カテゴリー: ご相談コーナー Page 2 of 9

御三家を目指す方々に(2)

□悩み方が間違っていませんか(2)□
 
先週は、
これまで、上位クラスをキープしてきた子供たちは、「インプットの達人」であること。
そして、御三家レベルを目指すためには、
「頭脳の引き出しから、この問題を解くために必要な知識を探し出す意欲」
が、必要だというお話をさせていただきました。

今回は、その続きです。

「集団塾のメリットは、カリキュラムがしっかりしていることだ。」
このことは、折に触れお話ししてきましたが、ここで少しまとめておきましょう。
カリキュラムとは、下記の3つです。
1 授業の進行表
2 授業の進行表に伴う教材
3 授業の進行に従って行われる授業の理解度をチェックするテスト

カリキュラムがしっかりしている塾に通っている場合は、授業を受けているだけで、
入試に必要な単元や項目がもれなく、しかもオートマチックに学ぶことが出来ます。
これはこれですごいことなのです。
長年の入試問題の分析によって度重なる改訂努力を継続してきたその塾の宝物です。

そして、塾は、「解き方」を教えてくれます。
それも、研究され尽くした優れた解き方を提示してくれます。
ですから、「インプットの達人」は、授業をしっかりと聞き、家に帰って解き方を覚え込むことで、
理解度をチェックするテストでよい点数が取れてきたのです。

ところが、学習単元が一巡し終わった7月以降は、1週間の学習項目が飛躍的に
増えることになります。

小6の夏期講習はどの大手塾も約30日前後あります。
40日ある夏休みのほとんどを使うことになるのですが、
この30日で小4から小6の一学期までの2年半に習ってきたことのほとんどを
復習することになります。
(夏休み明けに行われる学力テストが、志望校合格に向けて試金石として利用される
理由です。)
また、二学期中に再度全ての単元を復習することになります。
この時期の1週間の学習範囲は小6の一学期までの5倍から10倍になります。

それまで、1週間または1ヶ月単位で確実にインプット出来ていたとしても、これほどに
ハイペースになってくると、普通はうまくいかなくなるものです。
一度は習った内容の復習ですから、もし100%覚え込んでいるならば全く問題は生じません。
ところが、忘れていることが想像以上に多いのです。

長年受験生を教えている私たちでも、小6の二学期には、
「え~、これを忘れちゃったの!」
という、言うべきでは無い台詞が口をついて出てしまうことがあります。
各塾の最上位クラスの生徒ですらそうなのです。

入試直前の5~6ヶ月は、
・既に覚え込んで定着している知識や解き方。
・過去に学習し一度は定着したが今は曖昧になってしまったもの。
・記憶からたぐり寄せることが不可能になってしまったもの。
この3つを上手に分類して学習をしていく必要があります。

概して、始めて学習したときに、
「あまりよくわからないけれど、とりあえずこの方法を使えば正解が出るんだな」
という学習をしてしまった単元や項目は、
「記憶からたぐり寄せることが不可能」
になっている事が多いようです。

また、解き方の順序をちゃんと理解できたもののなかで、始めてそれを習ったときに、
「はじめから終わりまでその筋道が理解でき、理解の過程で、『おっなるほど!』という
気持ちの変化(はたと膝を打つような気持ち)を体験できた項目」
の多くは、既に定着してテストに使える知識や考え方になっています。

ですからこの時期に必要な学習は、
「今必要なその知識が、上記の3つのうちのどの状態で頭脳に収納されているのか」
を見極める事から始める必要があります。

今は使えなくなってしまっている知識や考え方については、
『おっなるほど!』(はたと膝を打つような気持ち)
を体験させる事が理想です。

また、「理解度の3種類」は、確かに個人差が大きいのです。
しかし、その子の今考えていることに寄り添うようにして教えている場合には、
ほとんど予感が的中します。

「とりあえず正解は出せるが、『なぜそうなる?』と聞いてみれば、間違った説明をするはず。」

「知識は曖昧になっているが、その周辺部分で軽くヒントを出してやれば、『おっ』と叫んでから、
得意満面に解き始めそうだ。」

「この問題は正解できるし、説明させればちゃんと言える。
でも、この条件をこのように変えると多分見事に引っかかる。」

私自身のことを振り返ってみると、子供を教えているときには、
このような事をいつも考えているように感じます。
また、私たちのグループの先生方も同じなんだなと、毎週の勉強会で感じます。

