今回は、下記の2点について書いていきます。
1 宿題量を取捨選択して、減らしてあげる。
2 自分の言葉で考えるようにしてあげる。
1の”宿題量を取捨選択して減らして上げる”事が出来れば、負担を軽くしてしかも成績を大幅に上げていくことが可能になります。特に、精神面に与える効果によることなのです。
「このぐらいだと、ちょっと頑張れば何とかなりそうだ」と思うことが出来るからです。子供に与える負担は、量にしても質にしても、この「もうちょっと頑張れば、何とかなりそう」が最適です。完遂できた自分を想像し、その時の快感を予感して頑張ることが出来ます。
取捨選択の方法です。本当の力量がある指導者ならば、数回の授業を行えば、問題を一瞥しただけで、”この問題はこの子に必要か?”、”この問題を今解かせる必要があるのか?”を判断することが出来ます。それが、本当のプロの力量だと考えています。ところが、ご家庭で判断される場合は、そうはいきません。親御様とお子さんの共同作業が必要になります。
お子さんに、塾の授業中に○△×を問題毎につけていくことを約束させてください。
○・・・授業中に簡単に解けた。今後同じ問題が出たときには確実に解けると思う問題。
△・・・苦労しながらも何とか解けた。今後同じもんだ一が出たときに確実に解ける自信が無い。
×・・・授業中に自分でも解けなかったし、先生の説明を聞いてもよく分からなかった。これが、判断基準です。
この△が、「もうちょっと頑張れば何とかなりそう」というレベルにあたります。問題の取捨選択において、最優先していただくのが、この△がついた問題そのものと、類題になります。
サピックスのお子さんならば、デイリーサポートの問題についた△の問題を解き直した後、デイリーサピックスでその類題を解く事ですし、日能研のお子さんなら、本科テキストについた△を復習した後で、栄冠テキストでその類題を探す事になります。四谷大塚のお子さんなら、予習シリーズの△を解いた後で、演習問題から類題を解くことです。早稲アカならば、ダブルベイシックの△を解いた後で、予習シリーズから類題を探す事になります。
△とその類題を中心とした学習が終わってもなお余裕がある場合にのみ、×に手をつけるようにしてください。
この方法で、量の調節をするだけで、”ジタバタ学習”が改善される結果、ミスが減るお子さんが多いのです。でも、中には量を調節しても、ただ勉強時間が少なくなるだけで効果が現れない場合があります。長い期間を暗記学習だけで過ごしているうちに、頭を使って考える習慣を無くしてしまっているお子さんに多いケースです。
ここで必要になってくるのが、2の「自分の言葉で考えるようにしてあげる。」ことです。この場合は、親御さんの声かけが、大切になってきます。
宿題をさらさらとやっていても、実は式の順序を覚えていて、ただ当てはめているだけであることが多いわけですから、そのようなときに、親御様は、
「その式で何が出たの?」
「その数字の単位は?」
と聞いて上げてください。
ちゃんと答えることが出来たときは、
「よく分かっているね。授業をしっかりと聞いてきてえらかったね。」
と褒めてあげてください。
そんなことは分かっていて当然だからと、質問を重ねていけば、親御さんからの声かけが煩わしいものに感じられてしまいます。
うまく答えることが出来なかったときが、一番大切です。子供の勉強のやり方を変えていくチャンスだととらえてください。
「その式で何が出たの?」(お母さん)
「よく分からない。だって、授業で先生がそうやっていたから。」(お子さん)
「授業をちゃんと聞いていたんだ。だから、解き方の順序を覚えることが出来たのね。」(お母さん)
*ここで叱らないようにくれぐれもお願いします。
「そんな授業の聴き方をしているから成績が上がらないのよ!」とか「いったい授業で何を聞いてきたの!」という反応は最悪です。
「うん。だって、先生の説明が速すぎて、理解する前に次の問題に移ってしまうんだもの。」(お子さん)
*お母さんの穏やかな反応によって、お子さんが心を開いて本当の事を言ってくれるかもしれません。
「そう。先生の授業が速いのね。でも大丈夫、式の順序を覚えてきたんだもの。その一つ一つの意味を今から考えていけば分かってくるわよ。」(母親)
*お母さんが、お子さんに与え続けるべきものは、成功のイメージです。「あなただったら大丈夫」を繰り返して上げてください。
「そうかな?」(お子さん)
「大丈夫。じゃあ、問題文をもう一度読み返してご覧。ゆっくりね。」
「うん、読んだよ。」(お子さん)
「何が分かっているの。」(お母さん)
「太郎君の速さと花子さんの速さ、それと・・・・・・・・。」(お子さん)
「その通りね。じゃあ、それからまず何が分かりそう?授業中のノートを見ながら考えても良いわよ。」(お母さん)
このような、穏やかで、しかも何かの達成を予感させるような声かけを続けてもらう事で、やっと頭を働かせ始めます。
このような、声かけ(お母さんが励ましながら質問をし、お子さんが答える)を行っていく際に、1つ次のようなルールを決めてください。それは、「単語で答えない」というものです。
「何が出たの?」
「速さ」
という返答はしないようにというルールです。
「A君が、P町からQ町に行くときの速さ」というように答えてもらうためのものです。
言葉掛けの上手下手で、学習効果は大きく変わってきます。お母様の堪忍袋の緒が切れそうな事もあるでしょうが、グッと我慢して穏やかに前向きに話しかけて上げてください。
また、その言葉掛けの上手下手が、まさに塾や個別そして家庭教師の力量そのものです。
スランプ脱出のために、個別指導か家庭教師をお考えになっていいるのでしたら、体験授業を一緒にご覧になって、講師の言葉かけの力量を判断されることをお勧めします。