことを覚えるのにやっきになるのは避けた方が無難ですが(覚えきれない、と不安になってしまう人もいますので)、最後の最後まで力がつけられるということは、是非覚えておいてください。

これまで覚えたものを当日確実にアウトプットするためにも、暗記作業は毎日行いましょう。

最後に、残り2ヶ月で取り組んでほしいことがもう一つあります。

それは時事問題対策です。

以前のコラムでもお話しましたが、時事問題は主に前年9月頃までのニュースが出題されます。

つまり、2022年入試の場合は2021年1月~9月頃までの時事ネタを十分理解しておく必要があるのです。

各塾でもある程度の対策は行われますが、ほとんどの場合1回の授業や数時間のフォローのみですから、必ず自分で知識を補いましょう。

具体的には、大手塾などから出版されているニュースまとめを1冊選び、その1冊をしっかり学習することをおすすめします。

どれを購入しても内容はほぼ同じですから、何冊も買う必要はありませんよ。

『中学入試用 サピックス重大ニュース』(代々木ライブラリー)

『中学受験用 重大ニュース』 (日能研ブックス)

『ニュース最前線』(四谷大塚出版編集本部)

『入試用重大ニュース 時事問題に強くなる本』(学研プラス)

などの中から、自分が読みやすいものを選んでくださいね。

読んだらしっかり暗記し、予想問題にも取り組むこと、理解が難しいところはテキストやネット、講師への質問などを通じてきちんと消化しておくことが大切です。

6年生だけでなく、4.5年生の皆さんも、良ければぜひ冬休みに読んでみてください。

ニュースの話題となっている場所を地図と照らし合わせたり、丸暗記ではなく、同じ頃他の地域や国では何が起こっていたか、なぜそれが起こったかなど、物事を体系づけて理解しておくと、難関校の応用問題にも対応できますね。

ここで、2022年入試で抑えておいてほしいトピックを7つリストアップしておきます。

世界遺産登録

……新型コロナウイルス感染症の影響で、前年分と合わせオンラインで審議されました。日本で新たに追加されたもの、場所、その土地の歴史も確認しておきましょう。

東京オリンピック2020(新型コロナウイルス感染症の影響で開催は2021年に延期されましたが、ロゴ・表記はあえてそのままとされました。)

……これまで日本でオリンピックが開催された場所・年号・過去東京オリンピックが中止になった際の歴史的背景なども合わせて確認しておきましょう。

衆議院議員総選挙

自民党総裁選、岸田内閣誕生

新型コロナウイルス感染症

……”新しい働き方デジタル庁ワクチン証明書にまつわる懸念事項などについても合わせて確認しておきましょう。

SDGs
……”17のゴールを確認しておきましょう。

2001年 アメリカ同時多発テロ事件から20

……テロの背景、その後アメリカ政府が取った行動、攻撃を行った国についても確認しておきましょう。

ほかにも見逃せないニュースがたくさんあった1年でした。

時事問題を扱う学校、中でも受験生自身の考えを問うような学校は、これからの時代を生きていく皆さんに、「今世の中で起こっている問題に関心と自覚を持ち、自分なりの考えを自分の言葉で説明できる人になってほしい」という期待を持っていると言えます。

そしてそれは、「あなた方の生きる社会は、あなた方の手によって変えられる」というメッセージでもあるのではないでしょうか。

新しい時代を切り開いていく皆さんの活躍を、わたしも楽しみにしています。

「立冬」&受験生の眠気対策、どうしたら良い?!

立冬も過ぎ、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。

中学受験生の皆さんは風邪など引かず元気に過ごしていますか?

今年の立冬は11月7日でしたが、立冬は毎年日付が決まっているわけではありません。

立冬は文字通り「冬立つ」日。

暦の上では「冬の始まり」を意味しています。

中学受験生の皆さんならば国語の授業で耳にしたことがあると思いますが、日本には1年間の太陽の動きを15度ごとに24等分し、それぞれの位置で季節を表す「二十四節気」という言葉があります。

この24の季節は6つずつ春夏秋冬に大分されており、中でも節目である立春・立夏・立秋・立冬の4つは「四立(しりゅう)」と呼ばれています。

この「二十四節気」の19番目にあたるのが「立冬(=冬の始まり)」ですが、実際わたしたちが厳しい寒さを感じ始めるのは11月下旬頃ですから、暦と現実の気候では少しずれがありますね。

