月: 2010年11月 Page 2 of 9

日能研小5のテキスト大改訂

日能研テキストの小5生用が改訂されたということは、以前お知らせしました。

その後、そのテキストを使って私自身が家庭教師として教えたときに感じたことや、他の先生の意見を私なりに解釈してみたいと思います。

 4教科共に、自分の頭の中の言葉を上手に利用して考えたり、理解することを目的に作り変えられていることがわかります。思い切った改訂をしたものだと思います。

 これまでの日能研のテキストは、本科テキスト・栄冠テキスト共に下記のような問題点が指摘されていました。

「全ての生徒はカリテに向けて一生懸命勉強をします。このため、ある程度は点数が取れるようになりますが、出題範囲の記憶に頼った勉強になりがち」

「繰り返し学習の暗記で何とかなってしまうことが多く、頭を使う勉強をやらせにくい」という声が、内外(内:日能研で実際に教えている講師。外:家庭教師や個別指導の講師)から私に届いていました。

 この、声が日能研にも届いていたのでしょうか。でも、これだけの思い切った改訂は、社全体の今後の経営戦略の根幹に関わることですから、外野の声に耳を傾けた結果だとは考えにくいと思います。

 日能研の成績資料の充実ぶりは、目を見張るものがあります。特に個人の成績は、すべてコンピューターによってデーターベース化されています。その分析結果や、現場の先生方の声の力が大きかったのだと想像していますが、実際のところはわかりません。

 一方で、ここ1ヶ月で日能研の小5のお子さんを持つ親御様からの相談メールが増えています。これまで通りの「カリテは取れるのに、センターが取れなく
て・・・」という内容のものは同数ありますが、「カリテすら点数が取れなくなってきた。」というご相談が急に増えたのです。テキストの改訂と何らかの関係
がありそうです。

 これまでのテキストの時は、「テキストを教える」ことで、受験の基礎部分は教えることが出来たのではないでしょうか。

ところが改訂版の場合は、「テキス
トで教える」力量が必要になっています。

この、「テキストを教える」と「テキストで教える」という文言は言葉遊びのようですが、実は教える力量を表す言葉
としてよく使われるものです。

「あの先生は、テキストを教えることは出来るが、テキストで教える力量は無い」というような使われ方です。

 テキストに沿って、その配列通りに教えていけば決められた範囲を教え終わることが出来ていたはずなのですが、改訂版で教えようとすると、「その問題群の解説を通して、子供たちに何を伝えるのか」を考えざるを得ないようになります。

算数においては、問題文はそっくりなのに、解き方が全く異なる問題が2問続いていることがあります。このような場合は、問題文から何が条件として与えられ
ているかを判断させ、何を書いて見れば解けそうかを予想させるという手順が必要になります。

講師の「問題分析の力」「質問する力」「読むことに集中させる
演出力」などの力量が問われることになります。

 社会のテキストは、ちょうど歴史に入った段階での改訂です。

重要事項の羅列が中心となっていた旧版とは異なり、「読み物」の形式となっています。重要事
項を太字にすることすらされていません。

「読み物」を読み、人物の関連や歴史的な事件との関わりを読み取った上で、記憶に定着させなさいという、勉強の王道を求めるテキストとなっているとも言えます。

でも、小5生にそれが出来るのかな?という心配があります。

 実際の授業では、重要事項を板書し、要点を話すということがされているようです。

子供たちの授業中のノートを見ると、見事に要点がまとまっています。

まるで旧版の本科テキスト内容を書き写したような内容です。

「板書を書き写すだけで精一杯で、先生の話を聞いている余裕はなかった」と話すお子さんもいまし
た。

もし、日能研が”予習禁止”の塾ではなく、事前にこの「読み物」を読んで、授業に参加すれば理解しやすいと思いますし、定着も進むと思うのですがどう
でしょう。

 このように考えていくと、改訂版のテキストは、「本来のあるべき学習方法」を要求していることになります。

算数では:丸暗記だけの勉強じゃあだめですよ。ちゃんと納得するまで考えたり作業をしたりしましょうね。

理科や社会では:言葉の丸暗記だけではだめですよ。事象の因果関係をちゃんと理解して知識同士をつなげていくようにしましょうね。

このような日能研側の声が聞こえてきそうです。

 「カリテですら点数が取れなくなってきた」というお子さんをお持ちの親御さんには、”勉強方法を見直す良い機会だ”ととらえることをお勧めします。

 解き方の丸暗記の学習になっていないだろうか、問題文をしっかりと頭に入れてから考え始めているだろうか、重要事項の言葉だけの暗記になっていないだろうか、このようなことを少しチェックしていただく必要があるように感じています。

