投稿者: 西村 則康 Page 20 of 60
みなさんあけましておめでとうございます。
受験生はいよいよですね。
■「前受け校」も真剣勝負
関西の受験生は、この週末が大阪・兵庫の入試日。
いわゆる「前受け校」が岡山の岡山中学校、岡山白陵中学校の場合、もう試験がありましたね。
四国の土佐塾中学校、北海道の函館ラ・サール中学校の県外入試も1月8日(月・祝)に行われたばかり。
いよいよ13日の入試に向けて、関西の受験生の皆さんは最後の追い込み、という状態ですね。
一方、首都圏は2月1日が東京、神奈川の統一入試解禁日ですが、今から1月下旬くらいの期間に千葉県、埼玉県の学校の入試日が集中しています。
前受け校に関しては、
・練習のつもりで受け、進学する予定はない
・受験結果によっては進学を検討する
などいろんな考え方で受験するご家庭があると思いますが、ぜひとも色んな面で受験から多くのものを得てほしいですね。
「前受け」と呼んでいるとはいえ、生半可な気持ちで受験に臨んでいる受験生はいないはずです。
受けるからには「合格」の2文字を得たいと思います。
どんな学校の入試でもそうですが、真剣勝負です。
中学校側から「うちに入学してください」というオファーがもらえるかどうか、という大切なプレゼンの場です。
入試の雰囲気、厳しさ、その他いろんなことを感じると思います。
もちろん合否という結果もそうです。
入試ですから、合格という結果もあれば不合格という結果もあります。
多くの場合、前受け校として選ぶのは「順当にいけば合格という結果を得られる可能性が高い学校」だと思います。
そんな受験でも、当日緊張して力が出しきれなかった、といった理由で不合格という結果になることもあります。
そんな結果の受け止め方として、少しお話しします。
■「前受け校」の合否の受け止め方
合格だった場合、ひとまずは「ひと安心」です。
このときあまり子どもを舞い上がらせず、「よし、この調子で第一志望校も受験しようね。当日の試験でポイントだったのはどんなことだったと思う?」と「勝因」を思い出させてあげてください。
それは「落ち着いて受験できた」かもしれないし「思ったより(思った通り)問題が易しかった」かもしれません。
勝因がどんなことだったとしても、その中から第一志望校の受験に活かせることは見つかるはずです。
「落ち着いて受験できた」のが勝因だったら、「●●中学校の受験生たちも、あなたと同じくらいの実力の子たちだから、焦らず落ち着いて問題に集中すれば良さそうね。」といった具合です。
さて、前受け校で不合格だった場合はどうでしょう。
第一志望校の受験日までに「気持ちのたて直し」が必要となる場合もあります。
「失敗したのが前受校でよかった」と一度気持ちに区切りをつけさせ、前を向かせるのもひとつの方法です。
前受け校として選んだ中学校の方には悪いのですが、本来は第一志望校に合格したかったのだから、と気持ちを前に向かせるのです。
わずか11才、12才の子どもの受験、大人以上に気持ちが結果に現れるものです。
これまででいちばん、お父さん、お母さんの支え、言葉がお子さんにとってありがたい数日、数週間になります。
親子でしっかり乗り切っていきましょう!
