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お父さんの関わり方

お父さんは家庭でリーダー役を務めていることが多いため、お子さんの受験でもリーダーを務めることになりがちです。
父性は原理・原則を強く押し出すのに向いていますので、受験の大きな方針を決める際にリーダーシップを発揮なさることはとても賢明な選択です。
ですが、日々の細々とした勉強にまでチェックを入れていく管理者には、できるだけならない選択をお勧めします。

お子さんとの時間を十分に共有できるお父さんはごく少数だからです。

職場であれば一日のうちのかなりの時間を過ごしていますから、スタッフの事情もよく見えており、状況に応じた的確な判断を行うことができるでしょう。
しかしご家庭でのことがどれほど見えているでしょうか。
実際には、お母さんからの情報をもとに判断するしかないことの方が多いのではないでしょうか。

大きな流れは見えても、日常的な小さなことがらまでは見えない。

でもお子さんの受験勉強については、日々の小さなことがらをいかにくみ上げ、適切にマネージメントしていくかが重要なのです。
ですからお父さんが受験の管理者を務めようと思えば、仕事が終わった後はすぐに帰宅し、使える限りの時間を使ってその日のお子さんの様子を確認し、フォローしていくことが必要になります。

中にはそれを全うなさるスーパーパパもいらっしゃいますが、多くの場合は難しい選択だと思います。

かといって、お父さんがお子さんの受験について関わりを持つことをやめるというわけにもいきませんよね。

「週末ぐらい手伝ってよと思うのですが、夫はゴルフの方が大切らしく・・・平日は仕事で大変だとは分かるのですが、せめて週末ぐらい一緒に子供の受験に向き合ってもらいたいと思うんです。求めすぎなんでしょうか。」(早稲田アカデミー 小6女子N.M.さん母)
とお話になる時のお母さんは、たいてい溜息まじりです。

お子さんの中学受験は、家族総出の一大プロジェクトです。
そのプロジェクトにお父さんが参加しないということは、
○お父さんはお子さんに関心を持っていない
○お父さんは奥さんをはじめとしてご家族に関心を持っていない
この二つのメッセージを発しているに等しいのです。
ご家族の中では、それでもバランスを保つことができるのかもしれません。

しかし、お子さんの受験勉強に並走する中で、お母さんはよそのご家族の様子を見ることになります。見たくなくても見えてしまいます。
「○○さんちは旦那さんが、いつも支えてらっしゃる。それにひきかえ、うちは・・・なんで私一人ががんばっているんだろう」
思いたくなくても、そう思ってしまうのです。
なぜなら中学受験は大変だから。

ティーチャーとしてお子さんを支えてらっしゃるお父さんも多いですね。
理数系はお父さんの担当、文系科目はお母さんの担当と分けているというお話もよくうかがいます。
ご家庭で勉強のフォローが受けられるというのが、お子さんにとって有利なのは間違いありません。可能であればぜひ勉強を手伝ってあげてください。
ただし、その際にはご自身ができることとできないことを冷静に把握しましょう。

「算数と理科は主人が担当して、国語は私が担当しています。ただ、特訓講座の算数はかなり難しいらしくて、『そろそろお手上げだぞ』と主人も言い出
しているんです。数学でなら教えられるそうなのですが、算数のやり方でないとまずいですよね。」(日能研 小5女子K.S.さん母)
お父さんが冷静だと、家庭にどっしりとした安心感が与えられますね。

ということで、受験を成功させてきたお父さん方は、時にティーチャーになりながらも、結果として支援者の立場に立ってらっしゃいました。

「夫は勉強には口を出さないようにしてくれているんです。子供の遊び相手になってくれて、息が詰まらないようにうまくやってくれています。」(浜学園 小5女子H.R.さん母)

「子供の宿題をずっと私がついて見てきたのですが、5年生になって内容も難しくなってきたのと、子供が反抗期に入ったことで最近は子供との関係が悪
くなってしまっています。毎日言い合いになっているのを主人が見かねて、こちらに相談するよう勧めてくれたんです。『今のままじゃ、君がもたないで
しょ』って言ってくれて。ああ、見てくれているんだなぁと感じました。」(希学園 小5男子K.Kくん母)

「お父さんはテストの点数を聞いて来ないから好きやねん。いつも『自分の勉強に納得できているなら、それで良し』って言ってくんねんけど、そう言われたら、ちゃんとやらなあかんなって思う。」(日能研灘特 小6男子S.Y.くん)

お子さんの受験を成功に導く支援者の立場こそが、優れたリーダーシップの証です。
プロセスに気を配りましょう。仕事から帰ってきて、たまたま見かけた様子だけから判断して口をはさまないように。お母さんと子供の努力に気を配ることが大切です。

そして、聴くことを大切になさってください。
ただ話の内容を「聞く」のではなく、気持ちも含めて「聴く」。
お子さんの受験に付き合うとき、お母さんは冷静ではいられません。お子さんはまさに自分の血を分けた分身です。お父さんがお子さんと出会う10か月も前から、お母さんはお子さんとずっと一緒に過ごしていたのですから。

ですから、お父さんが冷静であることが大切です。
お父さんまで冷静さを失えば、家庭が不安定になってしまいます。

子供の勉強がうまくいけばお母さんのおかげ、勉強がうまくいかなければ自分の責任、ぐらいの姿勢でいられれば最高のパパです。

言うことをころころ変えない。
方針を一貫させる。

そして、ぜひビジネススキルを応用なさってください。
ビジネスの現場でお父さんが身につけてこられた、スキルは受験にも子育てにも応用できる貴重な財産です。
○コーチングスキル
○スケジューリングのノウハウ
○報・連・相
○PDCA
なにより、部下育成における失敗経験、取り引き先との付き合いでの失敗、同僚との軋轢、などご自身の失敗経験を活用しましょう。

よくある子供が反発するケースとして、お父さんが自分の子供時代と比べ、「お前はこんな問題もできないのか!」と責めるケースがあります。
経験に裏打ちされた責めは非の打ち所がなく、正論ですから、子供にとっては逃げ場がない。

となると、子供は反発するしかしようがなくなります。「お父さんはお父さん。僕は僕なんだ!」なんて爆発すると、勉強どころではなくなります。
そうなると、「ウチは反抗期だから・・・」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、それは反抗期ではなく、「反発」。
ちょっと注意を払って入れば引き起こさなくてすんだ反発を、親が与えてしまっているということなのです。

親の自慢は子供には嫌みに聞こえます。決して叱咤激励にはなりません。
いくらお父さんが貴重な受験経験を持っていらっしゃっても、そのあたりの対応を間違うと、厳しくなります。
子供たちには、自慢よりも失敗談の方が断然ひびくということを知っておいてください。

リーダーのあり方については、こんな言葉があります。
「最低のリーダーは指示をする。
 普通のリーダーは説明する。
 優れたリーダーは率先垂範、背中で語る。
 最上のリーダーはやる気に火をつける。」

世のパパには、ぜひ最上のリーダーとしてお子さんの中学受験を成功に導いてもらいたいと願っています。

がんばりましょう!