 今後、このテキストを日能研の先生たちがどのように上手に料理されていくのかを、期待しながら待ちたいと思います。

理科好きな子にする方法(3)

前回は、理科が得意な、または得意になったお子さんの例を挙げました。

そこから垣間見られるのは、ご家庭全体のその知的好奇心です。

お父様かお母様、またはお二人ともが「なぜ」と思ったときに考えてみるとか、調べ習慣をお持ちであるように思います。

もうひとつ垣間見られるのは、子供がとりあえずやってみようとすることにたいして、ブレーキをかけない姿勢です。

小6の女の子が半田ごてを欲しがること事態珍しいことですし、そのようなことがあった時の、親御さんの常套句、

「そんな時間があったら勉強しなさい。」

をおっしゃらなかったことに驚きました。

子供は、体験を通じていろいろなことを学んでいきます。

それは、理科についても同じです。例えば、今、ほとんどの小学校の1年生は、春に、アサガオの種を学校から貰って帰ってきます。家で育てて観察させるという趣旨なのです。

中学入試問題の植物の単元で、アサガオの問題が他の植物に比べて多く出題され、しかも難しい理由は、日本の小学生のほとんどが、しっかりと観察をしているはずだという前提があるからです。

アサガオの種を、指の第2関節の深さに置く理由は、発芽した時に分かります。伸び始めた根によって、種が持ち上げられ、地上に頭をもたげた種子は二つに分かれ双葉になります。浅く植えると倒れてしまいますし、深すぎると頭を出すことが出来ません。

昔、学校の先生に、「第2関節の深さに植えなさい」と言われ、それを忠実に実行した子供の多くは、双子葉植物の発芽を受験レベルで習ったときに、「なるほど、そういう理由だったのか」と気づくことになります。

受験勉強を始める前や始めてからの豊富な経験があることと、まずやってみようという実行する意思が大切だと言えると思っています。

ただ、上記の観察にしても、子供の観察眼や注意力だけでは気付かないことがあります。周りの大人の手助けや一言も大切になってきます。

このように考え始めると、実は親御さまと同様に理科を教える立場の者の責任も非常に大きいと言えます。理科の担当の先生によっては、下のクラスの生徒のテストの平均点を上のクラス以上にあげることが可能です。そのような先生を何人も見てきました。そのような先生に共通するのは、「話が面白い」、「表情が豊
か」、「身振り手ぶりなどの動きが大きい」、「いろいろなことを知っている(博識である)」という事です。

良い指導者に全ての子供が恵まれれば良いのですが、それがほとんど不可能な事ですから、どうしてもご家庭の理科力が必要になってくるとも言えるのです。

近頃、◯◯理科実験教室が大はやりです。ほんの数日前にも、「今後の理科のために◯◯実験教室に行かせる方が良いでしょうか?」というご相談をいただきま
した。理科が、いろいろな現象に結びついていますし、目に見える現象出ある事が多いものですから、経験を増やす意味において、有効です。

ここでご注意いただきたいのは、「お客さんにならない」事です。お友達がやっているのを横で見ているだけではお客さんになってしまいます。視覚、手触りや
匂いの感覚を総動員する事で、お子さんの脳に印象深く記憶されるのですから、引っ込み思案で参加するのは大きな損になります。「自分からいろいろやってみ
ると面白いものよ」と言って送り出してあげて下さい。

また、日常的にお子さんにいろいろなことをやらせる事はもっと大切だと考えています。

草に水をやる。

重いものを移動させる。

細かい物を摘む。

いろいろな物の匂いをかぐ。

お湯を沸かす。

これら全ての事が理科の経験につながる可能性があります。

理科好きな子にする方法(2)

前回は、理科が苦手なお子さんの例を書いてみました。今回は、得意になったお子さんの例をお知らせして、その理由を考えてみたいと思います。

 

□A君□

印象的だったのは、お母さんが理科好きだったことです。ちょうど私が「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)福岡 伸一著」を読み終わったころの話です。

 

 この書物で、生物学研究者の葛藤を垣間見ることが出来ました。

そのことは、他の生物学の書物とは大きく異なる点でした。

また、私がまだ高校生だった頃
に、奈良女子大出身のおばあちゃん先生(この先生には本当にお世話になったのですが)の生物の授業で、「ワトソン・クリックのDNA二重らせん構造」の話
を聞いた事を思い出しました。