手前味噌ですが、「その問題を前にして、子供の理解度について仮説を立て、子供の反応からその仮説の真偽を確認できる」事が、本当のプロの講師(個別指導や家庭教師というパーソナルな講師)だと考えています。

御三家を目指す方々に

□悩み方が間違っていませんか(1)□

上位校を目指す方々からの相談が例年通り増えてきました。
特に小6の方からの相談が多くなっています。

Aさんのお母様から
「2ヶ月前までα2にいたのですが、今はαからも落ちてしまいました。これまで通りに遅くまでまじめに勉強しているのですが、なかなか成績が戻りません。前半の1行問題のところではミスが増えていますし、後半の応用問題では解き方が見つけられていません。
子供は、どうしても桜蔭に行きたいと言っていますが、このままでは無理だと思います。何か良い問題集はありませんでしょうか。」

このご相談から見えてくるお子さんの問題点を整理してみましょう。
1 基本問題でのミスが増えた。
2 自分で解き方を考えつかなければいけない応用問題が解けない。
この2点が現状の問題点です。

そして、お母様が改善策としてお考えなのが、「良い問題集を使って学習を増やすこと」です。

これまで、成績の良かったお子さんが、これまで通りの学習量を確保しているのに成績が下がるには、必ず原因があります。それは、学習量でも、問題集の質でもありません。
これまでの勉強の仕方が間違っていた。または、これまでの勉強の仕方では間に合わなくなってきた事が理由です。勉強の姿勢という曖昧な言い方ではなかなか理解いただけませんから、別の言い方をさせていただきます。
「勉強に向かう気持ちの持ちよう」です。実は、これも誤解を受けやすい言い方ですね。自分から頑張って勉強しようという気持ちが無いから効果が現れない。このような事を言いたいのだと誤解されてしまいます。

御三家を目指し、大手塾の上位クラスに在籍している小6生たちの中で、「勉強に対するやる気」の面で問題を抱えている例はほとんどありません。(5年生や4年生にはよくあることなのですが)授業は集中してよく聞いていますし、睡眠時間を自ら削って宿題を頑張っている子たちがほとんどなのです。

これまで、上位クラスをキープしてきた子供たちは、「インプットの達人」だと言えます。授業で説明された重要語句や重要パターンを記憶し、家庭学習で定着させてきました。その定着率が点数を決めていのです。上位クラスを維持してきたのは、その努力の成果ですから、おおいにねぎらってあげてください。また、「インプット」した知識をそのまま「アウトプット」するだけで解くことができる能力を持っていたことの証拠にもなります。うちの子は頭脳明晰なんだとお考えになって間違いありません。

ところが、頭の中に多種多様な知識が入り、しかもなお、新しい知識をどんどん吸収していかなければいけない今、「インプット」した知識が、「アウトプット」にスムーズにつながらなくなってきたのです。

「頭脳の引き出しから、この問題を解くために必要な知識を探し出す意欲」が、今必要になってきたのです。

この意欲を引き出す方法については、次回以降に考えていきたいと思います。

ご相談より(2)

前回は、
「息子のA太の事なんですが、日頃から雑で困っています。計算間違いはいつもしますし、おおざっぱに読むためにミスが減りません。
丁寧に勉強したらと何度もアドバイスしているのですが、それすらちゃんと聞いていません。本当にわがままで雑な性格で困っています。どうしたら良いでしょうか。」
という相談に対して、ちょっと困ったなと感じる理由を2つ書きました。

