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「割合」を学ぶときに思い出してほしいこと

■春休みが終わりました

 

春休みが終わり、学校での新しい学年が始まりました。

 

塾では一足先に、2月から新学年の授業が始まっていますが、春休みまでの2か月間の振り返りができたでしょうか。

 

学校と毎週の塾の授業という日常がまた始まりましたが、がんばった分だけ結果に結びつく、そんな学習サイクルを作りたいですね。

 

以前にも書きましたが、各塾の5年生は4月から夏休みまでの間に、割合や速さといった重要かつ苦手とするお子さんが多い単元を学習します。

理解が不十分なままにならないよう、気をつけて取り組みたいですね。

 

 

■言葉の定義より大切なこと

 

特に割合の考え方、感覚をしっかり身につけておくことは大切です。

塾のテキスト、そして先生によっても違うのですが、割合の単元では「もとにする量」「くらべる量」といった言葉が出てきます。

 

言葉の定義を知ることも大切なのですが、実はこの言葉が曲者なのです。

「もとにする量」「くらべる量」といった言葉によって「難しい」「わからない」という印象を持ってしまうお子さんが多いのです。

 

割合について、親御さんに知っておいていただきたいことは、「割合とは『何倍』という意味だということです。

たとえば「720円の2割5分は何円?」とあったら、「2割5分」を「0.25倍」と読み替えればいいのです。

 

この「割合とは『〜倍』という意味だ」と知っておくことはとても大切で、割合の学習において混乱を防ぐとてもいい方法なのです。

 

お子さんが割合を学び始めたら、ぜひこのことを思い出してください。

 

4年生は「完璧」にこだわりすぎず 6年生は「やるべきこと」のリストアップを

前回は、各塾の5年生が1学期に算数の重要な単元である「速さ」「割合」を学ぶということを書きました。

実は算数だけでなく、各科目で非常に重要な学習内容を網羅するのが、進学塾の5年生のカリキュラムです。

「5年生終了時には、社会科の公民を除いて入試に必要な全単元をほぼ終了する」
と言われているのが、中学受験塾のカリキュラム。

「受験ではこの単元、解法がキモになるんだよね」
というような事柄は、ほぼ5年生でその基本を習います。

だから5年生は非常に大切な学年なのですが、これはまだ5年生になっていない4年生、そしてもうすでに5年生の学習を終えてしまった6年生も、意識しておいてほしいことなのです。

■ 4年生は、あまり完璧にこだわりすぎず

どの塾に通っていても、4年生は比較的、時間に余裕があります。

塾に通う日数も週に2日ほど、そして習う内容も易しく、場合によっては親がその内容を指導することも可能な単元も多いと思います。
だから、習ったことを完璧にできるようにしよう、と考える親御さんも多いのですが、実はあまり「完璧」を追い求めすぎないほうがいいと思います。

なぜならその「完璧」を目指す勉強法は、5年生になるといろいろな理由で通用しなくなるからです。

「習ったことを完璧にできるようにしよう」という家庭学習の、どこがいけないのか。
それは「完璧」を追い求めすぎると「全部大切」「すべてを完璧に」となりやすく、そこに「宿題の優先順位をつける」という視点がなくなってしまいやすいからです。

一週間あたりの宿題量や塾に通う日数、時間などから考えて、5年生になると優先順位をつけて学習しないと回らなくなるのです。
それを見越して4年生からやっておかないと、5年生で家庭学習のサイクルが破綻します。