親の役割

生活の延長線上での受験

中学受験は親子の受験といわれるように、受験の成否はご家庭にあるといっても過言ではありません。

 

言い換えると、中学受験は「家庭生活の延長線上にある」といえるのです。

 

ですから、中学受験をする理由をはっきりさせておくことは非常に重要です。

 

お母さん、お父さんそれぞれが自分の考えを持っているだけでは足りません。

 

必ず、十分に話し合って、夫婦を始め、家庭内の意見を一致させておくことが重要です。

 

 ■公立中への進学はどうしても避けたい。
 ■自分が通っていた中学校に子供も通わせたい。
 ■とても気に入った学校がある。それ以外の学校には行かせたくない。
 ■将来の大学進学のために、国公立大学への進学実績が良い学校に入学させた

  い。
 ■子供の個性を伸ばしてくれそうな環境を選びたい。
 ■お友達がみんな受験をするのにうちの子だけ公立というのはかわいそう。
 ■制服がかわいい。

 

受験をする理由は人それぞれ色々とあるものです。

 

聞いてみたら思ってもみない理由が出てきたりもしますから、「家族は自分と同じ思いのはずだ」と思い込んでしまわず、早めに話し合っておくことを強くお勧めします。

 

一番問題が起きやすいのは、お母さんが中学受験を決めたものの、お父さんは受験に反対、またはその逆のパターン、といったご家庭です。

 

中学受験は子供に一定の負荷をかけていくことになります。

 

真剣に中学受験に取り組むとなれば、負荷をかける親も負荷をかけられる子供も、そのせめぎあいは激しくなります。

 

その時に夫婦で意見が違う家庭では、お子さんが勉強に嫌気がさすと、受験反対派のお父さんと遊びに行ったりするということが起きます。

 

夫婦で考えた上での息抜きならいいのですが…


それが、大切なテストの前などだったらもう大変です。


「明日は大切なテストだっていうのに、どうして遊びになんか連れていくのよ!」


「テストテストって、たまには息抜きも必要だろう!だいたいそんなに大切なテストなら、あいつががんばって受けようと思えるように、やる気にさせたらどうなんだ!」


「なによ、何にも知らないくせに!だいたいあなたはいつもそうなのよ!・・・・」

 

というやり取りが現実に起きるのです。

 

この話はご夫婦に限りません。


おじいちゃんやおばあちゃんが、「そこまでやらなくてもいいんじゃない…」などとおっしゃることもしばしばあります。

 

同居していなくても、近くにおじいちゃんおばあちゃんが住んでらっしゃって、お子さんが遊びに行った際に、「そこまでしなくてもねえ・・・」なんて本人に声がかかることもあります。


お子さんの受験をきっかけに、嫁しゅうとめの問題がクローズアップされてくるということも、珍しくはありません。

 

こうした家庭内で意見が不一致の家庭は、受験には不利な環境です。


子供を本気に頑張らせたいと思うのであれば、家庭の意見を一致させた上で受験に臨みましょう。

 

どうしてこういうことを申し上げているのかというと、子供は、楽な方に流れていくものだからです。

 

ちゃんと頑張れる子ですら、わざわざ勉強なんてする必要ないよという意見に流されてしまうものです。

 

中学受験においては、もうひと息、もう一歩の勉強で成果がぜんぜん違ってきたりしますから、そのもう一歩のところで楽な道をささやかれたら、やっぱり子供はそっちに流されてしまうのです。

 

だからといって、両親がともにガミガミ言えということではありません。

 

お母さんがガミガミ係、お父さんが息抜き係といった役割分担をするのです。

 

中学受験ではそういったことまであらかじめ考えておくべきなのです。

 

子供に大きな負荷をかけていく以上、親は家庭内でのバランスをともに真剣に考える必要があります。

 

子供ばかりががんばればいいのではありません。

 

親の強力なバックアップ体制が必要なのです。

 

 

中学受験 家庭の役割

中学受験で最も大切なのは、ご家庭の役割です。

 

そして、その役割は2つあります。

 

1つめは、スケジュール管理。

2つめは、役割分担です。

 

 

スケジュール管理の重要性

忙しい毎日の中、塾の送り迎えやお弁当作りなど、お子さんのためにしてあげることは本当にたくさんあります。

 

また、成績を上げるという一点に限っていうと、お父さんやお母さんが横について、勉強を教えてあげているイメージが強いのではないでしょうか?


しかしながら、勉強を見ることはお父さんお母さんの果たす最も大事な役割ではありません。

 

お父さんお母さんの果たす最大の役割。


それは『確認と指示』です。

 

例えば、お子さんは塾で受けている授業を本当に理解していらっしゃいますか?
理解しているかどうかをどのようにして確認していらっしゃいますか?

 

お子さんが本当に授業を理解しているかどうかを確認する方法はたったひとつ。


授業を受けてからできるだけ早いうちに、授業で取り扱われた問題を自分で解くということです。


こうすることによって、授業を自分の中で思いだし、「あ?、こんなこと言ってたな。」という具合に再現することができるようになります。

 

人間の記憶は、24時間でその75%が失われるといいます。


忘れないうちにできるだけ早く習ったことを自分のものにすること。


これが復習です。

 

言い換えると、「わかった」を「できる」に変え、自分で「できないところがどこか」を見つけることともいえるでしょう。

 

お父さんお母さんが授業ノートと宿題ノートを照らし合わせて、お子さんができているところとできていないところを「確認」する。


こうすることによって、その授業で教えてもらったことの中で、今週お子さんが何に力を入れなければならないのかがはっきりするのです。

 

できなかったところは、授業ノートを見ながら再チャレンジさせる。


宿題の中には、授業で取り扱った問題の類題が多く含まれているので、できなかった問題の類題から取り組ませる。

 

もうおわかりですね?


