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なぜ偏差値が50そこそこから上がらないか/少人数相談会@東京・大阪のお知らせ

この時期に限らないのですが「偏差値が50そこそこ(あるいはもっと低いところ)から上がりません」というご相談が多くあります。
そんなご家庭、お子さんには共通点があるように思います。
■なぜ偏差値が50そこそこから上がらないのか
学年の後半、お子さんにも親御さんにも「こんなにやっているのにどうして成績が上がらないの?」という思いがあるご家庭は多いと思います。
毎週の通塾や大量の宿題、休日を潰してのテストにその解き直し・・・
そんな過酷な毎日を必死でがんばっているのに、成績が上がらない・・・。
そんな状況が続くと、親子ともモチベーションが下がってしまいます。
塾の授業がわかってないわけではなさそうなのに、なかなか成績が上がらない。
そんなお子さんの共通点のひとつが「やらされ感がある」ということです。
勉強しなくちゃいけないのはわかっている。
でも、次から次へと「やるべきこと」があって、取りかかるのにも「よいしょ」とかけ声がいるくらいの気分、といえばいいでしょうか。
■宿題はひと通りやっているけど・・・
塾の授業がわからないわけではなく、宿題もひと通りやっているけど・・・というお子さんは、まずは「図をかいているか」を確認してみてください。
問題を解くための図を理解しているということと、自分で正しく図をかけるということは、まったく別のことです。
偏差値が50くらいから伸び悩むお子さんは、理解力はあっても「自分で手を動かす」という習慣がないことが多いのです。
逆に言えば、自分で手を動かす習慣をつけるだけで、急に成績が上がるお子さんも多いのです。
■成績を上げるための勉強法をお伝えする相談会を東京・大阪で開催します。
勉強法を変える、とひとことで言っても、実際に変えるのはけっこう大変なことです。
「図をかきなさい」と言うだけでは、なかなか書くようになってはくれません。
なぜかかないのか、その理由は様々ですが、多くの場合は「こんなにやることがあって大変なのに、図をかいている暇なんてない」という「気分」のようなものです。
実際にお子さんの行動を変えるには、やるべきこととそうでないことを取捨選択し、「今はがんばらなくていいこと」を省いてあげることが必要です。
その上で、成績が上がる勉強法を今一度お子さんにインストールしてあげる必要があるのです。
10月3日と4日、東京都大阪で、その具体的な方法をお伝えする少人数の相談会を開催します。
お子さんの成績が伸び悩んでいるという方は、ぜひご参加ください。
(先着順受付です)
少人数相談会「秋の勉強を確実に成績につなげるために必要なこと」
【東京渋谷】

https://zadankaie-3.peatix.com

【大阪梅田】
(各限定6名・参加費5000円)

うまくいっていなのなら「取捨選択」を

うまくいっていないのなら「取捨選択」を

 ■年度を通して多いご相談は・・・

 年度を通して多いのは「がんばって宿題をしているのに成績が上がらない」というものです。

 このお悩みには、学習塾の過剰ともいえる「サービス」も関係していると思っています。

 入試、特に難関校の入試には、毎年「初見」の問題が数多く出されます。

暗記に頼った学習ではなく、因果関係などをもとに論理的に考えることができるかといったことを見るには、パターン問題では不十分だからです。

 学習塾は、そのような問題をどんどんテキストに収録していき、テキストは年を追うごとに肥大化していきます。

いわゆる平常授業だけではそれらを網羅しきれず、講習会、GWの特訓などすべての「オプション講座」が必修化されていく。

 受験生とそのご家庭には休む暇がありません。

 

 ■がんばっても結果が出ないから、やる気が出ない

 そして、最初の質問、ご相談になるのですが、このようなご相談をくださるご家庭のお子さんは、多くの場合やる気をなくしています。

やってもやっても宿題は終わらず、成績にも結びつかないためですが、親としては「そんなやる気がないんじゃ、ますます成績が下がる」と必死でやらせようとする。

 ケンカが絶えなくなり、勉強時間にムダな時間がどんどん多くなっていく、という悪循環に陥っていきます。

 一度、立ち止まって考えてみましょう。

 

「ほんとうにこんな量の勉強が必要なのか?」

 

