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お母さんの笑顔は、あらゆる面でお子さんにいい効果がある

■受験では何があるかわからない
昔々、あるところにこんな子がいました。
かなりの秀才児で、だれもが最難関中学校であるA中学校に「当然」合格すると思っていたお子さん。大手進学塾の模試でも、よくトップ10に入るくらいできる子だったのです。
いよいよ小6の冬、中学受験のシーズンを迎えました。その子は当然、他の多くの「できる子」同様、第一志望校がA中学校。そしてB中学校、C中学校などにも出願、受験しました。
結果、何とその子はA中学校を不合格になってしまったのです。
これは親が肝に銘じておかなければならないことですが、受験に100%はありません。
限りなく可能性が高くても、当日何があるかわからないのです。
ずいぶん体も大きくなるとはいえ、生まれてからまだ12年しかたっていないのです。
生まれて初めての状況に、頭が真っ白になることだってあります。
不幸だったのは、その子が不合格だったことよりも、その子が不合格だったことで、お母さんが打ちひしがれてしまったこと。
自分のために大好きなお母さんが悲しみ、打ちひしがれる姿を見たら、子どもはどれほど傷付くでしょう。
■大人になると忘れてしまうこと
お母さんの機嫌がちょっと悪いだけで、皆さんはどれくらい憂鬱な気分になったか、覚えていらっしゃいますか?
私は子どもの頃、親に隠し事をしている時、もう何もかもなくなってしまえばいいのに、と思うくらい憂鬱だったことを覚えています。今から考えたら、友達から(子どもにしては)ちょっと高価なおもちゃを貰って親に言い出せなかったとか、そんなことでです。
理由は何であれ、親は子どもにそれほど大きな影響を与えます。こんなこと、現役のお母さん、お父さんなら私に言われなくても、日々身をもって感じておられるかもしれませんね。
昔のこと、そしてあまり思い出したくないことは、人間は無意識の中に閉じ込めてしまうものです。そして、「どうしてあの子は私の言うことを聞かないんだろう」と悩んだりするのです。
よく自分のことを思い出してみれば、子どもには子どもの事情があるんだと気付くこともあります。
■逆手に取りましょう
子どもがどれだけ大きく親から影響を受けるか、自分が子どもの時のことを思い出し、実感することができれば、意識的に「機嫌よく過ごす」という選択肢をとることができます。
「この子は口うるさく言わないとちゃんとやらないんです」
そう仰る方もいますが、そうでもありません。また、口うるさく言うことと機嫌がいいことは両立できます。お母さんが、「言うべきことは言うけど、機嫌がいい状態」だとお子さんは安心してがんばれるものです。
お母さんが笑顔でいることは、お子さんにとってあらゆる面でいい効果があります。
ちょっと意識してみるだけでも、ずいぶん違うものです。 

