今月、東京都と大阪で開催した「入試分析セミナー」でもお話ししたのですが、今年の難関校の算数で印象に残ったのが、「手を動かす」問題が多かったことです。
特に首都圏の中学校で、この傾向が顕著に感じられました。

「受験テクニック」を教え込まれてきた子の中には、能力が高いにもかかわらず、せっせと数えだしたり試行錯誤するような類のことに対してモチベーションが低い子がいます。

まるで、そんな子をはじくことを意図して作られたような問題が多かったのです。

もちろん、解法を知っていること、覚えていることは重要です。
しかし「便利な必殺技」を知っているだけでなんとかなる問題は、少なくとも難関校の入試からはなくなっています。

この流れは、今後も変わらないのではないかと思っています。

たとえば筑波大駒場中は、例年「解き方はわかるんだけど、正解を出すのは難しい」タイプの問題を出題します。
日々がんばって勉強に取り組んできたかを見るのに、知識の量ではなく「作業力」で測っているかのような問題です。

今年は開成中も(昨年は「易しすぎる」と話題になりましたが)じっくり読んで状況を整理、理解しないと合格点が狙えないような問題でした。

「知っているだけ」
「覚えているだけ」

でなんとかなる問題は、明らかに1問もなかったと言えます。

来年以降、難関校の受験を目指している受験生には、ぜひ「数えだす」「書き出す」「整理する」といった、算数の基本とも言える力に注目して勉強しておいていただきたいと思います。

そのためには、日々塾の宿題に忙殺されるような状態は避けねばなりませんね。

いつも色んなところでお伝えしていることですが、宿題は取捨選択して優先順位をつけ、順位の高いものから重点的に取り組むことです。

とはいえ、お母さんが優先順位をつけるのもなかなか難しいもので、そんなお手伝いをするのも私たち家庭教師の役割です。

まずは、塾の先生に「今週の宿題の中で特に大切な問題はどれですか?」と質問してみるのもいい方法だと思います。(塾の先生がどれくらい力になってくれるかによりますが・・・)

「宿題は何が何でも全部やる」という考え方から、まずは抜け出してみるのが重要です。