今週は私が主宰する家庭教師「名門指導会」の関西統括、都関靖治さんのコラムをご紹介したいと思います。
関西のみなさんはぜひ参考にしてみてください。
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皆さん、こんにちは。
塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。
西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。
■12月16日に海陽中等教育学校(特別給費)と岡山中学(B方式)の入試がそれぞれ実施されました
前回のコラムでは12月の「前受け」についてお話しさせていただき、岡山中学の2017年度入試問題(一部)のご紹介もいたしました。
その岡山中学のB方式入試が今年も12月16日に実施されました。
また、愛知県の海陽中等教育学校でも同じ16日に特別給費生入試が行われました。
海陽中等教育学校特別給費生入試の本年度の出願者数は男子403名、受験者は402名、合格者は63名でした。
試験科目が昨年度の4科から3科となり社会がなくなったためか、昨年度よりも出願者数が約7%増加しました。
しかし、実質倍率は、昨年度が13.9倍(出願者377名、受験者376名、合格者27名)であったのに対し今年度はほぼ半分の6.4倍となり、前年よりは易しい入試であったといえそうです。
■近畿統一入試日の直前にある1月の「前受け」
さて、2018年度の近畿統一入試日は1月13日(土)ですが、その1月上旬にも「前受け」のできる学校があります。下の表は近畿統一入試日に行われる主な「前受け」校を抜粋したものです。
入試日 |
男女 区分 |
中学校名 |
科目数 |
浜学園公開 A判定 |
日能研R4 |
1月5日 |
共学 |
岡山白陵 |
3科目 |
非専願47 専願43 |
非専願54 専願48 |
1月5日 |
共学 |
香川誠陵(県外) |
3/4科目 |
38 |
37 |
1月7日 |
共学 |
愛光(大阪会場) |
3/4科目 |
57 |
62 |
1月7日 |
男子 |
北嶺(大阪会場) |
3/4科目 |
50 |
57 |
1月8日 |
男子 |
函館ラ・サール(大阪会場) |
3/4科目 |
57 |
62 |
四国や北海道のうち2校は合格可能性80%偏差値も高く、「前受け」とはいえ、受験生もかなり緊張する可能性があります。
また、岡山白陵中学についても、阪神間から通学が可能な学校ですし、1月5日の1回だけしか入試が行われませんので、岡山白陵中学を第一志望とする受験生と競うことにもなり、こちらも「本番さながら」の「前受け」となりそうです。
■1月校の「前受け」準備
自分の学力(持ち偏差値など)が「前受け」校の合格可能性80%偏差値より十分に高い場合でも、「初めて」あるいは「本当の入試」ということもあって本来の実力を上手く発揮することができないこともあります。
持ち偏差値と「前受け」校の合格可能性80%偏差値とが近い場合はなおさらです。
従って、12月以上に1月の前受け校対策は大切だといえるでしょう。
とはいえ、塾の冬期講習や近畿統一入試日に行われる第1志望校の準備の方が優先順位ははるかに高くなりますので、「大量の過去問」に時間を割くことは現実的ではありません。
実際、過去問2、3ヶ年分程度しかする余裕はないでしょう。
しかし、記述問題の有無やその量、頻出分野など、「前受け」をする受験校の出題傾向などは願書を出す段階で確認が完了していることと思いますので、直前の準備は「今、これだけのことができるようになっているので大丈夫。心配はいらない」とプラスの気持ちで「前受け」に向かえるようにすることです。
そのため、過去問に取り組むときはその年度の合格者平均点を獲得するためにはどの問題を正解すればよいのかを逆算し、そのレベルの問題であれば必ず正解できることを改めて確認するようにします。
また、可能であれば「試験コピー形式(本物と同じ書式)」を準備して、テスト自体の量感や余白の広さなどを合わせて確認できるとベターです。

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受験国語の指導25年のキャリアを持つ。
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著書に『SS-1メソッドで国語の点数を一気に上げる』『小川式「声かけ」メソッド』『頭のいい子の家のリビングには辞書・地図・図鑑がある』(すばる舎)などがある。