春休みの過ごし方、あまり満足でなかったという方へ

■春休みはどうでしたか?
春休みが終わり、学校での新学年が始まろうとしています。春休みの「出来」はどうだったでしょうか。
「けっこういろんなことができた」
「やりたいことはあったけど、あまりできなかった」
「やっぱり短くて、思うようには過ごせなかった」
様々ではないかと思います。。
普段から私たちが訪問しているご家庭であれば、あらかじめ春休みに塾でどんな授業が行われるか、今お子さんが最優先で取り組むべきことは何かなど、いろいろ前もって話し合ってから春休みに臨むのですが、春休み明けに初めてご相談に来られるお母さんは、「やろうと思っていたことはあったのにできなかった」という方もいれば、「なんとなく塾の春期講習会に行かせただけで過ごしてしまった」という方もいます。
塾の春期講習会が悪いと言っているのではありません。
塾は塾で、この時期お子さんたちに何をしてもらえば一番いいだろうかと、必死で考えて春期講習会のカリキュラムを組んでいるはずです。
・・・でも、なんだか流しただけで、身についている、何かが大きく前進したという感じがしない、とお感じの方が多いのです。
■塾は春期講習会で何を身につけさせようとしていたのか
お子さんが通われている塾の春期講習会のカリキュラム、受講前にご覧になって、どんなことを考えたでしょうか?
お子さんが日能研にお通いなら、春期講習のカリキュラムを見て「2月と3月に習った単元が扱われているから、この日の授業は復習ね」などと感じられたかもしれません。サピックスなら「この単元は5年生で一度習った単元だから、その復習なのかしら」と思われた方もいるでしょう。
でも、そもそもこの二人のお母さんの勘違いは「塾では純粋な『復習』の授業はない」ということです。復習のように見えても、前に習ったときとまったく同じレベルのことをするのではなく、復習をしつつもよりレベルの高い問題を習うのです。
だから、前に習ったときにわかりにくかった単元は、ここでもわかりにくかったり、「苦手単元」になってしまったりするのです。私が春休みや夏休みの前の時間があるとき(小学校が「短縮授業」になるところもありますね。しっかり活用しましょう)に、苦手克服をすべきだとお伝えしているのは、そんな理由からなのです。
しっかり苦手単元の克服を済ませずに講習会に臨むと、「消化不良感」が残るのは、以上のようなことが原因になっています。
■次のチャンスは夏休み、ではありません
春休みはもう終わってしまいました。では次のチャンスは夏休みかというと、そうではありません。ゴールデンウィークです。
ゴールデンウィークには、サピックスではGS(ゴールデンウィーク・サピックス)特訓という授業があります。これはいわゆる「テストゼミ」形式の授業で、お子さんがどんどん問題を解いて、その解説が行われる「問題演習とその解説」の授業です。
このような授業は、もうある程度学習が仕上がっているお子さんには最適です。しかし、苦手分野があるとか、知識の拡充がまだまだ必要という段階のお子さんには、ちょっと無駄が多いように思います。
また、ゴールデンウィークに大量の宿題を出して塾は休み、というタイプのところもあります。当然、自宅での大量演習、そして大半の場合は塾に提出して終わり、というタイプの宿題に効果が見込めるかというと、残念ながらそうではありません。
春の満足感が低かったというご家庭は、ここから1ヶ月の間、お子さんのここまでのテストを検証し、「我が子にとって,
ゴールデンウィークに何をするのが本当にいいのか」を考えてみてはいかがでしょう。 
きっと考える価値があることだと思いますよ。

◯◯しなさい、さもないと・・・

2015年もあと数日。6年生は間近に迫った入試に向け、最後の追い込みに入っています。この時期、子どもたちは「こんなに自分がたくさんのことを覚えられるなんて信じられない」といった意味のことをよく言います。つまり、入試本番がいよいよ迫ってきて、「超本気モード」で勉強しているので、今までとくらべて明らかに記憶力、理解力が上がっていると実感しているのです。

何よりも、集中力が上がっているのがその大きな要因ですね。

そんな姿を見ていると、それではもっと早くから「超本気モード」にさせることができれば、どんどん成績を上げられるのではないか」と考えてしまいがちですが、なかなかそううまくはいきません。

子どもを本気にさせるために、ついつい大人がとってしまいがちな行動が、「叱咤激励」。

それ自体が間違っているわけでも、悪いわけでもありません。そして叱咤激励している時の大人が言っていることは「正論」です。

でも、正論だったら言われた子どもは納得して聞き入れるかと言われると、そうではありません。そもそも中学受験を目指して塾に通う子どもの多くは、すでにまじめに、一生懸命勉強しています(少なくとも本人たちはそう思っています)。そこへ正論を振りかざされると、多くの場合反発の気持ちしか生まれてきません。