「でも、4年生はまだ宿題も多くないんだから、別に完璧にやってもいいじゃない。」

そんな声も聞こえてきそうです。

それでも、たとえば宿題を何度もさせるとか、すべての問題を完璧に、という考え方にはこだわりすぎないほうが、長い目で見て上手くいった例が多いように思います。

宿題の取捨選択をして空いた時間は、理社の調べ学習や「テキストの外」に出ていくような学習をするのがよいと思います。

■ 6年生は「5年生で積み残したこと」を意識して

6年生は、夏くらいから本格的に「受験対策」の勉強になりますね。
志望校別の特訓が始まり、志望校の過去問演習に関する指示も塾から出ると思います。

ポイントは夏が来るまでの時期、つまり春の間に、どのくらい5年生のときの「積み残し」を補強できるかです。

5年生で何ができて、何ができなかったか。

手薄、苦手なままになっている科目、単元は何か。

把握できていないのなら、数回の実力テストの結果を見ながら、リストアップしなければなりません。

お子さんの答案と正答率表を参考に「正答率が高いのに間違った問題が多い単元は何か」を調べましょう。

まだいろいろな意味で余裕がある春のうちに、こういったことを早め早めにしておくと、夏からの勉強が実り多い者になります。

名門指導会では私が直接ご家庭に伺う「家庭訪問」のサービスもあるのですが、その折に上記のようなテスト分析を詳しく行うと、御本人もお母さんもびっくりするくらい「やるべきこと」がはっきりします。

ぜひご家庭でも「やるべきことのリストアップ」にチャレンジしてみてください。

各塾の5年生 1学期の乗り切り方は

4月に入り、春休みも後半。

新しい元号「令和」が発表され、いよいよ来月から新しい元号に切り替わります。
何か新しいことを始めたり、チャレンジしたくなる春ですが、今年はことのほかそんな気持ちになりますね。

さて、お子さんたちは春休みを終えると学校でも新学年、1学期を迎えます。
新しい学年、新しいクラス、新しい友達や担任の先生、新しい環境での生活を迎えつつも、塾ではカリキュラムが本格的に難度を増していきます。

■5年生最大の「山場」は

6年生はいよいよ夏に向けて、最重要単元の総復習となっていきます。
(多くの塾で、社会科だけは公民分野が未習ですが、他の教科はほとんど5年生までで基本的なことは全て学んでいる状態で、6年生1学期は復習&応用発展的なカリキュラムです)

では5年生はどうかというと、特に算数では5年生の「山場」ともいえる単元が2つ登場します。

ひとつは「速さ」であり、もうひとつは「割合」です。

多くの塾で、4年生でその基本は学んでいますが、本格的に学習するのは5年生です。
サピックスでも5年生の1学期、速さは「旅人算」として登場し、夏休み直前には割合も本格的に学習します。

入試問題にも頻出の単元であり、これらの分野に苦手があると、受験において大きく不利になるといってもいいでしょう。
その意味で、5年生の1学期はとても重要です。

■塾カリキュラムの特性を意識して

大手進学塾の算数カリキュラムにおいて、もっとも「堅実」なつくりになっているのは日能研ではないかと思います。
たとえば小数や分数の計算の単元が出てきたかと思えば、それらを数週に渡って「これでもか」と言わんばかりに徹底的に続けて指導するカリキュラムです。

一方でサピックスは、図形を学習したかと思えば次の週には約数や倍数、というように目まぐるしく学習単元が変わっていきます。

どちらがよくてどちらがよくない、といったことではなく、一長一短なのです。

日能研のように1つのテーマをじっくり学習するタイプのカリキュラムの塾は、時間をかけて理解し、コツコツ積み上げていきたいお子さんにはぴったりです。
一方サピックスのように目まぐるしく単元が変化する塾は、どんどん新しいことを学習したいお子さん向きです。そのためには1回1回の内容を短いサイクルで身につけていくことが必要ですね。

四谷大塚はその中間的なカリキュラムです。

お子さんが通う塾の授業がどのようなカリキュラムで進んでいくのか、そしてお子さんの学習に取り組むときのタイプや姿勢はどうか、そのあたりを親御さんが見極めてあげる必要がありそうです。

■「わかったつもり」のままでは身につかない

乱暴な言い方をすれば、塾の一斉授業で習って「わかった」と言って帰ってきたお子さんは、半分くらい「わかったつもり」の状態です。

確かに塾の先生の言うことは理解できたし、授業中にそのとおりに問題を解けばできた。
でも、時間がたっても同じことが確実にできるようになるかどうかは、家庭学習にかかっています。

習ったとおりに問題を解くだけではなく「どうしてそのように考えるのか」「なぜこの解き方で解くのか」を自分なりに考えながら、習ったことを反芻する学習時間が必要です。

各塾なりに、テキストやテストはそのような学習となるようにできているはずなのですが、「追われる学習」が続いてしまうと、いつのまにか「機械的な作業」が勉強であるかのようになってしまいがちです。

