カテゴリー: その他 Page 2 of 5

中学受験時の苦手が、大学受験の足を引っ張る

私が主催する名門指導会は、HPでは中学受験専門とうたっています。
ところが内情は実はそうではないのです。
中学受験から引き続いてという生徒もいますし、新規に中学生や高校生の指導をすることもあります。
今では全体の30%以上が中学生や高校生となっています。

中学生や高校生の理系教科の指導をしていて切実に感じるのは、
「比や割合の感覚」・「比や割合の処理」と「速さの感覚」・「速さの処理」の大切さです。

モル濃度から始まって中和滴定にいたる一連の化学カリキュラムは、比と割合そのものです。
 これとこれが比例していると理解出来れば、公式を無闇に覚える必要なく解く事が出来ますし、
公式を自分で素早く作ることも出来ます。
元々、覚えなければいけない項目が多い化学において、計算公式を機械的に
覚えていかなければいけないとしたら、その教科をセンター試験に利用出来るレベルに
持ち上げるのはほぼ不可能です。

物理においては、速さの感覚が大切です。
速さが一定(等速直線運動)なのか、速さがぐーんと増えていく(等加速度運動)なのかという
名前と感覚の一致。
また、「速さと時間とのグラフにおいてある時間までの面積が進んだ距離にあたる」という理解。
これらは全て中学受験時に身に付けることが出来ることです。
速さを縦に、時間を横に書く面積図において、「その面積が進んだ距離にあたる」ことを、
当然のこととして理解出来ている生徒は有利です。
例えば、s=1/2gt^2は、v=gtの比例のグラフの面積に過ぎないと理解すれば、
覚える必要がなくなります。
 
中学受験の学習は、中学に合格することを目的に行うわけですが、その過程で得られる
いろいろな気づきや処理の工夫は大学受験において強い武器になります。
ところが、機械的な暗記量で勝負をしようとしている中学受験生が多い事が非常に多いのです。
中学受験生を教えていて、「この子は中学になっても大丈夫」・「この子は中学になったら心配」
と感じる事があります。
その安心感や不安感が数年後に現実のものになっていることが多いのです。

目の前の塾の復習テストをクリアーする事だけを目的にするのではなく、正しく頭を使った学習、
将来も使える学習方法を学ぶ事を目標に学習を続けて欲しいと願っています。

中学以降の学習(2)

中学受験の学習を通して、間違った学習方法を身につけてしまった場合の修正方法について
書いていきます。

間違った学習方法とは、
1 何から何までお膳立てが出来ていて、学習の工夫をする習慣を身に付ける事が出来なかった。

2 学習内容を納得せずに、丸暗記で過ごしてきた。

この2点に集約されると思います。

中学受験においては、学習のプランニングの大筋は親御様の方でやるべきです。
それは、優先順位をつけて、必要なものから順にやっていくことが子供には難しいからです。
時には、塾で出された宿題を無視してまで必要な事柄を優先しなければいけない事もあります。
そのような場合は、塾の先生の強制力に勝る親御様の強力な指導が必要になりますね。

でも、細部の工夫はお子さんの役目です。
 「まずノートを見ないで解いて、分からなかったものについてノートを見よう」とする方が効果的なのか、
「授業ノートをしっかり見直した上で、解き直しをする」方が効果的なのか。
このような事をお子さん自身が判断すべきなのです。
だいたい理解出来ていることなら、まず解いて見る事から始める方が良いでしょうし、
難しいと感じていることなら、ノートの復習から始める方が得策でしょう。
「だいたい分かった」とか「難しくててあまりよく分からなかった」というような
自己判断から始める学習の工夫をしてきたのか、
それとも、いつもいつも同じ方法で機械的に繰り返してきたのかの違いです。
 この工夫の無い学習を、「自己判断の無い、質より量を重視した学習」とでも名付けましょうか。
 