お父さんお母さんの仕事は勉強そのものを教えることではなくて、この復習のやり方を「指示」することです。

 

もちろん、お子さんが授業ノートを見てもできない場合は、お父さんお母さんが教えてあげてもよいでしょう。


ただし、その場合は授業ノートをしっかりと勉強して、塾のやり方にあわせてあげるようにして下さい。


解き方や考え方が違うと、お子さんが混乱してしまいます。


塾に通わせている限りは、解き方や考え方もできる限り塾にあわせていくことが重要なのです。

 

マニュアルには、お父さんお母さんが具体的にどのように「確認」し、「指示」すればよいのかということが詳しく書かれています。

 

この「確認」と「指示」を繰り返しているうちに、お子さんは自然に「勉強のやり方」身につけていくことになります。

 

中学受験に天賦の才は必要ありません。

 

同じ塾で、同じカリキュラムで、同じ授業を受けても伸び方に差があるのは、お子さんが勉強のやり方を身につけていないからです。

 

勉強のやり方を身につけることで、無駄な苦労をせずに成績をあげる方法が身につくことになるのです。

 

 

 

役割分担について

少し前までは、「中学受験は母親と子供の二人三脚」と言われました。


ですが、中学受験が苛烈さを増す一方の首都圏・関西圏では、「中学受験は父母と子供の三人四脚」が普通になってきています。


資金面で祖父母がスポンサーになっているケースも多く、家族総出の受験といっても過言ではありません。

 

受験事情がこうなってくると、お父さんがどのように受験に関わるかがとても重要です。

 

ご夫婦で役割分担がうまく成り立っているご家庭では、お母さんの言葉にお父さんへの信頼があふれています。

 

しかしながら、実際にお話を伺っていると、事情はちょっと違っているようです。

 

「本当は夫にも手伝ってほしいのですが、仕事が忙しくて家にいないので、落ち着いて相談もできない状態で・・・子供の受験のことは私に任されているんです。」(SAPIX 小6男子A.R.くん母)
と、ちょっぴり恨めしそうにおっしゃるお母さんもいらっしゃいます。


オブラートに包んでも仕方がないですね。

 

恨めしそうにおっしゃるお母さんの方が確実に多いのです。

 

このままいくと深刻な方向に向かってしまうのでは!?と心配になるお話もよくあります。

 

「主人も中学受験をしたのですが、塾なんかに通わなくても合格できたというのです。息子も主人の出身校を目指しているのですが、なかなか成績が上がらなく
て・・・毎日塾に通っているのに模試でA判定が出ないのは理解できないと、主人は言うんです。私の育て方が悪いからと責められているみたいで。」(希学園
 小6男子T.Kくん母)

ご自身の受験経験を下敷きに、お子さんの受験も全く同じように考えるお父さん・・・

このタイプのお父さんについては、お母さんの悩みはつきません。

 

「父親は日頃は子供の勉強を見ないのですが、たまにテストの結果を見て、子供をひどく叱るんです。その日の気分で怒ったりするので、子供も父親に成績を見
せるのをいやがっていて。私と子供が2人でいるときはいいのですが、主人が帰ってくるとどうも家の中の雰囲気が悪くなってしまって。早く受験が終わってく
れないかと思います。」(浜学園 小6男子O.S.くん母)


などと、まだ夏休みが終わったばかりなのに、すでにお母さんもお子さんも受験へのモチベーションを失ってしまったおうちもありました。

 

お酒を飲んで帰ってきた日に限って、お子さんのテストをチェックしたがるお父さん。

 

お子さんにやる気を出してもらおうと、ご自身の受験体験を話しているうちにいつの間にか自分の自慢話になってしまうお父さん。

 

自分が本屋で見つけてきた問題集を使わせたくて、塾のカリキュラム度外視でお子さんの勉強メニューを変えてしまったお父さん。

 

「第一志望校の学校以外は受験してはいけない。失敗したら公立中学校に進学!」と鶴の一声で決定したにも関わらず、いざ入試が始まったら「やっぱり私立に行かせてやりたいから、他にもいくつか受験させたらどうだ?」と、願書受理期間終了後に言い始めたお父さん。


これは全部実話です。


残念ながら、全員の方が受験に失敗なさいました。

 

 

そうならないために、一番最初にお父さん・お母さんがそれぞれの果たすべき役割をきちんと決めておかなければなりません。

問題傾向による受験校の選定

前回は、ご家庭の教育方針やお子様の将来設計に基づく志望校の設定方法について書いてみました。

 

今回は入試問題の傾向による志望校の設定方法です。

 

非常に長文になってしまいました。

最後までお読みいただけないのではと、心配しています。

 

 

□お父さん本気ですか?「女子学院と渋谷教育学院渋谷」□

あるご家庭に体験授業に伺ったときのことです。

お父様が、

「女子学院が第1志望ですが、出来れば渋谷教育学園渋谷も受けさせたいと思っています。」

とおっしゃいました。私は、思わず

「えっ!本気ですか!」

叫んでしまいました。

 

今の学力では、女子学院の合格可能性は50%、渋渋は40%から60%です。

 

どちらか一方の傾向対策に集中する事が出来れば、間違いなく合格させる自信はその時点で持つ事が出来ました。

 

ところが、両方と言われると、入試までの学習スケジュールが思い浮かばないのです。

 

多量の問題を、てきぱきと正確に処理をしていく訓練が中心となる女子学院に対して、じっくりと設問を読み、出題者の意図を確実にくみ取って答える訓練が必要になるのが渋渋です。

 

そのお子さんのこれまでの学習は、明らかに女子学院に向けての学習方法でした。

 

日能研から出される宿題は確実にこなし、それ以外にもいろいろな問題集で、多量の問題を解いていましたから、スピードは充分です。

 

ですから、女子学院に合格させるためには、ミスをせずに確実に解く練習を重ねていけば良い状態です。

 

問題文を素早く正確に読む練習と正確に処理をする訓練です。

 

ところが、渋谷教育学園渋谷の場合は、まず記述力の壁があります。

 

また、その前に出題者の意図を正確にくみ取る練習が必要です。

 

