少し前に、メールでこのような相談がありました。

「息子のA太の事なんですが、日頃から雑で困っています。計算間違いはいつもしますし、おおざっぱに読むためにミスが減りません。
丁寧に勉強したらと何度もアドバイスしているのですが、それすらちゃんと聞いていません。本当にわがままで雑な性格で困っています。どうしたら良いでしょうか。」

このような相談には、いつも「ちょっと困ったな」と感じます。
子供の状態に困っているわけではありません。親御様の子供のとらえ方に困惑を感じるのです。

まず、お子様を主観的な印象でとらえていらっしゃいることです。
「わがままで雑な性格」という表現に、客観性を感じることが出来ないのです。
実際にA太君がどのような行動をいつもとっているのかといった事実が知りたいのです。
例えば、肘をついて机に俯して勉強してるとか、親が話しかけてもこちらを見ようともしないとか。
親御さんがそのようにお感じになった原因となる、客観的な事実が知りたいのです。
それが解決のヒントになることが多いものですから。

 このような、主観的な印象だけをお書きになる親御様の場合、往々にして子供の行動をちゃんとご覧になっていない事が多いと感じています。
また、子供にいらついて自分をなだめることが出来ないという、親御様の感情の表現のように感じます。

次に気にかかるのは、「丁寧に勉強したら」という声かけです。
子供は、抽象的な指示にはうまく従うことが出来ません。
反抗的な時期にさしかかっているお子様の場合は、
「そんなことを言うんだったら、無理矢理にゆっくりやってやる」
と思うこともあります。

 「ノートに書く数字は、いつも同じ大きさに書くように気をつけようね。」
 「問題文を最後まで読み切ってから、考え始めようね。」
 「答案用紙に答えを書く前に、本当にそれが聞かれている事かどうかを、問題文の最後で確認しようね。」
 このような、具体的に何をしたら良いのかを言ってあげて欲しいのです。

「ちゃんと勉強しようね。」
「きっちりしようね。」
「落ち着いて勉強しようね。」
良く聞く言葉ですが、抽象的で漠然としていますから、あまり効果が無い言葉かけだと知っておいてください。

これ以外にもあと2つばかり気にかかることがあります。それは次回に書かせていただきます。