生物学のすばらしさと、近年に発見された画期的な成果を興奮気味に話してくださった授業を、林に囲まれた木造校舎と共に思い
出したりしていました。

 

 A君は、理科で記述問題を多く出す学校を第1志望としていました。

お母さんから、「この学校は、理科の幅広い素養や雑学がある方が有利だと思うので、何
か良い本があれば教えて欲しい」と聞かれたものですから、ちょうど読み終わった「生物と無生物のあいだ」を、小6生にはちょっと難しいんだけれど、と思い
ながら紹介しました。

そうしたら、お母さんが、「この本ですか?まだ読んでいないんですがおもしろそうだと思って数日前に買ってきたんです。」といいながら、まさにその本を机に置かれたのです。

お母さんは、大学の文系学部出身ですが、理科分野への興味を持ち続けていらっしゃったようです。

本箱には、生物学や球物理学の読み物が何冊も収まっていました。

 

翌週伺ったときには、お子さんはまだその本を読んでいませんでしたが、お母さんは読み終わっていらして、「冒頭部分の野口英世の話と、内の内は外の話がおもしろかったですね」とおっしゃっていました。

理科の授業をしていると(私の授業は、基本的にはダイニングテーブルで行っています)、生徒以上にお母さんが熱心に聞いていらっしゃいます。

お子さんも、私の脱線だらけの授業に食らいついてきます。

フロンガスによるオゾン層の破壊の単元で、オゾンから活性酸素が出る話や、活性酸素はお肌に悪いこと、そ
のような活性酸素は過酸化水素からも出ること、その活性酸素が殺菌作用や漂白作用を持つ事まで話を広げていっても、興味深げな生き生きとした表情がか崩れることがなく、ますます熱を帯びてきます。

 

 このお子さんに対しては、考え方の正確さだけに注意しておくだけで大丈夫でした。

 

□B君□

 私の授業は、A君の所でも書いたように、どんどん脱線していきます。

出来る限り知識のつながりやネットワークを作ってもらうことを意識しているからなのですが、場合によっては簡単な実験が宿題になることがあります。

B君は、そのような実験を本当に楽しんでくれたという実感があります。お母様の協力も無視
できません。

 「牛乳にレモンを半分搾って入れてかき混ぜてから飲む」という宿題を出しました。

タンパク質は酸によって固まる事を確認するための実験です。

「ヨーグルトみたいでなかなかおいしかったよ。でも酸っぱすぎたから途中から砂糖を入れたらもっとおいしくなった。」という感想が聞けました。牛乳の実験
の後、お母さんの方から「じゃあ刺身だったらどうかな?」という発案がお子さんにあり、しめ鯖、サーモンのマリネを一緒に作られたそうです。

 

 重曹を使ってドーナッツを作るという宿題を出したこともあります。重曹をたくさん使ってドーナッツを作ると、大きく膨らんでおいしそうにできあがります
が、食べてみると苦くってとても食べられたものではありません。

炭酸水素ナトリウムがアルカリ性の強い炭酸ナトリウムに変わってしまうからなのですが。

お母さんは、笑いをこらえてそのドーナッツ作りに協力されたそうです。

その実験の後、B君から、「無理して苦いドーナッツを食べると、むかむかして食欲
がなくなってしまって、夕飯が少ししか食べられなかったんだ。

何でなの、先生?」という質問がありました。

そこで、家にある胃薬を持ってこさせて、その成
分表示を読ませてみました。その中に、「重曹」を見つけたB君は、まるで鬼の首を取ったように大喜びです。

「なぜ、胃薬に重曹が入っているの」(私)

「?????」(B君)

「じゃあ、胃液には何があるの?」(私)

「ペプシン」(B君)

「それだけ?」(私)

「あと、塩酸も。」(B君)

「あっ!塩酸を中和するためだ」(B君)

「良く気がついたね。強すぎる胃酸を弱めるためだね。重曹入りのドーナッツを食べ過ぎて胃酸が弱くなりすぎたんだね」(私)

「ところで、ドーナッツを食べ過ぎたとき、ゲップが出なかった?」(私)

「出たよ。」(B君)

「それて何かな?」(私)

「重曹と塩酸だから、二酸化炭素!」(B君)

B君は得意満面です。

このような会話が頻繁にありました。

そして、「なぜなの?先生」が口癖のようになっていました。

このB君、小学校低学年までの愛読書は、「子供の科学」と「朝日小学生新聞の科学欄」だったそうです。

子供の科学に書いてあった実験は欠かさずやったということをお母様からお聞きしました。

カブトエビを死なせてしまって大泣きしたこともあるそうです。

 