一方で、「納得の無い、質より量の学習」もあります。
なぜかは分からないが、とりあえずこの方法で解けば正解が出る。
とりあえずそれを覚えてしまおうという心の動きに従ってしまう学習です。
「とりあえずの暗記学習」とも言えます。
ところが、高校の数学になると、三角関数の公式だけでも10個以上あります。
2~3個の基本公式だけを身に付けておいて、他の公式を自力で導き出せるようにしておけば
負担は少ないのですが、10個とも覚えておこうとする生徒が多いのです。
これは物理においても言えます。
なぜかを理解して、公式の意味と導き出し方を理解しておくと、覚えるべき公式の数は
1/4以下に出来ます。
 「とりあえずの暗記学習」が、日本の子供たちの理系教科の学力低下の原因の一つだと
私は考えています。

ところが、大学入試において国立大学の理系に進学しようとすれば、
5教科7科目のセンター試験で高得点をとらなければいけません。
医学部ならば9割以上必要です。
朝から晩までの長時間学習をしても、この方法では決定的に時間が足りません。

また、別の難しさもあります。
それは、算数から数学への学習法の変化です。
中1で習う1次方程式の文章題は、実は算数でいとも簡単に解けてしまいます。
食塩水の問題でも、てんびんや面積図で数秒です。
方程式を使うと、立式と計算で1~2分かかることになります。
ところが、この時期に算数を禁じ手にして、方程式に慣れておくことが大切なのです。
今後難しくなる数学を解くための道具(方程式)の使い方を訓練すべき時期です。
ですから、中学入学後1年間は、多量の計算練習が大切なのです。

 このように、時期によって目標が異なります。
1 基礎訓練の時期(中1・2)
2 応用力を身に付ける期間(中3・高1)
3 得点力を身に付ける期間(高2・高3)

この2回で書いてきたことを覚えておいていただいて、お子さんに時期に応じたアドバイスをしてあげてください。

中学校以降の学習(1)

夏期の授業に忙殺されてブログの更新が遅れてしまいました。

ここ数年、中学生や高校生の授業依頼が増えています。新規の方も多いのですが、
中学受験終了後も引き続いて依頼される事も多くなっています。
また、中学受験時に担当させていただいた方から1年後2年後に連絡が入ることもあります。

私立中学に進学した生徒たちを教えながら、いろいろと感じる事があります。
私立中学に進学した生徒たちの少なくとも50%以上は、学習面において何某かの劣等感を抱えて
6年間を過ごしているのではないのだろうか、という思いです。
成績上位の30%の生徒たちだけが、楽しく充実した学校生活を送っているように思えてならないのです。

合格の歓喜に浸っているうちに、いつの間にか中学の学習が始まってしまい、
いつの間にか授業について行けなくなった生徒も多いでしょう。
でも、このタイプの成績不振は、早い時期ならすぐに成績を回復させることが出来ます。
勉強量が不足しているだけですから、学習スケジュールの作り方を教え、自己チェックの仕方を教え、
何カ所かの学習の重要ポイントを押さえていくことで、学校の定期テストで高得点をとらせることが出来ます。

難しいのは、
1 中学受験の勉強の感覚が抜けきらずに、中学校の勉強を何となく続けている場合。
2 中学受験の学習を通して、間違った学習方法を身につけてしまった場合。
この2つの場合です。

今回は、1の中学受験と中学高校での勉強感覚の違いについて書いていきます。

中学受験と中学高校での勉強感覚の違いは、多方面にわたります。

・テストの目標点数も変わります。
中学受験時には70%で良かったのですが、中学校に入れば100点を目指す学習に
変えていくことになります。
中1の初めての中間テストでは、クラスの平均点が90点を超えることも珍しくありません。
80点をとって「まあこんなもんでいいかな」と思っていると、いつの間にか授業について行けなくなります。
学習の正確性や確実性が大切になってきます。

・予習と復習のバランスが変わります。
中学受験では、ほとんどが復習中心だったのですが、中学以降では予習が大切になります。
学校で出される宿題(予習の宿題はほとんどありません。復習の宿題です)だけに追われているうちに、
授業進度について行けなくなるのは珍しいことではありません。