■うまくいっていないのなら取捨選択を

 多くの場合、宿題を整理してやるべきことを最小限に絞ったほうが、結果は出ます。

宿題の取捨選択は専門家以外では難しいのが現実ですが、「基本ができていないのに応用なんて・・・」と感じているなら、いっそ応用問題はカットして、基本的な問題をきちんとマスターすることに主眼を置くのが良いことも多いものです。

 その際気をつけていただきたいのは「解き方の丸覚え」をさせないということです。

どうしてそのように考えるのか、なぜその解法で解くのかという因果関係を説明させるようにしてください。

せっかく時間ができても、それを「丸覚え」に費やしてしまうと意味がありません。

 

うまくいっていないと感じるなら、ちょっと根気は必要ですが、宿題の量と質を調整し、問題を解くのに付き合ってみてあげてください。

 

「もう勉強なんかしたくない!」(2)

子供が塾のテキストを破り捨てたり、「もう勉強なんかいやだ!」と言って部屋にこもってしまったりする、
このような相談は意外に多いということを前前回に書きました。

そして、そのようになる共通の状況があるように感じるのです。
それは、「身の丈以上の学習を強要されている。(と子供がいつも感じている)」事です。
親は子供のためを思い、このぐらいはやって欲しいと要求し、
塾はこの程度の質量はこなしてくれないと困ると思い宿題を出します。
それを子供がやっとの思いでやり終わった時に、親御さんがこのような言葉かけを
続けていたらどうなるでしょうか。

1)「何、そのやり方は。間違いだらけじゃないの。そんな事をやっているから成績が上がらないのよ!」
2)「宿題が終わったら、すぐにテスト直しをしなさい。ゆっくりしている時間は無いのよ!」
3)「宿題だけやっていて良いと思っているの。テレテレやっているから社会の暗記時間が無くなってしまたじゃないの!」

たぶん、大人だっていやになってしまいますね。

「たくさんの宿題を頑張ってやったね。大変だったね。」から話し始めてあげたら子供の気持ちは
どのように変化するでしょうか。
ねぎらいの言葉を充分にかけてから、
「頑張ったことは分かるんだけど、慌てすぎてあちらこちらに間違いがあるみたいね。
間違い直しまで今やれたら、もっと気持ちがすっきりすると思わない?」
というような言葉をかけてもらった子供は、テキストを破り捨てたりしないものです。

中学受験の勉強は、この年齢の子供たちにとって各自のキャパシティーの限界近くまで
頑張るべき時期もあります。
ところがそのキャパシティーは子供たちの気持ちや感情によって大きく変化します。
たくさんの勉強をやった後でも、「すごく頑張ったね。」と褒められれば、もっと頑張ってみようという
気持ちにもなります。

同じ量の勉強をしていても、それを過剰な負担と感じる子供がいる一方で、平気な子もいます。
ストレス耐性が高い子供になってもらうために、子供への言葉掛けに一工夫をお願いしたいと思います。

海外から帰国 中学入試

近年、海外勤務から帰国するにあたって子供を中学受験させたいというご相談が増えています。
一方、私立中学校でも帰国子女枠を設けているところがどんどんと増えています。
ところが、海外から帰国したお子さん方が私立の中学を受験する環境が整って来たとは
言えない状況なのです。

それは、受け入れ側の中学校の体制を見ますと、中学校毎に帰国子女の扱いが大きく異なること、
中学校毎に英語の扱いが大きく異なること、
中学校毎に定員の枠が大きく異なること、
判定基準が曖昧な(公表されていない)学校が多いことなどが原因です。

受ける側から見ますと、現地のインタースクールに通っているか日本人学校に通っているか、
塾に通っているかなど、赴任先の環境によって大きく異なっています。
そして、子供が小5の段階で帰国なのか、小6になってからの帰国なのかによっても
やるべき事が大きく異なってきます。

 「こうすれば合格しやすい」という標準が存在しないのです。

 通常の中学受験でも、お子さんの学力と志望校のマッチングがなかなか難しいのですが、
帰国子女のお子さんの受験には、それ以外の要因が数多く関わってきます。

うちの子は、インタースクールに通って英語が得意だから、英語を利用して中学校を受験させよう
と思っていたのに、調べてみると希望している学校は参考程度にしか考慮されないとか、
帰国子女枠での受験なのに入試問題は一般受験と同じであったり、また異なっていたり。

