投稿者: 西村 則康 Page 13 of 60
皆さん、こんにちは。
塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。
西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。
■大学入試改革と中学受験人気
皆さんもご存じのように、現行の「センター試験」は2020年1月の実施を最後に廃止され、2021年1月からは「大学入学共通テスト」に変更されます。
この「大学入試共通テスト」と「センター試験」との大きな違いは、記述式問題の導入と英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)評価の2点です。
しかし、育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は「記述問題に関する課題は山積みで、教育現場からは不安の声も多い」ため、「大学入学共通テストを回避して従来通りの入試を続ける私大に人気が集まる可能性もある」(東洋経済オンライン4月23日)と言います。
そのような現況をうけてでしょうか、関西圏の2019年度の中学入試は、2018年度よりも延べ応募者数で約4%、統一入試解禁日の1月19日午前の応募者数でも約4.5%の増加となりましたし、近年の傾向として有名大学の付属校や系列校の受験者数が増えていましたが、今年度もこの流れに変わりはありませんでした。
■女子に人気があった進学校は…?
上記のような有名大学の付属校や系列校だけでなく、灘中や四天王寺中をはじめとする進学実績に定評のある中学も、2月のコラムでお届けしたようにあいかわらずの人気でしたが、中でも最難関の洛南高等学校附属中、共学化3年目の高槻中は、女子の受験者数が10%以上の増加となり、また応募者数は2018年度と変化がなかったものの西大和学園中の女子の実質倍率は5.9倍となりました。
これらの中学の入学試験における点数を見てみると、洛南高等学校附属中は、女子の併願の合格最低点が男子と同じ255点(400点満点)、専願では男子の201点に対して240点と非常に高いレベルの競争になっています。
高槻中でも、A日程(3・4科)の女子の受験者平均が算数60.5点(120点満点)、国語84.8点(120点満点)、理科58.9点(80点満点)、社会59.5点(80点満点)、合計262.3点(400点満点)であるのに対し、女子の合格者平均は算数75.3点(受験者平均プラス14.8点)、国語91.3点(同6.5点)、理科64.3点(同5.4点)、社会65.0点(同5.5点)で、合格者の合計点が受験者の合計点より32.9点高い295.2点という、こちらもハイレベルな争いとなりました。
※A日程では、4教科型の場合は、4教科の合計点、算数・国語・理科の合計点を1.25倍した点数、算数・国語・社会の合計点を1.25倍した点数の3つのうち、最も高いものが受験者の成績、3教科型の場合は、算数・国語・理科の合計点を1.25倍した点数が受験者の成績として算出されます。
B日程(3科)でも、女子の受験者平均が算数61.0点(120点満点)、国語90.1点(120点満点)、理科52.8点(80点満点)、合計203.8点(320点満点)に対し、女子の合格者平均は算数82.3点(受験者平均プラス21.3点)、国語100.1点(同10.0点)、理科60.4点(同7.6点)、合計242.8点(同39.0点)でした。
■人気共学校を受験する女子にとってのポイント
この高槻中の入試結果で注目したい点は、算数の合格者平均と受験者平均の差が合計点の合格者平均と受験者平均の差に対して、A日程で約45%、B日程で約55%と、算数で大きく点差が開く結果となっていることです。
また、2018年度のデータではありますが、西大和学園中の女子の場合でも、算数の受験者平均が71.5点(150点満点)で合格者平均は96.1点、合計点の受験者平均が278.2点(500点満点)で合格者平均は339.1点でしたから、算数の合格者平均と受験者平均の差が合計点の合格者平均と受験者平均の差に占める割合は約40%(国語は約23%)となり、やはり算数でどのように得点していくかが合否に大きく影響していると言えるでしょう。
浜学園や馬渕教室などの大手進学塾では、夏期講習の前後から志望校別特訓が本格化しますから、もし算数が苦手であれば、その前に不得意な分野を克服して、夏期講習や志望校別特訓をより効果的に活かせるようにしておくことが、洛南高等学校附属中や西大和学園中、高槻中などの人気共学校を志望する女子にとっては大切なことだと思います。
私が主宰する家庭教師「名門指導会」では、定期的に東京、大阪で所属する講師を集めて研究会を行なっています。
教室という場所がある塾にくらべて、講師が直接ご家庭に訪問する家庭教師の場合、講師と講師が顔を合わせる機会がなく、他の家庭教師派遣センターなどでは、ほかの講師と会ったことがない、というようなことも多いようです。
ではなぜ名門指導会が定期的な研究会を行うのかというと、先生方のノウハウをシェアすることがとても有意義で重要だと考えているからです。
先日は、子どものノートについての話題でした。
学校や塾の授業で、お子さんたちがとるノート。
そもそも、いったいなんの目的でノートをとるのでしょうか?