中学のときに習った英語の構文に
「命令文+and〜」
「命令文+or〜」
というのがありました。

上の構文は、
「◯◯しなさい、そうすれば〜」
という意味で、下の構文は
「◯◯しなさい、さもないと〜」
という意味だったと記憶しています。

下の構文で子どもに話し続けると、子どものモチベーションはどんどん低下して、お母さんに叱られるから、といったマイナスの動機でしか動かなくなっていきます。

「算数の復習をしておかないと、次のテストでいい成績が取れないわよ。」

ここまで露骨ではないにせよ、ついついこのようなトーンで話してしまいがちかもしれません。

お子さんと過ごす時間が長くなる冬休み、意識的に「伝え方」にこだわってみるのもいいかもしれませんね。

インフルエンザで成績が上がる?

昨日(12月15日)、インターネット教育ポータルサイト「リセマム」様主催のセミナーに講師として参加させていただきました。
「中学受験を考える保護者必聴 子どもの学力と体力を育てる!冬休みの過ごし方講座」と銘打ったセミナーで、個別指導教室「SS-1」を主宰する小川大介先生と私が担当したのは、第一部「受験学力をすくすく育てる『心』と『体』の使い方」のパートです。
年も押し迫ったこの時期にもかかわらず、たくさんの方にご来場いただき、お母さんたちの熱意に感心してしまいました。
大きな舞台の壇上からのお話になってしまい申し訳なかったのですが、低学年から高学年のご家庭まで、みなさんメモなどを取りながら聞いていただきました。
今年は暖冬のようですが、やはり年末のこの時期になると、お子さんの体調面の管理は気になるところですね。乾燥するとインフルエンザなどのウィルスも繁殖しやすく、とくに受験を控えた6年生のお母さんは敏感になってしまう時期でもあります。
カゼなどの予防はもちろんマスク・手洗いなどが基本ですが、しっかり睡眠をとること、家で過ごす時の環境をととのえるといったことも大切です。室温管理や加湿ですね。そして睡眠時間は言うに及ばずです。
何度かセミナーやこのブログでも紹介したことがあるかもしれませんが、実は子どもたちがインフルエンザなどにかかって数日から一週間ほど学校を休むと、学力がぐんと上がったように感じるのです。特に6年生のお子さんに関して、そんな印象を持っています。
とはいえ、たぶんインフルエンザが学力に直接影響しているわけではありません。
実はインフルエンザにかかり、家でしっかり寝る時間を確保したことで、驚くほど計算や思考のスピードが速くなるようなのです。どうしても6年生は、受験間近のこの時期になると睡眠時間が不足しがちです。しっかり睡眠をとることで、本来持っている能力が発揮できているようなのです。
ふだん教えている私たちでさえ、「この子はこんなに速く計算ができるんだったんだな」と驚いてしまうほどです。
冬休みが近いですが、お子さんの生活全般をこの機会にあらためて見直し、適正な睡眠時間をとらせてみてください。きっと、ちょっとした学習メニューをこなさせるよりも効果があるはずです。