例えば、女子学院の理科の場合は、問題文をじっくりと読まなくても、パッと眺めて文中の単語や数字から問題が予想でき、しかもその予想はほとんど外れません。

 

一方渋渋は、「○○○○ということは分かっている。□□ということも分かっている。その上で△△ということが分かっている場合はどうなるのかを理由を含めて書け。」というような問題です。

 

これまでに覚え込んできた知識を無条件に使えば良いというわけにはいきません。使える条件と使えない条件をきっちりと意識して答えることになります。

 

女子学院対策では、「とにかく早く正確に」と言い続けなければいけませんが、渋渋の場合は、「ゆっくりでも良いから、とにかく設問をじっくり読め。その上
で、何が分かっていて何を答える問題なのかを、自分の頭の中の言葉でとらえ直せ。」と言い続けることになります。

 

これは両立するはずがありません。

 

お父様には、「8月いっぱいまでは、一般的な学力をつけることと、ミスを減らすことを目標にやっていきましょう。言い換えれば日能研のテスト対策です。でも9月以降は、どちらか一方の学校の対策に絞っていきましょう。」と申し上げました。

 

 

 9月以降、

 

「アメリカのトップランクの大学に二桁以上の合格者を出している渋渋の指導体制に魅力を感じます。」というお父様の方針で、渋渋を受けることになりました。

 

結果は、渋谷幕張と渋谷渋谷に合格しました。女子学院と渋渋の両方の対策を続けていたらどうなったかわかりません。

 

入試問題は、学校によって出題傾向が大きく異なります。

 

 

第1志望校を決める場合はもちろんですし、第2第3志望を決めていく場合も、問題傾向を分析されることをお勧めします。

 

□第1志望校の決め方□

ご家庭の教育方針やお子様の将来像、そして学力に見合う学校群の中から、お子様が取り組みやすい出題校を選ぶ事が無難です。

 

 ○○中にどうしても合格させたいという、特定の1校狙いの方も多数いらっしゃいますね。その際は、

 1 合格可能性80%ラインの偏差値に、あと6?8点以内に入っている。

 2 志望校対策に3ヶ月は以上はかける。

の2点に注意してください。

 

 

志望交対策については、親御様のお力だけではやりきれないことが多いのです。

 

その際は、力量ある第3者の力をお借りになることも必要です。

 

その際は、本当にスキルの高い個別指導や家庭教師を捜し当ててください。

 

私たちのように、「警報機の鳴り始めた踏切を、遮断機が降りきる前に無事に渡り終えさせる」ような経験を重ねている所にご相談いただく事が良いのでしょう
が、人員の都合で、ご希望のあったお宅に全て伺うというわけにはいかない事が毎年繰り返されていることが悩みの種です。

 

 

□第2第3志望校の決め方□

第1志望校と問題傾向が似ている所を選んでください。

 

神経質に考えすぎることはありません。あくまでも極端に異なる傾向の学校を選ばなければ大丈夫です。

 ・記述問題が多い、少ない

 ・解答欄が答えだけ、考え方や式の欄がある

 ・問題数が多い、少ない

 ・試行錯誤をする問題が多い、少ない

 ・問題文の文字数が多い、少ない

上記のような問題の特徴から考えて行く事になります。

 

 

大まかには、下記のことを参考にしてください。

 

●開成タイプ

 開成・筑駒・栄光・(渋幕)・栄東・開智・市川・(淺野)

 (開成の国語には、麻布や桜蔭の問題演習も有効です。)

 (筑駒の算数対策には、灘が必須です。)

 (渋幕と開成とは出題傾向は違っていますが、この併願者が多いために加えて

  おきました。)

 

●麻布タイプ

 麻布・渋幕・渋渋・海城・(芝)

 (麻布の国語対策には、開成・桜蔭の問題演習も有効です。物語文を選んでやっ

  てください。)

 (麻布の理科対策は、過去問演習の時に、問題文をしっかりと読み取る練習をす

  るかどうかで、効果は大きく変わります。また、西大和の新出問題や灘の文字

  数の多い問題も無視できません)

 

●桜蔭タイプ

 桜蔭・豊島岡・浦和明の星・(市川)

 (桜蔭の算数は「男まさり」です。開成や灘の1日目を忘れずに。)

 (理科の計算単元は、桜蔭よりも豊島岡の方が難しい年もあります。豊島岡の

 得点に一喜一憂しすぎるのは良くありません。)

 (桜蔭の国語は、開成や麻布も有効です。また、日本女子大附あたりの選択肢

 の問題を、記述形式に変更して解かせるのも有効です。)

 

●女子学院タイプ

 女子学院・鷗友・サレジオ・頌栄

 (女子学院の理科と社会は8割以上を目標に。メモリーチェック・コアプラ

  ス・4科のまとめは、繰り返してください。)

 (女子学院の算数は、近年若干難化傾向。)

 

●慶応タイプ

 慶応中等部・慶応普通部・慶応藤沢湘南・青山学院

(慶応3校の算数は、とにかく基本重視です。基本パターンの学習を念入りに。)

(理科では、風物詩や旬の果物などの生活知識が必要。日常での会話を大切に。)

(難問を解くより、基本を確実に正解する練習を。)

 

●学習院女子タイプ

 学習院女子・白百合・清心

(とにかく記述力が勝負。どの深さまで要求されているのかを見極める練習を重ねてください。)

 

●芝タイプ

 芝・淺野

(万人向きの良問。上位校を狙う人の総合演習問題として最適。)

 

上記のグループ分けは、傾向対策として類似問題の演習問題を選ぶ場合に参考にしていただけると思います。

 

 

 

首都圏の最上位レベルの学校を受験する場合に注意していただきたいのは、関西圏の入試問題の傾向の変化です。

 

算数と理科については、関西圏の入試問題の方が首都圏よりも難しい事はご存じだと思います。

 

また、関西圏で出題された問題が、数年後首都圏で出題される事がよくあります。

 

ですから、必要に応じて関西圏の問題も使っていくと有利になる場合が多くあります。

 

開成・麻布を考えている場合は、灘・東大寺・洛南・西大和の算数や理科は既に必須になっています。

 

また、桜蔭の場合には神戸女学院の算数と理科は無視できません。

 

そろそろ受験校を決める時期

小6生にとっては、天王山の夏が終わり、志望公合否判定で一喜一憂する季節になってきました。

 

得点力を高める事とともに、「うちの子にあった学校を選ぶ」こともこの時期の大切な事です。

 