辻義夫氏 プロフィール
1968年生まれ。神戸市出身。
中学受験理科のスペシャリスト。その指導は「知らない間に理科が得意になる」「いつの間にか理科が大好きになっている」というもので「わくわく系中学受験」と評されるほど。2012年より活動の拠点を東京に移し、執筆・講演活動なども行っている。
著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。
受験生を最大限、授業という形で応援してあげたい一方で、学年がわりのこの時期、4年生、5年生の親御さんからの真剣なご相談も多くなるものの、実際のところそんなご相談にじゅうぶんお答えできていない現状がありました。
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お子さんが低学年で、4年生(正確には3年生の2月)から塾に通わせたいが、それまでにどんなことをさせておけばいいか、という若いお父さん、お母さんからのご相談を多くいただくようになりました。
そこで、入塾前に意識しておきたい国語の勉強について考えます。
■親も子も準備が必要
集団塾の国語の授業は、四年生でも学校の教科書では扱わないような長文が扱われます。
入塾までに、長い文章に抵抗がないようにしておくと、いざ集団授業が始まっても、すんなり授業に入ることが出来るでしょう。
そのために、たくさんの読書をしておきましょう。
入試では物語文だけではなく、理科や社会の分野に関わるもの、哲学や心理学に関わるものなど、様々な種類の文章が扱われます。
入塾までの読書でも、小説ばかりではなく、ありとあらゆるジャンルの文章に触れましょう。
百科事典や、様々な雑学やテーマについて、子ども向けにまとめている『なぜ?どうして?シリーズ』なども、おすすめです。
親子で読んで、それぞれの題材についてお互いの感想や意見を伝え合うのも、自分の考えを言葉にしたり、物事を多面的に見る良い練習になります。(このような練習は、特に中高一貫校を狙う方の作文対策において大いに役立ちます。)
入塾後の受験勉強は、親子一丸となっての共同作業ともいえます。
こうしてコミュニケーションを深めておくことは、お互いを分かり合い、これから一緒に荒波を越えていく、いわば「同志」として絆を深めておく意味でも、とても良い時間になりますね。
■身につけておくべき知識
入塾試験対策として、基礎的な知識はしっかり身につけておきましょう。
基礎的な知識というのは、以下のものです。
●漢字
難関校を狙うのであれば、入塾の時点までに、小学校で習う全ての漢字を覚えておければベストです。
難しい場合は、せめて四年生までで習う漢字は全て覚えておきましょう。
つまり「1年の先取り」です。
※この時、へんやつくり、書き順まで正しく覚えるのが大切です。
●ことばの知識
文法や敬語、表現技法のあれこれなどは、入塾してからでもよいので、四字熟語、語句、ことわざ・慣用句をできるだけ覚えましょう。
「ちびまる子ちゃんのことわざ教室」など、漫画やイラストがあるものも、低学年からでもことばの知識に楽しんで親しめるのでおすすめです。
※その他のアドバイス
集団塾に入塾する際は、出来るだけ初めから「上位クラスでの入塾」を目指してください。
というのは、入塾後、下位クラスから上位クラスに上がっていくのはかなり難しいものだからです。
同じ塾・同じテキストでも、下位クラスでは問題も易しいものしか扱わなかったり、上位クラスでは逆に、テキストには書いていない知識まで教えて貰えたりします。
授業内容のレベルが大きく異なるのに、クラス分けテストは(当然ではありますが)全クラス共通の問題なので、下位クラスで入塾してしまうと、そこから上位クラスに這い上がることは想像以上に困難です。
入塾テストは、多くの塾で過去問を公開・販売していますから、それらをよく研究・対策し、万全の状態で入塾テストに臨みましょう。
以上、中学受験の国語の学習に備えて低学年でするべき準備に関して考えてきました。
読書や親子でのコミュニケーションの中で得られるものも、たくさんあります。
ぜひしっかりと準備して中学受験に臨んでください。
■学年の終わり、つまずきに注意
6年生はもう受験間近、過去問の演習などに力が入っていることと思います。
4年生、5年生も学年の終盤、12月〜1月は算数の重要単元が目白押しです。
サピックスの4年生は、規則性・速さ・平面図形・文章題など次々に重要単元が出てきます。
そして速さに関しては日能研、四谷大塚とも4年生のこの時期に学習することになります。
「速さ × 時間 = 距離」