□Cさん□

 理系の大学を最終目標にして、上位の私立中学を目指している女の子です。

電磁気の単元で、簡易モーターがどうしても解けません。次週までの宿題として、「エナメル線・クリップ・紙やすり・消しゴム2つ・丸い磁石・電池と電池ボックス」を東急ハンズで買ってきて作るという宿題を出しました。

紙やすりを使って、エナメル線を半分だけはがす方法は事前に教えておきました。

 翌週、「先生回ったよ、これこれ!」とやってみてくれたのですが、前日まで回っていたモーターが回りません。

乾電池を新しいものに換えてもダメです。C
さんは今にも泣きそうです。

電池ボックスやクリップに巻き付けた銅線がさび始めていて電流が流れにくくなっていたことが原因です。

「ここを半田付けすれば、こんな事にならずにすむんだけれどね。」と慰め、簡易モーターが回る理由の説明を始めました。

 

翌週です。「先生早く早く。」

ダイニングテーブルに行くと、半田ごてと半田、そして先週うまく回らなかった簡易モーターが置いてあります。

「半田で止めると、錆びないからうまく回ると先生が言ったから、半田ごてを買ってもらったの。」

Cさんはうれしそうです。

私自身、学生の頃からのオーディオマニアで、真空管アンプなどを自作していましたから、半田付けは得意中の得意です。

数分で半田付けを終わり、電池を入れると簡易モーターが回り始めました。

「やったー!先生ありがとう。」

その後、Cさんは電磁誘導やモーターの単元では完璧な出来を示すようになってくれました。

 

このように、私が知っている理科が得意な子供は例外なく、やってみることに強い興味を示します。このあたりにヒントがありそうです。

次回はそれをもう少し深く考察してみたいと考えています。

理科好きな子にする方法(1)

□理科を得意な子にするために(1)□

 

「理科や社会は暗記教科だから、いざとなれば6年の2学期から集中的に覚えさせれば何とかなる」という意見を、いまだに聞くことがあります。

 

確かに、中学受験の社会だけは、並列知識の暗記でとりあえず何とかなる部分が大きいのです。

 

関西圏の難関校の多くが3教科入試(算数・国語・理科)を続けているのは、考える力を重視しているからなのかもしれません。

 

だからでしょうか、お寄せいただく相談メールの中で、「丸暗記の算数になっていて、成績が伸びない」というご相談は、首都圏が圧倒的に多いのです。

 

理科は、知的好奇心が重要な教科です。暗記だけでは何ともしがたい部分がある教科だとも言えます。

 

「そんなことはない」と思われる方は、麻布や渋々の入試問題をご覧ください。

 

大人でも、「なぜなんだろう?」とか「へ?そうだったんだ!」という驚きを持って問題文を読み進めることになると思います。そして、その疑問に対する答えが、文章の中に控えめに書かれています。

 

「なぜなんだろう?」という疑問を感じていないとなかなか見つけることが出来ないように書かれているのです。これが、答えを見つけるヒントになります。

 

思いつくままでも、「海嶺での堆積物の変化」「カーボンマイクの仕組み」「元素の半減期」「自転車の進化」などなど、小6生が知っているはずがないことが出題されています。

 

それらの知識を持っていることが要求されているのではなく、始めて見聞きする知識や事象に出会ったときに、因果関係や原因に興味を持ち、論理的な思考が出来ることを要求しているのです。

 

 このように、要求されている物が知識でない以上、そのお子さんが積み上げてきた経験が試されているも言えます。見た物、触れた物、聞いた物、そしてそのときに感じたことや考えたことなどの経験値がものを言ってきます。

 

それでは、どのようなお子さんが理科を得意になるのでしょうか。

 

 

私の経験からは、下に書いたような子供が理科を得意になることが多いように感じます。

 

1 「なぜそうなるの?」とすぐに聞ける子。

2 「ということは、○○と言うことね」と自分なりの言葉に置き換えることが

  出来る子。

3 手先が器用な子。(夏休みの工作が大好き)

4 お父様かお母様のどちらかが理科好き。

5 いろいろな物を見たり、聞いたり、触ったりした経験の多い子。

 

 

 

□どんな子が理科が苦手なの□

反対に、理科が苦手だったお子さんの例を書いてみたいと思います。

 