 一般の中学受験では、第1志望から始めて、第2第3志望と多くの中学校を受験することが出来ます。
そして、合格のための勉強は各学校共に共通であることが多いのです。
また、問題傾向を吟味することで学習の質をそろえることができます。
ところが帰国子女枠の受験についてはなかなかそれが出来ないのです。

例えば、K校の場合入試教科は、算数・国語・作文の三教科、
または算数・国語・理科・社会の四教科です。そして問題は一般の試験問題と同じです。

T校の場合は、算数・国語・英語で、問題は非常に易しく英語の出来が合否に直結します。
K校に向けた対策がT校には全く役に立たない事になります。

近い将来、お子様を帰国子女枠で受験させようと考えていらっしゃるなら、早めの情報収集と
早めの対策をお願いします。

・行かせたい学校をピックアップする。
・定員を調べる
・入試教科を調べる
・問題レベルについての情報を得る
・お子様の受験学力を判断する
・受験までのお子さんの何の学力を高める必要があるのかを判断する
・お子さんの学力を高める手段を考えておく
・日本に帰ってきてから行かせる塾を決めておく
・行かせる予定の塾のテキストを使って学習を始めておく
(必要ならば市販の受験問題集も用意する)

帰国されてからの情報収集では大きく不利になることがありますからご注意ください。

例えば、帰国されてからのお住まいがどの地域になるかによって、受験できる中学校が限定されますし、
通うことが出来る塾も制約を受けます。
帰国後の住まいについても事前に充分に考えておいてください。

過去問の得点はどのぐらい必要か

「カリテは良いのだが、模試になるととれない。しかも、過去問を解いてみると5割弱しかとれない。
これで大丈夫か。」
このような相談メールをいただきました。
カリテと模試の関係については、これまでに何度か書いていますので、そちらを参考にしていたださい。
ところが、「過去問でどの程度の点数が必要か」については、これまで一切触れたことがありませんでした。

まず、過去問を解くときに注意いただきたいのは、
1 時間厳守
2 机の上には、問題と解答用紙しか置かない。
3 採点は厳しめにする。
この3点です。
出来るだけ本番の試験に近い環境を作ることで、真剣に解いてもらうためです。

制限時間が来たら、ピタッと終了。その後採点になりますが、出来れば親御さんの方でお願いします。

必要な点数です。
第1志望校(挑戦校)の場合
今(10月段階)で、1教科あたり合格最低ラインの点数からマイナス15~20点が一つの目処になります。
この学校を本当に受けてよいのかどうかの判断材料としての目処です。
合格最低ラインが100点満点で65点だとすると、45点以上は欲しいというわけです。
入試が近づけば(12月には)、50点以上はとっておきたいところです。
 
第2志望の場合
今(10月段階)で、ほぼ合格最低ラインの点数が取れているようならば理想的です。
入試が近づけば(12月には)、合格最低ラインの点数プラス10点以上です。

 採点を親御様の方で、と申し上げたのは、採点をした後の学習のためです。
採点をしながら、次のことに注意をはらってください。
・読みやすい字で(採点者が不快にならないような字で)書いてあるか。
・問題用紙に残ったメモ書きや計算の跡、テスト中に引いた傍線や下線が乱雑で無いかどうか。

そして、採点後、もう少しで得点出来るはずであった問題をお子さんと一緒に探して欲しいのです。
「しまった、最後の引き算で間違ってた!」
「正三角形の条件を見落としてた!」
このような、「うまくいけばとれるはずの点数」を合算して、
受験者平均点を超えることをお子さんに確認させて欲しいのです。

この作業が、合格へのモチベーションを高めますし、注意力の大切さを感じさせることが出来る
貴重なチャンスです。

我が子の指導は難しい

いつもいつも堅い話ばかりを書いていますので、今回は柔らかく、テレビの話からです。

昨日(だったと思うのですが)、徹子の部屋に松岡修造さん出演されていました。
あの方の熱血とプラス思考はすごいですね。
でも、現役のころは”ガラスの心臓”と言われるくらいに繊細な神経の持ち主だったそうです。
あの、たぐいまれなプラス思考は普段の精神鍛錬の賜物だった事を知って、感動しました。
 
