カテゴリー: 小4向けアドバイス Page 4 of 6

小学4年生 早稲アカの宿題が回りません… ​

主任相談員を務めさせていただいている「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」に、下記のようなご相談をいただきました。(相談内容は、個人の特定ができないよう一般化、アレンジしています)

「3年生2月から早稲田アカデミーに通わせていますが、毎週の宿題が多すぎてまわりません。毎回の授業の確認テストでも点が取れず、本人のモチベーションも下がってきています。どうすれば効率よく復習、宿題ができるでしょうか。

■塾の宿題をすべてやるという発想を捨てる

いろいろなところでお伝えしていますが、塾の宿題は全部やらなくても大丈夫です。
ただ、ではやらずに放置する、ということではありません。取捨選択が必要です。
まずは、担当の講師や校舎長に現状を相談し、やるべきことを絞ってもらうところから始めるとよいと思います。

早稲アカは「大量演習」「体育会系」などと評される塾ですが、相談すれば柔軟に対応してくれるという側面もある塾です。
親が連絡し先生に時間をとってもらうか、文書で相談し返事をもらうという形がよいでしょう。

理想は、「基本問題だけやりましょう」といった「問題難度」という視点だけでなく「この問題だけはマスターしてほしい」という問題パターンの指定(特に算数)をしてもらうことです。

■理社は暗記してから宿題?

理社の勉強のしかたについては、なんとなくつかめないまま高学年まで過ごしてしまうお子さんがたくさんいます。
予習シリーズなど塾のテキストをひととおり暗記させてから宿題となると、それなりの時間と手間を取られます。塾から帰ったその日にやるのは難しいですね。

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員ご一緒している辻義夫氏との共著「いちばん得する中学受験」で辻氏も述べておられますが、塾からの帰り道や帰ってからの10分の使い方がポイントです。

たとえばお母さんが塾にお迎えに行くなら、その帰り道の「今日はどんなことを習った?」「先生がいちばん大切って言ってたことは何かな?」といった会話で、塾の授業を思い出させてあげましょう。
そして帰ってから、実際にテキストやノートを見ながら、どんなことを習ったかをお子さんに説明してもらうのです。これが「復習」です。

「復習=宿題演習」と考える方も多いのですが、復習と宿題演習は分けて考えましょう。塾から帰ったその日は(帰宅時間が早く余裕がある日は別ですが)、短時間の復習だけして寝かせ、翌日にあらためて宿題です。

■4年生は「少し手抜き」と感じるくらいでちょうどいい

「先生、テキストに書いてあることを全部完璧にやっているのに、テストではテキストに載ってないことが出るんです。どうなっているんでしょう?」
熱心な親御さんからの家庭教師のお問い合わせで、そんな質問を受けることがあります。

ずいぶん「暗記型」の勉強になってしまっているなぁ、と思うのですが、4年生のうちは「テキストを完璧に」という意識をそんなに強く持たなくても大丈夫です。
むしろしっかり塾を活用して「やるべきこと」の取捨選択を行うことが大切です。
4年生のうちに「勉強は辛くて苦しいもの」という感覚をつけさせないことです。

毎週、塾のテキストを丸暗記に近い学習でがんばって上位クラスにいる子は、5年生で成績が下がってきます。逆に、4年生のうちは取捨選択でやるべきことを絞って「そこそこ」の成績の子のほうが5年生でがんばれたりするものです。

