澄み渡る空が心地よい季節になりました。

朝晩はぐっと冷え込む今日この頃ですが、受験生の皆さんはお元気ですか?

10月も後半になり、過去問演習に勤しんでいる人も多いようですね。
そこで、今日はよく耳にする皆さんの不安や疑問について、2回に分けてお話したいと思います。

特に多い質問が、

「うちの塾はまだ過去問に入っていないのだけれど大丈夫?」
「過去問って何年分やれば良いの?」
「第2、第3志望校については?」
「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」

というようなものです。

まず、過去問をまだスタートしていないことに対する不安についてですが、過去問のスタート時期については、先生や塾それぞれの方針があります。
そして、早ければ早いほど良いといったものではありません。

たとえば、大手中学受験塾のサピックスでは夏期講習から過去問に取り組み始めますが、早稲アカや四谷大塚は後期(9月)から、日能研は基本秋(11月頃)からという具合に、そのタイミングは様々です。

この設定の違いは、塾の学習進度にもよりますね。
たとえば、サピックスでは小学5年生の秋までに受験に必要なほぼ全ての単元を修了しますが、日能研では6年生でも新単元の学習があります。
カリキュラムや過去問についての考え方は千差万別ですから、それぞれの塾や個人の状況に合わせ、不安があれば塾や先生と相談しながら、あせらず取り組んで行きましょう。

ただし、「ぜひ1度過去問を解いてみたい!」という気持ちが強いのならば、たとえ5年生でも、6年生の各塾の過去問「解禁」前でも、1度チャレンジしてみるのが良いと思います。
そのタイミングでは、まるで歯が立たずショックを受けてしまうかもしれません。
あるいは、問題が自分に合っていて、思いの外7~8割取れるかもしれません。

結果は様々だと思いますが、いずれにせよ、チャレンジ精神果敢な皆さんにはその挑戦が良いモチベーションに繋がることと思います。
(このとき、解く問題の学校・年度は塾や家庭教師の先生と必ず相談してくださいね。間違っても、いきなり志望校の最新年度の過去問を解かないこと。理由は次回のコラムでお話します)

さて、次に「過去問って何年分やれば良いの?」という疑問についてですが、その前に「なぜ過去問をやるのか」を一緒にふりかえってみましょう。

過去問に取り組む一番の目的は、勝つために敵を知ることですね。
もう少し丁寧に言えば、志望校の、各科目の出題傾向や難易度を分析し、対策・演習することで得点アップを狙い、合格するためです。

自分の志望校の算数では、毎年速さの問題が扱われている。
最終的な答えだけではなく、途中式や考え方も加味される採点形式である。
国語は解答形式がほぼ全て記述問題である。
文学史も扱われるので対策必須。
素材文は小説と論説文が1題ずつの大問2題構成。
理科は実験に関するものや計算問題が多い。
社会は近年、時事問題や分野横断型問題が出題されるようになった。

……などといった具合です。

赤本の冒頭にもまとめがありますが、自分なりにも解きながら分析・まとめをしておくと、普段の学習から必要なことを意識できますよ。

二つ目の目的は、試験慣れです。

過去問演習を繰り返すことで時間配分を「身体で」身につけることが出来ます。
頭で判っているのと身体で分かっているのは大きな違いですね。

慣れてきたら、試験当日の時間割通り、全科目を通しで解いてみましょう。
できれば、開始時刻や休憩時間も本番と合わせてみてください。

そうした場合の疲労感、精神状態がどのようなものか体感することで、本番に向けた体力づくりや朝方生活への転換を早いうちから意識し、各々に必要な対策を講じる事ができます。

三つ目の目的は、志望校との相性を知ることです。

現在、自分の学習到達度はどの程度なのか。
志望校の「合格者平均点」には届いているだろうか、届いていないとしたら、「合格最低点」ではどうだろうか。

10月~11月前半にそれらを超えることが出来なくても構いません。
11月後半や12月頃から、安定して合格ラインを超えられるようになってくれば大変順調と言えるでしょう。

逆にその頃を過ぎても自分の点数と合格ラインがあまりにもかけ離れている場合は、受験校の再考も視野に入れ始める必要が出てきます。

以上、過去問に取り組む時期や目的について、皆さんとあらためて確認してきました。

次回は、

「過去問って何年分やれば良いの?」
「第2、第3志望校については?」
「1度解いた過去問に再チャレンジしても良い?」

などの質問に関してくわしくお話したいと思います。

寒くなってきましたので、腹巻きや厚めの靴下でしっかり防寒してくださいね。
皆さんが毎日を健やかに過ごせるよう願っています。