話の中で、
「他人の子供を叱る場合は、しかりつけた後の落としどころまでもしっかりと考えてから叱り始める。
でも、我が子の場合はそうはいかない。どうしても感情的になってしまう。」
と仰っていました。そうなんですよね。
松岡さんは、長年ジュニアの指導をされていますから、
子供の心のツボに響くしかり方やほめ方のプロです。
その松岡さんにして、「我が子の場合は・・・」となるのですから、本当に我が子の指導は難しいものです。
 
こう言う私も人の子の親です。既に2人とも成人し、1人は嫁いで私の手から離れてしまっているのですが。
子供の学習をたまの休み(一年で2~3回しかなかったのですが)に見る事があったのです。

教え始めは、
「どれどれ、これが分からないの?それじゃあ、この部分から考えてごらん。・・・・、そうだね」
と穏やかに始まります。ところが、
「この部分から考えてごらん。・・・・ん、そうかな?」
このあたりから感情が高ぶってくるのです。そのうちに、
「そうじゃないだろ!」
最後には、
「なんでこんな事が分からないんだ!」
この頃には、子供の目には涙が浮かんでいます。

もう、手から離れてしまった今になって、あのときにもっと穏やかに勉強に付き合ってやれば良かったのに
と後悔しきりです。

昔は、おじいさんおばあさんがいて、近所にはおじさんやおばさんがいて、
「○○ちゃん、ちゃんと頑張らないと!」と叱咤激励してくれる親以外の存在がありました。
親には生意気を言う子供でも、親以外の、少し精神的距離が離れている人から言われると
素直に話を聞くことが出来るのです。

今、こういうおじいさんやおばあさん、おじさんやおばさんの役割の重要な一部を、
家庭教師や個別指導が担っているのかもしれませんね。

子供のやる気を削ぐ ”ダブルバインド”

ダブルバインドという言葉をご存じでしょうか。

ダブルバインド(二重拘束)とは、
通常の質問やメッセージを正しく理解し行動すると罰せられ、
異なる理解や間違った理解をしても罰せられるという、「どちらに転んでも叱られる」状態に置くことや、
その時に使われる方法のことです。
 以前、何かの本でこの言葉を聞いたときに、あるご家庭での会話をふと思い出したのです。

私がいることにお構いなしに子供を平気で叱るお父様なのですが、
「こんな簡単なところでミスをするなんて。なぜ、ミスをするのか分かっているのか!」と、
お父様が子供に怒気を含んだ質問をされました。
子供が、
「試験になると焦ってしまうことと、計算の字がいい加減な事。」
と返事をしました。ケアレスミスのことでお父様からいろいろな指導を受けたり叱られたりしたなかで、
子供なりに言葉に出来ることをやっとの思いで話したのだなと、感じました。
ところが、お父様は、
「それが分かっていて、なぜちゃんと出来ないんだ。だからおまえはバカなんだ!」
と罵倒されたのです。
 実は、その数週間前にも似たような場面があったのです。
 ミスの多い答案を前に、
「こんな簡単なところでミスをするなんて。なぜ、ミスをするのか分かっているのか!」
と、質問の形式を含む叱責です。
その時の子供は、
「よく分からない。」
と答えました。
「そんなことも分からないから、おまえはバカなんだ!」
と、お父様の反応がありました。

同じ質問に関して、Yesと答えれば叱られ、Noと答えても「だからおまえはバカなんだ」と叱られる。
しかも、お父様はそのご家庭の中では絶対の存在なのです。

「ダブルバインド」という言葉を目にしたときに、この会話を聞きながらなぜか暗い気持ちになったことを
思い出したのです。

どう答えても叱られることが分かっているときに、子供はその質問には絶句するしかなくなります。
結果的に、子供の中に無力感が沈殿し、叱る父親と叱られる子供との間に強い権力の壁が
できあがります。この無力感が子供の学力の伸びを阻害します。