4年生で、親子ともヘトヘトにならないような学習サイクルを作ることが大切ですね。

塾の新年度、1年を見通しておきましょう

いよいよ木曜日、東京都の中学入試がスタートします。
がんばってきた6年生のみなさん、しっかり実力を出し切ってください。
5年生以下のみなさんは、間もなく新しい学年が塾で始まりますね。
新学年でお伝えしておきたいことは、1年という時間をいくつかのパートに分けて考えてほしいということです。
2月に新学年が始まり、およそ2ヶ月勉強すると春休みです。春期講習がありますね。
この2ヶ月で学習したことが、学年が変わってカリキュラムが早く、難しくなった中でしっかり身についているか。
春期講習の様子、あるいはそれまでの勉強の様子でわかると思います。
もしも「うまくいっていないな」と感じるのなら、春休みに何らかの手を打てばいいことがわかります。
塾の講習を受けるべきかどうか、といった検討もできますね。
そして、4月〜7月の学習ステージ。
夏を控え、できればあやふやな単元は残しておきたいくないところです。
このときも、やはり親御さんから見たお子さんの学習の様子で、夏をどう過ごすかを決めましょう。
特に夏は「受験生の天王山」と言われますが、単純に期間の長さだけを考えても、重要な期間です。
積み残し、あやふやな単元などがあるなら、何らかの方法で埋めておきたいですね。
塾によっては夏合宿があったり、夏期講習以外の「特訓授業」が夏休みの終わりにあることもあります。
本当にそれらの行事や特訓講座を受けるのがいいのか、真剣に検討が必要です。
夏前後に限りませんが、塾のイベント講座や特訓授業の是非は、家庭教師や個別指導教室などセカンドオピニオンを得られるサービスを受けている方は、ぜひ参考にしてください。
夏が終わった9月から12月、学校行事なども多く「振り返り」が難しい時期です。
あらかじめこの時期はそういう時期だと把握し、こまめにテストの結果や授業の様子などをチェックするようにしたいですね。
学校での2学期が終わると6年生はすぐに受験本番、5年生までのお子さんは次の学年が迫ってきます。
このように慌ただしい受験生の1年だからこそ、年度の始まりにしっかりここから先1年の見通し、予測を立てておくことは大切です。
新年度、着実に歩んでいきましょう。 

4年生・5年生は来年に備えて準備を始めよう

■学年の終わり、つまずきに注意

 

6年生はもう受験間近、過去問の演習などに力が入っていることと思います。

4年生、5年生も学年の終盤、12月〜1月は算数の重要単元が目白押しです。

 

サピックスの4年生は、規則性・速さ・平面図形・文章題など次々に重要単元が出てきます。

そして速さに関しては日能研、四谷大塚とも4年生のこの時期に学習することになります。

 

「速さ × 時間 = 距離」

という、いわゆる「は×じ=き」の公式を覚えて当てはめる子も多いのですが、公式を覚えることよりも「速さの感覚」を身につけることのほうが重要です。

「同じ速さで進み続けたら、2倍の時間進めば2倍の距離進む」

「同じ距離を進むんだったら、速さが速いほどかかる時間は短くなる」

といったことを感覚的にわかっていなければ、応用問題に対応できるようにはなりません。

 

大人にとっては「当たり前」のことですが、子どもにとってはそうでもないのです。

「『駅から徒歩10分』とか書いてるけど、このときの歩く速さは分速80mくらいで計算してるんだよ。徒歩10分ってことは、駅から何mくらい?」と聞いてみたり、クルマなどでお出かけする際に「今時速80kmで走っているから、この調子で行くと何時間くらいでつきそう?」など声かけするなどして、身の丈の速さの感覚を育ててあげることはとても重要です。

 

そして多くの塾で、この時期4年生は図形を習います。

立体図形、中でも表面積などでは計算力の弱いお子さんは「やり方は分かるけど答えが合わない」となって苦手意識が芽生えがちです。

この冬計算力を今一度見直してみるのもいいですね。

 

 

■5年生は本格的な難度の問題

 

サピックスの5年生は、この時期に「N進法」「ニュートン算」といった全く新しい単元の学習があります。

入試頻出ではないのですが、抽象度が高く苦手とするお子さんの多い単元です。

うまく自分の中に落とし込みたいところです。指導する先生の力量によっても、理解度が大きく変わる単元です。

 

一方で、各塾とも図形の学習は最重要事項の1つです。グラフを扱った問題なども出てきて「グラフが折れ曲がっている=何か変化が起こっている」という、グラフを読み取る上での基本的な感覚を身につけることが重要になります。

 

目まぐるしく重要単元を学習する12月〜1月ですが、6年生を控えたこの時期、どれもしっかり身につけておきたいものばかりです。

 

 

■冬のテーマを決めよう

 

特に5年生は、来年さらに目まぐるしくなると考えておくのがいいと思います。

社会(公民)以外の科目は、多くの塾ですでにすべての学習単元を5年生までで終えてしまいます。

だからこんなに目まぐるしいのですが、そこまで速い進度で塾がカリキュラムを組んでいるのは、6年生をまるまる1年間、受験対策に費やしたいから。

 

6年生は、「気がついたら夏になっていて、入試対策が始まったかと思ったら直前期になっていた」という感覚で毎日が過ぎていきます。

苦手単元がたくさん残っていても、なかなか埋め合わせをするための時間も取れない、となると思います。

 

冬休みも含めて12月〜1月、もう一度お子さんの手薄な単元は何かを確認し、復習の時間を意識的に取るようにしたいですね。

 

来年、万全のスタートを切れるよう、着々と準備していきましょう!