とはいえこれからどんどん寒さは増していますから、皆さんは身体を冷やさないよう暖かくして過ごしてください。

また、「立冬の日」は「ココアの日」でもあります。

カカオ豆に含まれるポリフェノールには抗酸化力があり、ストレス防止やリラックス、血行促進の効果があることは以前お話しましたね。(『受験生におすすめの食べものって?』

ミルクたっぷりのホットココアならカルシウムも摂取でき、身体もポカポカに温まりますから、良かったら勉強の息抜きに取り入れてみてください。

さて、今日は、この時期になると毎年皆さんから聞こえてくる失敗談についてお話します。

それは、「爆睡してしまいました……!!」

というものです。

確かに寒くなってくると、温かいこたつや布団が恋しくなりますよね。

勉強中にあくびもとまらなくなり、ついついソファで毛布にくるまり一休み……

寒いし、勉強は大変だし……そうしたくなる気持ちはよく分かります。

けれども入試本番まで残り少ないこの大切な時期に、1・2時間の爆睡ならまだしも、

「夕方から眠ってしまって、気づいたら朝……

「ソファで眠ってしまって、風邪を引いた……

なんてことは、絶対に避けたいものですよね。

そもそも、勉強していて眠くなってしまうのはなぜなのでしょうか。

原因はいくつか考えられます。

・慢性的な睡眠不足

・身体が非常に疲れている

・精神的な問題

など。

中学受験生は宿題や課題に追われ、どうしても睡眠時間が短くなりがちです。

けれども、613才の成長期に必要な睡眠時間は約10時間といわれています。

受験勉強ももちろん「今しか出来ないこと」ですが、中学受験にあたる数年間は、皆さんの心と身体を育む大切な成長期でもあります。

また、連日睡眠不足で授業や課題に取り組んでいるようでは、頭は働かず、集中力も保てませんよね。

いくら夜中まで必死に勉強しても、学習効果が半減してしまうのでは本末転倒です。

そして、皆さんも御存知のように、睡眠不足による「キレやすい」子どもが増えていることも問題になっています。

睡眠不足は、百害あって一利なし。

時々就寝が遅くなるくらいは問題ありませんが、たとえ追い込み期であろうと、基本的には睡眠時間をしっかり確保して学習に取り組んだ方が効率的だということをぜひ覚えておいてください。

また、受験生には睡眠と同様、休息も重要です。

大人にも休息が欠かせないように、身体も心も幼い10代前半の皆さんには、なおさら適度な休息が欠かせません。

集中力にも体力にも精神力にも、限界があります。

過度なストレスや疲労による不具合が出てしまう前に、少なくとも2~3時間に1度は休息をとりましょう。

勉強の合間に家の周りを散歩したり、お茶を飲んだり、ストレッチをしたり。

15分ほどの仮眠をとるのもおすすめですよ。

過度なストレスや疲労は、心や身体の不調はもちろん、勉強中の慢性的な眠気にも繋がってしまうことがあります。

蓄積しきってしまう前に短時間でも息抜きすることが、予期せぬ爆睡を防ぐことにもなるのです。

そして最後に、朝遅く起き、夜遅くまで勉強するスタイルが癖になっている人は、入試本番に向けてそろそろリズムを調整しましょう。

中学入試は8:30前後のスタートですから、その時間帯に頭がしっかり働く状態になるよう、そろそろ本気で「朝型生活」に切り替えるべき時です。

6時半くらいまでには起床する習慣を作っておくのが良いですね。

皆さんの年頃に必要な睡眠時間は前述の通りですが、必要な睡眠時間は人それぞれです。

皆さんにちょうど良い就寝時間を確保できるよう起床時間から逆算し、毎日決まった時間に布団に入るようにしましょう。

皆さんが中学受験のストレス・疲労・眠気に打ち勝ち、合格を勝ち取れるよう願っています。

過去問「なぜ」「いつから」「どれくらい」?~後半~

頬に触れる風の冷たさに晩秋を感じる今日この頃。

青空の下でさわさわ揺れる秋桜もそろそろ見納めですね。

さて、先日中学受験生の皆さんの、過去問に関する不安や疑問についてお話しました。

今日はその後半編です。

「過去問って何年分やれば良いの?」

「第2、第3志望校については?」

「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」

などの疑問点について、くわしくお話していきますね。

まず、志望校・併願校の過去問に何年分取り組めば良いかという疑問に対して、正解は有りません。

ただ、最低でも第一志望校は5年分以上、第二・第三志望校に関しては3年分以上解いてほしいと思います。

過去問に取り組む目的は、大きく分けて4つありましたね。(くわしくは前半コラム参照)