 ところが、このような例は決して少なくないように感じるのですがいかがでしょう。
テストで悪い点数をとってきたときなど、
「なぜ、こんなに悪い点数になったか分かっているの!」
とお母様が聞かれたときに、
「あまり勉強しなかったから。」
とお子さんが答えようものなら、
「それが分かっていて勉強しなかったのね!」
と叱責されます。
もし、
「分からない。」
と答えれば、
「そんなことも分からないの!」
という叱責の言葉が既に準備されているのではないでしょうか。

 このような時の親御様の気持ちを想像するに(私も人の親ですからあのときはどうだったかな
などと考えるわけですが)、「なんとしても懲らしめてやらないと、気が収まらない」という感情に
支配されているように思うのです。
ところが、「子供のために叱っているんだ」という思い込みの相乗作用で、感情がますます
高ぶってしまいます。
このような経験が全くないという親御様はいらっしゃらないのではないでしょうか。

ダブルバインドの反意語を何というのでしょうか。
二重拘束の反意語ですから、二重解放とか二重肯定という事になるのでしょうか。

どちらの返答があっても、「そうね。」と受けてあげるとどうでしょう。
「なぜ、こんなに悪い点数になったか分かっているの!」
「あまり勉強しなかったから。」
「そうね。それが分かったのだから次に期待しているわよ。」

(「「分からない。」
「そうね。なかなか難しいわね。一緒に原因を考えてあげましょうか」)

「こんな簡単なところでミスをするなんて。なぜ、ミスをするのか分かっているのか!」
「試験になると焦ってしまうことと、計算の字がいい加減な事。」
「そうだな。それが分かっていながら出来ていないのは何か別の原因がありそうだな。」

(「「よく分からない。」
「そうだな。それが分かれば苦労しないからな。」)

どちらの例も、「そうね。」「そうだな。」で、話を引き継ぐことができる事に気付いていただけましたでしょうか。

夏期講習を効果的に利用する(小5編)

夏期講習期間中に一番注意が必要なのは、復習のサイクルを乱さないことです。
「今日の授業の復習は今日中にやる」を基本姿勢する必要があります。
授業が、午後の場合は、「翌日の午前中までに」でも構いませんが、
「次の休みの日にまとめて復習しよう」という計画は、実行不可能です。
講習期間中は毎日授業がある関係で、普段の2週分の量を1週間で進めていくことになります。
ほぼ1週間に一度の休みに、普段の4教科の2週分の復習が出来るものではありません。
 授業のある日にはしっかりと復習をして、休みの日は休養やリフレッシュに利用する事が理想的です。
 また、どこの小学校でも夏休みの宿題が出されています。宿題を後に回してしまって、
講習が終わってから大慌てで仕上げる羽目になるお子さんが多いものですから、
事前に予定を組んでおきましょう。
絵や感想文、また自由研究など、親御さんがつい手助けしてしまいがちですが、
「相談の乗ったりアドバイスはするが、やるのは子供本人」というスタンスを持ち続けてください。

・サピックス生
 一学期の復習ではなくて、どんどんと先の単元に入っていきます。
算数では、最大のテーマである比に入りますから、算数の復習時間を中心に
タイムスケジュールを考えてください。

・日能研・四谷・早稲アカ生
 一学期までの復習が中心です。
毎週のカリキュラムに追われて理解が雑になってしまっている単元を、丁寧に復習するチャンスです。
効果的な復習のためには、時間をかけるべき単元と力を抜いても構わない単元のメリハリをつけることが
必要です。夏の講習で、4ヶ月分の復習をするカリキュラムになっていますから、
学期期間中以上に追いまくられる危険性があるからです。
テキストにザッと目を通して、この単元はしっかり復習しよう、この単元はよく分かっているから、
この日は他の教科を頑張ろうという程度の大まかな目処をつけて講習に臨んでください。

夏期講習を効果的に利用する(小6編)

あと2週間もすると、各塾で夏期講習が始まります。小6生にとっては確かに天王山となります。
その理由は、
第1に授業時間数が多いことです。学期期間中の3ヶ月分に相当する長さです。

第2には、「初めての総復習」をすることです。学力をつける時期が終了し、得点力をつける時期に
    はいったことになります。
第3には、受験生がそろそろ本気モードに入る時期だからです。受験本番まであと半年となって、
    ラストスパートをかけ始める時期になってきたと言えます。

