投稿者: 西村 則康 Page 30 of 60
10月29日、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の主任相談員としてご一緒させていただいている、個別指導教室「SS-1(エスエスワン)代表の小川大介さんと、YouTubeを使ったオンラインセミナーの講師を務めさせていただきました。
ついこの間夏が終わったと思えば、もう11月。肌寒い日も多くなり、冬の訪れが近づいていることを意識させられます。この時期になると、お母さん、お父さんたちも、この学年、1年間の総括をすることが多くなってきますね。今の塾で、今の学年の授業をここまで受けてきて、全般として成績、学習状況などをどう評価できるかな、といったことです。
みなさん、今の塾に多少の不満や要望はあるでしょうが、基本的には今の延長線上で、大幅な路線変更よりは現状の改善で頑張らせてみよう、という方が多いのではないかと思います。それでも成績がなかなか上がらないとか、がんばっているのに結果が見えてこない、という思いを持っている方も多いというのは、日々お受けするみなさんのお悩み相談などからも、痛いほど感じることです。
お子さんを塾に通わせていれば、苦手科目や苦手単元が出てくることもあります。今回の単元はあまり理解が進んでいないな、と感じる場面が日常の中にあると思います。もう11月、そろそろそんな単元をしっかり身につけさせなくちゃ、と考えたときに、真っ先に思い浮かぶのは冬期講習です。とりあえず冬休みには、気になっているあれとあれをしっかりやらせよう、とか考えるわけです。
ここで夏休みを思い出していただきたいのですが、あれもやりたい、これもさせたいと思っていたのに、なんだかなんとなく終わってしまって、結局苦手単元は克服できたのかしら、となっているご家庭も多いのではないでしょうか。こういう感覚をお持ちのお母さん、お父さんがご相談に来られたときに聞いてみると、「講習会は復習だから、そこでこれまで苦手だった◯◯をしっかり理解して・・・」と考えていた、という方が多いのです。あらかじめ講習会前にカリキュラムを確認し、お子さんの苦手単元が含まれているかをちゃんとチャックしていた、という方も多いのです。
どうして、あらかじめ「夏休みには◯◯を習得させたい」と心づもりをして、さらにカリキュラムまでチェックしたのに、終わってみたら苦手が克服できていないということが起こるのか。
それは、講習会のカリキュラムにお子さんの苦手単元が含まれていたとしても、お子さんに必要なレベルの問題や、過去に習ってできなかった、分からなかった問題が扱われるかどうかがわからないからです。もっと言えば、過去に習った単元と同じ単元名が講習会のカリキュラム表の中にあっても、それは復習とは限らず、前に習ったことをベースとして、さらにレベルの高い問題や、より発展的な解き方、考え方をする問題を取り扱う時間かもしれないのです。
だから、「講習会を受けてみたけど、結局苦手克服はできなかった」という結果にならないために、カリキュラム表だけを見て安心ぜず、その内容、レベルまで塾の先生に確認してから臨まなければならないのです。
たとえば、お子さんがサピックスにお通いのご家庭ならよくわかっていると思うのですが、サピックスは講習会中もカリキュラムが進んでいく塾です。もちろん若干の復習はありますが、基本的にはあまり戻ることなく進んでいくタイプのカリキュラムを持つ塾です。1つ1つの単元をちゃんと理解しているお子さんにとっては、もっとも効率のよいカリキュラムということになります。しかしいったんつまずいてしまうと、なかなか取り戻すことができず、そこからどんどん成績が下り坂になるお子さんもいるのです。
もちろん塾によってカリキュラムは様々なので、お子さんがお通いの塾の特性を把握しておくことで、来月に始まる冬期講習会を上手に利用することができますね。そして何より大切なことは、塾の講習会を復習、苦手克服の機会として使えない場合、ここからの約2ヶ月の間に、その時間を捻出する必要があるということです。
お子さんがお通いの塾をより深く理解する、いい機会になるかもしれません。
中学受験を考えていて、4年生から塾に通わせようと考えているご家庭では、そろそろ塾選び、入塾テストの準備が始まっているかもしれません。受験勉強を始めるのは、早ければ早いほどいいというものではないと、私はいろんなところでお話ししていますが、4年生くらいから始めるのがちょうど無理がないのです。
進学塾のカリキュラムは、4年生〜6年生の3年間で無理なく中学受験の学習が仕上がるようにできているからです。1年生〜3年生から進学塾に通わせるご家庭は、かなり早くにスタートを切っているということになります。
3年生までは塾に通わせないほうがいい、というわけではありません。お子さんが楽しんで通塾し、得られるものが多いなら何の問題もありませんし、私が知っている限りでも、低学年から塾に通わせて、色んな意味で成功されているご家庭も多いのです。
では、早くから受験勉強を始めて失敗する例とは何かというと、お子さんの自己肯定感がとても低くなってしまう場合です。
子どもの「できない部分」ばかりが目について、できること、もっといえば「今はできないけれどがんばっていること」に対してねぎらい、褒める声かけをせず、逆の声かけを続けてしまうと、子どもは「どうせ僕はがんばっても無理」という気持ちになり、自分もがんばればできるという気持ちを持ちにくいのです。
子どもに限らず、努力しても認められることがないと、人は充実感、充足感を感じられません。特にお子さんがいちばん好きなのは、お母さん、お父さんの「よくがんばったね」「すごいね」といった言葉。言葉でなくても、お母さんやお父さんの喜ぶ顔だけで、子どものやる気は天にも上るくらいになるはずです。