今回は、それ以外の理由を2つ書こうと思います。

まず、何度も何度も同じ言葉で説教をされていることが感じられることです。
良い方に変化する見込みも無く(場合によっては改善出来ないと半ば信じて)、何度もくどくどと叱ることによって、親御さんはより感情が高ぶりお子さんはイライラが昂じるような関わりは、悪循環です。

ここで、数秒沈黙の時間が欲しいのです。これを6秒ルールと言います。ほんのわずかな時間ですが、実際にやっていただくと非常に長く感じられるはずです。この間に親御さんの感情の棘が小さくなります。そして少し冷静な気持ちで、これまでとは違う声かけの言葉を探していただきたいのです。
 ちょっとほめてみようかとか、「もし○○さん(お子さんが信頼している第3者など)が今のあなたを見たら、何と言うと思う?」などと、自分を外から見るきっかけを作ろうとか、「頭の良いあなたが○○すれば、□□のような事が出来そうね」とヨイショしてみようとか考えて欲しいのです。

次は、お子さんの困った状態を性格のせいにしないで、行動の仕方を教えてあげて欲しいということです。

子供は、誰でも「わがまま」で「雑」で「頼りなく」て「気分屋」です。大人は、勤労意欲がわかない時にも、何とか「よ~し頑張るぞ」と気分を奮い立たせる方法を持っていますが、子供はその方法がわからないのです。

子供の良くない行動を性格のせいにしていると、その性格の枠組みにお子さんの行動を追い込むことになりがちです。
 「丁寧に勉強する仕方を知らないから」「文章を正確に読む方法を知らないから」と考えてあげてください。その視点から、「勉強机の前に座るときには、背筋を伸ばして座ると丁寧な字になるわよ」「鉛筆でなぞるように読んでいくと読み飛ばしが減るそうよ」というようなアドバイスをお願いしたいのです。

教育は忍耐だと思います。子供が一番長い時間を過ごす家庭での教育もその例外では無いのですが、一本調子の説教やアドバイスは、親御様とお子さん双方にとってストレスだけを高めてしまうことを知っておいてください。

ご相談より

少し前に、メールでこのような相談がありました。

「息子のA太の事なんですが、日頃から雑で困っています。計算間違いはいつもしますし、おおざっぱに読むためにミスが減りません。
丁寧に勉強したらと何度もアドバイスしているのですが、それすらちゃんと聞いていません。本当にわがままで雑な性格で困っています。どうしたら良いでしょうか。」

このような相談には、いつも「ちょっと困ったな」と感じます。
子供の状態に困っているわけではありません。親御様の子供のとらえ方に困惑を感じるのです。

まず、お子様を主観的な印象でとらえていらっしゃいることです。
「わがままで雑な性格」という表現に、客観性を感じることが出来ないのです。
実際にA太君がどのような行動をいつもとっているのかといった事実が知りたいのです。
例えば、肘をついて机に俯して勉強してるとか、親が話しかけてもこちらを見ようともしないとか。
親御さんがそのようにお感じになった原因となる、客観的な事実が知りたいのです。
それが解決のヒントになることが多いものですから。

 このような、主観的な印象だけをお書きになる親御様の場合、往々にして子供の行動をちゃんとご覧になっていない事が多いと感じています。
また、子供にいらついて自分をなだめることが出来ないという、親御様の感情の表現のように感じます。

次に気にかかるのは、「丁寧に勉強したら」という声かけです。
子供は、抽象的な指示にはうまく従うことが出来ません。
反抗的な時期にさしかかっているお子様の場合は、
「そんなことを言うんだったら、無理矢理にゆっくりやってやる」
と思うこともあります。

 「ノートに書く数字は、いつも同じ大きさに書くように気をつけようね。」
 「問題文を最後まで読み切ってから、考え始めようね。」
 「答案用紙に答えを書く前に、本当にそれが聞かれている事かどうかを、問題文の最後で確認しようね。」
 このような、具体的に何をしたら良いのかを言ってあげて欲しいのです。

「ちゃんと勉強しようね。」
「きっちりしようね。」
「落ち着いて勉強しようね。」
良く聞く言葉ですが、抽象的で漠然としていますから、あまり効果が無い言葉かけだと知っておいてください。

