前回は、各塾の様子をご紹介しました。今回はテストについて塾別にお話しましょう。

 

大手進学塾では、基幹講座の所属クラスが週例の宿題テストと月例の実力テストの

総合成績で決定され、6年生の志望校別特訓の参加資格も主にこの2つのテストの

結果から判断されます。

そこで、ご家庭でも毎回のテスト結果が重視され、得点の上下に一喜一憂することに

なるわけです。

 

ここで注意したいのは、それぞれのテストには役割があり、成績の判断基準も

変わることです。

復習テストやカリキュラムテストと呼ばれる宿題テストの成績は、

毎週の宿題消化の精度に比例します。

このテストで点が取れない場合は、1週間の学習サイクルが構築されていないことが多く、

より多くの勉強量よりも現状の課題を上手くまわすことが先決でしょう。

お子様がなかなか勉強に取り組めなかったり、宿題テストでのミスの多さが

目立つ場合も同様です。

 

一方、月例の実力テストが取れないお子様は、1週間単位では学習内容の定着が

見られるが、1ヶ月単位では忘れてしまう傾向が強いようです。

大手進学塾に通うと、その宿題の多さから翌週のテストの準備に気をとられてしまい、

復習の時間を作れないまま見過ごされていることが良くあります。

月例の実力テストでの成績を上げるためには、2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後に

振り返りの機会を学習計画に盛り込みましょう。

同時に公開テストでミスが目立つ場合は、科目内容の勉強と並行してミスの対策を

実践することが効果的です。

また、テスト結果は素点ではなく、順位や偏差値で判断する必要があります。

平均点が40点のテストと、60点のテストでは取りたい得点が異なるのです。

それでは、各塾のテストについてみてみましょう。

 

●浜学園

○復習テスト

・テスト内容がクラス帯ごとに異なる。

・宿題範囲も異なるが、クラスアップを予定して上位クラスの宿題も取り組みたい。

 

○公開学力テスト

・高学年では平均点が30点台と異常に低いことがある。

・算数では大問1番、2番の計算、小問から正答率30%前後の問題があり、

テストの受け方を学ぶ必要がある。

 

○志望校判定模試・合否判定学力テスト

・偏差値順に合格可能ラインが見えるように、申請する志望校の選び方に工夫が必要。

・1日に5本(3科)、6本(4科)のテストがあり、体力、精神ともに厳しく慣れが必要。

 

○冠模試

・灘中オープン、HKRSS、プレ入試等6年次に多数あり。

・成績の見方に注意が必要。(例)灘中オープンの偏差値50なら灘中合格の可能性大。

 

●日能研

○カリキュラムテスト

・低学年では隔週実施なので、2週間単位での学習サイクルが望ましい。

・前受けのシステムがあるが学習習慣の視点からは、利用は最小限とすることが望ましい。

・算、国は習熟度にあわせてテストの一部が基礎と応用に分かれるが、

 基礎からのクラスアップを予定するときには応用も解いておきたい。

 

○公開模試

・素直に作られており、算数は1番から順番に解いて問題ないつくりとなっている。

・6年生では志望校選定テスト→志望校判定テスト→合格判定テスト等名称が変わり、

 その都度合格可能性が示される。

 判定はやや甘め。帳票のグラフの見方には注意が必要。

 

○入試実戦模試

・習熟度にあわせてA、B、Cの3種類に分別されており、自分の志望校にあった

 テストの見極めが大切。

 複数のテストを受験することもあり、どのテストの結果を重視するのかも事前に

 予定しておきたい。

 

○トライアルテスト

・受験校別のそっくり模試。

・偏差値とともにA、B、Cの合否判定が出るが、各校の前年度合格者数を基準に

 成績順位で判断したい。

 

●希学園

○復習テスト

・テスト内容が基幹講座のコースごとに異なる。

・テキストも異なるので、コースアップを予定する場合は要注意。

 

○公開テスト

・算数は問題用紙が2枚。1枚目で得点を稼ぎたい。

・国語は知識問題から攻める。

・理科は得意単元から取り組もう。

 

○志望校判定テスト・合否判定テスト

・偏差値順に合格可能ラインが見えるように、申請する志望校の選び方に工夫が必要。

・公開テスト同様3本(3科)、4本(4科)の実力テストだが、最難間校受験志望者には

 同時に算、国のSテストの受験もあり、体力、精神ともに厳しく慣れが必要。

 

○冠模試

・入試実戦模試、プレ入試等6年次に多数あり。

・成績の見方に注意が必要。(例)灘中プレ入試の偏差値50なら灘中合格の可能性大。

 

希学園は、ベーシックや志望校別特訓のコース参加が希望制となっている点です。

(コース内のクラスはテストの結果により決定されます。)

これにより、テスト結果に縛られず、今必要な学習を見つけて実践する機会を

増やすことが可能。

入試直前期にはコース内順位が目安になりにくくなりますが、ガイドラインとして

合格可能の判断基準は示されています。

例えば25年度受験の場合、大阪星光中受験者は約80名で、

そのうち合格者は26名でしたが、受験者中、入試直前期にガイドラインとなる

偏差値56を超えていた生徒数がほぼ同数だったことを見れば納得です。

 

以上のように、各塾に多数のテストがあり、ご家庭では毎日のように

成績数字に向き合うことが求められます。

これが中学受験を難しくしている一因になっているようにも思います。

上手くテストを使って、志望校合格への最短距離を歩まれることを願ってやみません。