進学塾の授業の聞き方

■同じように塾に通っても、成績がいい子とそうでない子がいる
同じように進学塾に通い、同じ先生の授業を受けても、成績が上がるお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。
もちろん、それまでの学習状況が違うとか、いろんな理由がありますが、同じくらいの時期に入塾し、塾に通うまでの学習状況はたいして違いがないように見えるのに、大きな成績の差がつくことはよくあることです。
これを、子どもの能力ややる気のせいにして済ませるのは、簡単なことです。実際に「お子さんのやる気の問題ですね」といったようなことを塾の先生に言われたことがある方も多いです。
でも、塾で成績が上がらない、理解が深まらないということは、能力ややる気ではない原因が何かあるはずなのです。
塾での勉強は、先生の話を聞いて理解し、やってみて、できるかどうか確認し、できなければできるようになるまで説明を聞いたり、また演習したりの繰り返しです。
この繰り返しの中で、お子さんの(塾、あるいは先生の、かもしれませんが)どこに問題があるのか。
聞き方はどうなのか。先生の言うことを聞いて理解できているのかを確認するには、塾でおこったことをお子さんに思い出してもらうのが効果的です。
■塾での出来事を思い出せるか
塾で先生が解説した問題はこれ、みんなで演習した問題はこれ、その答え合わせのときに先生はこんな説明をした、といった事実を聞き取っていきます。
たとえば、説明してもらった問題やみんなで演習した問題がどれかが思い出せないような場合は、塾の授業に「参加」できているのか疑わしいでしょう。まわりの子が騒がしいとか、お子さん自身が授業に集中できていないとか、中には「先生が他の子を叱りつけるのが怖すぎて、それしか覚えていない」ということを言った子も過去にいました。
そこまでではないにしても、説明してもらった問題に関して先生が言ったことがうまく再現できない場合などは、うまく聞いて理解できていないということですから、その原因をつきとめなければなりません。
多くの場合、聞くことが上手にできていない子は、聞くべきときに何か別のことをしてしまっています。遊んでいるとかそういうことではなく、ノートをとっているとか、前にやった問題のことを考えているとか、そんなことです。
このような場合、お母さんがすべきことは2つ。
 
■授業をしっかり聞かせるためにお母さんがすべきこと
1つは聞くことに集中しやすい準備をさせること。塾の先生が説明しているときに、子どもが夢中でシャープペンシルの芯を入替えているなんてことは、塾ではよくあることです。そんなことが無いよう、きちんと準備をして出かけることを教えてあげなければなりません。
もう1つは、「聞くべきときには聞くのだ」ということを教えてあげることです。先生が解説しているときは、書くことよりも聞くことを優先し、そちらに集中するよう教えてあげるのです。
そのためにノートが不十分になったとしても、結果として理解度が高いほうがお子さんの成績は上がるものです。

意外に意識されることがない「授業の聞き方」とその準備。一度確認してみてください。 

中学受験 失敗しない家庭教師選び

2月10日に関西でセミナーを行いました。
「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で一緒に主任相談員をさせて頂いている、個別指導のSS-1の代表、副代表の先生たちとです。
 
セミナー内でも触れたのですが、家庭教師でも個別でも、ほんとうの意味でのプロと言われる講師は、扱うのが勉強だけではありません。
 
 
本物のプロの講師は、問題の解き方だけを教えるだけでなく、どんな悩みでも、学習に影響を与える可能性がある悩みは解決しようとします。全てを解決できるという話ではありませんが、お子さんの成績を伸ばすために、解き方だけではなくて環境やことばのかけ方の解決策も提示するのがプロの講師です。
 
問題の解き方を解りやすく教えるのは、プロ講師の名乗るのであればできて当たり前。もちろん目の前の子どもの成績を何とかするためにどうすればよいのかが最も大切なことです
 
その解決策として、授業だけではなくご家庭での会話の問題を解決して、お子さんのやる気を引き出す事もできるのがプロの講師です。
 
そのような力があるか、そのような視点でお子さんの学習に関して考えているかは、講師としっかり話をしなければわかりません。
 
親と講師が話をする機会や時間がちゃんと用意されているか、お願いする前の段階で、深く、詳細に話を聞いてくれるかなどがポイントとなります。
 
そして、これもプロ講師と名乗る以上当然ですが、指導がわかりやすく、お子さんの成績が実際に上がること。授業を受けているお子さんが「なるほど!」という反応をしているか。
 
そのようなことを知るには、実際に授業を見るのがもっとも確実です。だから、子ども部屋ではなく、リビングで指導してもらうことを私はお勧めしています。
 
家庭教師選びの際は、このようなことをちょっと思い出してみてください。
 

父親の役割

関西で本格的な中学入試シーズンに入り、東京・神奈川の入試も直前のこの時期ですが、取材の申込も多くなっています。
 
先日出演させていただいたTIKYO FMさん「docomo LOVE FAMILY」という番組では塾選びやお父さんの受験勉強への関わり方についてお話させていただきましたが、内容を詳しくホームページにも掲載していただき、皆さんにも番組内での様子を知っていただけるようになっているようです。
 