これ以外にもあと2つばかり気にかかることがあります。それは次回に書かせていただきます。

クラスアップの壁 もう1つの視点(2)

今回は、授業や宿題の問題レベルとテストの問題レベルのギャップを埋める方法をお話ししましょう。

サピックスからです。
(算数)
デイリーサポートのDランクが要注意です。アルファベットクラスの場合は、A・B・Cランクを中心の宿題ですが、時々出されるDランクの問題がマンスリーに出題されています。出来れば、Dランクの1番と3番を解いておかれることをお勧めします。

(国語)
テキストの長文と、マンスリーや組み分けテストの長文は、明らかに情報量が異なります。一度読んだ段階での理解度が大きく異なってくるはずです。一番良いのは、お知り合いの先輩から、過去のサピックスのテスト類をコピーさせてもらって、長文を読み込むことですが、なかなかそうはいきませんね。その場合は、これまで受けたテストの文章を読ませてください。そして、選択問題を記述問題に換えて答えを言わせてください。例えば、「太郎君のそのときの気持ちはどうだったのでしょう。アからエから選びなさい。」という問を、「太郎君のそのときの気持ちを書きましょう。」に換えるわけです。その模範解答は、選択肢の正解の文章そのものになりますから、親御様がチェックされる場合に便利です。

(理科)
 テキストの問題と、テストの問題の最大の違いは、文章量です。ですから、コアプラスをいくら完璧に覚え込んでも、問題文を読みグラフの意味を理解し表の数字をとらえて出題者の意図をくみ取らないと正解できないことになります。
 ☆☆の中で文字数の多い問題は、確実に解かせておくべきですし、たまには☆☆☆の中から、文章の長い問題を読ませておく必要があります。「読み飛ばさない」「直感で答えない」練習をお願いします。

 

日能研です。
Aクラスのお子さんは、まずGクラスを目標にしてください。
(算数)
    カリテにおいては、宿題となった問題の中で一番難しい問題2~3問がポイントです。授業担当者が、事前に問題を知っていたと思えるほどに的中しています。
    センター試験においては、一週先二週先の単元から、不思議に出題されています。特に小6の場合は必ずといって良いくらいです。ただ、どの問題がとなると、日能研の出題傾向を熟知している私たちでも、半分ぐらいしか当たりません。遊び感覚でちょっと予習してみるぐらいでお願いします。

(国語)
 サピックスの場合と同じです。やはりテキストに比べてテストの素材文は格段に難しく、しかも長くなっています。

(理科)
 栄冠テキストの問題数が少ないものですから、なかなか対策が出来ないという相談が多く来ています。しかも、栄冠テキストの問題は、複数の条件を考えさせるものが少なく、一つ一つの条件を理解しているかどうかを確かめるタイプになっていますから、読み取りが雑なお子さんにとっては厳しいと言えます。その際に利用できるのが、四谷大塚の週例テストの過去問題集です。BまたはCコースの問題の中で、文字数が多いものを選んでやらせてみてください。該当単元の問題を全てやらせるというようなやり方ではなく、1~2問だけを、隅から隅まで問題文を読ませる練習としてやらせてください。

 

(四谷大塚・早稲アカ)
 週例テストは、細かくコースに分かれていますから、授業の復習と塾から出された宿題で充分です。でも、月例テストは1種類しかありませんから、その対策が必要です。
週例テストの過去問題集が有効です。この冊子には、週例テストと月例テストの昨年の問題が収録されています。月例テスト対策として、昨年の月例テストをやらせてみても、なかなか同じような問題は出題されません。月例テストの範囲となっている昨年の数例テストをやるのが効果的です。AコースからBコースに上げようという場合にはBコースの前半を、BコースからCコースに上げようという場合には、Cコースの真ん中あたり(難問は省く)をやらせてみてください。