今回は、学校選びで注意していただきたい事を書いていきます。

 1 学校偏差値だけで志望校を決めない。

 

偏差値が高いことがその学校の良さを証明しているわけではありません。

 

本来なら、その学校の授業内容をチェックして、うちの子に合う指導がなされるのかどうかを見ることが出来れば理想なのですが、それは不可能です。

 

私たちのように中学受験後も指導を継続し、各先生方の情報を共有している場合は、ある程度その学校の内情がわかっています。

 

たとえば、

 

・校名を変更し、大学受験指導に邁進し始めたという評判の学校では

「校長先生のかけ声とは裏腹に、現場の先生方の力量が疑問。どうも授業の工夫が無い。騒がしくて授業になっていない教科もあるようだし。特に問題なのは、
主要教科の日々の宿題だな。カリキュラム進度だけは最上位の進学校とそろっているんだが、これで大学合格実績が上がるんだろうか。」(N講師談)

 

・女子中としては珍しく理系に強い都内の学校の場合

「まじめな先生が多いし、生徒も概してまじめ。宿題量も多すぎず少なすぎず、よく考えられている。数学の公式丸暗記から始まる授業ではなくて、考えさせる授業をしているのは立派。学校内順位を上げることが大学受験成功の近道だと自信を持って言える。」(M先生談)

 

・スパルタ学習で有名な都内の男子中では

「まるで、あまり良くない予備校か塾の授業だな。基礎を理解させずに無闇に難問ばかりをやらせる。宿題も極端に多いから、生徒に「じっくりと考えろ」と強
制しにくい。どうしても解き方の丸暗記に走る。校内試験でほどほどの点数は取れるだろうが、2次が難しい国立大学の数学には対応できないんじゃあない
か。」(T講師談)

 

・歴史のある有名女子中では

「毎日学校に行くのが楽しいようだ。クラブ活動も盛んだし、先輩との関係も良好。英語と国語を頑張って、上位私立大学を狙う作戦が成功しそうだ。遊びほう
ける子は噂ほどには多くはないようだ。まじめに勉強をしている。6年間の楽しい学校生活を送って、しかも、文系大学に進学するには最適な学校だという印象
は変わらないな。」(N講師談)

 

 

このような、具体的な細部の情報を親御様が得ることはほとんど不可能なのですが、校風や子供たちの様子、そして先生方の雰囲気を知る方法はあります。

 

 2 先生情報を大切に。

今の時期から12月までは学校説明会のシーズンです。

 

また、近年体験授業を実施する学校も増えてきました。これらのイベントは、学校側の「建て前」を聞かされるだけという冷めた意見もありますが、なかなかどうして内情が垣間見えるものです。

 

先生方の熱意や先生方同士のコミュニケーション、勉強や学問への探求心を充分に感じ取れるものです。

 

また、その学校がどのようなお子さんを欲しがっているか、どのような生徒にしていきたいと考えているのかは、明確にわかります。

 

 それと、どんな子が通っているのかが気がかりですよね。それを見る良い方法があります。

 

それは、下校時間に生徒たちのグループと一緒に歩いてみることです。

 

悪ふざけもしているでしょうし、先生の悪口もしているかもしれません。

 

そのような普段の生徒たちの様子を知ることが出来ます。

 

そのグループに「うちの子がいたら」、親御さんが嬉しいと感じられるか、嫌だと感じられるかが大切な事です。

 

 3 親御さんが、お子さんの将来像をイメージすることから学校選びをスター

   ト。

 

親御さんが、お子さんの将来の幸せのイメージをお持ちになることは常に必要なことなのです。そして、志望校を決める段階では、そのイメージをより明確にしていく必要があります。

 

 ・医学部を出てお医者さんになって患者さんに感謝されている。

 ・留学後、英語がぺらぺらになって世界中を飛び回るビジネスマンになって

  いる。

 ・ロボットや機械類が好きだから、世界で通用する技術者になって欲しい。

 ・ピアノをこのまま続けて、芸大のピアノ科に進ませ、その道で一本立ちさ

  せたい。

 ・6年間を楽しく過ごして、良いお友達を一杯作りながら、自分のやりたい

  ことを見つけてくれれば。

 

 

いろいろな幸せイメージがあるはずです。

 

そのイメージは、ある程度お子さんと共有されている必要があります。

 

この機会に、お子さんと充分に話し合われる事が必要です。

 

 

 その話し合いの中で、○○中は、なんとアメリカの一流大学に10名も合格したんだって、とか、勉強が特別にハードでもないし音楽クラブが充実しているか
らピアノの練習が思いっきり出来そうね、また、理系教科の指導に定評があるからあなたに向いていそうね、などの情報も与えてあげてください。

 

学習意欲の面でも良い影響があります。

 

 

 親御さんとお子さんの将来の幸福イメージに合う中学校を選んでいくことになります。

 

 4 入試問題との相性で決める

 

 

この詳細は、次回にお書きしますね。

お母様も、ミラーニューロンに注目

前回、ミラーニューロンとは、相手に共感する能力の源になっている物として注目されている物だと書きました。

 

生徒の共感を得るためには、塾の講師は、ミラーニューロンの働きを活性化するオーバーアクション気味の方が良い理由も書かせていただきました。

 

お母さんとお子さんの感家で見た場合、お母さんの喜びや嬉しさまた悲しみや苛立ちを感じる能力を、お子さんは本来的に持っているという事になります。

 

以前、

「なぜこんな問題が解けないの!」

という罵声やその後の小言は、お子さんの耳には届いていても、その意味を理解できる精神状態ではないようにしてしまうという事を書きました。

 

お母さんが、苛立った様子でお子さんを叱った場合、お子さんの気持ちはお母さんの苛立ちに共鳴してしまうと考えられます。

 

そして、お子さんの苛立ちが、お母さんの気持に共鳴してますます大きな渦になって行く事になります。大人同士でもよくありますよね「売り言葉に買い言葉」。

 

親子の間での最後の捨て台詞が、「うるさいクソババー」です。

 

お子さんを勉強に向かわせてあげたいという親心から発した言葉が、ボタンの掛け違いから、お互いの苛立ちを増幅してしまうことがよくあります。

 

親御さんには、「前向きの気持の共鳴」を上手に利用していただくことをお願いします。

 