  1. 敵を知る(志望校の出題傾向や難易度を分析し、対策するため)。
  2. 試験慣れ(時間配分の感覚を身につける、本番に必要な準備を見極め、体力向上・生活改善ポイントを意識・対策するため)。
  3. 志望校との相性を知る。
  4. 現時点の学習到達度を確認する。

これらの目的のために、最低それくらいは取り組んでくださいね。

もしも余裕があれば、第一志望校に関しては10年分2周くらい解くと良いでしょう。

学習面での効果ももちろんですが、

「絶対に行きたい中学校の過去問を、自分は誰よりも解いてきた。誰よりも研究・分析・対策・演習してきた。」

そう思えることは、本番当日、志望校の校門をくぐり、試験に臨むあなたの大きな自信と支えになってくれますよ。

ただし、社会科に関しては情報が変わっていたり、時事問題がタイムリーではなかったりするので、5年分くらいで十分でしょう。

次に、「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」という質問について。

これは科目によって効果の差がありますが、基本的にはぜひやってください。

解いた直後の答え合わせと復習・演習はもちろん大切ですが、時間を置いて再度同じ問題にチャレンジすることで、志望校の出題のクセや、自分の間違え方のクセなどが一層はっきり判ると思います。

特に算数に関してはぜひやりましょう。

ただし、国語に関しては必ずしも効果的では有りません。

初読と再読では素材文を読むスピードがまるで変わってしまいますし、すでに解釈を学んだ後ですから、文章の要旨・主題も分かってしまっているわけです。

国語は1度解くと答えも覚えてしまいやすいですから、2度目は時間を少しタイトに設定し、点数も参考程度に行うことをおすすめします。

また、「過去問を解く年度の順序」についてもよく質問があるのでお話しますね。

絶対に避けてほしいのは、前回少し触れたように、いきなり第一志望校の最新年度の過去問に取り組むことです。

最新年度の過去問は、あなたが臨む本番と同じ先生が作問している可能性が高く、傾向も非常に近くなりがちです。

つまり、第一志望の最新年度の過去問は、自分の実力を試す・現在の合格可能性(学習到達度)を確認する最高のアイテムですから、ぜひ入試直前の演習に取っておいてくださいね。

ただし、中学受験全体の最新傾向を知ることは非常に有効ですから、過去問演習を始める際は、まず(第1~3志望校以外の学校の)最新年度の過去問を、ぜひ幅広く解いてみましょう。

まとめると、このような順番がおすすめです。

①夏休み~10月頃:第1~3志望以外の学校の最新年度。

みくに出版『中学入試試験問題集』(通称「銀本」。過去1年分の全国の中学入試試験問題が掲載されている)などを用いて幅広く。基本、易→難の順になるように。

②9月~12月頃:第1~3志望校、最新年度を除き、新しいものから。

志望レベルによる演習分量は前述の通り。最新年度に加え、1・2年分新しいものを取っておいても良いでしょう。

③11月~1月頃:第1~3志望校、2周目。

(国語に関しては学校により、塾や家庭教師の先生に相談しましょう。)

12月~入試直前:第1~3志望校、最新年度。(→時間を置き2周目)

以上

過去問の取り組む順序や時期に不安がある人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ただし、過去問の取り組み方には各塾・先生それぞれの方針がありますし、正解は1つではありません。

皆さん一人ひとりの状況に合わせ、先生方とよく相談しながら進めるようにしましょう。

皆さんが充実した過去問演習を行い、合格力をぐんぐん育めることを願っています。

「紅葉狩り」、なんで「狩り」?!

11月に入り、街の木々も赤や黄色に色づき始めましたね。
このシーズンに人気の行楽といえば「紅葉狩り」ですが、なぜ「狩り」というのか不思議に思ったことはありませんか?

