■栄光学園、井本先生の授業

先日、神奈川県の栄光学園にお邪魔してきました。
栄光学園の数学教師、井本陽久先生の授業を見学するためです。

おもに中学生の幾何を担当する井本先生は、生徒が自ら学ぶ授業を実践していることで有名な方なのですが、そんな授業をひと目見たいと以前から思っていたのでした。

その授業は「先生が『模範的な解き方』を一方的に生徒に与えることはない」というもの。

先生は考える材料を与え(それを子どもたちは家でウンウン考えてから、次の授業にやってきます)、生徒たちが提出したさまざまな考え方、解き方を共有します。
それらを題材に、みんなで感心したり吟味したり。

ひとしきり手を動かしたあと、子どもたちは自由に教室を動き回って、他の生徒と意見交換したり、考えをぶつけ合ったりして、授業が終了する瞬間まで、ほんとうに楽しそうに頭脳をフル回転させています。

■「学ぶ楽しさ」が際立っている

この授業を成り立たせているのは、井本先生が繰り出す絶妙な「考えるためのネタ」であり、閃いたときの高揚感、考えをクラスメートに共有したとき、それがみんなを驚かせたときの嬉しさなど、まさに「学ぶ楽しさ」でした。

このような勉強を、日々続けられる栄光学園の生徒たちは、とても幸せだなと感じました。
そして彼らはまさに「かけがえのない中学校時代」を過ごしているんだな、とつくずく思ったのでした。

そんな栄光学園の理科の入試問題は、実は「超個性的」です。

理科の問題は、毎年「1テーマ」。
1つのテーマについて、さまざまな角度から掘り下げ、子どもたちを導いていきます。

2019年のテーマは「石垣」。

これだけ聞くと「石垣だけで、入試問題ができるの?」と思われるかもしれませんね。

石垣に生息する植物などから始まり、その石の積み方それぞれの長所や短所、また使われている石についてなど、どんどん思考が広がっていくような問題です。

このような問題を出題する学校では、はたしてどんな先生がどんな授業をしているんだろう、という疑問の答えがすべてわかってような1日だったのでした。
丘の上にある栄光学園までのぼっていく途中、入試問題に写真で紹介されていた石垣があったことに、思わず微笑んでしまったのでした。

塾では、今年も各学校の入試問題への対策を練った授業が行われていきます。
確かに「傾向対策」も大切ですね。

でも、ほんとうに素晴らしい入試問題は「出題者に授業をしてもらっているような気分」で取り組むことができるものだと私は思っています。
そしてそれは決して一方通行でなく、類似パターンを演習して「こなす」ものでもないということを、あらためて思ったのでした。

入試問題から学ぶ、といった勉強ができているお子さんは、中高の授業も目一杯楽しめることでしょう。

2月19日には関西で少人数の相談会、そして21日には東京で入試問題の分析セミナーを行うのですが、そこでもこのことはお伝えしていこうと思っています。