 
番組内でもお話ししたのですが、中学受験生に対するお父さんの関わり方についてです。
 
小学校高学年のお子さんのお父さんというと、年齢的には30代〜40代の方が多く、ビジネスマンであれば部下もいて、バリバリ仕事をしていらっしゃる年代です。
 
当然仕事の世界では、達成すべき目標があり、それに向かって細かな業務までアクションプランが組まれており、納期や価格など含めて必ず達成されるべきものとして取り組まれるのがプロジェクト。
 
この感覚をお子さんの受験勉強に当てはめると、ずいぶん戸惑うのではないでしょうか。
 
なぜなら、子どもは予定通りには動かない、動けないものだからです。しっかりしてきてはいても、まだまだ小学生。予定通りに動けることもあれば、気分しだいで全く集中できなかったりもします。
 
それが子どもです。
 
でも、ふだん「大人の世界」でバリバリ仕事をこなしているお父さんからすると、なかなか集中できなかったり、結果を出せなかったりするお子さんが歯がゆく、ついつい「どうして予定通り進んでないんだ?」となってしまいがちなのです。
 
子どもは気分がいいときにもっとも集中でき、学習もはかどるものです。
 
お父さんは、お子さんの学習に直接関わるより、お子さんのそばでスケジュールや体調の管理をするお母さんのケアをしてあげて欲しいのです。
 
「いつもありがとう。」
 
たったこれだけでも、お母さんは癒やされるものです。
 
このままで志望校に合格できるのかしら、塾の成績がなかなか、◯◯くんはクラスが上がったらしいのに、今度のテストはうまくやってくれるかしら・・・
 
日々お母さんはお子さんのことで悩み、どうしても視野が狭くなってしまいがちです。そんなときにお父さんが話をちゃんと聞いてくれる。それだけでお母さんの疲れは吹き飛びます。
 
中学受験は家族の受験といいますが、家族がそれぞれ役割分担し、協力して乗り切ることで、家族の絆が強くなり親子とも大きく成長できる絶好の機会でもあるのです。
 
お父さん、ぜひご家族をうまくリードしてあげてください。

 

 

中学受験 結果の受け止め方

いよいよ師走になりました。受験生たちも直前期ということで、ずいぶん緊張感が高まってきているのではと思います。
 
お子さんも、お父さん、お母さんも、ここからが頑張りどころですね。体調に気をつけて乗り切っていきましょう。
 
多くの6年生たちは受験校も決まり、過去問なども解いていると思いますが、ここからは学力だけでなく精神力の勝負にもなりますね。お子さんもそうですが、お父さん、お母さんもそうです。
 
お父さん、お母さんは、ある意味戦略的に中学受験を考えておられるかもしれません。もちろん第一志望校に合格するのが最大の目標ですが、万一の時のための準備、つまり次善策もしっかり考えておられるでしょう。
 
不謹慎な話かもしれませんが、受験ですから、可能性としては合格の場合も不合格の場合もあるわけです。そのときの準備をせずに臨むのはやはり危険です。
 
第一志望校に合格できなかったら公立中学校でいい、という考え方も勿論あり、それは否定しません。進学したい中学校が1つしかないという場合もあるでしょうし、近くに私立中学校がそう多くない地域だってあります。
 
でも、首都圏で中学受験を考えていて、私学の中高一貫教育にある程度の価値を見出しているなら、いわゆる「危険な受験」は避けるのがよいでしょう。
 
危険な受験というのは「全滅の可能性がある受験」のことです。勘違いしないでほしいのですが、偏差値的に合格の可能性が高い学校しか受けるな」と言っているのではありません。
 