という、いわゆる「は×じ=き」の公式を覚えて当てはめる子も多いのですが、公式を覚えることよりも「速さの感覚」を身につけることのほうが重要です。
「同じ速さで進み続けたら、2倍の時間進めば2倍の距離進む」
「同じ距離を進むんだったら、速さが速いほどかかる時間は短くなる」
といったことを感覚的にわかっていなければ、応用問題に対応できるようにはなりません。
大人にとっては「当たり前」のことですが、子どもにとってはそうでもないのです。
「『駅から徒歩10分』とか書いてるけど、このときの歩く速さは分速80mくらいで計算してるんだよ。徒歩10分ってことは、駅から何mくらい?」と聞いてみたり、クルマなどでお出かけする際に「今時速80kmで走っているから、この調子で行くと何時間くらいでつきそう?」など声かけするなどして、身の丈の速さの感覚を育ててあげることはとても重要です。
そして多くの塾で、この時期4年生は図形を習います。
立体図形、中でも表面積などでは計算力の弱いお子さんは「やり方は分かるけど答えが合わない」となって苦手意識が芽生えがちです。
この冬計算力を今一度見直してみるのもいいですね。
■5年生は本格的な難度の問題
サピックスの5年生は、この時期に「N進法」「ニュートン算」といった全く新しい単元の学習があります。
入試頻出ではないのですが、抽象度が高く苦手とするお子さんの多い単元です。
うまく自分の中に落とし込みたいところです。指導する先生の力量によっても、理解度が大きく変わる単元です。
一方で、各塾とも図形の学習は最重要事項の1つです。グラフを扱った問題なども出てきて「グラフが折れ曲がっている=何か変化が起こっている」という、グラフを読み取る上での基本的な感覚を身につけることが重要になります。
目まぐるしく重要単元を学習する12月〜1月ですが、6年生を控えたこの時期、どれもしっかり身につけておきたいものばかりです。
■冬のテーマを決めよう
特に5年生は、来年さらに目まぐるしくなると考えておくのがいいと思います。
社会(公民)以外の科目は、多くの塾ですでにすべての学習単元を5年生までで終えてしまいます。
だからこんなに目まぐるしいのですが、そこまで速い進度で塾がカリキュラムを組んでいるのは、6年生をまるまる1年間、受験対策に費やしたいから。
6年生は、「気がついたら夏になっていて、入試対策が始まったかと思ったら直前期になっていた」という感覚で毎日が過ぎていきます。
苦手単元がたくさん残っていても、なかなか埋め合わせをするための時間も取れない、となると思います。
冬休みも含めて12月〜1月、もう一度お子さんの手薄な単元は何かを確認し、復習の時間を意識的に取るようにしたいですね。
来年、万全のスタートを切れるよう、着々と準備していきましょう!
今回のコラムは、名門指導会の関西統括、都関靖治氏のコラムを掲載したいと思います。関西では12月から始まる中学入試。
そのあたりの実際はどうなのでしょうか。
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皆さん、こんにちは。
塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。
西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。
■岡山県の中学入試は12月からスタート
名門指導会は、関西エリアの場合、主に大阪府、兵庫県、奈良県、京都府で指導を行っていますが、この2府2県で行われる2018年度の中学入試は、2018年1月13日の土曜日から始まります。この入試本番でも本来の実力が発揮できるように、いわゆる「前受け」と呼ばれる併願受験をする受験生が、関西大手進学塾の指導もあり、決して少なくはありません。この「前受け」の対象となるのは、大阪や神戸などで県外受験を実施する岡山県、香川県、愛媛県、長崎県、北海道などの中学ですが、その中でも岡山県には、今月12月に入試を行う学校があります。
入試日 | 男女区分 | 中学校名 | 科目数 |
12月3日 | 共学 | 朝日塾 | 3科目 |
12月3日 | 共学 | 岡山学芸館清秀 | 3科目 |
12月9日 | 共学 | 岡山 | 4科目 |
12月10日 | 共学 | 就実 | 3科目 |
12月16日 | 共学 | 岡山 | 3/4科目 |
12月17日 | 女子 | ノートルダム清心 | 3/4科目 |
12月17日 | 共学 | 就実 | 2科目 |
12月23日 | 女子 | ノートルダム清心 | 2科目 |