家庭学習がそのような「機械的な作業」にならないためのヒントは、「スピーディーな学習とスローな学習の使い分け」だと感じています。

完全に理解できている基本問題や計算問題などは、テキパキと(ときには制限時間を設定して)スピーディーに処理する。
応用問題を考えるときや授業の内容を振り返るときは、じっくりと考え方をことばにして説明するなど(親御さんに対してお子さんに説明してもらう「家庭内ミニ授業」もおすすめです)スローな学習を心がける。

すべてが「あたふた」にならないように気をつけて、1学期を上手く乗り切りたいですね。

【関西】2月よりも難しかった3月の浜学園の公開学力テスト6年算数

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■2月より難しかった!3月の「浜学園 小6 公開学力テスト 算数」

前回のコラムでは、浜学園で行われた2月の小6の公開学力テストの算数が「実力通りの得点になりやすいテストに変わった」とお伝えしました。

しかし、3月10日に浜学園で行われた小6の公開学力テストの算数は、2月の公開学力テストよりも難しいものとなりました。

算数

国語

理科

2019年2月実施 6年公開

44.5

50.9点

52.3点

2019年3月実施 6年公開

42.2

58.5点

58.4点

上記のように、3月の公開学力テストの算数の平均点は、2月に行われた公開学力テストよりも2.3点下がっています。

というのも、テスト用紙1枚目にある大問2が難化したからです。

次の表は、2月と3月の公開学力テストの大問2の正答率の一覧です。

このように、正答率20%以下の問題数が2月の公開学力テストでは1問であったのに対し、3月には5問(20点/満点100点)と大きく増加しています。

さらに、テスト全体を見ても正答率50~79%の問題が6問(全23問)も減っていることが次のグラフからわかります。

■得点帯ごとの人数分布はどのようになったのか?

では、2019年3月に行われた6年生の公開学力テストの得点帯ごとの人数分布はどのようになったのでしょうか。

正答率50~79%の問題数が大幅に減少したために、得点帯別の人数分布も30~49点に受験者全体の46.2%が集中し、2月ほどは「実力通りの得点になりやすいテスト」とはなっていないことがわかります。

■3月の公開学力テストで求められた力と今後に向けた準備

では3月の公開学力テストで得点を伸ばすために求められていた力はどのようなものだったのでしょうか。

2月と大きく正答率が下がった3月の公開学力テストの大問2から、問題を1つ見てみましょう。

2-⑦ 「1個500円で仕入れた品物  個を2割のもうけを見込んで全部売るつもりでしたが、3個こわれたので、残りを全部売って全体で900円の利益になりました。」

この問題の条件を線分図に表わすと次のようになります。

上記の線分図から「仕入総額の2割=900円+1800円」とわかりますので、2700円÷0.2=13500円…仕入総額 13500円÷500円=27個のようにして答えを求めることができます。

この問題の正答率は18%ですが、上記のように、「問題の条件を整理する力」があれば決して正解できない問題ではありません。

ですから、前回のコラムで「(2月の公開学力テストの)大問2-⑨をまちがえていたのであれば、食塩水のやりとり算や売買算など条件整理を必要とする比と割合の問題など、まちがえた問題の類題とその周辺分野の問題を振り返って、解法の確認や条件整理力を確かめる」ことが3月の公開学力テストにむけた準備として十分にできていれば、正解できたかもしれません。

公開学力テストのような実力テストは、返却されてからどのような取り組みをするかが非常に重要です。

間違えた問題の直しをすることは大切ですが、それに加えて類題と間違えた問題に関連する周辺分野の問題を利用して解法の確認や条件整理力を確かめることが、その後のテストにつながっていきます。

次の公開学力テストに備え、「あと少しがんばれば解けそう…」という問題から優先的に、5年生のマスターコースの演習教材や講習会の教材、あるいは市販問題集などを利用した振り返り学習ができればいいですね。