 

この秋は丁寧な学習を

9月になりました。
学校が始まり、塾も平常の授業の状態に戻りましたね。
6年生はいよいよ入試対策が本格的になり、もう過去問の演習が始まった塾もあると思います。
どんどん実戦的な学習の段階に入っていくわけですが、4年生、5年生はどうでしょう。
学年の後半、4年生も5年生も前半に比べて塾で習うレベルがアップします。
今回は、学年後半の学習をより効率よく身につけるという視点で、子どもの「聞く力」そして学力のつけ方につてお話しします。
■「聞く力」を育てる
塾の先生も学校の先生もそうですが、多人数を相手に話をして理解させるために、それ相応の技術をお持ちです。
ここは集中させて理解させよう、という場合「は〜い、手を止めて顔をあげて!あとでノートに映す時間をあげるから、今は集中して聞いて!」とあらかじめ準備をさせてから話をするのです。
問題は、そこでちゃんと準備し、実際に集中して聞くことができるか、ということです。
ふざけたり、サボったりしているわけでなく「集中して聞く」ということができない子はいます。
これは能力の問題ではなく、知識と訓練の問題なのです。
まず「集中して聞く」ということがどういうことか、教えてあげることが必要です。
「とにかく最後まで聞いたらわかるように先生は話しているはずだから、途中でちょっとわからないと感じても、最後まで聞くんだよ」
「最初を聞き逃すとあとがわからなくなるから、先生の話の最初は特によく聞くんだよ」
そんな声かけで「聞くとはどういうことか」を意識させてほしいのです。
成果が出ているかは「塾で先生はどう言ってた?」という質問で確かめることができます。
ぜひ意識してみてください。
■基礎学力がついているか
塾の授業がわからないというとき、「短期記憶力」が不足していることも多いものです。
1つの言葉、数字をしばらく覚えたままで別の作業ができる力です。
先生の話を聞いているとき、1回の話の中で話題が複数、そしてそれが後で合わさるような場面で対応できるかどうかです。
短期記憶力をつける練習は、色んな場面ですることができます。
簡単な例を1つあげると、2ケタ×1ケタの暗算です。
2ケタ×1桁のかけ算を暗算するには、繰り上がりの数字を覚えたまま次のかけ算をしたり、筆算をイメージしているなら、その全体像を計算終了まで覚えておく必要があるので、短期記憶力が鍛えられるのです。
テレビのマンガなら、CMの時間に「それまでどんなお話だったか」を説明してもらうのもいいですね。
■想像力をはたらかせているか
国語の授業を聞いているとき、お子さんはどんなことを想像しながら聞いているでしょうか。
登場人物の●●ちゃんは、どんな顔なのか。どんな服を着ているのか。
まわりの景色は?広々としたところなのか、入り組んだ道の途中なのか。
字面を終えば「読む」ことはできますが、それでは読解にはなっていません。
想像力をはたらかせて読むのにも、訓練や経験が必要なのです。
ときどき国語の勉強に付き合って、上記のような質問をお子さんに投げかけてあげてください。
秋、ぜひ丁寧な学習をテーマに、幾つかのことに取り組んでみてください。 