「狩り」というと、山に分け入ってウサギやイノシシを猟銃で仕留めるようなイメージがありますよね。
けれども、「ぶどう狩り」や「りんご狩り」という言葉もあるように、「狩り」という言葉はもともと使われていた獣を捕まえる「狩猟」の意味から、時代とともに意味の幅を広げてきました。
そして、やがて「野鳥を捕らえる」とか「果物を採る」といった場面にも使われるようになり、現在は「草花を眺める」意味までも表すようになったのです。

しかし、「紅葉狩り」という言葉のゆえんにはもう一つ有力な説があります。
それは、平安時代の貴族が「狩り」の体(てい)で紅葉鑑賞を楽しんだため、というものです。
平安時代、貴族が歩き回るのは狩りの場のみとされ、それ意外の目的で歩くことは「下品」とみなされていました。
それでも、美しい紅葉を見にぜひとも出掛けたい。
そう考えた彼らが、「狩り」に見立てて紅葉鑑賞を行ったとされているのです。
また、当時の「紅葉狩り」が現在のそれとは違い、紅葉の葉を実際に「手に取って」眺め楽しむスタイルであったことも理由の一つようです。

当時の貴族たちが、紅葉を求めるゆえに、そのような工夫をこらして山や渓谷に足を運んでいたと考えると、なんだか可愛らしいですね。
もっとも、紅葉を眺めにふらりと出掛けるようなささいな楽しみにさえ体裁を繕わなくてはならなかった時代背景は気の毒でもありますが……。

いずれにせよ、やがてそのイベントは貴族の中で秋の風習として定着し、その時期になると皆で集まって宴を開き、紅葉を眺めながら歌合戦を行うようになりました。
各々がとらえた紅葉の美しさを和歌に詠んで競う「紅葉合(もみじあわせ)」は、大いに盛り上がったでしょうね。

ちなみに、この時代で紅葉を詠んだ和歌では、百人一首の
『奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき』(猿丸大夫)
『ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは』(在原業平)
などが有名です。
また、時代は一気に飛びますが、明治時代に詠まれた
『 金色(こんじき)の ちいさき鳥のかたちして 銀杏散るなり夕日の丘に』(与謝野晶子)
は、紅葉(こうよう)を描いた歌の中で最も良く入試に出題されているので要チェックですよ(四句切れ、比喩法+倒置法)。

さて、「紅葉狩り」に話を戻しましょう。
江戸時代の中頃になると、そのような貴族の楽しみはようやく庶民の間にも広まり、毎年秋になると紅葉の名所に人々がこぞって押し寄せるようになりました。
木々の下で紅葉を愛でながらお茶やお酒を飲み、お弁当を持ち寄っておしゃべりを楽しんだそうですから、現代のお花見のような感じですね。

さて、そんな「紅葉狩り」。
本番まで数ヶ月を切った中学受験生の皆さんにとっては、どうでも良い、気楽でいいよなあ、という感じかもしれませんね。
けれど、もしも勉強の合間に息が詰まるようなことがあれば、思い切って教科書をいったん閉じ、玄関の外へ出てみてください。
今は平安時代とは違いますから、少し歩けば美しく色づいたケヤキやイチョウ並木、もしかしたら紅葉にも出会えることと思いますよ。

ちなみに、この葉っぱの赤や黄色には、脳や心に大変良い効果があります。
色彩心理学的に、赤い色には脳を活性化し、温もりやエネルギーを感じさせる効果があり、黄色には向上心を刺激し、夢や希望をイメージしやすくする効果があると言われています。
また、赤や黄色は、果物が食べごろになる頃の最も熟した色ですから、赤や黄色に色づいた紅葉を見たとき、わたしたちの脳は「熟した果実」のイメージをキャッチし、心が満たされやすくなるそうですよ。
そして、美しいものを見たりウォーキングをしたりすることで脳内の前頭葉が活性化され、『幸せ物質』と呼ばれる「セロトニン」が分泌されることは有名ですね。

1分1秒も無駄には出来ないと思い詰めているときこそ、ちょっとした散歩が大いに皆さんの心をリフレッシュしてくれるかもしれません。
ぜひ、勉強の合間に、日本の小さな秋を満喫してみてくださいね。

過去問「なぜ」「いつから」「どれくらい」?~前半~

澄み渡る空が心地よい季節になりました。

朝晩はぐっと冷え込む今日この頃ですが、受験生の皆さんはお元気ですか?

