2月10日、主任相談員を務めさせていただいている中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主催の「2021年 入試分析セミナー(オンライン)」の弁士を務めさせていただきました。

御三家をはじめ、主要な中学校の入試問題をいち早く確認して行ったものですが、いくつかの中学校で見られた2021年の入試の特徴として「傾向はそのままに、ややソフトな出題だった」というものがあります。

入試分析セミナーのひとコマ。オンラインでの開催にも慣れてきました。

■力学の難度が控えめだった筑駒

筑波大駒場のように、事前にいくつかの単元を「入試範囲外」として指定した学校もありましたね。

筑駒の理科は攻略が難しいことで知られるのですが、その大きな理由が「力学」単元の問題の難しさです。
てこなどの計算問題なのですが、様々な場合を試すことで正解に近づかなければならないことが多いのです。
そのために「標準レベル」に設定された他の問題(とはいえ選択問題の選択肢の多さや紛らわしさに手間がかかるのですが)をいかに短時間でクリアして、力学の問題に時間と労力を費やすかがポイントになるのです。

その筑駒で、力学の問題の「厄介さ」が今年はやや控えめだったのです。
このことは、その部分で差がつきにくいとも言え、他の部分でますますミスができない試験だったということになります。

■開成の算数は「傾向なし」!?

開成の算数は、年度によってその難度に大きく幅があることで知られています。
85点満点の試験なのですが、年度によっては合格者平均点が9割近いこともあれば(2020年)、半分ちょっとという年もあります(2018年)。

今年の合格者平均点は55.8点。
パッと見た感じ「解きやすそう」と感じた受験生も多かったのではないでしょうか。

大問1は小問4つ、(1)がうるう年に関する問題、(2)は三角形を(特に三角形以外でも同じことですが)直線で区切った場合にいくつのエリアに分かれるかという問題。
(3)は正六角形の面積を辺の中点を結ぶ線で区切る問題。これは新6年生の算数の得意なお子さんなら正解を出してしまう問題でしょう。

ただ、すべてがすんなりいくかというとそんなことはなく、(4)は「循環小数」と高をくくって取り組むと手こずることになる、という良問です。

上記のように非常にやさしい年度もありますが、逆もまたありますから、開成の算数に関しては「どのような難度の問題が出されても対応できる」という対策を立てて実行しておくことが大切ですね。

■ その他の学校に関しても分析を進めています

2月10日という異例に早いタイミングでの開催になったため、今回の入試分析会では御三家や灘をはじめとした主要校に絞って扱いましたが、その他の学校に関しても講師たちと協力して分析を進めています。

名門指導会のウェブサイトで後日公開しますので、楽しみに待っていてください。

2021年の入試は、昨年からのコロナ禍をふまえたものとなり、上記の筑駒のように範囲を限定した学校や、受験生が感染、あるいは濃厚接触者となった場合の追試日程を発表する学校が出るなど、いろいろな意味で「異例」のものとなりました。

各学校、状況に合わせて開催に苦慮したと思うのですが、それでも分析の結果わかったのは、各学校の基本的な入試に対する考え方、つまり「新中1生として、こんな受験生に入学してほしい」というメッセージは例年通り、明確だったということです。

2021年は「コロナ禍から日常を取り戻す」1年になると思います。
次の受験生たちはこれらのことを念頭に、しっかり準備を進めていきたいですね。