勉強会・関西セミナー・イベントなど毎日盛り沢山です

■灘に合格するための説明会
6月27日、28日は関西でした。
27日(火)は定期的に行っている家庭教師「名門指導会」の勉強会、そして28日(水)は名門指導会と、私が主任相談員を務めさせていただいている中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 賢い塾の使い方」との共催のセミナーでした。
今回のセミナーは「灘中に入るには、どんな算数の勉強をしておけばいいか」という切り口です。
関西で(全国でもですが)最難関中学校というと、開成などとともにまず名前があがるのが灘中学校。
2日間の日程で行われる入試の形式や出題傾向も独特ですね。
今回は名門指導会の関西統括であり、算数のスペシャリストでもある、都関靖治氏とお話をさせていただいたのですが、さすがに関西の最難関中に毎年多くの合格者を輩出している都関氏。
塾ごとの最難関中対応講座の必要性など、詳しく話を聞くことができました。
■  国語が難しい首都圏、算数偏重の関西
よく「算数は関西が難しく、国語は首都圏」と言われますが全くその通りで、関西の最難関中の算数の問題は本当に難しい。
そしてその算数で勝負がついてしまうところがあります。
浜学園を例にとれば、最上位クラス(Vクラス)の子たちのほとんどが「最高レベル特訓」と呼ばれるオプション講座を受講し、平常授業とは別に算数の問題を大問で週あたり32問演習(5年生の場合)することになります(そのうち8問は難問)。
この5年生の最高レベル特訓算数をきちんと習得してしまえば、御三家の算数の入試問題を解く上で困ったことはない状態、といってもいいほどです。
私も関西で教えていた時期がありました。東京で教えていたのですが、両親の体調の問題などもあり、拠点を関西に移した時期があったのです。
東京から関西の塾に移籍したとき、算数に関しては何度も鼻っ柱を折られた思い出があります。
当時、浜学園で最難関コースを担当していた先生からいろいろ教えてもらい、算数という科目の奥深さに改めて感心したものです。
■ 関西でもイベントを行っていきます
普段はどうしても首都圏でのセミナーやイベントが多く、「関西でも開催してほしい」という声を多く頂戴するのですが、久しぶりの関西でのセミナー、みなさん真剣にメモなどとっておられました。
ありがとうございました。
5月から6月にかけては、東京で「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している先生方が講師を務める授業のイベントがありました。
5月20日には前田昌宏先生が講師として登場、計算の工夫や問題読み取りの技術など、私は当日の記録動画で見たのですが、あらためて「なるほど」と思わせてもらえるものでした。
イベントのレポートは「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で順次公開されていくようなので、みなさん楽しみにお待ちください。
同じようなイベントやセミナーを、できれば関西でもどんどんやっていきたいと考えています。
関西の皆さまも、イベント開催時にはぜひご参加ください。
お目にかかれる機会があるかもしれませんね。
楽しみにしています。
(算数・国語・理科のイベント講座の概要をまとめた記事が公開されているようです。よかったら見てみてください)

この春、お子さんとやってほしいこと

■4年生には何をさせればいいですか?
表題のような質問を受けることが多くなっています。
4年生から塾に通わせ始めたものの、意外に「空き時間」が多く、「何をさせればいいですか?」となるようです。
塾の復習や宿題の空き時間に何をさせればいいかは、お子さんそれぞれです。
しかし「しないでいいですよ」とお願いすることは「塾の宿題を何度も繰り返して、来週のテストに備えて完璧にする」ということ。
4年生のお母さんは、ついついやってしまいがちなことです。
これをやってしまうと、お子さんは「がんばって覚えることが勉強だ」と勘違いしてしまうことがあります。
もちろん勉強の中には「覚える」という要素は必要でとても大切なことでもあります。
でも「とにかく覚えることが勉強なんだ」となってしまって「考える」「納得する」といった要素が勉強の中に少なくなっていけば、おのずと勉強が楽しくなくなっていきます。
でも、その時点でも「勉強嫌い」には見えないお子さんもいます。
なぜなら頑張って覚えればいい成績が取れて、上位にいられるからです。
いい点をとったらお母さんだって喜びます。
これを1年間続けてしまうと、ちょっと危ない状態になってしまいます。
何度もお伝えしていることですが、5年生からの勉強では「とにかくがんばって覚える」という勉強法では通用しなくなるからです。
■お母さんは「楽天家」くらいがお子さんはのびる
特に、お子さんと過ごす時間が長いお母さんには気をつけていただきたいのですが、どうしても「できていないこと」「できないこと」に目が行き、焦ってしまいがちです。
大切なお子さんだから当たり前なのですが、子育てに不安はつきません。
「まわりの子はもうできるのにどうして?」とか「こんな調子で大丈夫かしら?」なんて、時間があると考えてしまいがちです。
でも、4年生の学習で大切なことは、宿題を繰り返して「範囲の決まったテスト」でいい点をとることではなく、5年生になっても通用する「勉強のしかた」の素地を作ることです。
それには勉強が「苦しくて辛くて嫌なもの」ではいけないのです。
塾の宿題がひととおり、直しまでできたら、今週学んだことでどんなことが面白かったか、どんなことに興味が湧いたか、聞いてみてあげてください。
お子さんが興味が持てることがあったなら、それについて一緒に考え、調べてあげるのです。
春になってカエルが冬眠から目覚めて産卵することに興味を持ったなら、そのことを掘り下げて調べてみる。
いつごろから冬眠に入ったのか。
カエルは何年くらい生きるのか。
それはすべてのカエルで同じなのか。
そうやって掘り下げた経験は、繰り返し「覚える」ことに費やした時間以上のものを高学年になったお子さんにプレゼントしてくれるはずです。
それは「勉強は楽しい」「知ること、わかることは楽しい」という気持ち。
この気持ちさえあれば、高学年の受験勉強も必ず乗り切っていけます。
春休み、ぜひお子さんといっしょに調べ物の時間を取ってみてください。