10月も後半になり、過去問演習に勤しんでいる人も多いようですね。
そこで、今日はよく耳にする皆さんの不安や疑問について、2回に分けてお話したいと思います。

特に多い質問が、

「うちの塾はまだ過去問に入っていないのだけれど大丈夫?」
「過去問って何年分やれば良いの?」
「第2、第3志望校については?」
「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」

というようなものです。

まず、過去問をまだスタートしていないことに対する不安についてですが、過去問のスタート時期については、先生や塾それぞれの方針があります。
そして、早ければ早いほど良いといったものではありません。

たとえば、大手中学受験塾のサピックスでは夏期講習から過去問に取り組み始めますが、早稲アカや四谷大塚は後期(9月)から、日能研は基本秋(11月頃)からという具合に、そのタイミングは様々です。

この設定の違いは、塾の学習進度にもよりますね。
たとえば、サピックスでは小学5年生の秋までに受験に必要なほぼ全ての単元を修了しますが、日能研では6年生でも新単元の学習があります。
カリキュラムや過去問についての考え方は千差万別ですから、それぞれの塾や個人の状況に合わせ、不安があれば塾や先生と相談しながら、あせらず取り組んで行きましょう。

ただし、「ぜひ1度過去問を解いてみたい!」という気持ちが強いのならば、たとえ5年生でも、6年生の各塾の過去問「解禁」前でも、1度チャレンジしてみるのが良いと思います。
そのタイミングでは、まるで歯が立たずショックを受けてしまうかもしれません。
あるいは、問題が自分に合っていて、思いの外7~8割取れるかもしれません。

結果は様々だと思いますが、いずれにせよ、チャレンジ精神果敢な皆さんにはその挑戦が良いモチベーションに繋がることと思います。
(このとき、解く問題の学校・年度は塾や家庭教師の先生と必ず相談してくださいね。間違っても、いきなり志望校の最新年度の過去問を解かないこと。理由は次回のコラムでお話します)

さて、次に「過去問って何年分やれば良いの?」という疑問についてですが、その前に「なぜ過去問をやるのか」を一緒にふりかえってみましょう。

過去問に取り組む一番の目的は、勝つために敵を知ることですね。
もう少し丁寧に言えば、志望校の、各科目の出題傾向や難易度を分析し、対策・演習することで得点アップを狙い、合格するためです。

自分の志望校の算数では、毎年速さの問題が扱われている。
最終的な答えだけではなく、途中式や考え方も加味される採点形式である。
国語は解答形式がほぼ全て記述問題である。
文学史も扱われるので対策必須。
素材文は小説と論説文が1題ずつの大問2題構成。
理科は実験に関するものや計算問題が多い。
社会は近年、時事問題や分野横断型問題が出題されるようになった。

……などといった具合です。

赤本の冒頭にもまとめがありますが、自分なりにも解きながら分析・まとめをしておくと、普段の学習から必要なことを意識できますよ。

二つ目の目的は、試験慣れです。

過去問演習を繰り返すことで時間配分を「身体で」身につけることが出来ます。
頭で判っているのと身体で分かっているのは大きな違いですね。

慣れてきたら、試験当日の時間割通り、全科目を通しで解いてみましょう。
できれば、開始時刻や休憩時間も本番と合わせてみてください。

そうした場合の疲労感、精神状態がどのようなものか体感することで、本番に向けた体力づくりや朝方生活への転換を早いうちから意識し、各々に必要な対策を講じる事ができます。

三つ目の目的は、志望校との相性を知ることです。

現在、自分の学習到達度はどの程度なのか。
志望校の「合格者平均点」には届いているだろうか、届いていないとしたら、「合格最低点」ではどうだろうか。

10月~11月前半にそれらを超えることが出来なくても構いません。
11月後半や12月頃から、安定して合格ラインを超えられるようになってくれば大変順調と言えるでしょう。

逆にその頃を過ぎても自分の点数と合格ラインがあまりにもかけ離れている場合は、受験校の再考も視野に入れ始める必要が出てきます。

以上、過去問に取り組む時期や目的について、皆さんとあらためて確認してきました。

次回は、

「過去問って何年分やれば良いの?」
「第2、第3志望校については?」
「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」

などの質問に関してくわしくお話したいと思います。

寒くなってきましたので、腹巻きや厚めの靴下でしっかり防寒してくださいね。
皆さんが毎日を健やかに過ごせるよう願っています。

6年生 志望校模試を受けた後にやるべきこと

新学期が始まりましたね。

相変わらず多くの都府県では緊急事態宣言下のまま気の抜けない日々が続いています。

子どもの感染者も増えており、大手塾のホームページでも新型コロナウィルス感染症陽性者発生についてのお知らせが目立つようになりました。

海外の臨床試験結果を踏まえ、ワクチンは6月1日より接種対象者が拡大されましたが、それでも現時点では12歳未満の皆さんは接種対象外です。

うがい·手洗い·こまめなアルコール消毒·3密の回避など、基本的な感染予防対策は引き続きしっかり行いましょうね。

気になる症状がある場合はなるべく早く保健所や病院に連絡し、必要とみなされた場合はきちんと検査を受けましょう。

多くの病院では有症時のPCR検査は15歳以上のみを対象としていますが、小児科専門病院などでは、ホームページに記載されていなくても検査を実施している場合があります。