①「書きながら授業を聞いたほうが、頭に入ってきやすい」
②「授業後、ノートを見ながら復習するため」
③「テキストに書かれていない重要なことを先生が言ったときに、メモをとるため」
おおまかには、これくらいの理由でノートをとるのではないでしょうか。
①が理由であれば、走り書きでも頭に入りさえすればよいでしょう。
でも②の目的もあるのだったら、ある程度「あとで見直す」ことを前提に、ノートをとる必要があります。
具体的には、日付やテーマ(単元名)テキストのページや問題番号などを書いておくなどの工夫です。
③の目的の場合、テキストのどの部分に関連することかがわからないと、後で見たときに一体何のためにとったメモなのかがわからなくなりそうです。
もしかすると、このような目的のメモはノートではなく、テキストに直接書き込むのがいいかもしれませんね。
まだまだたくさんの話題が出てきたのですが、ひとつ先生方のみんなが「確かに」とうなずいたのが「ノートがカラフルすぎ、美しすぎる子は成績が悪い」ということでした。
ノートを丁寧に取ることはいいことなのですが、あまり度が過ぎてそれが目的のようになってしまうと、本末転倒だということです。
でも、そんな癖がついてしまう子はもともと真面目な子が多く、「授業で習ったことをしっかり書いておきたい」という欲求から「美しすぎるノート」となってしまっている場合が多いので、ノートのとり方を変えさせる場合も、頭ごなしに伝えることはせず、ソフトランディングで変更していく必要があります。
そんな場合の対応も、ベテランの先生方にはそれぞれノウハウがあって、興味深いものです。
お子さんのノート、ときどき見てあげてくださいね。
もちろん上手にとれていたら褒めてあげましょう。
「あれ・・・」と思うような部分があれば、よければご相談いただければと思います。
■春休みが終わりました
春休みが終わり、学校での新しい学年が始まりました。
塾では一足先に、2月から新学年の授業が始まっていますが、春休みまでの2か月間の振り返りができたでしょうか。
学校と毎週の塾の授業という日常がまた始まりましたが、がんばった分だけ結果に結びつく、そんな学習サイクルを作りたいですね。
以前にも書きましたが、各塾の5年生は4月から夏休みまでの間に、割合や速さといった重要かつ苦手とするお子さんが多い単元を学習します。
理解が不十分なままにならないよう、気をつけて取り組みたいですね。
■言葉の定義より大切なこと
特に割合の考え方、感覚をしっかり身につけておくことは大切です。
塾のテキスト、そして先生によっても違うのですが、割合の単元では「もとにする量」「くらべる量」といった言葉が出てきます。
言葉の定義を知ることも大切なのですが、実はこの言葉が曲者なのです。
「もとにする量」「くらべる量」といった言葉によって「難しい」「わからない」という印象を持ってしまうお子さんが多いのです。
割合について、親御さんに知っておいていただきたいことは、「割合とは『何倍』という意味だということです。
たとえば「720円の2割5分は何円?」とあったら、「2割5分」を「0.25倍」と読み替えればいいのです。
この「割合とは『〜倍』という意味だ」と知っておくことはとても大切で、割合の学習において混乱を防ぐとてもいい方法なのです。
お子さんが割合を学び始めたら、ぜひこのことを思い出してください。
前回は、各塾の5年生が1学期に算数の重要な単元である「速さ」「割合」を学ぶということを書きました。
実は算数だけでなく、各科目で非常に重要な学習内容を網羅するのが、進学塾の5年生のカリキュラムです。
「5年生終了時には、社会科の公民を除いて入試に必要な全単元をほぼ終了する」
と言われているのが、中学受験塾のカリキュラム。
「受験ではこの単元、解法がキモになるんだよね」
というような事柄は、ほぼ5年生でその基本を習います。
だから5年生は非常に大切な学年なのですが、これはまだ5年生になっていない4年生、そしてもうすでに5年生の学習を終えてしまった6年生も、意識しておいてほしいことなのです。
■ 4年生は、あまり完璧にこだわりすぎず
どの塾に通っていても、4年生は比較的、時間に余裕があります。