ミスが多い子への処方箋はあるか

私が運営する家庭教師「名門指導会」では、定期的に講師が集まり研究会を行っています。
先日の講師研究会では、「ミスが多い子への指導法」を研究議題に選びました。
 
そこで、顕著な例を算数科講師のY先生にあげてもらうと・・・。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(Y先生)
計算ミスや写し間違いが多くて困っています。
小学4年生の男の子ですが、とにかく甘えん坊で、トイレに行くにもお母さんと一緒。
まったく自立できていないところも気になるところです。
第一志望の学校には合格できる力はあるとみているのですが。。。
素直で学力がそこそこあるだけに、そういう小さなミスが残念で、どうしたものでしょうか。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
色々と想像が働く事例なのですが、まさにこの回の研究会冒頭で、私から「心・技・体」の話をしていました。
 
この相談にも通じるところがありますので紹介したいと思います。
 
5年生以下の指導には、志望校合格という大きな目標のために心(=マインド)と技(=学力)、そして体(=健康)の視点が大切だといいます。
最上位ランクの学校に受かる子は心がしっかりしていて、行動において自問自答、つまり解答に正確にたどりつけるか、曖昧なところがないか、といった自答の段階で厳しく返答できる。
このレベルで受験校が決まるように感じられるそうです。
 
では、今回の相談にあった、甘えん坊でミスが多いお子さんのケースで、子どもを自立させるために、講師はどのようにご家庭に関わることができるでしょうか。
このことについては、算数科のベテラン、T先生からもアドバイスを頂けましたので併せてご紹介します。
 
まず、できる子の学習に向かう行動パターンをご家庭にお伝えして、子ども自身にひとつずつ行動させなければならない、といいます。
例えば、「4年生終わりで本人にできていてほしいこと」といったことをご家庭と共有し、そのなかで、子どもがやるべきことと、親がやるべきことの役割分担を伝えていけばいいと言います。
 
たくましさや達観視できる目が養われないまま学年が進んで、周りからの強制力でやらされるようになると、こういう子たちは、「やればいいんだろ」という姿勢で、余計にミスが増えます。
形は整っているのにミスがなくならないというのは、生活が実感を伴っていない軽さがある。
子どもをいかに自立させるか、ここを変えていかないと、ミスは減らない。
こういった、学力向上に不可欠な、「技」(=学力)以外の要素についての議論が交わされた、いい勉強会でした

中学受験 実力テストへの対策方法はあるの?