2学期志望校別日曜特訓 資格テスト対策の追い込み

小6生は、このGWが終われば各塾で保護者会が開かれ、その後7月には2学期志望校別日曜特訓の資格試験が実施されます。
 これまで何度かお話ししてきましたが、上位校合格に向けて、2学期日特つまり志望校別日曜特訓で志望校の該当コースに入れるかどうかが大切なのです。御三家合格者数の50%以上も占めているサピックス生でさえも、コース資格が取れなかったお子さん方の合格数はほとんどありません。しかも、同じコースで複数以上のクラスがある場合、クラスによる合格率は明らかに差があります。
 開成1組での合格率はは70%、開成2組では20%ということが普通です。つまり1組は1軍、2組は2軍ということになってしまっています。同じコースならば1組の資格を確保して頂きたいのです。
 この資格テストは公開テストと同様全範囲からの出題となりますから、復習が欠かせません。少なくとも6年生はじめ(5年の2月)からの総復習が必要になります。
下記に各塾の資格試験に向けてのポイントをあげておきますので参考にして頂ければと思います。

サピックス ・算数ではCランクを完璧に。(DEランクは余裕があれば)
              (開成・桜蔭ではCDランクを完璧に)
            ・国語の記述問題の練習(何とか書いて空欄にしない練習)
            ・理科、社会は、マンスリーの復習が有効

日能研   ・算数では過去半年(2月以降)のカリテ共通問題の取りこぼしの復習が有       効
      ・理科、社会はカリテの見直し。苦手単元の問題練習は栄冠テキストで。

四谷    ・週例テストの取りこぼしを見直した後で、月例テスト過去問題集で6月7       月分を解く。

早稲アカ  ・志望校の過去問を2年分は解いておく。
       (NN志望校別の資格試験は、過去問から半分は出題される)

 このような学習の追い込みはGWが明けたら早速始めてください。また、GW特訓が無い日能研生の場合は、GWこそが学習のチャンスだと言えます。

直感的で雑なとき方はミスのもと!

□考え方の課程を書き残す大切さ□

少し前にこのようなご相談をいただきました。
「うちの子は、頭は悪くないと思うのですが、算数の問題を直感で解いてしまってよく間違えます。特に学年が上がってからそのような間違いが増えています・・・。」

小さい頃から頭が良いお子様に多いことですね。
小3や小4までは、頭の中でさっさと答えが出せてしまう。家の人や塾の先生からは、式や図を書けと言われているけれど、そんなことをしなくってもちゃんと正しい答えを書けているんだから・・・。と感じていたはずです。ところが、内容が高度になると直感だけでは解けなくなります。目の付け所はさすがと思わせる部分があるのですが、最後の詰めで間違えたり、大切な条件を使わなかったりして間違ってしまうことが増えます。

塾内の成績は真ん中以上で、しかも伸び悩んでいるというお子さんの場合は、至急ノートやテスト問題に残った計算や式の跡を調べてみてください。
その際は、「この式でこれを出そうとしているんだな。」「この計算は、あれを求めようとしているんだな、そうするとその先のあの計算がどこかにあるはずなんだが。」このように見ていく必要があります。
 このように、「これから考え始めたら、こうやってからああやるしか正解にたどり着けない」ということが分かっている必要がありますから、調べる側の力量が問われることになります。小6の難しい内容を分析できる親御様はほとんどいらっしゃらないのですが、小5ならば、親御様の方でも充分に分析していただけるものと思います。
 そんなことに関わっている時間は取れないという方の場合は、信頼できる第三者(力量ある家庭教師や個別指導)の出番と言うことになります。