入試問題は学校からのメッセージ

昨年の開成中の算数入試が易しかったことは、このブログ以外の記事やさまざまなメディア向けのコメントでお伝えしてきました。
で、今年はどうだったかというと、さすがに昨年より難化していました。
昨年は「いったい開成中はどうなっているんだ!?」といった声もあちこちからあがっていたのですが、今年の問題を見て、学校の考えや苦悩がわかるような気がしたのも確かです。
開成を目指してくる子たちは、全国でもトップレベルの実力の持ち主たち。
もちろんもっともっと算数の難度が上がっても、対応できるはずです。
今年の出題は、まさに「オーソドックス」というにふさわしい難問だったと思います。
ただ、難問奇問ばかり出す学校ではないのが、開成中学校。
基本的な問題もあれば、手を動かすだけで正解が見えてくるような、そんなつくりの問題もあります。
学校側としては、スマートな方法で難問をサラリと解く生徒ばかりに来てほしいわけではないのだと思います。
しっかり作業して細かいことを積み上げていく、そんな努力ができる子、その努力の末に見つけた糸口にワクワクできる子に来てほしいと思っているでしょう。
そんな子のために、問題に趣向を凝らします。
でも、それが塾のテキストに収録されると「解き方を教えてもらう」対象となり、あまり難問だと「捨て問」と判別され「誰も解かない」ということがおこるのです。
結果、算数で差がつかないということになれば、算数に力を入れてこなかった子が有利になる場合だってあるかもしれません。
入試は「選別するため」のテストで、それに向けて行う受験勉強は「合格するため」の勉強だと割り切れば、ある程度はしかたがないのかもしれませんが、ちょっと味気ないですね…。
でも、今年の開成中の最後の大問4などは、まさしく「思考系」の権化のような問題であり、パズルのような、算数好きのお子さんはワクワクするような「初見」の問題。
学校からのメッセージがビシビシと伝わってくるような問題でした。
入試問題は、学校からのメッセージとよく言われます。
もちろん「対策」も大切なのですが、そのメッセージを読みとく楽しさも味わいながら勉強できるといいですね。 

2019年入試を終え、新中1セミナーでお話ししたこと

■3月2日、新中1セミナーに登壇しました

2019年3月2日(土)、新宿にて「マイナビ家庭教師」さんと中学受験情報局が共催するセミナーにて、弁士を務めさせていただきました。

表題は「6年間を成績上位で過ごすための 新中1スタートアップセミナー」です。

やっとのことで中学受験を乗り切り、さあ進学校も決まって一安心・・・そこでお母さんたちが気になるのは「中学校が始まる4月までに、どんなことをさせればいいの?」ということ。

塾や予備校からは、どんどん「売り込み」がかかります。

「さあ、次は大学受験ですよ」

そんな煽りのきいた広告やDM、そして学校の合格発表や説明会に行けば、正門前でさまざまな塾がチラシを配っています。

まわりからは「●●塾の中学受験日講座に行かせる」なんて声も聞こえてくるかもしれませんね。

■進学校が決まったら、さっそく塾に通わせるべき?

私がふだんから親御さんたちに伝えていること、そしてセミナーでもお話ししたことは同じ。

それは「煽られるままに塾に行かせないほうがいい」ということです。

中学受験の勉強内容は、小学校の内容とはかけ離れているものでした。
だから「塾は必須」と言われますね。

「大量演習」「暗記型学習」「詰め込み」
など揶揄されることも多い塾の勉強でしたが、限られた期間で中学受験に向けた「特殊」な勉強を乗り切るためには必要なものでした。

でも中学、高校の勉強はちょっと違います。

というのは、少なくとも中学受験の結果お子さんたちが進学した学校での勉強は、その先に大学受験を見通して行われています。
「学校だけじゃダメだから塾に通わせなくちゃ」
という発想を、ちょっと変える必要があるのです。

■進学校出身の大学生たちのアンケート結果は

セミナーに先立って「マイナビ家庭教師」で現役の家庭教師として活躍する大学生たちに、アンケートをとってみました。

当日も数人の大学生が来ていましたが、物腰からも話しぶりからも、とても優秀な学生さんだなぁと思わせる方たちでした。

彼らの多くは、麻布中、駒場東邦中、桜蔭中、雙葉中などの6年一貫の進学校出身です。
そんな彼らに、こんな質問をしてみたのです。

「中学時代、クラスで塾に行っている人はどのくらいいましたか?」

その回答の多くは
「ほとんど行っていなかった」
「少数だった」
多くても
「半数くらいだった」
でした。

その結果を見て、私はとても安心したのでした。

学校の先生たちは、大学受験だけを見ているのではなく、多感な時期のお子さんたちの成長をさまざまな面から見守っています。
そして、学校で力いっぱい生活し、成長を遂げればその先にそれぞれのお子さんに適した進学先がある、そんなカリキュラムを組んでいるはずです。