■実力テストの対策は
あっという間に10月です。
サピックスの4年生は「実力診断サピックスオープン」がありますね。実力テストで範囲のないテストですから、対策しようにもどうすれば、とみなさん思われるかもしれません。四谷大塚の「公開組分けテスト」や日能研の「実力判定テスト」などはいちおうの範囲がありますが、広い範囲となるため、やっぱり対策には独特の難しさがあります。
実力テストに対しては、対策というよりは準備と確認を前もってしておいてほしいのです。
こんな表現のしかたはちょっと乱暴かもしれませんが、「山を張る」こともよくお勧めしています。
算数なら、計算は必ず出ます。その中でも多くの子が間違うのは、ふつうの計算ではなく逆算。式の途中に□がある計算です。あるいは虫食い残などが出たら、やはり正答率は低くなります。そのような問題を少し解いておくことで、テストに少し自信を持って取り組めるかもしれません。
理科なら実験器具の問題は「テストの中のどこかに必ず出る」というくらいよく出ます。よく出るということは重要だということです。実験器具の問題でもっともよく問われるのは「実験器具を使うときの注意」です。「安全に実験する」ということがテーマであることが多いですが、実際に実験する上でも大切なことです。
そろそろ涼しくなってきます。秋の植物や渡り鳥の話題が出るかもしれませんね。
「山を張る」ということには「当てにいく」というよりは、このテストの対策でいくつかの「しばらく手付かずだった単元を思い出すことができる」という効果があります。
■むしろ大切なのはテストなおし
実力テストに限らずですが、テストの直しは重要です。テスト(特に実力テスト)では、「今自分に何ができるか」「何ができないか」がわかります。
主宰する家庭教師「名門指導会」にも「先生、塾の実力テストで習っていない問題が出るんです。どうすれば満点がとれますか?」というご相談が多くなる時期ですが、正直なところ出題者でなければ、普通の子には満点が取れないテストもあります。
でも、それでもいいんです。
北海道にはエゾリスとシマリスという2種類のリスがいて、エゾリスは冬の間も活動しますが、シマリスは冬眠します。
このことがテストに出たとして、それが知らないことだったら「へーそうなんだ」と思えばいいのです。一方のリスは活動を続けるため体温が下がらず、もう一方は体温が下がるはず、と考えられればいいし、今はその「出題者の意図」を読み取れる段階にないかもしれません。
もう一度書きますが、テストは「今自分に何ができるか」「何ができないか」がわかるものです。できていないなら、できるように練習することもできるし、何らかの対策が考えられます。
こうやって、「テストから学ぶ」というなおしができれば、お子さんはテストのたびに成長していきます。
■結果だけに振り回されてはいけない
「テストなおしが大事」と書きましたが、「できないこと」ばかりに注目することにならないようにしましょう。ちゃんとできていることにも目を向け、努力が実ったという部分は大いに褒めてあげたいものです。
テストの結果が悪かったときに「どうしてこんな結果だったの?」とお子さんに質問してもいいことはありません。お子さんは答えようがないでしょう。そんな質問をお子さんにすると、お子さんは親が満足する「答え」を考えた挙句「僕(私)ががんばらなかったから」という「嘘」をつくかもしれません。
いずれにしてもいいことはないのです。
結果には必ず原因があります。その原因のことを考えなければなりません。もちろんお子さんのモチベーションが下がっているのが原因かもしれません。でもそうだったら、モチベーションが下がった原因があるはずです。そちらを解決するのが結果近道です。
秋の実力テスト、お子さんの現状を把握して新しい学年(もう4ヶ月を切ってしまいましたね!)に備えて「結果を次に活かす」題材にしたいものです。

新年度までの4ヶ月あまり、どう過ごす?

