受験勉強を進めていくうえで、頭の良い子が有利だという事は否めません。
学習意欲が同じ程度にあり、同じ程度の学習量をこなしているお子さん同士で比較した場合、頭の良い子がどうしても圧倒的に有利です。
では、頭の良さとは何でしょう。私は脳科学の専門家ではありませんから、現在の脳科学がどれほど進み、その成果として◯◯と言える、という文脈でお話する訳にはいきません。
あくまでも、実際に現場でお子さんを教え続けている中で感じ取ってきた事をお話する事になります。
私自身が感じている頭の良さの要素は3つです。
1 複数個以上の情報を一時的に記憶して、処理をする場合の、処理できる情報の
個数の多さ。
2 情報を処理する場合の正確さ。
3 情報を処理する場合のスピード。
3のスピードは、後天的な訓練で改善させて行くことが、案外たやすく出来る事ということを何度も経験しました。
ところが、複数以上の要素を一時的に記憶して、それらを目的に応じて処理していく能力は、高めて行くことが出来るものの、長期の訓練が必要なのです。
それは、多分、大脳の機能的な発達に密接に関係しているからだと思っています。
数字を短時間だけ頭に留めておく訓練として、「2桁かける1桁の暗算」をお勧めしています。
これは、親御さんが2桁と1桁の数を言うだけです。
紙に書いたり筆算しない約束でやらせてください。
小5あたりですと、3ヶ月から6ヶ月もかけてやっと効果が表れます。
例えば、四足混合計算の長い式をノートに書き取る際、これまでは1つか2つの数字を見てノートに書き写すことを繰り返していたお子さんが、一つのまとまりを見てノートに書き写すことが出来る様になります。
この様な事が出来始めたお子さんは、問題用紙の中で出た答えを回答用紙に書き写す際のミスが激減します。
また、計算のスピードもアップします。これは数字という要素を頭に置くれんしゅうです。それ以外に言葉を頭に置く能力も大切です。
人が、数字や言語を頭に置くときに、画像を頭に置く人、音声を頭におく人、そして両方を使う人がいるように思うのですが、どうでしょう。
これは、どちらが優れているという問題ではなく、その人にとって得意な優れている能力を使っている結果にしかすぎません。
視覚関係の能力が高い場合、視覚から入った情報を処理する能力だけではなく、音声情報を画像イメージに置き換えて、それを一時的に記憶する事が習慣化している事もあるようです。
一方、聴覚関係の能力が優れている場合、数字の9を、「キュウ」と音声に置き換えて記憶することもあります。
視覚イメージでも音生イメージでもどちらでも良いのですが、それらの情報の複数個以上を短時間頭に留めておいて、目的に応じて使っていく能力は、受験勉強を始める年齢のずっとずっと前から発達し始めるようです。
DNAも関係するでしょうが、ご家庭での言葉掛けや生活体験が大きな要素だと感じています。その具体例を次回書いていきます。