・中学校以降は、どんな家庭学習をするのかを手取り足取り教えてくれません。
  自分で学習時間や学習方法を工夫する必要があります。

・中学受験以上に、問題を解く課程が重視されるとともに、その正しい表現が要求されます。

・運動クラブに入った場合は、短い時間を有効に使う学習方法が大切になります。

 夏休みはもう半分以上終わってしまいましたが、最後の2週間でこれまでの遅れを取り戻す事は
十分に可能です。しかも、中1生や中2生なら、友達に圧倒的な差をつける事すら可能です。
 今日寝る前に明日の学習予定を作ること。
 英語と数学については、2学期の予習をやっておくこと。
 
この2点が大切です。

塾の予習は本当に不要?(その2)

前回は、「今の塾の子供たちは、解けないことに慣れすぎている」という話題でした。

 授業中の演習や、家でやる問題演習での正答率を高めるにはどんな方法が考えられるのでしょうか。
家庭学習での正答率を高めるには、授業中の正答率を高める必要があります。
というのは、授業中に間違った問題は、、家に持ち帰って解き直しをすれば、解説授業の理解に応じて
30%から600%の範囲で解けるようになります。
決して100%というわけではありません。
しかも、解く道筋を聞いた後ですから、この種類の復習は、解き方を見つけたり正解に少しでも
近づくための工夫をする力を高めるものではありません。
その方法に沿って解けば、オートマチックに正解出来る事を学んでいることになります。

ということは、授業中の演習では、始めから高い正答率を確保できる方が有利だと言うことになります。
習い始めたばかりですから、少ない情報量しか持っていません。
そのなかで試行錯誤する力量がものを言うことになりますし、試行錯誤すれば何とか解けるだけの
事前の情報を仕入れておくことが必要だということになります。

授業は、「基本の説明」→「基本演習」→「演習問題の解説」→「標準レベルの知識解説」→
「標準問題の演習」→「標準問題の解説」・・・このような順序で進んでいきます。 
速いスピードの解説について行けない子(このような子供たちが非常に多いのです)や、
過去そのような発想をした事が無く、その説明が理解しきれなかったりすれば、
解くための必要最小限の情報すら理解出来ない中で、問題演習に取りかかることになります。
当然正解出来る問題は少なくなります。
このように、「初めての挑戦では解けないことが当たり前」を何度も経験することになります。
演習時間を、何となくやり過ごしながら、そのうちに始まる解説授業を待つ。
このような、気持ちの反復練習を重ねていくことになります。
 
基本問題の演習に必要な知識や情報を事前に取り込んでおく事が出来れば、演習時間をもっと有効に
使えるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。つまり予習です。

テキストをとりあえず読んでおく。例題の1~2問だけでも解き始めておく。
これだけでも授業の理解が大きく変わり、これまで何となくやり過ごしていた時間が、
正解に向けて頑張る時間に変わる子供も多いのではないでしょうか。
今、大手塾は復習中心主義です。

日能研は予習が禁止されているようです。
予習をしていった生徒が叱られたという話をあちこちで聞きます。
またサピックスは、毎週授業始めにテキストを渡されますから、予習は現実的に不可能です。
四谷大塚では、一部予習が課題になっているようです。
ネットオークションでサピックスのテキストが高額で取引されているのは、
もしかしたら予習のためかもしれませんね。

社会の講師からはこのような意見が出ました。
「経験が少ない小学生が、授業の限られた説明だけで知識のつながりを頭の中に構築するのは無理だ。
事前に説明を読む程度の予習は必要だと切実に感じている。
特に、太字も無い日能研テキストの場合は必須だと感じている。」

塾の授業の価値を高める聴き方

今回も講師の先生方のミーティングの話題です。

これまでのミーティングの話題の中心は、家庭学習において子供自身の頭を活発に
働かせる方法でした。
ですから、このブログも家庭学習のやり方ややらせ方についての話題が中心です。