 小6の2学期に、理科の問題を解かせているときのことです。

「その植物は単子葉を選べばいいの、双子葉を選べばいいの?」(私)

「単子葉。」(生徒)

「そうだよね。じゃあ、選択肢の中にある単子葉は?」

「????」(生徒)

「単子葉というのは、葉っぱが広いの?それとも細長いの?」(私)

「細長い。」

「そうだよね。よく勉強しているね。じゃあ、イネの葉っぱはどう?」

「わからない。」(生徒)

「田んぼに植えられているイネだよ。」(私)

「見たこと無いからわからない。」(生徒)

 

 

このお子さんは、イネも、オオバコも、ナズナも知っていませんでした。

 

入試によく出る草花を、双子葉と単子葉に分けて丸暗記をしてもらうことで、入試を乗り切ってもらいました。

 

 

別のお子さんの例です。

 

 燃焼の単元をやっているときでした。

 

燃え方を選択肢から選ぶ問題をほとんど間違っていました。

「木炭って、何かわかる?」(私)

「わからない。」(生徒)

「炭だよ。バーベキューのときに使う真っ黒いやつ。知ってる?」(私)

「バーベキューしたことないもん。」(生徒)

「そうか、見たこと無いんだ。じゃあ覚えておいてね。木炭のように個体がそのまま燃える場合は、炎をあげずに赤くなって燃えるんだよ。気体が燃えて出来るのが炎だからね。台所のガスコンロは、都市ガスつまり気体が燃えるから炎が出るだろ。」(私)

「わからない。だって家の台所のコンロは火が出ないもの。」(生徒)

 

そう言えば、このおうちはオール電化になっていました。

 

次回は、どうすれば理科好きになるのかを考えてみたいと思います。

サピックス生は、四谷大塚の合不合判定テストを午後に受けるべきか?

先週末に四谷大塚の合不合判定テストと、サピックスの合否判定テストが実施されました。

 

昨年までは、サピックスの生徒は四谷大塚の合不合判定テストを受けていたのですが、今年度から自前のテストを受けることになりました。

 

今回は、午前中にサピックスのテストを受け、午後からは四谷のテストを受けた方が多かったのではないでしょうか。

 

今回は、「サピックスの合否判定」「四谷大塚の合不合判定テスト」「日能研のセンター模試」「首都圏模試センターの首都圏模試」の特徴をまとめてみたいと思います。

 

 

□サピックスの合否判定□

受験する生徒の母集団の学力が一番高い。御三家やそれに準ずる学校に対して合格の可能性を探るには最適なテスト。

その反面、偏差値50程度以下(四谷合不合偏差値で55程度以下)の学校に対しての判定は難しい。

その層の受験生の人数が少ないことと、それらの学校で出される問題よりも数段難しい問題構成であることが理由。

受験するのは、ほとんどがサピックス生。

 

 

□四谷大塚合不合判定テスト□

四谷大塚生、YT提携塾、早稲田アカデミー生を中心に、多くの塾の生徒が受験する。

受験生の学力レベルがまんべんなく散らばっている。

昨年までは、サピックス生が受験していたため、御三家の判定にも信憑性があったが、今年度については不明。

中堅上位から中堅下位のレベルの判定の質は充分に保たれると考えられる。

しかし、この規模の試験であっても、新設校や中堅下位よりも偏差値の低い学校の判定は難しい。

入試予想の偏差値表は、コンピューターから打ち出された生データーに近く、政治的な判断が働いていないことも、信頼できる要因の一つ。

 

 

□日能研のセンター模試□

普段はセンター模試という呼び方になるが、小6の8月からは合格判定テストという名称になる。

全国の日能研生が受験するために、御三家レベルの層も厚い。

(関西日能研の灘や神戸女学院志望者も受験する)

非常に易しい問題から、正答率が1%に満たない難問までが出題される。

受験生の分布に合わせた出題のためと考えられるが、どの層にとっても若干の不安要素となっている。

返却時に受け取ることが出来る資料の充実度は群を抜いている。

学校情報や、個人の得意不得意分析は当然として、中学入試に使われた文章の著者ランキングまでもある。

読み切ることすら大変な量である。

 

 

□首都圏模試センターの首都圏模試□

特定の塾が主催する模試ではなく、首都圏模試センターが管理運営している。

市進学院、栄光ゼミナール、中萬学院、トーマス、ENAなど多くの塾が参加している。

他の塾主催のテストに比較して、基本的な問題が多いことが特徴。

受験者層を考えると、御三家レベルの判定は厳しいと思われる。

その反面、中堅以下の判定に対しての強みを持つ。

四谷偏差値で45以下の学校に対しては、このテストの判定を大切にしたい。

合格可能圏の判定が少し甘いとの風評がある。

 