発熱や咳がある、味や匂いを感じないなど、不安な症状がある時はあきらめず確認してみましょう。

心も身体も疲弊しがちな日々ですが、皆さんがこの困難を乗り越え見事合格を勝ち取った暁には、頼もしい学力と同時にたくましい精神力が備わっていることでしょう。

楽しい中学校生活を想像しながら、最後まで一緒にがんばっていきましょうね。

さて、そんなわけで、何があっても受験までのカレンダーは進み続けています。

特に6年生の皆さんは、9月から「四谷大塚/合不合判定テスト」「SAPIX/合格力判定サピックスオープン」「日能研/合格判定テスト」「首都圏模試/合判模試」「早稲田アカデミー/筑駒中オープン模試」などなど、一気に志望校判定模試が目白押しになりますね。

ここからは毎月のように模試を受け、自分の実力と志望校の位置を照らし合わせながら、本番へ向けて様々な調整を行っていくことになります。

そして、模試だけではなく、9月からは授業でもSS(サンデーサピックス)特訓や、後期日特、本格的な過去問演習が始まり、学習サイクルも8月までとはガラリと変わります。

簡単に言えば、8月いっぱいまでの

学習→演習→定期的なテストで現状確認

というサイクルから、

9月以降は

定期的なテスト(模試)で現状確認→弱点を把握し学習し直す→演習

という順序に変わるのです。

模試はいうまでもなく点数や偏差値に一喜一憂するためのものではありません。

模試は「まだ抜けている部分·弱い部分」をあぶりだし、その不足を補い、強化するための重要な情報源です。

結果に喜んだり落ち込んだり騒いだりするだけでは意味がありませんし、

「国語がまだいまいちだなぁ。もう少しがんばらないと」

などと適当な感想を持つだけでは何も変わりません。

大切なのは、各科目でどの分野がまだ抜けているのか、弱いのか、細かく丁寧に分析することです。

たとえば

「物語文は毎回8割を超えているけれど、論説文は平均点に届いていない。特に要旨をまとめるタイプの問題が弱いな」

となれば、

論説文の読み方·解き方がそもそも身についているか確認しましょう。

読む際は何に注目し、どこに線を引いたりチェックを入れたりしながら読むのか。

解く際、特に要旨をまとめる問題では、本文のどういう部分を重視して、どのようにまとめるのか。

「自分の言葉で」「文中の言葉を使って」などの指示は守れているのか。

「60字程度で」と言われたら何字から何字程度が許容範囲か。

マス目の最後に句点(「。」)が来た時、作文の場合はどうする?字数指定の記述の場合はどうする?

などなど······。

読み方·解法·ルール·表記の知識などがしっかり身についているか確かめ、抜けがあれば補い、次回は確実にアウトプットできるよう演習しておきます。

模試の結果を分析する際はなるべく、そのデータを客観的に読み取り、的確に分析することが出来る第三者の力を借りましょう。

できれば長年中学受験指導にあたっている塾の先生や家庭教師、中学受験の専門家に見てもらい、残された時間の中で、あなたの場合はどの部分を、どのレベルから、どのように学習·演習し直すべきかアドバイスを受けてください。

ここから本番までの5ヶ月間は、残された時間の使い方も重要になってきます。

今月から始まる志望校模試を十分活用した上で必要な部分にスポットを当て、最も効率的と思える学習を選択·実行していきましょう。

2022年度入試のデマにご注意

夏休み、いよいよ入試本番に向けた調整の時期になりました。
2022年度入試に関するデータが出揃い、親御さん同士やSNSにおける情報交換が盛んになるタイミングではありますが、ひとつ注意しておいていただきたいことがあります。

近頃ではTwitterの新機能「スペース」なども情報交換に一役買っているようですが、特にこのようなSNSの場で発信される情報を、決してすべて鵜呑みにしないでほしいということです。

ママ友情報も時としてウワサの領域を出ないものがありますが、匿名性の保持されるこのような場では、尚更いい加減で悪質なデマが飛び交っていることもあります。

信頼の置けるプロ講師がテーマを絞って行っている生配信を視聴したり、受験ママ・パパ限定の「スペース」で、同じ立場の人たちと話して息抜きをしたりするのはもちろん構わないのですが、どこの誰だか分からない自称プロ、自称ベテランによる発信には特に気をつけてください。