各塾で夏期講習を受けるに当たっての注意点の情報交換をやっていたときのことです。
ある講師がこんな事を言い始めました。
(A講師)「夏期講習、特に小6のように長時間の講習の場合、塾の授業と家庭学習を
セットで考えないと片手落ちになるね。
授業を積極的に聞く事から始めないと、いくら家庭学習をちゃんとやっても効果は半減する。」

確かに正論です。
(私)「授業を積極的に聞くというのは、どういうこと?」
(A講師)「通常、小6の夏期講習は、(問題演習)その後(解説)を繰り返すものだけれど
授業の受け方って言われるとどうしても解説授業の聴き方を中心にとらえてしまうよね。
でも、実は、解説授業の前の問題演習の時のマインドがその後の解説授業の価値を
決めていると言えないかな。」

(私)「問題演習を真剣にやることで、解説授業が良く理解できるということかな。」

(A講師)「もちろんそれも大きな要素。それ以外には問題を考えるときの注意力や
気付きの問題も大きい。」

(私)「もっと、詳しく説明してもらえる?」

(A講師)「基礎力はあるのに応用問題が解けない、とか、初見の問題に弱い子って多いよね。
でも、そういう子のほとんどは理解する力はちゃんと持っている。
そして、理解できる子の中に応用できること出来ない子、初見の問題に強い子と弱い子がいる。
その違いは、問題を解くときの思い入れの強さにあるように思う。
なんとしても解いてみせるぞ!と思いながら解く子と何となく解いている子では、
問題文から抽出できる情報の質や、自分の記憶の中から探り出してくる知識の妥当性に
大きな差が生じるよね。」

(私)「確かにそうだよね。全く同感!」

(A講師)「真剣に問題に取り組んだ後に聞く解説授業の価値は、
いい加減に解いた後に聞く授業の価値よりも格段に高いと言えると思う。
ああ~、そこに気付けば良かったのか!
とか、僕もまんざらじゃないなとか、
授業を聞きながら納得感が高まったり自己肯定感が高まったりする。
同じ解説授業を聞いていても、その授業の価値は問題演習時の真剣さや
マインドにかかっている。」

(私)「演習の後で解説があるからと思っていい加減に解いていると、
手痛いしっぺ返しがあるということだね。
全く同感。そのことを子供たちにわからせたいね。」

A講師の話を聞きながら、昔教えたある女の子のことを思い出していました。
お母さんとの面談では、いつも同じ話です。
「うちの子家で本当に勉強しないんです。9時にはベッドに入ってしまいます。
これで良いんでしょうか。」
でも、成績はいつもトップクラスです。
ある授業で、秘密がわかりました。
ちょっと難しめの問題の解説をしているときです。その子が、
「先生、その問題は2回目でしょ。」
「そうだよ、良く覚えていたね。」
「だって、3ヶ月前に203の教室の黒板の右の方に書いて説明してくれた問題だったもん。
自分では解けなかったんだけれど、あのときの説明を聞いてよく分かったんだから。」

驚きました。確かに3ヶ月前に説明した問題です。
言われてみれば、あの授業は日曜特訓でしたから、203室です。
黒板の右に書いて、スペースが足りなくなって左に書いてあった前の問題解説を
消したような気がします。
恐るべき集中力です。
その子は、当然のごとく桜蔭中学に合格しました。

今日6月6日は、金星の太陽面通過でした。でも、残念ながら朝からずっと曇りでした。見たかったな。
次は、8月14日の「金星食」(金星が月に隠される)を楽しみにしておきます。

9月からでは志望校対策は間に合わない!

前々回の講師ミーティング内容の続編です。

ある講師が話し始めました。
S講師:「塾のテキストは、入試問題に対応していない。」

塾のテキストは、順次改訂されていますからにわかには信じられませんでした。

私:「でも、塾のテキストは改訂され続けているんじゃないの?」

S講師:「確かに改訂はされています。でも、今の塾テキストは2~5年前の入試問題を基準に
作られていますね。
それを抜粋したり、改題したりまたはそのまま。
ところがそれでは今の傾向に合わない、間に合わないことがはっきりしたんです。」

