私の主催する名門指導会では、定期的に勉強会を行っています。

その会では、私からの話の一方通行にならないように、講師の方々に発言してもらって、一緒に考えていこうとしています。

普段から、各生徒や親御様に真剣に対峙してくれているからだと思いますが、毎回”ハッ”とするような話題が出ます。

今回は、「サピックスや、日能研、そして早稲田アカデミー、四谷大塚も宿題が多い。生徒たちの多くは、終わらせる事に一生懸命で、理解しようという気持ちの余裕を失っている場合が多いね。」などと話始めました。

 そして、今回の勉強会の後、ある講師から報告のメールで、次のような質問が出ました。

■ある講師の方からのメール■

(一部抜粋)

家庭教師は、塾や高校の教師とは違い、1対1で生徒に対峙して学習をしますので、生徒の性格や反応をきめ細かく汲み取って学習を進めなければなりません。

   「勉強が面白くない」

   「なぜ、お稽古事をやめてまで勉強しなければならないのか」

   「こんな沢山難しい勉強をして、将来意味があるのか」

などの疑問を今まで何度も、生徒からもち掛けられました。

そのつど自分で必死に対応してきました。

次回の勉強会では、悩みや疑問を持ちながら勉強を続ける生徒を、どのように

精神面で支えていけば良いのか、その点をお話伺えればと思います。

 

これは、私も何度も直面した事です。

「なぜ勉強しなければいけないの?」と聞かれたときに、子供の表情が深刻でないときには、勉強の意味を話して、今勉強をしているとこれから楽しいことが
いっぱい起きそうね、と話を締めくくればいいのです。でも、お子さんの表情が暗かったり、深刻そうだったり、場合によっては不安定になっていたりするとき
にはこうはいきません。

 そういうときには、私はこのように考えることにしています。

・今、この子はなぜこのような質問をするような気持ちになったんだろう。

・今、この子は心がつらいはずだ。心をつらくしているのは何だろう。

このような思いを頭の中で反芻しながら、

「なぜ、そう思うようになったの?」

「いつ頃から、そう思い始めたの?」

というような質問からはじめることにしています。

子供自身が感じている、「○○を□□やらなければ」という義務感と、実際にやれている学習の質量とのギャップが、大きなストレスとなっているはずなのです。

 このような場合に、

「今はね、受験勉強を通して勉強のやり方を勉強しているんだよ。」と正論を話してもほとんど効果がありません。義務感だけが高まり、実際とのギャップがより広がってしまいまうこともあります。

上記の質問をきっかけにして、

「小5の初め頃なんだ。その頃にどんなことがあったの?算数ではどんなふうに感じた?」

とか、

「塾の先生が、苦しいことに耐えて耐えて耐えて頑張れと言うんだね。でも、そんなことはとてもできないと感じているんだね。」

 と、質問したり、事実に同意したりを重ねていきます。

 

 教える側の忍耐力と、「質問力」が問われる事だと考えていますがどうでしょう。

お父様、お母様へ

 もし、お子様が、上記のような質問を苦しげな表情でされたときは、

今、うちの子は心がつらいんだ。

今はこのつらさに耐えさせるほうが良いのか、それともつらさを軽くしてあげるほうが良いのかを考えてあげてください。

そして、優しく注意深く見守ってあげてください。