そんな素晴らしい学校を目指して、中学受験するお子さん、サポートする親御さんはがんばっているのだと思います。

そのことを、進学が決まったそのときには、もう一度思い出されるといいと思ったのでした。

【関西】2019年 浜学園の公開学力テストが変わる?!

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■浜学園の公開学力テストが変わる?!

昨年の暮れのことですが、浜学園が開催した進学説明会で「6年生の公開学力テストの算数の平均点がこれまでより高くなるように変更する」というお話があったと、参加された方より教えていただきました。

これまで、浜学園の公開学力テストの6年生の算数の平均点は、5年生の公開学力テストの算数や6年生の公開学力テストの国語や理科に比べてかなり低くなる傾向にありました。

算数

国語

理科

2018年1月実施 5年公開

59.9

55.0点

63.2点

2018年2月実施 6年公開

43.7

64.0点

51.1点

2018年3月実施 6年公開

41.1

63.1点

53.0点

上記の場合、5年生の最後に行われる1月の公開学力テストと6年生の1回目に行われる公開学力テストでは算数の平均点が16.2点も低く、また、同じ6年生の1回目に行われる公開学力テストの算数と国語では平均点が20.3点も差があります。

そこで、浜学園としても科目間の平均点の差を小さくしようと考え、説明会で前述のようなお話しをされたものと推測されます。

■2019年2月の公開学力テストの結果は?

では、2019年2月に行われた6年生の公開学力テストの結果はどうだったのでしょうか。

算数

国語

理科

2018年2月実施 6年公開

43.7

64.0点

51.1点

2019年2月実施 6年公開

44.5

50.9点

52.3点

2019年2月に実施された新6年生の公開学力テストの算数の平均点は、昨年の2月の公開学力テストよりも0.8点上がっただけにとどまりました。

このように平均点の推移だけを見ると、「なんだ、結局変わっていないじゃないか」と思えるのですが、得点分布を見てみると実はそうではないことがわかります。

2019年2月の公開学力テストは前年よりも「グラフの形状がなだらか」になっています。

これまでの公開学力テストよりも「実力通りの得点になりやすいテスト」に変わっているということです。

これまでの公開学力テストであれば、学力差が少しあっても解けない問題数が同じなため、点数上は差がないように見えました。

しかし、変更後の公開学力テストは、学力が高ければ正解できる問題数が多くなり、学力が低ければ正解できる問題数が少なくなるように構成されており、点数に学力の差が現れるやすくなっています。

言い換えると、以前よりもさらに「ミスが許されない」テストになったといえるのです。

■4月の公開学力テストに向けた準備

では、このようにこれまでとは問題の構成が変化した公開学力テストが継続されると仮定した場合、どのような準備をして今後のテストに臨めばよいのでしょうか。

その資料として、公開学力テストの問題を昨年度と今年度で見比べて見ます。

覆面算や文章から式を作る力を必要とする問題が2019年度には出されていません。

このように、2019年2月の公開学力テストの1は「純粋な計算力」だけを問うものに変わっており、「計算ミス=マイナス4点」と差がつきやすくなっています。

同様に、2以降の問題も、基本問題は「解法が身についているか」、応用問題は「条件を整理することができるか」、難問は「持っている解法と整理力をフル活用できるか」を問う、シンプルながらも現在の学力がはっきりとわかる問題となっていました。

ですから、仮に基本問題の2-③をまちがえていたのであれば「余りの処理」問題や「最大公約数や最小公倍数の利用」問題などを、2-⑨をまちがえていたのであれば、「食塩水のやりとり算」や「売買算」など条件整理を必要とする比と割合の問題など、まちがえた問題の類題とその周辺分野の問題を振り返って、解法の確認や条件整理力を確かめることが準備として必要になるでしょう。