私:「確かにそうだよね。」

S講師:「S塾にしてもN塾にしてもY塾にしても、小6の一学期までのテキストの文章レベルと、
実際の入試問題の文章レベルに大幅な乖離があるんです。
なぜなんだろうとずっと考えていたんだけれど、テキスト改訂のサイクルを考えてなるほどと
感じたんだよね。」

私:「Y塾が、小4生のテキストから順次改訂を始めているね。確かに難しくなっている。
塾のテキストは改訂を重ねる度に難しくなるね。」

S講師:「私みたいに、もう何十年もこの仕事をしていると、どうしても昔の入試問題や昔教えた
子供の学力を思い出してしまうんだけれど、どう考えても昔の方が易しい。素材文も設問も。」

T講師:「そうだよね。算数でもそれは感じる。」

私:「それって?」

T講師:「算数の難問がどのようにして生み出されているのかをいつも考えながら入試問題を
見ているんだけれど、今年の入試問題を解いていてもやはりそうなんです。
大学入試問題のアレンジが多いなと感じているんです。
また、最難関校が作り上げたいて大学入試問題からのアレンジ問題やオリジナルな難問が、
数年後には中堅校に改題されて出題されている。
大学入試問題それも東大の入試問題を毎年解いていると、これは中学入試問題に改題されそうだなと
感じることがあって、そのような問題の多くは中学入試問題に降りてきている。」

私:「前の話に戻るけれど、そのようなテキストに載っていない最新の入試問題への対応は、
9月からの5ヶ月では無理だということ?」

S講師:「記述が多い、文章が難しい学校ではとても無理だということがはっきり分かったと
言っていいでしょう。」

私:「なぜ無理なの?」

S講師:「子供たちの日常から大きくかけ離れた心理変化や状況把握が要求されているから、
慣れるのにどうしても時間が掛かる。そのような文章に関わっている時間が必要。」

T講師:「算数でも、塾の平常授業の指導がパターン把握を中心に行われている場合は、
試行錯誤の大切さを子供自身が感じるには期間が必要だと思います。
算数は、頭にしまっている解き方を当てはめれば一発で答えが出るものだと思い込んでいる子もいます。
成績上位生の中にもいっぱいいますから。」

私:「ということは、平常授業で単元を進めながらも、志望校の対策を並行してやっていかないと
間に合わないと。」

S講師:「そうそう。実体験が出来ないならば、文章を読んで疑似体験を多く積ませることが大切。
特に、自分の言葉でまとめさせる記述が多い学校については、書く練習も大切。」

T講師:「御三家などの試行錯誤が必要な学校については、どうしても時間が欲しい。
塾内のクラスアップだけに小6の1学期を使い切ってしまうと、後が苦しいですね。
今年の今年の○○君は、受かったから良かったんですが、私の実感ではギリギリ間に合った状態ですね。」

私:「なるほど、今年の開成の算数や桜蔭の国語などは、早めの対策がどうしても
必要だということですね。
ところで、Y塾のテキスト改訂の目的の1つが、入試に必要な全単元の基礎は小5で終わらせる
事のようだけれど、このことは上位校受験には大きなメリットになりそうだね。」

ST講師「それは当然ですね。」

真面目な家庭教師が感じる事

□教え子からメールが届きました。□
もう10年以上も前の教え子からです。
大学を卒業し、社会人1年生で会社勤めをしながら、夜に家庭教師をしているというのです。
大学の頃から、塾の講師をしたり家庭教師をしたりしていましたから、中学受験生を教えた経験は
4年を越えています.
時間つぶしのアルバイトではなく、真剣に子供と向き合おうとしてくれている事が分かって、
ちょっとうれしい気持ちになっています。

□教え子からのメール□
こんにちは(^o^)
お元気にしていらっしゃいますでしょうか。
兵庫県で、社会人1年目の○○○○です(^-^)v。

実は、今、指導している生徒(中学受験6年生)のことで、プロたる西村先生に少しご相談させて
いただきたく、ご連絡させていただきました。

長年、中学受験に携わってきていらっしゃる、西村先生に是非、アドバイスいただきたいことは、
・親と子供の最適な距離感
・子供への詰め込みは、中学受験には必要か
・子供のモチベーションのキープの仕方(現に、私自身も中学受験時代、波があったので)
・この秋冬をどう乗り切るか