そのために工夫出来ることは、

 1 感情が高ぶったら、10秒待つ。

(お子さんの顔をしげしげと眺めながら)

この10秒間に、親御さんはいろいろなことを考えたり感じたりされるはずです。

 

「うちの子なりに、頑張っているんだけれど」

とか、

「あの子なりに、シマッタと思っているようだ」

とか、

「自信を無くして、ちょっといらついているのかな」

という思いが、この短い時間に沸き起こってくるものです。

 

 

その様子を見ているお子さんは、

「いつも瞬間湯沸かし機のように怒りだすお母さんが、何か考え込んでいる」

 

ということを感じたり、感受性の高いお子さんの場合は、

「お母さんなりに冷静になろうと努力しているんだ」

というようなことまで感じ取ったりしてくれることもあります。

 

その、10秒がすぎたあと、

 2 言葉かけは、「近い将来の成功の予感」を感じさせる事を心掛ける。

(自信に満ちた表情で明るく)

 

例えば、

「普段から、塾の先生にも言われているように、ノートに書く数字や文字を読みやすくしていれば、この25点分のミスは防ぐ事が出来たと思うんだけど、どう思う?」

「うん」

「あなただったら、これから注意してやっていけそうね。そうしたら、次のテストでクラスアップも出来ちゃうかもね。」

「今回の点数は、神様が「このままじゃあこれから困る事になるから」とサインを送ってくれているのかもね。神様は、何を変えなさいといってくれているのかな?」

「宿題をやり切らずに塾に行っている事かな。」

「じゃあ、これからは宿題をちゃんと出来そう?」

「たぶん。」

「多分じゃあ困るけど、あなただったらできると思うわ。そうしたら、塾に行くのももっと楽しくなるじゃない。」

このような、言葉かけが出来たら良いですね。

 

 

そして、お母さんの表情が自信に満ちた笑顔なら最高です。

夏は、ジタバタ学習から抜け出すチャンス

前回は、小4・5年生の一般的な夏休みの使い方を書きました。

今回は、普段ジタバタと時間にせかされた学習をしているお子さんをお持ちの親御様に向けて書いてみたいと思います。

 ・頑張って勉強をしているのに成績が上がらない。

 ・ミスが多い。(ちゃんと読んでいないんじゃないかと思えるほどにミスが多い)

 ・普段のノートの字が乱雑になってきた。

このような状態を、「ジタバタ学習」と名付けています。

こういう時のお子さんの気持ちは、次のような思いで一杯になっています。

「もう間に合わないから、とりあえず覚えちゃおう。」

「これを早く終わらせて、次にこれをやらなくっちゃ!」

「正解を出すことよりは、早く終わらせなくっちゃ!」

そして、勉強の方法は、極端に暗記に偏っていきます。

算数の問題ですら、1問1問覚えようとしてしまっているわけです。

この問題は、以前やったあの問題と
考え方が似ているぞとか、あの考え方が使えるぞと言うような、解き方の関連づけに全く気持ちが向かわない状態になっています。

「うちの子は、テキストの復習はちゃんと出来るのに、少し文章が変わったりするだけで解けなくなってしなうのですが・・・?」というご相談が多いのですが、この状態こそ、「1問1問暗記してしまっている学習」です。

 
□半年先に危険が迫っています□

この状態で、新学年の2月を迎えたらどうなるでしょう。

学習内容が、一段難しくなり、問題が複雑になってきます。これまでに習った内容がわかっていることを前提にしながら、別の要素が絡まってきます。そうなる
と、これまでの、「片っ端から覚えていく学習」では太刀打ちできなくなります。時間的にも、子供の記憶力の面でも限界を超えてしまうのです。

 小4・5年生にとって、夏休みは、この「じたばた学習」から抜け出すことが出来る最大のチャンスです。

時間の使い方としては、

1 早起きの習慣をつけさせる。

2 塾の授業の復習の時間をたっぷりと取る。

3 お子さんが先生役、お母さんやお父さんが生徒役になって、算数を説明してもらう時間を確保する。

また、お子様への言葉かけで大切なことがあります。

お子様自身が、自然に自分の頭の中の言葉で考えていけるような言葉掛けです。

そして、前にもお話しした「非言語コミュニケーション」も最大限にご利用ください。

そして、出来れば一日に30分程度はお子さんの勉強につきあってあげてください。

「夏休みは、学校には行かなくていいんだから、焦って宿題をこなさなくっていいんだよ。(ニコッ)」と言ってあげてから、

「問題文を最初から最後まで読み切ってから、考え始めるというルールにしようね。」

「式をちゃんと書いてから計算を始めると、難しい算数の問題も解けるようになるわよ。(ニコッ)」

「線分図や面積図をじっくりと丁寧に書いていいのよ。時間はたっぷりあるんだから。」

算数の問題を解き始めたら、

「その式で何が出たの?」

「A君の速さ。」

「そうね。偉いわね。単位は?」

「km毎時。」

「次に何が出せそう?」

「池の周りの長さ。」

「次のこともちゃんとわかっているのね。最後まで自分で出来ちゃいそうね、がんばって。」

このように、お子さんが考えていることを自己確認できるような質問を投げかけてあげてください。

くれぐれも、

「こうすればA君の速さが出るでしょ。その後池の周りの長さをそうやって出して、それからB君の速さをこうやって出せばいいんでしょ。」

というような説明は控えてください。あくまでも、お子さん自信が気付くのをサポートする姿勢です。

そして、一日の締めくくりは、

「○○ちゃんの算数教室」です。

その日に、お子さんが勉強した問題の中でちょっと難しいと感じた問題を2?3問を自分で選んで、親御様を生徒役にして、授業をやってもらうのです。授業という形式に照れてしまうお子さんの場合は、

「この問題の解き方をお母さんに教えてくれる。」(説明しなさい!という命令口調は禁物です。)と言ってみてください。

そして、お子さんが説明しているときには、大げさに相づちをうったり、うなずいたりしてあげてください。

 ここでも、注意が必要です。

お子さんのたどたどしい説明に、思わず、

「そうじゃないでしょ!これが○○になって□□だから・・・。」

とならないように、ぐっと我慢です。

 お子さんが、自分の頭の中の言葉で考えるようになる練習だと言い聞かせながら、ニコニコと聞いてあげてください。

「なぜこんなに勉強しなくっちゃいけないの?」お子さんの心を読み取ってあげてください。

私の主催する名門指導会では、定期的に勉強会を行っています。

その会では、私からの話の一方通行にならないように、講師の方々に発言してもらって、一緒に考えていこうとしています。

普段から、各生徒や親御様に真剣に対峙してくれているからだと思いますが、毎回”ハッ”とするような話題が出ます。

今回は、「サピックスや、日能研、そして早稲田アカデミー、四谷大塚も宿題が多い。生徒たちの多くは、終わらせる事に一生懸命で、理解しようという気持ちの余裕を失っている場合が多いね。」などと話始めました。