□復習のサイクルを作る□
学期期間中は、1週間に1単元ですから、何曜日にどの教科の復習をするかを決めておくことが
出来ました。
ところが夏期講習ではそうはいきません。
ほぼ3日で1単元が終了するスピードでカリキュラムが進んでいきます。
日能研のように「算・算・算・理・理」という日と「国・国・国・社・社」という日が交互に場合には、
2日で一巡してしまうことになります。
「復習はその日のうちに」を原則にしてください。
日能研の多くの教室のように、授業が早朝から始まる(例年は全教室共通に午後の授業でした)場合は、
なおさらです。
サピックスは、例年通り午後の授業になっていますから、その日の夜に勉強する内容と翌日の午前中に
勉強する内容を分けて考えておく必要があります。
どちらにしても、子供にとっては、克己心が必要な作業となりますから、親御様の協力と励ましを
お願いします。

□効率的な取捨選択が必要□

算数では
日能研の夏期講習の算数テキストは、各レベル毎に難し過ぎず易し過ぎず、使いやすいレベルで
作られていますが、それでも全部を復習しよう、宿題を全部やろうとすると、それぞれがいい加減に
なってしまいます。完全に理解出来ている問題を繰り返し解く事は、この時期には必要ありません。
また、難しすぎて、先生の説明すらよく分からなかった問題を解くことも無駄です。
もうちょっとだけ努力すると自分のものにする事が出来ると感じる問題に集中することです。
そのためには、授業中の聴き方を自分なりに工夫する必要があります。
それが難しい場合は、お子さんの状況を正確に判断出来る第3者が必要になることもあります。

サピックスの場合は、難しめです。
「いくら御三家志望だからと言っても、この時期にこれは難しすぎだろう」
と思える問題もあります。そのような問題は勇気を持って捨てることです。
授業中に扱われた問題の中から、
「もうちょっとだけ努力すると自分のものにする事が出来ると感じる問題」に注力して欲しいのです。

国語では
当然、国語も宿題が出ます。日能研生もサピックス生もこなしきることができる生徒は少ないものです。
「この量はちょっと無理」と予想が出来る場合は、記述問題だけを真剣にやっておくことをお勧めします。

理科では
知識単元では、「文章の中で重要事項を覚える」ようにしてください。
今後受ける合否判定テストなどでは、これまで以上に文章量が多い問題が増えてきます。
せっかく重要語句を覚えていたのに、問いの趣旨が理解出来ずに答えることが出来ないお子さんが
多いのです。それは、「重要語句だけの断片的な暗記」になっているからです。
計算単元では、それぞれの項目での代表的な問題の解き方を練習してください。
何をどのように書いて行くのかが大切です。
理科の計算問題のほとんどは、「比例と反比例」です。
この関係が一目瞭然に分かるような書き方が一番のポイントです。

社会では
重要語句を覚える事だけではなくて、統計資料を使った問題を丁寧に復習する時間を作ってください。
既にある程度、暗記学習が進んでいるお子さんの場合は、統計資料の問題だけに絞っても
構わないでしょう。
近年の入試問題や各塾のテストでは、統計資料が多岐にわたり難しくなってきました。
それは、公的機関が発表している資料がHPから簡単にダウンロードできるようになったことと
関係があります。
10年前であれば、こんな詳細な資料を問題に利用することは、とても無理だったはずなのです。
この面においては、どの塾もテキストでは対応し切れていません。
にも関わらず、塾の模擬試験では入試並みの、場合によってはそれ以上の資料を基に作問されています。

□子供の気持ちのメンテナンス□
親御様は、
「他の子供はもっとたくさん勉強しているんじゃないか。」
「もっと頑張らせないと差をつけられてしまうんじゃないか」
という気持ちになりがちなのですが、それはよくありません。
子供が、気持ち良く・元気いっぱい勉強できれば、みんなが頑張る夏期講習期間中ですら、
成績を伸ばしていくことが十分可能です。
お子さんが、気持ちよく前向きに勉強できるように、「褒める」・「ねぎらう」声かけをお願いします。
また、「これだけ頑張っていれば、夏休み明けのテストは良いことがありそうね。」というような、
近い未来の小さな成功を予感させる言葉掛けもお願いしておきます。

御三家を目指す方々に(3)