という点についてです。

ちなみに、生徒は、
・女の子
・小学5年冬から受験勉強開始
・第一志望…○○学院
・合格率…70%程度

・最近、焦りのせいか、算数のケアレスミスが増えた。
・社会は好きで、模試で95点くらい。

・親御さんも初受験とあり、戸惑い気味
・父親がかなり力いれている。指導中も毎回、父親が隣に。

・日能研、トップクラスと2番目クラスを行ったり来たり。
・そのフォローとして、家庭教師をつけている。

質問の内容が多岐にわたり、しかもそれぞれの質問に対して1冊ずつの本が書けそうなくらいです。
メールで返信なんてとても出来そうにありませんから、実は頭を抱えています。

 このメールを読んで、Iさん(教え子)は良い家庭教師になりつつあるなと感じました。
教科内容にだけ注意をはらうのではなくて、その子を取り巻く人的環境に注意が
はらわれているからです。
 文面からは、お父さんの関わり方に問題点を感じているのだろうと推測しました。
質問内容の細部については、Iさんに電話で詳しく返答するしかありませんが、
・社会が良いこと
・お父さんが勉強につきっきりであること
この2点から、「覚える学習」に重心が置かれているように感じます。
また、
・算数のケアレスミスが増えている
ことから、入試のプレッシャーかまたはお父さんのプレッシャーを強く感じているかもしれないと
想像しています。

詳しく返答する時間がとれないまでも、6年生ですから、返事を先延ばしにするわけにはいきません。
そこで、次のような返信を送っておきました。

□私からの返信□
ゴメン、ゴメン。
早く返信しなければと思いながら、今日になってしまいました。
○○○○さんが思っていることは、まさに学習の根幹に関わることだと思います。
まず、時期の問題です。
・学力をつける時期と、
・得点力をつける時期
の問題があります。
学力をつけることについては、例外なく子供自身の内語(頭の中で使っている言葉)の問題です。
自分自身の言葉を使って考えさせ、「あっなるほど!」と納得することを重視する必要があります。
つまり、感情の変化を起こさせることが大切になります。
一方、得点力をつけさせる学習は、
「記憶させること」と
「記憶させたことを素早く正確にアウトプットさせること」
の2つだと思っています。
小6の今は、まだ学力を高める学習を中心に進めるべきです。
得点力を高める学習だけ集中させるのは、12月からです。
 学力をつけさせる学習には、焦りは禁物です。子供が子供なりの言葉で理解するのを待つ必要が
あるからです。
 
また、もう一つ付け加えておけば、学習内容も2つに分けて考える必要があります。
・理解(納得)させるべき内容と
・習熟させるべき内容
です。
 理解させるには、「内語」の自然な表出を手助けする必要がありますし、焦らせないことが大切です。
 逆に、習熟させるには、時間を区切った繰り返し学習が有効です。
この2つのさじ加減が一番難しいことですね。
 これ以外にも、難しい興味深い質問がありますね。
メールで正しく回答することは難しく感じています。
夜の時間帯で、時間があるときに電話しますから、待っててください。
近日中には必ず。(^^;)

御三家を目指す方々に

□悩み方が間違っていませんか(1)□

上位校を目指す方々からの相談が例年通り増えてきました。
特に小6の方からの相談が多くなっています。

Aさんのお母様から
「2ヶ月前までα2にいたのですが、今はαからも落ちてしまいました。これまで通りに遅くまでまじめに勉強しているのですが、なかなか成績が戻りません。前半の1行問題のところではミスが増えていますし、後半の応用問題では解き方が見つけられていません。
子供は、どうしても桜蔭に行きたいと言っていますが、このままでは無理だと思います。何か良い問題集はありませんでしょうか。」

このご相談から見えてくるお子さんの問題点を整理してみましょう。
1 基本問題でのミスが増えた。
2 自分で解き方を考えつかなければいけない応用問題が解けない。
この2点が現状の問題点です。