 そして、今回の勉強会の後、ある講師から報告のメールで、次のような質問が出ました。

■ある講師の方からのメール■

(一部抜粋)

家庭教師は、塾や高校の教師とは違い、1対1で生徒に対峙して学習をしますので、生徒の性格や反応をきめ細かく汲み取って学習を進めなければなりません。

   「勉強が面白くない」

   「なぜ、お稽古事をやめてまで勉強しなければならないのか」

   「こんな沢山難しい勉強をして、将来意味があるのか」

などの疑問を今まで何度も、生徒からもち掛けられました。

そのつど自分で必死に対応してきました。

次回の勉強会では、悩みや疑問を持ちながら勉強を続ける生徒を、どのように

精神面で支えていけば良いのか、その点をお話伺えればと思います。

 

これは、私も何度も直面した事です。

「なぜ勉強しなければいけないの?」と聞かれたときに、子供の表情が深刻でないときには、勉強の意味を話して、今勉強をしているとこれから楽しいことが
いっぱい起きそうね、と話を締めくくればいいのです。でも、お子さんの表情が暗かったり、深刻そうだったり、場合によっては不安定になっていたりするとき
にはこうはいきません。

 そういうときには、私はこのように考えることにしています。

・今、この子はなぜこのような質問をするような気持ちになったんだろう。

・今、この子は心がつらいはずだ。心をつらくしているのは何だろう。

このような思いを頭の中で反芻しながら、

「なぜ、そう思うようになったの?」

「いつ頃から、そう思い始めたの?」

というような質問からはじめることにしています。

子供自身が感じている、「○○を□□やらなければ」という義務感と、実際にやれている学習の質量とのギャップが、大きなストレスとなっているはずなのです。

 このような場合に、

「今はね、受験勉強を通して勉強のやり方を勉強しているんだよ。」と正論を話してもほとんど効果がありません。義務感だけが高まり、実際とのギャップがより広がってしまいまうこともあります。

上記の質問をきっかけにして、

「小5の初め頃なんだ。その頃にどんなことがあったの?算数ではどんなふうに感じた?」

とか、

「塾の先生が、苦しいことに耐えて耐えて耐えて頑張れと言うんだね。でも、そんなことはとてもできないと感じているんだね。」

 と、質問したり、事実に同意したりを重ねていきます。

 

 教える側の忍耐力と、「質問力」が問われる事だと考えていますがどうでしょう。

お父様、お母様へ

 もし、お子様が、上記のような質問を苦しげな表情でされたときは、

今、うちの子は心がつらいんだ。

今はこのつらさに耐えさせるほうが良いのか、それともつらさを軽くしてあげるほうが良いのかを考えてあげてください。

そして、優しく注意深く見守ってあげてください。

サピックス小5春期講習前に

あと6日もすると春期講習が始まります。

サピックスの春期講習は他の塾が復習を中心にやるのに対して、どんどんと新しい単元をやっていきます。

1週間ばかりの講習で算数は3単元、理科や社会は2単元です。

普段ならば、3週間かかって習う量ですから気が抜けません。しかも算数は、平面図形・数に関する
問題・立体図形をいう大切な単元です。

小5の春期講習は午前中ですから、午後と夜の時間を使ってその日の復習をやりきってください。

実は家庭学習と同等に大切な事があります。

それは、授業の聴き方と授業内容の書き込みの仕方です。

授業の聴き方について

サピックスの授業はテンポ良く進むことが特徴です。

「えっ!なぜ!」と考え込んでいると、説明はその先の問題に進んでいます。

理解しきれなかった内容は素早くチェックして、次の説明を聞く体制を早く整えるようにするべきなのです。

でも、このことをお子さんに「先生の話をちゃんと聞いてきなさい」と命令してもお子さんはどうして良いか分からないはずです。

授業が理解できたかどうかを三段階でチェックするように言ってあげてください。
○印は、よく分かった。
△印は、だいたい分かったけれど自信がない。
×印はよく分からなかった問題。

と、小問毎に問題番号の横にチェックするように言ってあげてください。

こうすることで、次の先生の話を聞く体制ができあがります。

もう一つ良いことがあります。

この○△×の印が復習に利用出来ることです。

×印の問題は授業
で説明を受けても分からなかったわけですから、自宅に持ち帰って考えても解ける可能性は低いはずです。

これは、上手に説明出来る第三者がいない限りは、復習しない問題とするべきです。

テストの点数を上げるためには、△印の問題に一番力を注ぐべきなのです。

そして、ミスを防ぐために時間と相談して、○印も出
来るだけやるというスケジュールを組んでください。

授業内容の書き込みの仕方について

サピックスの生徒のほとんどは、授業中にノートを取りません。

デイリーサポーという授業用テキストが、裏表に同じ問題が印刷してあり、表は授業用、裏を
復習用として利用出来るようになっているからです。

ですから、デイリーサポートの表面に書き込む内容と言うことになります。

悪いノートの例
・字が殴り書きになっている。
・答えだけが書いてある。
・式は少し書いてあるが、線分図やその他の図がほとんど書かれていない。

成績上位のお子さんが上のような状態の場合は、成績が不安定になりがちです。

頭脳の処理量が多いために、コンディションに大きく作用されることに
なるからです。

また、成績が中位または下位のお子さんの場合は、復習の際に、どう解いて良いか分からなくなってしまい、成績が伸びません。
 
授業を聞いていて、「さあ書こうと思ったら黒板の字が消されてしまっていた。」ということは、サピックスでは起こりがちなことですから、書き写そうと強
く意識させることが大切です。

まず△の問題だけはどんなことがあっても、式や図を必ず写し取ってくることを授業のたびに話してあげてください。

日能研小5春期講習の前に

あと1週間で春期講習が始まりますね。

日々の学習に追いまくられ一息つかせたいと思っても、春休みは春期講習で息つく暇も無いな、とお母さんが感じられていたら、要注意です。

 