このような場で流れている情報には、2022年度は○○中学の入試がこう変わるとか、こんな問題が出るというものに始まり、「願書はあくまでも現地申込みが有利(郵送は不利)」だとか、「ひとり親家庭は不利」、「入試前に感染予防を理由に学校を欠席すると落とされる」、「2022年度入試はコロナ禍で私立を断念する家庭が多いから狙い目!」といった、時代錯誤な都市伝説や、全くデータや実状にそぐわない、もしくは根拠のないものが横行しています。

たとえば入試直前期、体調管理やインフルエンザ・新型コロナウイルスなどの感染予防、学習の最終調整のために小学校を休むことはひとつの選択肢です。
ご家庭の方針で小学校は一切休ませないというケースはあるかと思いますが、休むことで不利な扱いを受けることはありませんので安心してください。

調査書への影響が不安という方もおられますが、基本的に1月には提出が済んでいる場合がほとんどでしょう。
桜蔭中学校も、調査書に必要な出席状況は6年生の12月までとしています。

万が一のコロナ感染の場合のために振替日程を設けてくれている中学校もありますが、もちろんそうでない学校もありますから、入試直前の欠席に関してはよくご家庭で話し合い、悔いのない選択をしてくださいね。

学校選びにおいても、受験にまつわる様々な選択肢においても、最終的に最も信用できるのは、学校説明会や塾で公開される一次情報と、ご自身で見聞きされたこと、そして本当に長年中学受験に携わっているプロ講師や専門家の言葉です。

中学受験は主に小学校3年生の2月からスタートしますから、3年間という長い戦いの終わりがようやく見え始めた時、何が何でも合格したいと気が焦り、わらをもすがる気持ちになるのは当然です。

しかし、そんなときほど冷静に、ママ友情報やSNSで流れてくるあやしい情報に惑わされないように気をつけましょう。
そのような情報には、時として「(塾や個人が)ライバルを蹴落とすためのデマ」や「ビジネスのためのデマ」が混じっていることもお忘れなく・・・・・・。

ブレないメンタルを作るために、一度ご家族でしっかり話し合い、現時点でのご家庭の方針を定めておくことがおすすめです。

そもそも何のために受験するのか。中学校でどんな毎日を送りたいのか。
情報の荒波に飲まれがちな夏休みにならないよう、ひとつひとつご家族で確かめ合い、すり合わせ、来たる受験に向けた強固な軸を作っておきましょう。

まだまだ厳しい状況の中、2022年度入試に向けて果敢に挑む中学受験生の皆さんを心から応援しています。

世界遺産をチェックしよう

写真は伊達市の北黄金貝塚です。広い草原に夕日が映えて美しいですね。

今年の7月、日本に新たな世界遺産が登録される見通しとなりました。
一つは、こちらの貝塚を含む北海道・北東北の縄文遺跡群。
もう一つは、独自に進化した固有種や亜種が多く生息していることから「東洋のガラパゴス」とも称される奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島です。

ところで中学受験生の皆さんは、そもそも世界遺産の目的が何であるか、だれが審査・認定を行っているか知っていますか?

まず、世界遺産の目的は、「人類共通の文化遺産と自然遺産を守る」ことです。
ですから、認定されることで注目され訪れる人が増えたり、歴史的に価値のあるものを未来に向けて守りやすい環境ができるなどメリットがある一方、それらを守るために数々の義務が発生し、これまで以上に管理が難しくなる難点もあります。

次に、世界遺産条約に基づいて候補地を募り、世界遺産の審査・認定を行う組織ですが、それらは UNESCO (ユネスコ) という、国際連合の関連機関が行っています。
正式名称である「国際連合教育科学文化機関」は入試で問われることも多いので、正確に覚えておきましょうね。

また、 世界遺産には人類が築いた建造物や遺跡を指す「文化遺産」、地形や生態系を指す「自然遺産」、それらの「複合遺産」の3種類があることも確認しておきましょう。
特に皆さんが勘違いしていることが多いものが、富士山です。
こちらは自然遺産ではなく文化遺産なので気をつけてくださいね。