塾に通う日数も週に2日ほど、そして習う内容も易しく、場合によっては親がその内容を指導することも可能な単元も多いと思います。
だから、習ったことを完璧にできるようにしよう、と考える親御さんも多いのですが、実はあまり「完璧」を追い求めすぎないほうがいいと思います。
なぜならその「完璧」を目指す勉強法は、5年生になるといろいろな理由で通用しなくなるからです。
「習ったことを完璧にできるようにしよう」という家庭学習の、どこがいけないのか。
それは「完璧」を追い求めすぎると「全部大切」「すべてを完璧に」となりやすく、そこに「宿題の優先順位をつける」という視点がなくなってしまいやすいからです。
一週間あたりの宿題量や塾に通う日数、時間などから考えて、5年生になると優先順位をつけて学習しないと回らなくなるのです。
それを見越して4年生からやっておかないと、5年生で家庭学習のサイクルが破綻します。
「でも、4年生はまだ宿題も多くないんだから、別に完璧にやってもいいじゃない。」
そんな声も聞こえてきそうです。
それでも、たとえば宿題を何度もさせるとか、すべての問題を完璧に、という考え方にはこだわりすぎないほうが、長い目で見て上手くいった例が多いように思います。
宿題の取捨選択をして空いた時間は、理社の調べ学習や「テキストの外」に出ていくような学習をするのがよいと思います。
■ 6年生は「5年生で積み残したこと」を意識して
6年生は、夏くらいから本格的に「受験対策」の勉強になりますね。
志望校別の特訓が始まり、志望校の過去問演習に関する指示も塾から出ると思います。
ポイントは夏が来るまでの時期、つまり春の間に、どのくらい5年生のときの「積み残し」を補強できるかです。
5年生で何ができて、何ができなかったか。
手薄、苦手なままになっている科目、単元は何か。
把握できていないのなら、数回の実力テストの結果を見ながら、リストアップしなければなりません。
お子さんの答案と正答率表を参考に「正答率が高いのに間違った問題が多い単元は何か」を調べましょう。
まだいろいろな意味で余裕がある春のうちに、こういったことを早め早めにしておくと、夏からの勉強が実り多い者になります。
名門指導会では私が直接ご家庭に伺う「家庭訪問」のサービスもあるのですが、その折に上記のようなテスト分析を詳しく行うと、御本人もお母さんもびっくりするくらい「やるべきこと」がはっきりします。
ぜひご家庭でも「やるべきことのリストアップ」にチャレンジしてみてください。
4月に入り、春休みも後半。
新しい元号「令和」が発表され、いよいよ来月から新しい元号に切り替わります。
何か新しいことを始めたり、チャレンジしたくなる春ですが、今年はことのほかそんな気持ちになりますね。
さて、お子さんたちは春休みを終えると学校でも新学年、1学期を迎えます。
新しい学年、新しいクラス、新しい友達や担任の先生、新しい環境での生活を迎えつつも、塾ではカリキュラムが本格的に難度を増していきます。
■5年生最大の「山場」は
6年生はいよいよ夏に向けて、最重要単元の総復習となっていきます。
(多くの塾で、社会科だけは公民分野が未習ですが、他の教科はほとんど5年生までで基本的なことは全て学んでいる状態で、6年生1学期は復習&応用発展的なカリキュラムです)
では5年生はどうかというと、特に算数では5年生の「山場」ともいえる単元が2つ登場します。
ひとつは「速さ」であり、もうひとつは「割合」です。
多くの塾で、4年生でその基本は学んでいますが、本格的に学習するのは5年生です。
サピックスでも5年生の1学期、速さは「旅人算」として登場し、夏休み直前には割合も本格的に学習します。
入試問題にも頻出の単元であり、これらの分野に苦手があると、受験において大きく不利になるといってもいいでしょう。
その意味で、5年生の1学期はとても重要です。
■塾カリキュラムの特性を意識して
大手進学塾の算数カリキュラムにおいて、もっとも「堅実」なつくりになっているのは日能研ではないかと思います。
たとえば小数や分数の計算の単元が出てきたかと思えば、それらを数週に渡って「これでもか」と言わんばかりに徹底的に続けて指導するカリキュラムです。