そして、お母様が改善策としてお考えなのが、「良い問題集を使って学習を増やすこと」です。

これまで、成績の良かったお子さんが、これまで通りの学習量を確保しているのに成績が下がるには、必ず原因があります。それは、学習量でも、問題集の質でもありません。
これまでの勉強の仕方が間違っていた。または、これまでの勉強の仕方では間に合わなくなってきた事が理由です。勉強の姿勢という曖昧な言い方ではなかなか理解いただけませんから、別の言い方をさせていただきます。
「勉強に向かう気持ちの持ちよう」です。実は、これも誤解を受けやすい言い方ですね。自分から頑張って勉強しようという気持ちが無いから効果が現れない。このような事を言いたいのだと誤解されてしまいます。

御三家を目指し、大手塾の上位クラスに在籍している小6生たちの中で、「勉強に対するやる気」の面で問題を抱えている例はほとんどありません。(5年生や4年生にはよくあることなのですが)授業は集中してよく聞いていますし、睡眠時間を自ら削って宿題を頑張っている子たちがほとんどなのです。

これまで、上位クラスをキープしてきた子供たちは、「インプットの達人」だと言えます。授業で説明された重要語句や重要パターンを記憶し、家庭学習で定着させてきました。その定着率が点数を決めていのです。上位クラスを維持してきたのは、その努力の成果ですから、おおいにねぎらってあげてください。また、「インプット」した知識をそのまま「アウトプット」するだけで解くことができる能力を持っていたことの証拠にもなります。うちの子は頭脳明晰なんだとお考えになって間違いありません。

ところが、頭の中に多種多様な知識が入り、しかもなお、新しい知識をどんどん吸収していかなければいけない今、「インプット」した知識が、「アウトプット」にスムーズにつながらなくなってきたのです。

「頭脳の引き出しから、この問題を解くために必要な知識を探し出す意欲」が、今必要になってきたのです。

この意欲を引き出す方法については、次回以降に考えていきたいと思います。

ご相談より

少し前に、メールでこのような相談がありました。

「息子のA太の事なんですが、日頃から雑で困っています。計算間違いはいつもしますし、おおざっぱに読むためにミスが減りません。
丁寧に勉強したらと何度もアドバイスしているのですが、それすらちゃんと聞いていません。本当にわがままで雑な性格で困っています。どうしたら良いでしょうか。」

このような相談には、いつも「ちょっと困ったな」と感じます。
子供の状態に困っているわけではありません。親御様の子供のとらえ方に困惑を感じるのです。

まず、お子様を主観的な印象でとらえていらっしゃいることです。
「わがままで雑な性格」という表現に、客観性を感じることが出来ないのです。
実際にA太君がどのような行動をいつもとっているのかといった事実が知りたいのです。
例えば、肘をついて机に俯して勉強してるとか、親が話しかけてもこちらを見ようともしないとか。
親御さんがそのようにお感じになった原因となる、客観的な事実が知りたいのです。
それが解決のヒントになることが多いものですから。

 このような、主観的な印象だけをお書きになる親御様の場合、往々にして子供の行動をちゃんとご覧になっていない事が多いと感じています。
また、子供にいらついて自分をなだめることが出来ないという、親御様の感情の表現のように感じます。

次に気にかかるのは、「丁寧に勉強したら」という声かけです。
子供は、抽象的な指示にはうまく従うことが出来ません。
反抗的な時期にさしかかっているお子様の場合は、
「そんなことを言うんだったら、無理矢理にゆっくりやってやる」
と思うこともあります。

 「ノートに書く数字は、いつも同じ大きさに書くように気をつけようね。」
 「問題文を最後まで読み切ってから、考え始めようね。」
 「答案用紙に答えを書く前に、本当にそれが聞かれている事かどうかを、問題文の最後で確認しようね。」
 このような、具体的に何をしたら良いのかを言ってあげて欲しいのです。

