■受験では何があるかわからない
昔々、あるところにこんな子がいました。
かなりの秀才児で、だれもが最難関中学校であるA中学校に「当然」合格すると思っていたお子さん。大手進学塾の模試でも、よくトップ10に入るくらいできる子だったのです。
いよいよ小6の冬、中学受験のシーズンを迎えました。その子は当然、他の多くの「できる子」同様、第一志望校がA中学校。そしてB中学校、C中学校などにも出願、受験しました。
結果、何とその子はA中学校を不合格になってしまったのです。
これは親が肝に銘じておかなければならないことですが、受験に100%はありません。
限りなく可能性が高くても、当日何があるかわからないのです。
ずいぶん体も大きくなるとはいえ、生まれてからまだ12年しかたっていないのです。
生まれて初めての状況に、頭が真っ白になることだってあります。
不幸だったのは、その子が不合格だったことよりも、その子が不合格だったことで、お母さんが打ちひしがれてしまったこと。
自分のために大好きなお母さんが悲しみ、打ちひしがれる姿を見たら、子どもはどれほど傷付くでしょう。
■大人になると忘れてしまうこと
お母さんの機嫌がちょっと悪いだけで、皆さんはどれくらい憂鬱な気分になったか、覚えていらっしゃいますか?
私は子どもの頃、親に隠し事をしている時、もう何もかもなくなってしまえばいいのに、と思うくらい憂鬱だったことを覚えています。今から考えたら、友達から(子どもにしては)ちょっと高価なおもちゃを貰って親に言い出せなかったとか、そんなことでです。
理由は何であれ、親は子どもにそれほど大きな影響を与えます。こんなこと、現役のお母さん、お父さんなら私に言われなくても、日々身をもって感じておられるかもしれませんね。
昔のこと、そしてあまり思い出したくないことは、人間は無意識の中に閉じ込めてしまうものです。そして、「どうしてあの子は私の言うことを聞かないんだろう」と悩んだりするのです。
よく自分のことを思い出してみれば、子どもには子どもの事情があるんだと気付くこともあります。
■逆手に取りましょう
子どもがどれだけ大きく親から影響を受けるか、自分が子どもの時のことを思い出し、実感することができれば、意識的に「機嫌よく過ごす」という選択肢をとることができます。
「この子は口うるさく言わないとちゃんとやらないんです」
そう仰る方もいますが、そうでもありません。また、口うるさく言うことと機嫌がいいことは両立できます。お母さんが、「言うべきことは言うけど、機嫌がいい状態」だとお子さんは安心してがんばれるものです。
お母さんが笑顔でいることは、お子さんにとってあらゆる面でいい効果があります。
ちょっと意識してみるだけでも、ずいぶん違うものです。