 

上記のように簡単にまとめてみました。

サピックスのお子さんは、四谷大塚の合不合を受けるべきかどうかは、現状の学力と志望校によって分かれます。

 

アルファ1・2の開成、麻布、桜蔭志望者はサピックスのテストだけでも良さそうです。

(女子学院、慶応付属、早稲田系列、武蔵は他流試合の必要がありそうです)

 

でもそれ以外を志望されている場合は、四谷大塚の合不合判定テストも受験されることをお勧めしておきます。

 

また、併願校に午後受験をお考えの場合、「うちの子は午前・午後と連続して受験しても大丈夫か」の判断に使えます。

問題傾向による受験校の選定

前回は、ご家庭の教育方針やお子様の将来設計に基づく志望校の設定方法について書いてみました。

 

今回は入試問題の傾向による志望校の設定方法です。

 

非常に長文になってしまいました。

最後までお読みいただけないのではと、心配しています。

 

 

□お父さん本気ですか?「女子学院と渋谷教育学院渋谷」□

あるご家庭に体験授業に伺ったときのことです。

お父様が、

「女子学院が第1志望ですが、出来れば渋谷教育学園渋谷も受けさせたいと思っています。」

とおっしゃいました。私は、思わず

「えっ!本気ですか!」

叫んでしまいました。

 

今の学力では、女子学院の合格可能性は50%、渋渋は40%から60%です。

 

どちらか一方の傾向対策に集中する事が出来れば、間違いなく合格させる自信はその時点で持つ事が出来ました。

 

ところが、両方と言われると、入試までの学習スケジュールが思い浮かばないのです。

 

多量の問題を、てきぱきと正確に処理をしていく訓練が中心となる女子学院に対して、じっくりと設問を読み、出題者の意図を確実にくみ取って答える訓練が必要になるのが渋渋です。

 

そのお子さんのこれまでの学習は、明らかに女子学院に向けての学習方法でした。

 

日能研から出される宿題は確実にこなし、それ以外にもいろいろな問題集で、多量の問題を解いていましたから、スピードは充分です。

 

ですから、女子学院に合格させるためには、ミスをせずに確実に解く練習を重ねていけば良い状態です。

 

問題文を素早く正確に読む練習と正確に処理をする訓練です。

 

ところが、渋谷教育学園渋谷の場合は、まず記述力の壁があります。

 

また、その前に出題者の意図を正確にくみ取る練習が必要です。

 

例えば、女子学院の理科の場合は、問題文をじっくりと読まなくても、パッと眺めて文中の単語や数字から問題が予想でき、しかもその予想はほとんど外れません。

 

一方渋渋は、「○○○○ということは分かっている。□□ということも分かっている。その上で△△ということが分かっている場合はどうなるのかを理由を含めて書け。」というような問題です。

 

これまでに覚え込んできた知識を無条件に使えば良いというわけにはいきません。使える条件と使えない条件をきっちりと意識して答えることになります。

 

女子学院対策では、「とにかく早く正確に」と言い続けなければいけませんが、渋渋の場合は、「ゆっくりでも良いから、とにかく設問をじっくり読め。その上
で、何が分かっていて何を答える問題なのかを、自分の頭の中の言葉でとらえ直せ。」と言い続けることになります。

 

これは両立するはずがありません。

 

お父様には、「8月いっぱいまでは、一般的な学力をつけることと、ミスを減らすことを目標にやっていきましょう。言い換えれば日能研のテスト対策です。でも9月以降は、どちらか一方の学校の対策に絞っていきましょう。」と申し上げました。

 

 

 9月以降、

 

「アメリカのトップランクの大学に二桁以上の合格者を出している渋渋の指導体制に魅力を感じます。」というお父様の方針で、渋渋を受けることになりました。

 

結果は、渋谷幕張と渋谷渋谷に合格しました。女子学院と渋渋の両方の対策を続けていたらどうなったかわかりません。

 

入試問題は、学校によって出題傾向が大きく異なります。

 

 

第1志望校を決める場合はもちろんですし、第2第3志望を決めていく場合も、問題傾向を分析されることをお勧めします。

 

□第1志望校の決め方□

ご家庭の教育方針やお子様の将来像、そして学力に見合う学校群の中から、お子様が取り組みやすい出題校を選ぶ事が無難です。

 