□悩み方が間違っていませんか(3)□
 
先週は、
入試直前の5~6ヶ月は、知識の収納のされ方が下記の三つのうちどの状態かを
見極めることが大切だということを書きました。

・既に覚え込んで定着している知識や解き方。
・過去に学習し一度は定着したが今は曖昧になってしまったもの。
・記憶からたぐり寄せることが不可能になってしまったもの。

でも、これは御三家レベルの問題の中での基礎から標準レベルの話です。
100点満点で50~60点の配点に当たる部分です。
この部分で確実に40点から50点を獲得することが合格の必要条件です。
その上で、いわゆる御三家らしい問題(初見の難問)への対応力を身につけていく
必要があります。

進学塾の指導は、授業という形式で問題解説が中心です。
問題の解き方の解説という一方通行の指導です。
ところが、入試本番で始めて見る問題を解く力が、過去の問題の解き方を習うことで、
解く力が身につくわけがないのです。

大切なのは、「気づく力」、「自分の頭で考える力」です。
首都圏で出題される問題は、初見の難問といえども、よくよく考えてみると
何らかのパターンを踏襲しているか、何種類かのパターンの組み合わせです。

「題意に基づいて、少し作業をしてみる。まだ解き方が分からない。
もう少し作業を進めながら、過去に習ったパターンの何が使えそうかを
必死で見つけ出そうとする。」
このような過程を経てやっと正しい解き方に近づいていけるのです。

ところが、塾の授業は、
「これは、難しいんだ。ダイヤグラムを書いて、この部分の速さと時間の逆比を使うと、
この部分の速さが求まり、それとこれの速さと距離で鶴亀算を使うと、
ほら、答えが出るだろ。」

大概はこのような流れで授業が進んでいきます。

ダイヤグラムを書く方が良いと気づくこと、
ダイヤグラムを書いた後、速さと時間の逆比が使えること、
その後速さの鶴亀算が必要な事。
この3点全て作業を進めながら、子供たち自身が考えつかなければいけないのです。
どのようにしたら、次の一手が見つかるのかが大切なのであって、
次の一手を教えてもらう事ではないのです。

大手進学塾の小6二学期の志望校別日曜特訓の教材は、該当校の過去の問題や
類似問題を、日本全国の中学校の入試問題10数年分からピックアップして作られています。
それらをもれなく多量にこなす事によって、初見の問題を減らすことを意図しているのです。 
この方向性の学習も確かに必要です。
でも、膨大な問題をこなさなければいけない事とそれを忘れてはいけないことが、
大きなハードルです。
それでも、来春出題される問題をz全部当てることはほとんど不可能です。

宝くじに当たるために、宝くじを全部買い占めることを目標にしているようなものだと
思われませんか。
 
必要なのは、入試本番の試験時間内に、自分自身が次の一手に気付く事です。
パターン的な解き方を使うのだけれど、どのパターンを使うのかを見極める力が
ものをいうことになります。
 このような力を養う上で大切な事は、

・気持ちの余裕を持って問題に取り組む事。
・「僕には解けるはずだ」という強い自己肯定感を持ち続けること。
・条件(仮定)をしっかりと把握すること。
・まず、何かを書き始めること。
・書き始めて、これじゃあうまくいかないと感じたら、次の方法に移ること。

多量の問題の繰り返し学習を真面目にやり続けてきた子供たちは、
このような学習を苦手にしている事が多いのです。
御三家志望者の半数以上が、初見の問題に弱いと困っていらっしゃるのではないでしょうか。

・学習プランを単純化して、お子さんの精神的な安定を図る。
・大丈夫だよ。君なら解けるよと励まし続ける。
・解き方を熟知している者が、「何が分かっていて何が求められているの」と質問してあげる。
・「まず、何を書けば良いと思う?」と質問して上げる。
・解き方を熟知している者が、「その方法で、次に何が求められそうかな?」
「何か、他の方法に気がつかないかな?」とタイミング良く言って上げる。

このような事が出来れば、「気付く」力を高めることが出来ます。
親御さんが出来る事と信頼できる第3者(家庭教師や個別指導)に任せることを
分けて考えるべき時期に入ってきたと言えます。

そして、その第3者は本当に信頼に足るかどうか、の判断は、親御様の一番大切な役割です。
 

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