 ここまでは、ちゃんと考えたんだな、でもこの先で、「たぶんこうなるだろうと思ってこの数字にしたんだな」。このような事が見えてきます。その時に、
「なんで、こんないい加減な事をするの!だから間違うのよ!」と叱ってしまうのは、ちょっとお待ちください。
 お子さんは、これまでそうすることによってほどほどの成績を取り、叱られることもなくやってきたはずです。なぜ、いけないのかすら分からない状態のはずなのです。
「ここまではよく考えたね。ここまでしっかりと考える事が出来たんだから、その先もしっかりと考えたら出来たね。惜しかったね。」と話し始めることからお願いします。
 何事もそうですが、「もうちょっとだけ努力すれば出来そう」と思うことができることにしか努力できないのが子供(大人もそうですが)です。
 その後、「このときに、自分に、『本当にそうかな?』『絶対大丈夫?』と問いかけてみる事をしてごらん。あなただったら、正しいことをすぐに見つけることが出来るはずよ。」このように話して上げてください。
 自分に問いかける習慣を身につけさせることと共に、考えてきた事の過程を書かせることも是非お願いします。論理的な思考を高める事が目的なのですが、お子様には分かりませんから、麻布や開成の「考え方や式」の欄がたくさんある入試問題の解答用紙を見せて上げてください。「ここに、採点者が分かるように書かないと点数がもらえないのよ。」とおっしゃれば良いでしょう。

テストの復習の仕方

 

どちらの塾もそろそろ春季講習が終わり、平常授業が始まる時期になりました。毎週の単元をこなす事で精一杯の状態に戻ってしまうお子さんが多いのではないでしょうか。

 

今こそ、毎週こなさなくてはいけない学習項目優先順位を再考してください。各学年の助走期間が過ぎ、4月から本格的なその学年の学習が始まる今だからこそやるべきなのです。

 

 その学習項目の中に、是非いれていただきたいのが、テストの振り返りです。毎週のカリキュラムをこなす事と同等の優先順位でお願いします。特に、復習テスト(サピックスのマンスリー、日能研のカリテ、四谷大塚や早稲アカの週例テスト)は良いのに、範囲に広いテストになると下がってしまうお子さんは必須です。

  

正答率票を見ながら、正答率が高いにも関わらず間違ってしまったものを解き直すようにしてください。その際に注意していただきたいのは、「問題文を丁寧に読み直す」時間をとっていただく事です。何が分かっていて(仮定)、何を聞かれているのか(結論)、を確認し直す必要があるからです。

  普通は、1教科あたり45問程度ですから、お子さんに説明させても過剰な負担にはなりません。自分の言葉で話すことで、考え方がお子さんの頭の中で自然に整理されていきます。

「何が分かっていると思う?」

「何が聞かれていると思う?」

「どんな方法で解けると思う?」

このように質問してあげてください。

   そして、お子さんの返答は、文章で答えるというルールにしてください。

「速さ」という単語ではなく、「A君が出発した時の分速と、10分後に出発したB君の秒速が分かっていて、・・・・・」というように答えることができれば、あとはお子さんが自力で解いていってくれるはずです。

 

  毎週のカリキュラムに追いまくられている状況に陥っているお子さんは、文章をじっくりと咀嚼して、題意を細かく掴み直すだけの気持ちの余裕を失っています。これが、読み取りミスが多発する原因の一つなのです。テストの振り返りだけでも、じっくりと落ち着いてできるように、時間を確保してあげてください。

サピックス生が点数を上げる方法

東日本巨大地震の被害に遭われた方々、またお亡くなりになられた方々に対し、心から深くお悔やみ申し上げます。
 こんな時こそ、一人一人が気持ちを強く持って、利己主義に陥ることなく利他の気持ちで行動していきたいと、強く思っています。

 