 ○○中にどうしても合格させたいという、特定の1校狙いの方も多数いらっしゃいますね。その際は、

 1 合格可能性80%ラインの偏差値に、あと6?8点以内に入っている。

 2 志望校対策に3ヶ月は以上はかける。

の2点に注意してください。

 

 

志望交対策については、親御様のお力だけではやりきれないことが多いのです。

 

その際は、力量ある第3者の力をお借りになることも必要です。

 

その際は、本当にスキルの高い個別指導や家庭教師を捜し当ててください。

 

私たちのように、「警報機の鳴り始めた踏切を、遮断機が降りきる前に無事に渡り終えさせる」ような経験を重ねている所にご相談いただく事が良いのでしょう
が、人員の都合で、ご希望のあったお宅に全て伺うというわけにはいかない事が毎年繰り返されていることが悩みの種です。

 

 

□第2第3志望校の決め方□

第1志望校と問題傾向が似ている所を選んでください。

 

神経質に考えすぎることはありません。あくまでも極端に異なる傾向の学校を選ばなければ大丈夫です。

 ・記述問題が多い、少ない

 ・解答欄が答えだけ、考え方や式の欄がある

 ・問題数が多い、少ない

 ・試行錯誤をする問題が多い、少ない

 ・問題文の文字数が多い、少ない

上記のような問題の特徴から考えて行く事になります。

 

 

大まかには、下記のことを参考にしてください。

 

●開成タイプ

 開成・筑駒・栄光・(渋幕)・栄東・開智・市川・(淺野)

 (開成の国語には、麻布や桜蔭の問題演習も有効です。)

 (筑駒の算数対策には、灘が必須です。)

 (渋幕と開成とは出題傾向は違っていますが、この併願者が多いために加えて

  おきました。)

 

●麻布タイプ

 麻布・渋幕・渋渋・海城・(芝)

 (麻布の国語対策には、開成・桜蔭の問題演習も有効です。物語文を選んでやっ

  てください。)

 (麻布の理科対策は、過去問演習の時に、問題文をしっかりと読み取る練習をす

  るかどうかで、効果は大きく変わります。また、西大和の新出問題や灘の文字

  数の多い問題も無視できません)

 

●桜蔭タイプ

 桜蔭・豊島岡・浦和明の星・(市川)

 (桜蔭の算数は「男まさり」です。開成や灘の1日目を忘れずに。)

 (理科の計算単元は、桜蔭よりも豊島岡の方が難しい年もあります。豊島岡の

 得点に一喜一憂しすぎるのは良くありません。)

 (桜蔭の国語は、開成や麻布も有効です。また、日本女子大附あたりの選択肢

 の問題を、記述形式に変更して解かせるのも有効です。)

 

●女子学院タイプ

 女子学院・鷗友・サレジオ・頌栄

 (女子学院の理科と社会は8割以上を目標に。メモリーチェック・コアプラ

  ス・4科のまとめは、繰り返してください。)

 (女子学院の算数は、近年若干難化傾向。)

 

●慶応タイプ

 慶応中等部・慶応普通部・慶応藤沢湘南・青山学院

(慶応3校の算数は、とにかく基本重視です。基本パターンの学習を念入りに。)

(理科では、風物詩や旬の果物などの生活知識が必要。日常での会話を大切に。)

(難問を解くより、基本を確実に正解する練習を。)

 

●学習院女子タイプ

 学習院女子・白百合・清心

(とにかく記述力が勝負。どの深さまで要求されているのかを見極める練習を重ねてください。)

 

●芝タイプ

 芝・淺野

(万人向きの良問。上位校を狙う人の総合演習問題として最適。)

 

上記のグループ分けは、傾向対策として類似問題の演習問題を選ぶ場合に参考にしていただけると思います。

 

 

 

首都圏の最上位レベルの学校を受験する場合に注意していただきたいのは、関西圏の入試問題の傾向の変化です。

 

算数と理科については、関西圏の入試問題の方が首都圏よりも難しい事はご存じだと思います。

 

また、関西圏で出題された問題が、数年後首都圏で出題される事がよくあります。

 

ですから、必要に応じて関西圏の問題も使っていくと有利になる場合が多くあります。

 

開成・麻布を考えている場合は、灘・東大寺・洛南・西大和の算数や理科は既に必須になっています。

 

また、桜蔭の場合には神戸女学院の算数と理科は無視できません。

 

そろそろ受験校を決める時期

小6生にとっては、天王山の夏が終わり、志望公合否判定で一喜一憂する季節になってきました。

 