「褒められると伸びるタイプ」とよくいいますが、子どもはみんな「褒められると伸びるタイプ」だと私は思っています。
もちろんできたことに対して褒めてあげるのは当然ですが、できた、できないにかかわらず、努力したことに対して褒めてあげることが大切だと思うのです。
大人だって、ふだん張りつめた気持ちで頑張っていればいるほど、身近な人の感謝の言葉や嬉しそうな顔に癒され、明日からもがんばろうと思えるものです。逆にそれがなければ、そんな小さなことでと思うようなことで、心が折れてしまったりするものです。
ここまで考えてくると、小さなお子さんだけでなく、ここから受験に向かって直前期を過ごす6年生にも同じことが言えるとわかってきます。
寒くなってきました。ここからが受験期本番ですね。
今夜お子さんが帰ってきたら、どんな言葉をかけてあげましょうか。
10月4日(日)、豊洲にてセミナーを行いました。主催は紀伊國屋書店ららぽーと豊洲店様で、限定30名の皆さんが参加くださいました。
小学4年生〜6年生のお子さんのいるお母さん、お父さんが対象でしたので、受験に向け、そして新年度に向けての準備のお話に、熱心に耳を傾けておられたのが印象的でした。
当日は「学習の質」について話をさせていただきました。ついつい陥ってしまいがちな「記憶型の学習」についてです。冷静に考えれば、「覚える⇒思い出す」というサイクルの中に「考える」という要素が少なければ勉強は面白くなくなっていくとすぐにわかるのに、日々の宿題演習ではついつい「覚える⇒思い出す」が中心になってしまいがちです。
たしかに勉強の中に「覚える」という要素は必要で、もちろん重要なものですが、「考える」という要素が少ないと、高学年の学習に対応できないのです。
あることを覚えているかどうかで対応できるのは、学年で言えば5年生まで。6年生になり、実際に入試問題などを解く段階になると、あることを知っているかということはあまり問われず、どう考えればこの問題を解決できそうか、というように「考える力」を試されます。これが「実戦力」と呼ばれるものです。初めて見る問題に対応できない、復習テストなら点が取れるのに、大きなテストになると点が取れないのは、この「実戦力」がついていないことが原因の1つです。
6年になるときに急に勉強のしかたを大きく転換するのは無理がありますから、5年生までに「考える」ということに比重をおいた学習スタイルに変えておかなければなりません。
これが私の言う「学習の質を変える」ということです。
ヒントは「復習」です。宿題に取りかかる前に「復習」をすること。なぜこの問題は、こうやって考えるんだっけ?と考え、思い出すこと。これを行なうのに効果的なのが、「家庭内ミニ授業」です。お母さん、お父さんが生徒となって、先生に扮したお子さんから授業の内容を教えてもらう。教えるうちに理解が深まることもありますし、意外に理解ができていなかったことにお子さん自身が気づくこともあるでしょう。それが大切なのです。
この時間が家庭学習にあるかないかで、6年生での学習効果は大きく変わります。
お子さんの宿題、ちょっと気をつけてみてあげてください。
セミナー参加者のみなさま、ありがとうございました!
■秋から5年生が直面するテストとは
■「実力がない」というより「応用力がない」
■「考える」勉強をしているか
■家庭内ミニ授業で「考える勉強」を
9月13日(日)、たまプラーザにて講演会を行うことになりました。
8月25日に出版となった書籍「中学受験 やってはいけない小3までの親の習慣」の発売を記念して、有隣堂たまプラーザテラス店にて行っていただくことになったものです。
講演会はともかく、その後のサイン会は少々気恥ずかしいのですが(笑)、中学受験に悩むお父さん、お母さんの前でお顔を見ながら話をさせていただくのは嬉しい機会です。
先月末には千葉県の柏の葉キャンパスというところでお話しさせていただいたのですが、対象は私学だけでなく、中高一貫公立校入試を検討しておられるお父さん、お母さんが対象でした。
中高一貫公立校というと、都立の平均倍率が6倍を越えるなど、大変高い人気を誇っています。また私立中学校の入学試験とくらべて独特な「適性検査」を行うなど、特徴があります。この適性検査は記述や考察などを求める問題が多く、一般的には「対策がしづらい」ということになっているのです。
しかし、記述や考察などを求め、いわゆる「受験テクニック」だけでは対応できない問題を出題するのは、私立の難関中学校も同じで、求められるのは論理思考力、問題解決力であり、出題形式こそ違っても、身につけておかなければならない力は大きく変わらない、というのが私の見解です。
そのような力は高学年になって急に育つものではなく、低学年からの学習、もっといえば学習の前段階こそが重要だったりするのです。豊かな実体験をベースとした科学への興味、未知のものへの探究心や好奇心が学習の原動力になっている子は、別に私立だからとか公立だからという区別なしに、伸びていくものだと思っています。
そんな視点から、小学校低学年までにお父さん、お母さんに意識していただきたいことをまとめたのが「中学受験 やってはいけない小3までの親の習慣」であり、講演でもできる限りそのあたりのポイントをお伝えしたいと思います。
募集人数にかぎりがありますが、興味がある方、受験学年までにどんなことを意識して勉強させればいいのか、不安や迷いがある方も、ぜひご参加ください。
http://www.e-juken.jp/20150828custom_seminar.html