一方でサピックスは、図形を学習したかと思えば次の週には約数や倍数、というように目まぐるしく学習単元が変わっていきます。
どちらがよくてどちらがよくない、といったことではなく、一長一短なのです。
日能研のように1つのテーマをじっくり学習するタイプのカリキュラムの塾は、時間をかけて理解し、コツコツ積み上げていきたいお子さんにはぴったりです。
一方サピックスのように目まぐるしく単元が変化する塾は、どんどん新しいことを学習したいお子さん向きです。そのためには1回1回の内容を短いサイクルで身につけていくことが必要ですね。
四谷大塚はその中間的なカリキュラムです。
お子さんが通う塾の授業がどのようなカリキュラムで進んでいくのか、そしてお子さんの学習に取り組むときのタイプや姿勢はどうか、そのあたりを親御さんが見極めてあげる必要がありそうです。
■「わかったつもり」のままでは身につかない
乱暴な言い方をすれば、塾の一斉授業で習って「わかった」と言って帰ってきたお子さんは、半分くらい「わかったつもり」の状態です。
確かに塾の先生の言うことは理解できたし、授業中にそのとおりに問題を解けばできた。
でも、時間がたっても同じことが確実にできるようになるかどうかは、家庭学習にかかっています。
習ったとおりに問題を解くだけではなく「どうしてそのように考えるのか」「なぜこの解き方で解くのか」を自分なりに考えながら、習ったことを反芻する学習時間が必要です。
各塾なりに、テキストやテストはそのような学習となるようにできているはずなのですが、「追われる学習」が続いてしまうと、いつのまにか「機械的な作業」が勉強であるかのようになってしまいがちです。
家庭学習がそのような「機械的な作業」にならないためのヒントは、「スピーディーな学習とスローな学習の使い分け」だと感じています。
完全に理解できている基本問題や計算問題などは、テキパキと(ときには制限時間を設定して)スピーディーに処理する。
応用問題を考えるときや授業の内容を振り返るときは、じっくりと考え方をことばにして説明するなど(親御さんに対してお子さんに説明してもらう「家庭内ミニ授業」もおすすめです)スローな学習を心がける。
すべてが「あたふた」にならないように気をつけて、1学期を上手く乗り切りたいですね。
■日程がゆるい春期講習だからこそやっておきたいこと
春休みですね。
塾では春期講習が行われることと思います。
春休みは短いこと、そしてまだ学年が始まって2か月たらずということで、やや日程、時間がゆったりとしている塾がおおいことと思います。
たとえばサピックスでは、4年生、5年生が5日間、そして6年生でも6日間の日程です。
これだと春期講習以外の勉強もやれそうですね。
さて、そんな春休み、もちろん家族でのお出かけなどもあっていいのですが、一方で2月から始まった新しい学年の勉強がどのように進められているか、そしてテストなどに結果としてどれくらい出ているかを冷静に判断する時間、そして見直しの時間などもとってほしいと思います。
特に6年生は「まだ春休み」という意識を捨てたほうがいいように思います。
なぜなら夏にはもう完全に「受験モード」になるのが進学塾であり、「夏からがんばろう」という目論見はうまくいかないことが多いからです。
春休み、そして1か月少し先のゴールデンウィークは、この学年をどう乗り切るかという学習サイクルを見直す、貴重なチャンスなのです。
脅かすつもりはないのですが、早め早めに学習サイクルの見直しの機会をとるのが、受験を上手く乗り切る秘訣の1つだとは思います。
2月、3月で消化できていないと感じる単元があったなら、その補強を春休みに補充しておきたいですね。
また、前の学年からの「持ち越し」もあるかもしれません。
その「持ち越し」が、2月からの塾の勉強、テストによって明らかになってきた、というようなケースもあるかもしれませんね。
日程的にハードでない春休みだからこそ、+αでやりたかったこと、できそうなことをリストアップし、少しでも取り組んでおくとよいと思います。
■6年生は、新たに習うことはもう無い?
