10月も半ばになり、やっと秋らしい気候になってきました。秋に運動会を行う学校も多いようですが、お子さんの学校ではもう終わりましたか?
■そろそろ第一志望校決定の時期ですが
秋が深まってくると、いよいよ6年生は受験モード。各塾で学校別の模試も行われ、そろそろ第一志望校として受験する学校を確定する時期になってきます。
サピックスにお通いの6年生なら、9月に首都圏の主な難関校の「学校別サピックスオープン」が行われたので、その結果と10月マンスリーテストなどの結果も合わせて、11月の学校別オープンの受験校、つまり限りなく第一志望校に近い学校の選定に入っているのではないかと思います。
渋谷教育学園幕張・渋谷などはまさに今週、学校別オープンがありましたね。
日能研では毎月の公開模試が「合格判定」と銘打ったものになっていますから、そろそろ合格の可能性が数値として見えてきていると思います。
浜学園の第4回合否判定学力テストは10月の23日、この結果と志望校別特訓のコース資格を取れているかで、現実的に「第一志望校として受験する学校」が絞られてくると思います。
単なる「第一志望校」ではなく「第一志望校として受験する学校」と言っているのは、この時期以降しっかり持っておかなければならないのが、志望校に対するスタンスだからです。どういうことかというと、可能性が低くても第一志望港は変えないのか、あるいは、少しでも現実的に合格の可能性が高い学校の中から、第一志望校を選びなおすという選択肢はあるのか、というスタンスのことです。
■受験を「成功」させるために
どちらがいいかと尋ねられたら、私は「どちらもあり」と答えます。
なぜかというと、そこがまさにご家庭の方針だからです。第一志望校を目指してこの3年間、一生懸命がんばってきたんだから、可能性は低くても受験するというのもご家庭の方針、あるいは現実的に合格可能性が高そうな学校の中から、お子さんにとってベストな選択をする、というのもご家庭の方針です。
大切なのは、その方針が家族できちんと共有できていることです。ここがズレていたり、うやむやなまま受験を迎えてしまうと、のちのち「僕はそんなつもりじゃなかった」みたいな気持ちの溝ができる原因になるからです。現状の第一志望校の合格可能性が低いなら、
「可能性は高くなさそうだけど、どうする?」
とお子さんに聞いてあげてもいいでしょう。自分の受験ではありますが、もちろんお父さん、お母さんが期待しているということはお子さんだってわかっています。自分から「志望校を変えたい」とはいいにくいのかもしれません。
中学受験の成功とは、もちろん志望校合格もそうですが、それのみではないと私は考えています。
中学受験を通して、勉強するということは自分にどんな変化をもたらしてくれるのかを知ることができます。自分よりある能力が高い子がたくさん存在すること、そしてその子達と競うことで自分の能力も伸ばすことができることもわかります。
「◯◯中学校に合格できなければ、やってきたことがすべて無駄になる」
これがもっとも不幸な受験に対する考え方です。受験勉強は(いや、すべての勉強は)無駄になんかなりません。
■1年後、2年後の受験生たちへ
5年生も丸1年後には第一志望校、受験校について、それを現実の問題として考えることになります。
「がんばって算数なんかやったって、将来役になんかたたない」
勉強が面白くなくなってきたお子さんが、ちょくちょく言うことです。
そんなことはないと私は思っています。どうにもならないと思ったときに、視点を変えてみると「なんだ、そんなことが問題だったのか」と気づくことは、社会に出てからもよくあります。その「視点を変える」という技術は算数で習っています。
「合わせてみる」「なくしてみる」「比べてみる」「何か法則はないか」「勘違いをしていないか」「思い込んでいないか」
人生の問題解決の方法の基礎は、あらかた受験算数で習うといってもいいくらい、算数は「地アタマ」を育ててくれます。
「相手が何を考えているのか考える」「相手の立場になる」「なぜそうなのか理由を考える」「そもそも◯◯って何のことかを考える」「相手に伝わるように表現を変える」
これらは国語や理科で身につけることです。人の気持ちや物の道理を考え、想像する。コミュニケーションで無くてはならない想像力も、受験勉強を通してたくましくすることができます。
4年生、5年生は受験までまだ1年、2年という時間があります。お子さんが「勉強がつまんない」と感じることがあれば、「なぜつまらないのか」を親子でしっかり話し合ってみるといいかもしれません。
「どうしてこうなるんだろう」
「なぜこの出題者はこんな問題を出すんだろう」
「この考え方を最初に考えついた人は、どんな気持ちだっただろう」
勉強の中に、そんなことを考える余裕やユーモアがある子は、勉強がつまんないとは言わないものです。