「ちゃんと勉強しようね。」
「きっちりしようね。」
「落ち着いて勉強しようね。」
良く聞く言葉ですが、抽象的で漠然としていますから、あまり効果が無い言葉かけだと知っておいてください。

これ以外にもあと2つばかり気にかかることがあります。それは次回に書かせていただきます。

クラスアップの壁 もう1つの視点(2)

今回は、授業や宿題の問題レベルとテストの問題レベルのギャップを埋める方法をお話ししましょう。

サピックスからです。
(算数)
デイリーサポートのDランクが要注意です。アルファベットクラスの場合は、A・B・Cランクを中心の宿題ですが、時々出されるDランクの問題がマンスリーに出題されています。出来れば、Dランクの1番と3番を解いておかれることをお勧めします。

(国語)
テキストの長文と、マンスリーや組み分けテストの長文は、明らかに情報量が異なります。一度読んだ段階での理解度が大きく異なってくるはずです。一番良いのは、お知り合いの先輩から、過去のサピックスのテスト類をコピーさせてもらって、長文を読み込むことですが、なかなかそうはいきませんね。その場合は、これまで受けたテストの文章を読ませてください。そして、選択問題を記述問題に換えて答えを言わせてください。例えば、「太郎君のそのときの気持ちはどうだったのでしょう。アからエから選びなさい。」という問を、「太郎君のそのときの気持ちを書きましょう。」に換えるわけです。その模範解答は、選択肢の正解の文章そのものになりますから、親御様がチェックされる場合に便利です。

(理科)
 テキストの問題と、テストの問題の最大の違いは、文章量です。ですから、コアプラスをいくら完璧に覚え込んでも、問題文を読みグラフの意味を理解し表の数字をとらえて出題者の意図をくみ取らないと正解できないことになります。
 ☆☆の中で文字数の多い問題は、確実に解かせておくべきですし、たまには☆☆☆の中から、文章の長い問題を読ませておく必要があります。「読み飛ばさない」「直感で答えない」練習をお願いします。

 

日能研です。
Aクラスのお子さんは、まずGクラスを目標にしてください。
(算数)
    カリテにおいては、宿題となった問題の中で一番難しい問題2~3問がポイントです。授業担当者が、事前に問題を知っていたと思えるほどに的中しています。
    センター試験においては、一週先二週先の単元から、不思議に出題されています。特に小6の場合は必ずといって良いくらいです。ただ、どの問題がとなると、日能研の出題傾向を熟知している私たちでも、半分ぐらいしか当たりません。遊び感覚でちょっと予習してみるぐらいでお願いします。

(国語)
 サピックスの場合と同じです。やはりテキストに比べてテストの素材文は格段に難しく、しかも長くなっています。

(理科)
 栄冠テキストの問題数が少ないものですから、なかなか対策が出来ないという相談が多く来ています。しかも、栄冠テキストの問題は、複数の条件を考えさせるものが少なく、一つ一つの条件を理解しているかどうかを確かめるタイプになっていますから、読み取りが雑なお子さんにとっては厳しいと言えます。その際に利用できるのが、四谷大塚の週例テストの過去問題集です。BまたはCコースの問題の中で、文字数が多いものを選んでやらせてみてください。該当単元の問題を全てやらせるというようなやり方ではなく、1~2問だけを、隅から隅まで問題文を読ませる練習としてやらせてください。

 

(四谷大塚・早稲アカ)
 週例テストは、細かくコースに分かれていますから、授業の復習と塾から出された宿題で充分です。でも、月例テストは1種類しかありませんから、その対策が必要です。
週例テストの過去問題集が有効です。この冊子には、週例テストと月例テストの昨年の問題が収録されています。月例テスト対策として、昨年の月例テストをやらせてみても、なかなか同じような問題は出題されません。月例テストの範囲となっている昨年の数例テストをやるのが効果的です。AコースからBコースに上げようという場合にはBコースの前半を、BコースからCコースに上げようという場合には、Cコースの真ん中あたり(難問は省く)をやらせてみてください。

Page 2 of 5

▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

COPYRIGHT@西村則康公式サイト