学校を偏差値だけで評価せず、その学校で6年間を過ごすと何が得られるのか、お子さんを通わせるイメージが具体的に湧くか、といったことを総合的に考え、複数の受験校を選びます。
 
そして重要なのは、どの学校に進学してもみんなが納得、という状況を作っておくことです。繰り返しますが、最大の目標は第一志望校合格です。でも、最悪の場合でも納得できる状況を作っておくことが大切なのです。
 
そして、曲がりなりにも、とわが子のことですから謙遜の気持ちもあるかもしれませんが、必死で戦ってきたお子さんを、褒めてあげてください。どの中学校に進学することになっても、大いにお子さんを労ってあげてほしいのです。中学受験で培った学習習慣や粘り強く解決に向かう力、諦めない気持ちは、将来どんな仕事につくとしても、必ず役に立ちます。
 
そもそも、中学受験をさせる目的は何だったのか。
 
中学受験をさせるのも、できればいい大学に入ってほしいと願うのも、いや、そもそも勉強させることそのものの理由は、お子さんに幸せな人生を送ってほしいからです。親として子育てをする目的にそれ以外のことなんてありません。
 
こうして、そもそも、と考えれば、中学受験の結果が出たときの受け止め方は決まります。
 
ただでさえ、どんどん視野が狭くなっていきがちな時期です。ときどき、お子さんがお父さん、お母さんにとっていかに大切な存在か、ゆっくり考える時間を取りたいものですね。
 

暗記型学習から思考型学習へ

■テレビで話せなかったこと
 
先週、テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」に出演させていただいた際、繰り返し学習の弊害についてお話ししたのですが、テレビの1コーナーということもあり、あまり多くのことを話すことはできませんでした。放映された内容以外にも、高学年になるにつれて成績が下るお子さんが多いということなど収録ではお話ししたのですが、これも取材やテレビ出演の際、よくお話ししていることです。
 

近年の中学入試、とくに難関校の入試では、「この問題の解き方を知っていますか」というような問題は出題されません。「あなたはこの問題の解き方を見つけることができますか」といった出題なのです。つまり、持っている知識をもとに、組み合わせて、複雑に作りこまれた問題で「何がわかっているのか」を整理し、「あと、何がわかれば問題を解決するための筋道が見えやすくなるか」を、自分の力で考えることが必要なのです。

 

「年齢算の解き方は線分図」と覚えるような勉強を、私は「暗記型学習」と呼んでいます。この学習を小さい頃から続けていると、小学校高学年で成績が下がります。勉強自体が楽しくないというのも、この勉強法の特徴です。 覚えることが主体で、「考える」という要素が少ないからです。

 

「二人の年齢を見やすく比べられたら」⇒「線分図なら比べやすい」

 

だから線分図なのです。今考えたいテーマから考えて、使うべき図は何か。その知識が必要なのです。知識というよりも、反射という感じで一瞬で「比べる」⇒「線分図」が出てくるまでになったら、それが本物の知識で「打てば響く」というのはこういう状態です。

 
■暗記型学習から思考型学習へ お母さんは「3秒ルール」を
 
「◯◯だから△△」と、勉強の中に常に「考える」という要素が増えてくると、勉強は楽しくなります。これが「思考型学習」です。
 
では、お子さんのに「思考型学習」を根付かせるにはどうすればいいでしょうか。
 
1つの答えは、「どうして?」をふだんの勉強の中にどんどん取り入れることです。「どうしてその解き方で解いているの?ちょっと教えてよ。」とお母さんが声掛けをしてあげるのです。あくまでも「質問」として「教えて」という感じがいいでしょう。
 
勉強しているお子さんを横で見ているお母さんは、ついつい「質問」ではなく「詰問」になってしまいがちです。ああ、要領が悪いわねぇとか、もっとああすればとか、横で見ていると、歯がゆさからお母さんの気持が揺れてしまうことがあります。
 