振り返りには5年生のマスターコースのテーマ教材や演習教材でも構いませんし、問題の選択が難しければ復習テストを使ってもよいでしょう。

テーマ教材や演習教材、復習テストでは「量がありすぎて時間が取れない」ようでしたら、5年生の夏期講習や冬期講習の教材を利用する方法もあります。

一度使った教材が使いにくいようでしたら、「プラスワン問題集(東京出版)」や「四科のまとめ(四谷大塚)」、「分野別シリーズ(サピックス)」などの市販問題集でも構わないと思います。

時間に限りがあるでしょうから、「もう少し固め直せば…」という問題から優先的に取り組んで次の公開学力テストに備えることができればいいですね。

神奈川県の栄光学園で見た「学ぶ楽しさ」

■栄光学園、井本先生の授業

先日、神奈川県の栄光学園にお邪魔してきました。
栄光学園の数学教師、井本陽久先生の授業を見学するためです。

おもに中学生の幾何を担当する井本先生は、生徒が自ら学ぶ授業を実践していることで有名な方なのですが、そんな授業をひと目見たいと以前から思っていたのでした。

その授業は「先生が『模範的な解き方』を一方的に生徒に与えることはない」というもの。

先生は考える材料を与え(それを子どもたちは家でウンウン考えてから、次の授業にやってきます)、生徒たちが提出したさまざまな考え方、解き方を共有します。
それらを題材に、みんなで感心したり吟味したり。

ひとしきり手を動かしたあと、子どもたちは自由に教室を動き回って、他の生徒と意見交換したり、考えをぶつけ合ったりして、授業が終了する瞬間まで、ほんとうに楽しそうに頭脳をフル回転させています。

■「学ぶ楽しさ」が際立っている

この授業を成り立たせているのは、井本先生が繰り出す絶妙な「考えるためのネタ」であり、閃いたときの高揚感、考えをクラスメートに共有したとき、それがみんなを驚かせたときの嬉しさなど、まさに「学ぶ楽しさ」でした。

このような勉強を、日々続けられる栄光学園の生徒たちは、とても幸せだなと感じました。
そして彼らはまさに「かけがえのない中学校時代」を過ごしているんだな、とつくずく思ったのでした。

そんな栄光学園の理科の入試問題は、実は「超個性的」です。

理科の問題は、毎年「1テーマ」。
1つのテーマについて、さまざまな角度から掘り下げ、子どもたちを導いていきます。

2019年のテーマは「石垣」。

これだけ聞くと「石垣だけで、入試問題ができるの?」と思われるかもしれませんね。

石垣に生息する植物などから始まり、その石の積み方それぞれの長所や短所、また使われている石についてなど、どんどん思考が広がっていくような問題です。

このような問題を出題する学校では、はたしてどんな先生がどんな授業をしているんだろう、という疑問の答えがすべてわかってような1日だったのでした。
丘の上にある栄光学園までのぼっていく途中、入試問題に写真で紹介されていた石垣があったことに、思わず微笑んでしまったのでした。

塾では、今年も各学校の入試問題への対策を練った授業が行われていきます。
確かに「傾向対策」も大切ですね。

でも、ほんとうに素晴らしい入試問題は「出題者に授業をしてもらっているような気分」で取り組むことができるものだと私は思っています。
そしてそれは決して一方通行でなく、類似パターンを演習して「こなす」ものでもないということを、あらためて思ったのでした。

入試問題から学ぶ、といった勉強ができているお子さんは、中高の授業も目一杯楽しめることでしょう。

2月19日には関西で少人数の相談会、そして21日には東京で入試問題の分析セミナーを行うのですが、そこでもこのことはお伝えしていこうと思っています。

関西で入試傾向分析セミナーを行いました(東京は2月21日開催です)