「先生、お友達はみんながんばっているのに、うちの子はぜんぜん必死になってなくて、困っているんです。」
謙遜混じりによくお母さんたちからご相談(?)を受けます。
さて、6年生はともかく(もうかなり「必死」モードのお子さんも多いと思います)、5年生のお子さんだったら、これはちょっと「求めすぎ」かもしれません。
■5年の9月に「必死」になれないとダメか
この4日にサピックスでは「小5志望校診断サピックスオープン」の第1回が行われ、22日には四谷大塚でも5年生対象の「志望校判定テスト」が行われます。いよいよ「志望校」という言葉を冠したテストが実施され、テストの難度もあがることはお伝えしてきました。
・・・でも、今5年生のお子さんがお母さんから見て「必死」かというと、ほとんどのお子さんは親がヤキモキするくらい「のんびり」して見えると思います。これはしかたがないと割り切りましょう。
子どもが先を見通す力は、まだまだ大人に比べるとつたないものです。
お母さんが「6年生まであと5ヶ月もないのに・・・」と焦る気持ちは、残念ながらお子さんはあまり実感していません。だからこそテストでも平常心で受けられるのかもしれませんが。
だからといって、ここからの4ヶ月あまりば大切でないというのではありません。次々とやってくる大きなテストも、そのテストなおしもとても大切です。
ここから数ヶ月、うまくお子さんをリードしてあげたいものです。
■4年生も次の学年に備えて準備を
下の問題を見てください。
9月4日に行われた四谷大塚の4年生組分けテスト、大問6です。正方形アの面積を求めるのが問題(1)、そして問題(2)では、3点P,Q,Rを結んでできる三角形の面積を求める問題です。
(1)は、正方形アとイの1辺の長さの合計が31cmで、その差が3cmという「和と差」に着目し、和差算で解く問題です。和差算の考え方、やり方は知っていても、この図形の問題を「和差算の考え方で解けばいい」と考えついたでしょうか。
5年生、6年生に比べるとまだまだ易しいですが、「問題を見抜く力」を要求する問題です。
このような問題がだんだん4年生にも求められ始めます。5年生に向け、お子さんに「問題を見抜く力」がついているかどうかチェックしてみるといいですね。 

4・5年生は秋への準備を

■お盆と8月下旬の使い方を具体的に
夏休みもおよそ半分が過ぎました。お盆が過ぎるともう8月も下旬に入っていきます。
校舎によってちがいますが、進学塾の多くは8月下旬の数日間は休みが多くなっています。学校の宿題も含めて、お盆と8月下旬の使い方を具体的に決めておくことが大切ですね。
ここまで夏期講習を受けて、その手応え、理解度はどうでしょうか。できれば毎日塾から帰ったら、「どんなことを習ったか」「どうやって解くのか」「なぜそうやって解くのか」くらいの質問をして、お子さんがしっかり答えられるか確認をするようにしたいのですが、これまでのところいかがでしょう。
積み残しがあるようだったら、月末のテスト(がある塾が多いですね)に向けて復習と解き直しの時間をとっておく必要があります。お盆はお出かけなどもあると思いますが、そういった時間も意識的に確保したいものです。
■5年生は秋にはギアが1段上がります
各塾、各学年とも、秋にはカリキュラムのギアが1段上がります。次の学年を意識したレベル、内容になってくるのです。たとえば日能研では、5年生の9月に「ステージⅢ」から「ステージⅣ」に変わります。算数ではいよいよ比の学習が中心になり、入試問題により近いタイプの問題がどんどん出てきます。
サピックスの5年生は、9月から「◯◯算」のオンパレードとなります。速さを扱う「旅人算」「通過算」「流水算」「時計算」そして割合関連の「倍数算」「相当算」そして各種平面図形の問題。ざっと9月から12月で習う問題ですが、どの分野も入試頻出かつ重要なものばかりです。
この9月からの学習サイクルに乗り遅れないよう、夏のことは夏の間にしっかり解決して秋を迎えたいものです。
■4年生は「因果関係で思考する」練習を
一方4年生は、各塾とも夏期講習会の日程に余裕がありますね。夏期講習のターム内でやり切れなかった宿題や、分からなかった問題で気になっているものを、8月中旬から下旬のどこで解決するか、日程とやることを決めてお盆に臨みましょう。
4年生も、9月以降は5年生の学習を強く意識した学習になります。サピックスの算数では各種文章題をはじめ円とおうぎ形や規則性、水の体積と深さの変化、グラフの読み取りから速さまで、盛りだくさんの2学期です。日能研もステージⅡ(親しむ)〜ステージⅢ(広げる)に移り、より様々な知識のの習得段階に入ります。
夏期講習もそうですが、その復習を通して「因果関係で物事を考える、覚える」という習慣を確立したいのが4年生の2学期です。「丸覚え」が通用しなくなる5年生の学習に備えて「解き方を覚える」レベルの学習法から「なぜその解き方なのか」を考えて学習するといったスタイルに変えるのが、秋からの大きなテーマです。
いずれにしても、夏の後半に「夏のこと」をしっかり理解しきって秋を迎えたいものですね。お子さんの疲れも溜まってきているかもしれません。休暇と休息でリフレッシュ、もうひと踏ん張りです。 

Page 4 of 6

▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

COPYRIGHT@西村則康公式サイト