お母さんがそう感じられたことが問題なのではなくて、お子さんのその状態が問題なのです。


1週間の学習スケジュールの見直しを是非お願いします。


まず、授業の復習・宿題・カリテの復習などを各教科毎に書き出す事から始めてください。

 

出来るだけ無駄を省くように心がけてください。

 

だって、この時期に精一杯になっていると、あと2年近くこの状態を続ける事が出来るはずが無いですよね。


もう一つは、お子さんの気持ちのメンテナンスです。

 

もし、成績が伸び悩んでいるとしても、責め立てるよりも前に、お子さんの努力をねぎらってあげるようにお願いします。

 

気持ちがいっぱいいっぱいなのかもしれません。

 

「2月の授業が始まって1ヶ月半よく頑張ってきたわね。」ここから話を始めてください。

 

そして、「もう少しカリテの点数を上げるにはどうしたら良いと思う?」というように穏やかに話を続けてください。


お子さんのいっぱいいっぱいの状態が、物理的な時間がいっぱいいっぱいなのか、気持ちがいっぱいいっぱいなのかを見極めてあげてくださいね。
  
ノートの字が急に乱雑になっていないか、カリテに残った計算が乱雑になっていないかも見てあげてください。


急に字が乱雑になっていれば、焦って勉強をしている証拠です。

 

追いまくられていると感じているかもしれません。

 

ある、お子さんの話を書いてみようと思います。一昨年ご相談を受けた方です。


日能研のある校舎の小5生。Mクラスでした。この時期のカリテは算数がだいたい110点ぐらい。共通問題は9割程度は取れるのですが、発展問題が良くて半分、普段は3割程度の正答でした。

 

もっと点数を上げたいというご相談でした。


 それまでの算数の家庭学習は、本科テキストと栄冠テキストの問題を一度全部解いた後、カリテの前に本科テキストの問題を再度解き直すようにお父さんから言われて、それを忠実に守っていました。非常に真面目で素直なお子さんでした。

 

 

カリテの問題用紙に残った計算の後と、授業ノート、宿題ノート、家庭用解き直しノートを見せてもらったところ、解き直しノートの字が3月に入って急に乱雑になっていました。


そこでお願いしたのが、解き直す問題の取捨選択です。

 

本科テキストを一回目に解くときには横についてもらって、どのタイプの問題に手こずっているのかを見ておいてもらって、その類題を栄冠テキストからピックアップしてもらいました。それだけを繰り返すようにしてもらったわけです。


その結果、春休み前のカリテは140点がはじめてとれました。

 

 

実は、計算中心の単元ですから、スケージュールの見直しが一番やりやすい時期なのです。

日能研小5理科算数

まだまだ、算数の計算単元は続きます。

 

春期講習までに分数のかけ算を学習して、春休み明けに分数の割り算や分数の四則混合計算を習います。

 

春休み中も(春期講習中も)少しずつ分数計算をやっておきましょう。


4週間も計算単元が続いています。

 

この、「頭への負担が軽い時期」に、図形問題や文章題の準備をしておきましょう。


 ・4年生範囲の「平行線と角」の問題を利用して、図をフリーハンドでそれらし

  く書く練習をする。

 

図の中に必要な数字を読みやすく書き込む練習も大切です。
(横の平行線が上手に引けない子供が近頃急増しているように感じています。その原因は、練習不足もあるでしょうが、鉛筆の持ち方にあるように感じています。お子さんの鉛筆の持ち方をちょっと見てあげてください。)


 ・第10回・第12回・第14回の予習を兼ねて、図を書く練習をする。

  日能研は予習厳禁の塾です。予習をしていて怒鳴られたお子さんも知ってい

  ますが、それを承知でお勧めしておきます。
  この予習は完璧にやりきることを目的にしているわけではありません。

「どういう事を習うのかな(どんな考え方をするのかな)」を知ると共に、図を上手にフリーハンドで書く練習が主眼です。


特に第14回、事前準備が大切です。

 

頂点を動かす単元ですが、お子さんの頭の中でなかなか図形が動かないのです。厚紙で図形を作って、実際に動かしてみる事も大切です。

 

余裕のある今のうちに、図形を動かす「体験学習」をさせておいてください。

 

理科は、そろそろ植物部分が終了して、来週から動物です。

 

両方とも暗記単元ですから、覚えてしまえば大丈夫なはずですが、これまでのカリテの点数はどうだったでしょうか。

充分に時間をかけて覚えたにもかかわらず、点数が取れなかったお子さんの場合は、覚え方を見直す必要があります。


「知識と知識をつなぐ工夫」が一番大切です。

 

たとえば、「地中に子葉を残して成長する植物は、アズキ・エンドウ・ソラマメ・クリ」と覚えます。

 

これに、「双子葉の植物は、普通は種を持ち上げて、その種がパカッと開いて双葉になる」のに、この「アズキ・エンドウ・ソラマメ・クリは種(子葉)を地中に残したままで茎を伸ばす」。

 

だから「この4つは最初に出る葉はなんと本葉」。

 

この「 」3つをくっつけて覚えたお子さんと、そうでないお子さんとの差が大きいことは理解いただけると思います。


3つ以上をつないで覚えることは、なかなかはじめは出来ませんから、まずは2つをくっつけることから始めてください。


「この仲間はふつうは○○○」なのに「□□だけは△△」、とか「○○は△△だ」、だから「○○は□□出来る」。

 

このように2つをくっつけて覚える練習です。

 

お母さんの方で、「なぜ、双子葉の植物は太くなれるのに単子葉は太くなれないのは、な?ぜ?」というように質問していただくのが一番有効です。

 

「形成層があるから」と即答できれば、お子さん任せの暗記で大丈夫です。

 

1単元について、3個?4個程度でかまいませんから質問してあげてください。

 

お母さんが、日能研の本科テキストの説明を読まれて、何を質問して良いのかよく分からない、と思われるかもしれません。

 

それは、お母さんが理科が苦手だということではなくて、本科テキストの説明がかなり淡泊だからかもしれません。

 

理科の本科テキストは入試に必要な必要最小限の知識でコンパクトにまとまっていますから。

 

お母さん用の読み物としては、四谷大塚の予習シリーズをお薦めします。

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▼2022年11月18日(金)

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