12月23日 | 共学 | 岡山学芸館清秀 | 3科目 |
1月にも入試を実施しますが、いわゆる「2次募集」の意味合いが強く、メインの入試はこの12月です。
■岡山中の入試問題
入試日が大阪府や兵庫県よりも約1ヶ月早いということは、岡山県の受験生にとってはそれだけ受験の準備期間が短くなっているということを意味します。そのような受験生でも取り組むことができるようになっている岡山県の中学入試問題はどのようなものでしょうか。昨年行われた「平成29年 岡山中学 B方式」を見てみましょう。
5 図のような、たてが10cm、横が15cmの長方形の外側に円A、内側に円Bが接しています。この円A、Bがそれぞれ長方形の各辺に沿って転がりながら1周しました。次の問いに答えなさい。
(1) 省略
(2) 円Aの中心が移動した距離と円Bの中心が移動した距離の差が47.4cmになりました。円A、Bの半径がともに整数になるとき、円A、Bの半径はそれぞれ何cmですか。(円周率は3.14)
近年よく出題されている作図力を問う問題です。作図力を問う問題を解くためには、知識に基づいた正確な作図と計算力が必要ですから、受験生の実力を測るのに適しているためでしょう。
【解答例】
作図をすると下の図のようになります。
図より、
円Aの中心の移動距離=長方形の周りの長さ+円Aの円周、
円Bの中心の移動距離=長方形の周りの長さ-円Bの半径×8
とわかります。
円Aの中心が移動した距離と円Bの中心が移動した距離の差が47.4cmなので、
円Aの円周+円Bの半径×8=47.4cm となり、
円Aの円周は小数第一位までの数で、その小数第一位は4となることもわかります。
従って、
円Aの半径が5cmのとき、5cm×2×3.14+円Bの半径×8=47.4cm より、
円Bの半径×8=2cm
のようにして、答えを求めることができます。
■12月校の「前受け」について
この問題からもわかるように、準備期間が短くなる12月の前受け校の入試問題は、「基本がどれだけできているか」を測る問題が多くなりがちです。ですから12月に「前受け」をする場合、まずは、受験予定校の直近2ヶ年程度の過去問に取り組んでどのような問題が出題されているかを知っておくとよいでしょう。さらに11月に塾で行われた公開学力テストなどの模擬テストで、正答率の高い問題の解き直しとその問題に関連した周辺知識の再チェックに取り組み、本番入試にも必要とされる基本問題が正解できる力をより確実なものにしておくことが望ましいと考えられます。
工学的アプローチは、出てきた数値がどうして出てきたか、自分が完全に理解できているかどうかは別として、その数値や考え方を使って何ができるかを考えるアプローチ。
一般的には「理学は探求志向、工学は目的志向」とよく言われますね。
実際に学習する際は、この2つのアプローチをどちらも使っていく必要があります。
私がふだんお子さんに対してよく使う言葉で言えば、「なぜそうなのか」「だったらどうなるのか」といえるかもしれません。
ふだんの勉強においては「なぜこうなったか、自分は完全に理解できているか。誰かにそれを説明できるか」と常に「理学的」な思考をすることはとても大切です。
曖昧にしてはいけないところでもあります。
深く、完全に理解して再現できる状態にしておかないと、上辺だけさらっている状態では「実力テストになると結果が出せない」ということになってしまいます。
一方で、制限時間のあるテストなどにおいては、とにかく問題を解決するために、今わかっていることをどのように次につなげていけばよいかを考えなければなりません。「だったらどうなるのか」です。
今わかっていることを踏まえ、次の一歩を踏み出す力が必要なのです。
この2つの力は、いわば問題解決法の両輪ともいえますね。
お子さんたちが将来社会に出たときも、やはりこの2つの力は必要となります。
「なぜ仕事をするのか」「仕事を通して、社会的な活動を通して、自分は何を成し遂げたいのか」を深く考えることはもちろん大切なことだし、「目的を達成するために、今自分が持っている力のうち何をどう使えばいいのか」を考えることも、また大切なことだからです。
「どうして勉強なんてしなくちゃいけないの?」
そんなお子さんの質問への答えも、同じことです。
「幸せになるため」「まわりの大切な人たちを幸せにするため」には、この2つの考え方をバランスよく使う力をつける必要があるからだと私は思っています。
どちらか一方だけでは、自分もまわりも幸せにはなれません。
そう考えると、勉強は将来幸せになるための練習なんですね。
京都、南禅寺の紅葉。周りの人たちを幸せにする風景です。