6年生は、特に算数では「今後新たに習うことはそう多くない」という心づもりをしておきましょう。
入試において出題される問題についても、5年生までにその基礎はすべて習ってしまっていると考えてよいということです。
6年生の1年間では、それらの基礎を応用、発展させた問題にどう対処するか、といったことが多くなります。
つまり基本の習得に不安がある単元や分野に関しては、春休みやゴールデンウィークなどの機会に復習しておく必要があります。
サピックスなどでは、ゴールデンウィークにも「GSM特訓」といった授業がありますね。
こういった授業は「演習授業」と呼ばれるもので、5年生までに習った基礎部分がガッチリできていることを前提に、それを使って応用、発展問題、つまり入試問題に近いものを演習する授業です。
このことから考えると、5年生までに習った基礎部分に不安がある単元については、こういった演習授業を受けてもあまり効果はないということになります。
私の経験や感覚では、最上位クラスでラクラクやっているという子以外は、ゴールデンウィークは基礎の復習をしっかり固めたほうが受験に有利と強く感じます。
このあたりこのことも、6年生に関しては心に留めておいていただければと思います。
皆さん、こんにちは。
塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。
西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。
■2月より難しかった!3月の「浜学園 小6 公開学力テスト 算数」
前回のコラムでは、浜学園で行われた2月の小6の公開学力テストの算数が「実力通りの得点になりやすいテストに変わった」とお伝えしました。
しかし、3月10日に浜学園で行われた小6の公開学力テストの算数は、2月の公開学力テストよりも難しいものとなりました。
|
算数 |
国語 |
理科 |
2019年2月実施 6年公開 |
44.5点 |
50.9点 |
52.3点 |
2019年3月実施 6年公開 |
42.2点 |
58.5点 |
58.4点 |
上記のように、3月の公開学力テストの算数の平均点は、2月に行われた公開学力テストよりも2.3点下がっています。
というのも、テスト用紙1枚目にある大問2が難化したからです。
次の表は、2月と3月の公開学力テストの大問2の正答率の一覧です。
このように、正答率20%以下の問題数が2月の公開学力テストでは1問であったのに対し、3月には5問(20点/満点100点)と大きく増加しています。
さらに、テスト全体を見ても正答率50~79%の問題が6問(全23問)も減っていることが次のグラフからわかります。
■得点帯ごとの人数分布はどのようになったのか?
では、2019年3月に行われた6年生の公開学力テストの得点帯ごとの人数分布はどのようになったのでしょうか。
正答率50~79%の問題数が大幅に減少したために、得点帯別の人数分布も30~49点に受験者全体の46.2%が集中し、2月ほどは「実力通りの得点になりやすいテスト」とはなっていないことがわかります。
■3月の公開学力テストで求められた力と今後に向けた準備
では3月の公開学力テストで得点を伸ばすために求められていた力はどのようなものだったのでしょうか。
2月と大きく正答率が下がった3月の公開学力テストの大問2から、問題を1つ見てみましょう。
2-⑦ 「1個500円で仕入れた品物 個を2割のもうけを見込んで全部売るつもりでしたが、3個こわれたので、残りを全部売って全体で900円の利益になりました。」 |
この問題の条件を線分図に表わすと次のようになります。
上記の線分図から「仕入総額の2割=900円+1800円」とわかりますので、2700円÷0.2=13500円…仕入総額 13500円÷500円=27個のようにして答えを求めることができます。
この問題の正答率は18%ですが、上記のように、「問題の条件を整理する力」があれば決して正解できない問題ではありません。
ですから、前回のコラムで「(2月の公開学力テストの)大問2-⑨をまちがえていたのであれば、食塩水のやりとり算や売買算など条件整理を必要とする比と割合の問題など、まちがえた問題の類題とその周辺分野の問題を振り返って、解法の確認や条件整理力を確かめる」ことが3月の公開学力テストにむけた準備として十分にできていれば、正解できたかもしれません。
公開学力テストのような実力テストは、返却されてからどのような取り組みをするかが非常に重要です。
間違えた問題の直しをすることは大切ですが、それに加えて類題と間違えた問題に関連する周辺分野の問題を利用して解法の確認や条件整理力を確かめることが、その後のテストにつながっていきます。
次の公開学力テストに備え、「あと少しがんばれば解けそう…」という問題から優先的に、5年生のマスターコースの演習教材や講習会の教材、あるいは市販問題集などを利用した振り返り学習ができればいいですね。