■関西で「入試分析結果発表セミナー」を行いました
2月8日(木)、大阪で入試問題分析セミナーを行いました。
50名ほどの親御さんに集まっていただき、2019年の関西入試についての分析結果を科目ごとにお伝えしたのです。
2019年の関西入試で特徴的だったのは、やはり関西の入試も変わり始めているなということです。
六甲中のように、式を与えて問題を考えさせる問題があったり、灘では条件を与えながらの作文も出題されました。
もちろん、お題目的には「2020年教育改革を控えて」といったことになるのでしょうが、それを抜きにしても各学校、解法知識だけではなく思考力を問いたいというのがよくわかる出題だったと感じました。
■新傾向問題への対策は?
全体として私が感じたのは、「結果だけでなくプロセスをみる」問題が増えているということです。
見たまま、閃きで解けるような問題よりは、じっくりと問題文を読み込んで条件を整理しなければ解けない問題が増えている印象です。
灘の算数の得点が下がったという話は以前もしましたが、これは出題のパターンが例年と少しだけ違った(数の問題が易しく、図形が難しくなった)ということと関係していると思います。
また大阪星光でも「算数が難しくなった」という印象を持ったお子さんが多かったようですが、実際にはそう難度は上がっていません。
目を引いたのは証明問題で、これに戸惑ったお子さんが「難しくなった」と感じたのかもしれません。
そういう意味で、塾で「傾向対策」をすればするほど「新傾向問題」に対しての違和感は大きくなるわけで、最難関中学校を目指す子に関しては「何が出てもOK」という準備と、受験当日のマインドの持ち方の訓練、シミュレーションも大切だと感じさせる入試でした。
2月21日(金)には東京でも分析結果を発表するセミナーを行いますので、ご都合の合う方はぜひご参加いただければと思います。 

 

2019年入試が始まりました/気になる首都圏の出題

大阪、兵庫のの入試が週末から始まりましたね。
主宰する名門指導会の生徒の中にも受験したお子さんがいる学校について、何校か問題を解いてみました。
さすがに灘中は今年も難度が高いですね。
■難しくも面白い灘中の問題
過去の出題の「発展パターン」なども出題されていて、バラエティに富んだ難問揃いです。」
受験生たちの中からも「算数が難しかった!」という声が一日目も二日目も出ていたようです。
平均点も近年の中でもっとも低かったようで、算数が特に得意なお子さんにとっては有利だったかもしれません。
理科では、面白い出題がありました。
「立体写真」に関するものです。
2台のカメラで写真を撮り、右のカメラで撮影した画像を右の目で、左のカメラで撮影した画像を左の目で見ると、立体的な画像になるというもの。
人をはじめ、顔の前面にふたつの目がついている動物の視覚そのものですね。
「右目と左目で見え方が違うのに、どうして両目で見たら1つの画像が見えるんだろう」と不思議に思って、片方ずつ目を閉じて見え方の違いを確かめてみたことがあるお子さん、いると思います。
そんなお子さんは、違和感なく解けたのではないでしょうか。
片目をつぶったり、大きく目を見開いて問題の図を睨んだ受験生が多かったのではないか、と思いました。
また、そんな子どもたちの姿を想像しながら灘中の先生は問題を作ったのかな、とも思いました。
■今年も気になる入試問題
さて、首都圏の入試も間近に迫っていますが、私が毎年入試問題が気になる学校は、ずばり麻布中学校と武蔵中学校。
その他の学校ももちろんそうなのですが、やはりこの2校は個性的で、特に理科の問題には毎年唸らされます。
この2校の理科の問題も、先程の灘の出題同様「出題者との対話」のあるもの。
まるで、その中学校の先生に教えてもらっているような気分で「へ〜そんなことがあるんだ!」と面白がりながら解くことができた子が通る、そんな入試だと例年感じています。
麻布中の「普段から理科的なことがらに関するアンテナを立てている?」と問いかけてきそうな問題。
惑星探査機の話題や身近なところで活躍する家電製品の仕組みなど、非常に興味深い出題だと思います。
武蔵中「お土産物」も毎年楽しみです。
(机の上の袋の中に何らかの「道具」などが入っていて、それを観察して受験生が気づいたことなどを図や文章で説明する問題。試験後、袋の中のものを持って帰って良いことから。「お土産物問題」と呼ばれます)
さて、今年はどんな問題が出題されるでしょうか。
受験生たちはドキドキでしょうが、ぜひ問題に取り組むのを楽しんでもらえたらと思います。 
2月上旬(8日)には関西で、下旬(21日)には首都圏で入試問題の分析報告会を開催させていただく予定でいますから、そちらも楽しみにお待ちいただければと思います。

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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