中学受験の社会科では「地理」「歴史」「公民」に加え、時事問題を扱う学校がほとんどですが、中でも世界遺産に関する問題は毎年必ずと言ってよいほどどこかしらの学校で出題されています。
最低限、日本の世界遺産は全て言えるようにしておきましょう。

ちなみに入試に取り入れられる時事問題は大体その年の夏までのニュースですから、この夏に「北海道・北東北の縄文遺跡群」、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が正式に登録されれば、入試にはもってこいの最新ネタです。
多くの学校で、新たな日本の世界遺産に関する出題が相次ぐことが予想されるので、これらの候補地の位置を地図帳で確認しておくのはもちろん、それぞれの土地にまつわる歴史、気候・風土や特産物についても確かめておくと良いと思います。
入試では世界遺産を切り口に、それらを絡めて問われることも多いですよ。

また、日本で初めて世界遺産に認定された、1993年登録の「屋久島」・「白神山地」・「法隆寺」・「姫路城」や、「原爆ドーム」、「富岡製糸場」に関する出題は、年度によらず頻出です。

「知床」や「厳島神社」のように、特殊な読み方・書き方をする世界遺産も好んで扱われるので、新たな2つの候補群と合わせて、漢字で書けるようにしておいてくださいね。

志望校、併願校を検討しましょう

先週は、夏休みに向けて5・6月のうちにしておきたいことをお話しました。

今日は、そのような学習面の準備と合わせて、今のうちに考えておいてほしいことをお伝えします。

それは、「志望校・併願校をどうするか」ということです。

志望校あっての受験ではありますが、「とりあえず」で受験勉強を始めた人や、憧れの学校はあるけれども漠然としている人、まだ何も考えてもいない人も多いでしょう。

少し余裕のある今の時期を利用して、ぜひ志望校・併願校を検討してみてください。

そう言われても、一体どこから手を付けて良いか分からない‥‥‥‥‥という場合には、まずこんな方法で学校をピックアップしてみましょう。

1. 絶対に行きたい学校・気になる学校

多くのみなさんが、憧れの学校や、気になる学校があるのではないでしょうか。

残念ながら去年に引き続き、学園祭や様々なイベントは中止になっているところが多いですが、ウェブ学園祭を開催している学校や、学校説明会・学校紹介の動画を用意してくれているところもたくさんありますね。

公式ホームページにアクセスし、気になる学校をチェックしてみましょう。

やりたい勉強・部活動はできそうですか?

学校の環境や、家からの通いやすさはどうですか?

先生・生徒の雰囲気は合いそうですか?(これは直接行かないと分からない場合もありますね)

進学率はどうでしょうか?

そんなところを確認してみてくださいね。

偏差値が自分の現状とかけ離れていても構いません。

2. 親御さんやご家族、先生がおすすめしてくれる学校

たとえばそれが「男子校が良い!」とか、「私服の学校が良い!」という自分のこだわりにそぐわない場合も、騙されたと思って、とりあえずホームページをのぞいてみてください。

あなたを大切に思ってくれている人たちのすすめる学校ですから、もしかしたら、意外と気に入ることがあるかもしれません。

また、塾や家庭教師の先生がすすめてくれた理由には、その学校の入試傾向が非常にあなたに合っていて、本来の偏差値よりもかなり高いレベルだけれども是非トライしてほしい、という場合もあります。

自分が3年、あるいは6年、もしかしたら10年関わることになるかもしれない学校選びです。

頑なにならず、ぜひ、色々な意見に耳を傾けてみてくださいね。

3. 偏差値や希望条件に合う学校

偏差値から狙いやすい学校、希望の条件を満たす学校も、とりあえず視野に入れてみましょう。

たとえば、「自宅から45分以内で通える学校」「大学まで受験無しで行ける学校」「学校の理念や宗教が自分に合う学校」などでも構いません。

これら1~3の学校をピックアップできたら、偏差値、受験日程、入試傾向などもしっかり加味しながら、いよいよ志望校・併願校を絞っていきます。

その際は、ご家族とよく相談するのはもちろん、中学受験の豊富な情報・知識を持った専門家にぜひアドバイスを求めてくださいね。

サピックスでは6年生の秋に「学校別サピックスオープン」、日能研では「合格判定テスト」が行われますので、最終的にはそれらの結果をふまえて志望校・併願校を決定するご家庭が多いです。

あせることはありませんが、ぜひ今の時期を利用して検討してみてください。

志望校が定まることは、きっと大きなモチベーションにつながりますよ。

Page 2 of 13

COPYRIGHT@西村則康公式サイト