気持ちの揺れが大きくなったな、と感じたら、あえて言葉を発せず数秒間黙ってみる。これがいわゆる3秒ルールや6秒ルールといわれるもので、その数秒の間に、心の揺れはずいぶん収まるものです。お子さんの様子を見ながら、上手に質問して生徒役を演じてみてください。

図形は知識だ! part3

ここ2回にわたって、図形問題を解くときの知識の大切さをお話ししてきました。

ところが、知識をいくら覚え込んでも目の前の問題に利用できなければ宝の持ち腐れですね。

利用すべき知識を素早く的確に思い出すための方法をお話しします。

(普段やっておくこと)

・まず問題文を隅から隅まで読むことを習慣にする。

 問題の分を読まずに、これが聞かれているはずだと思い込んで解こうとする子供が意外に多いのです。

それでもたまに正解になることがあり、悪い習慣を修正するチャンスを失いがちです。
 

・問題の条件をすべて図に書き込むことから始める。

 辺の長さや角度など与えられている条件をもれなく、しかも読みやすく書き込むことが大切です。

凝視しないとわからないような小さな字もダメですし、どこからどこまでの長さかが曖昧な線の引き方もよくありません。

そして、問題についている図をそのまま丸写しするのではなくて、問題文に書いてある条件に沿って問題文を読みながら

書き込む習慣をつけさせることです。

ここで注意して頂きたいことがあります。

テキストに書かれている図が小さい場合は必ずノートに大きな図をフリーハンドで書き直させてください。

たとえば、サピックスのデイリーサポートの図ならば、長さで2倍ぐらいの図を書かせることが必要です。

入試問題そのものに書かれている図がそのぐらいの大きさですから。

・「たぶん」「何となく」を一切使わせない。

 子供が解いた跡を見ると、理由無く「90°」と書いてあったりします。

「なぜここが90°になったの」と聞くと、無言になるか、「そう見えたんだもの」と答たりします。

それでも4年生や5年生の段階では半分ぐらい結果が正しくなります。

ところが、6年生になり扱われる問題が入試本番レベルになると、直感で答えた数字がことごとく間違うようになります。

理由は簡単です。直感や当てづっぽうで答えると間違えるように作ってあるからなのです。

子供が、直感や当てづっぽうで解いている現場を見つけると、親としては叱りつけたくなるものですが、ぐっと押さえてください。

子供は直感的な動物です。そのいい加減な直感も正しい経験を積ませていけば、難問を解く際の「気づき」につながります。

 「なぜ、○○になったの?」とニヤニヤしながら聞いてやってください。

それを何回か繰り返した後で、「図形問題で、原因と結果をつなぐ頭の体操をしているんだから、

当てずっぽうをやっていると頭の使い方のフォームが崩れちゃうよ」とでも言ってあげてください。
 

・図形問題を解き終わった後に、どんな知識を使ったのかを振り返る。

 ほんの10秒で構いません。

「こことここの相似を使って、その後は辺の比から面積の比に変えたんだ」とか

「円の中の直角三角形を使ったんだ」

というように振り返ってみることです。

そのほんの10秒の頭の中での振り返りが1回分以上の効果があります。

はじめに練習させる際は、お母さんが横について、

 「よくできたね。これを解くのにどんな知識をどんな順に使ったのかな?」

 と1問ごとに聞いてあげてください。正確に説明できなくても構いません。

子供なりの要約された言葉で構いませんが、「何々を何々に使うと」というように「てにをは」をしっかりと発声させてください。
      
      
  3回にわたって、図形問題の学習について書いてきました。

  図形問題を正しく学習していくと、論理を正しくつないでいく能力が鍛えられます。

そしてその先のひらめきも少しずつ高めていくことができます。

これらの能力の高まりは、算数の文章題や他の教科に大きな好影響を及ぼします。

 

うちの子、直感頼りの勉強じゃないかしら、と思われたなら、

お子さんの勉強の様子を見るところから早速始めてあげてくださいね。
 

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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