□サピックス生が点数を上げる方法□

(算数)
一生懸命勉強をしているにも関わらず、なかなか成績が上がらずに困り切っているサピックス生のお子さんが多くいらっしゃいます。お母さん方に聞いてみますと、基礎トレは毎日確実にこなし、デイリーサポートからの宿題もちゃんとやり、デイリーサポートの問題では、(★★★)までを欠かさずにやっているそうなのです。
 これ以上やるものがないほどに頑張っていらっしゃるのです。算数に時間が取られすぎて、ほかの教科の勉強に時間が割けない程なのです。そんなにがっばっても成績が上がらない理由は、その頑張り方にあります。
 デイリーサポートは、表に授業用の問題が、裏には全く同じ問題が復習用に印刷されています。表に授業中に書いた解き方を当てはめて何となく解けてしまった、ということを繰り返している事が多いのです。短期記憶に優れているお子さんの場合は、答えまで覚えている例があります。これでは、頭を使って考えるどころではありません。
 このようなときには、親御様の方で、デイリーサポートの類題をデリーサピックスから探し出してやらせることから始めてください。
 サピックスの授業は、スピーディーです。先生が板書した図やグラフや表をノートに写し取ろうとしているうちに、次の問題になってしまう事が多いのです。そのせいでしょうか、式だけをノートに写してくるお子さんが多いのです。
ご家庭で解く場合は、図・グラフ・表など、解き方の糸口を見つけるための作業を必ずさせるようにしてください。その上で、「その式で何が出たの?」「その数字の単位は?」「次に何が出せそう?」という言葉かけをお願いします。
 
 基礎トレーニングの使い方
 アルファベットクラスのはじめの方に所属するお子さん方は、毎日一ページやっていくことをお勧めします。当然、計算は読みやすい字で、図は残し・・・と、丁寧な学習が必要です。ところが、アルファベットの上位クラスやαクラスのお子さん方が、毎日やっていく効果はあまり大きくないと考えています。大切な基礎ですから、無視するわけにはいきませんが、同じ種類の、しかも同じ配列の問題を繰り返す必要はあまりないと思います。
 これまでにやってもらって効率的で効果的だったのは、「最初の二日間を満点に出来たら、その後の同じ内容の部分はやらなくて良い。もし、少し間違えたら、その後のページは、間違った問題と同じ番号の問題だけをやっていく」というものです。
 確実に解いていこうという気持ちになれますし、時間の短縮にもなります。是非お試しください。
 

SAPIXと日能研

 遅ればせながら、首都圏の大手4塾の合格者数を分析してみました。
そんなことをするまでも無く、サピックスの一人勝ちだろうと思われるかもしれませんが、下記の表をご覧ください。
早稲田アカデミーと四谷大塚は偏差値上位の学校の合格者数しか発表していませんから、とりあえず、サピックスと日能研の比較をしてみたいと思います。

                              │校数      │定員合計(人)  │日能研(人) │サピックス(人)│     
│四谷偏差値65以上 │13校     │   2620            │    857         │  1638          │     
│四谷偏差値55~64│42校     │   6743            │  3032         │  2932          │     
│四谷偏差値45~54│62校     │  10511           │  4433         │  2213          │     

 

 上記の表の偏差値は、四谷大塚の合不合第4回の偏差値表を使いました。

この結果からまずわかるのは、以下の2点です。
・御三家レベルはさすがにサピックスは強い。
・偏差値64以下のボリュームゾーンでは、日能研の合格者数がぐっと増える。

このことから、次のことが予想できます。
・御三家を受験する場合、その合否予想は、サピックス内の成績だけでからかなりの確度で行うことが出来る。
・日能研からも多くの御三家合格者を出している事から、勉強のやり方や塾の使い方次第で、合格することは十分可能。
・御三家以外を受験する場合は、受験者数や合格者数が多い日能研内のテスト成績だけで、かなりの確度で合否予測が出来る。

サピックスは、どちらかと言えば、最上位校受験を念頭に置いたカリキュラム構成とテスト構成だと言えます。マンスリーテストは、全員が1種類のテストを受けることになります。偏差値が25のお子さんから75のお子さんまでが同じ問題を解くことになっているわけです。
一方、日能研は「共通問題と基礎問題」を解くクラスと、「共通問題と発展問題」を解くクラスに分かれます。実質2つのレベルの問題があることになります。四谷大塚(早稲アカも)は、学力に応じてA・B・C・Sと4つのレベルのテストが存在します。

学力が非常に高いお子さんが、切磋琢磨するにはサピックスが向いていると言えますが、これから成績を上げていこうとか、途中から受験勉強を始めるような場合には、他の塾の方が対策を立てやすいと言えるでしょう。

 

Page 2 of 9

COPYRIGHT@西村則康公式サイト