得点力を高める事とともに、「うちの子にあった学校を選ぶ」こともこの時期の大切な事です。

 

今回は、学校選びで注意していただきたい事を書いていきます。

 1 学校偏差値だけで志望校を決めない。

 

偏差値が高いことがその学校の良さを証明しているわけではありません。

 

本来なら、その学校の授業内容をチェックして、うちの子に合う指導がなされるのかどうかを見ることが出来れば理想なのですが、それは不可能です。

 

私たちのように中学受験後も指導を継続し、各先生方の情報を共有している場合は、ある程度その学校の内情がわかっています。

 

たとえば、

 

・校名を変更し、大学受験指導に邁進し始めたという評判の学校では

「校長先生のかけ声とは裏腹に、現場の先生方の力量が疑問。どうも授業の工夫が無い。騒がしくて授業になっていない教科もあるようだし。特に問題なのは、
主要教科の日々の宿題だな。カリキュラム進度だけは最上位の進学校とそろっているんだが、これで大学合格実績が上がるんだろうか。」(N講師談)

 

・女子中としては珍しく理系に強い都内の学校の場合

「まじめな先生が多いし、生徒も概してまじめ。宿題量も多すぎず少なすぎず、よく考えられている。数学の公式丸暗記から始まる授業ではなくて、考えさせる授業をしているのは立派。学校内順位を上げることが大学受験成功の近道だと自信を持って言える。」(M先生談)

 

・スパルタ学習で有名な都内の男子中では

「まるで、あまり良くない予備校か塾の授業だな。基礎を理解させずに無闇に難問ばかりをやらせる。宿題も極端に多いから、生徒に「じっくりと考えろ」と強
制しにくい。どうしても解き方の丸暗記に走る。校内試験でほどほどの点数は取れるだろうが、2次が難しい国立大学の数学には対応できないんじゃあない
か。」(T講師談)

 

・歴史のある有名女子中では

「毎日学校に行くのが楽しいようだ。クラブ活動も盛んだし、先輩との関係も良好。英語と国語を頑張って、上位私立大学を狙う作戦が成功しそうだ。遊びほう
ける子は噂ほどには多くはないようだ。まじめに勉強をしている。6年間の楽しい学校生活を送って、しかも、文系大学に進学するには最適な学校だという印象
は変わらないな。」(N講師談)

 

 

このような、具体的な細部の情報を親御様が得ることはほとんど不可能なのですが、校風や子供たちの様子、そして先生方の雰囲気を知る方法はあります。

 

 2 先生情報を大切に。

今の時期から12月までは学校説明会のシーズンです。

 

また、近年体験授業を実施する学校も増えてきました。これらのイベントは、学校側の「建て前」を聞かされるだけという冷めた意見もありますが、なかなかどうして内情が垣間見えるものです。

 

先生方の熱意や先生方同士のコミュニケーション、勉強や学問への探求心を充分に感じ取れるものです。

 

また、その学校がどのようなお子さんを欲しがっているか、どのような生徒にしていきたいと考えているのかは、明確にわかります。

 

 それと、どんな子が通っているのかが気がかりですよね。それを見る良い方法があります。

 

それは、下校時間に生徒たちのグループと一緒に歩いてみることです。

 

悪ふざけもしているでしょうし、先生の悪口もしているかもしれません。

 

そのような普段の生徒たちの様子を知ることが出来ます。

 

そのグループに「うちの子がいたら」、親御さんが嬉しいと感じられるか、嫌だと感じられるかが大切な事です。

 

 3 親御さんが、お子さんの将来像をイメージすることから学校選びをスター

   ト。

 

親御さんが、お子さんの将来の幸せのイメージをお持ちになることは常に必要なことなのです。そして、志望校を決める段階では、そのイメージをより明確にしていく必要があります。

 

 ・医学部を出てお医者さんになって患者さんに感謝されている。

 ・留学後、英語がぺらぺらになって世界中を飛び回るビジネスマンになって

  いる。

 ・ロボットや機械類が好きだから、世界で通用する技術者になって欲しい。

 ・ピアノをこのまま続けて、芸大のピアノ科に進ませ、その道で一本立ちさ

  せたい。

 ・6年間を楽しく過ごして、良いお友達を一杯作りながら、自分のやりたい

  ことを見つけてくれれば。

 

 

いろいろな幸せイメージがあるはずです。

 

そのイメージは、ある程度お子さんと共有されている必要があります。

 

この機会に、お子さんと充分に話し合われる事が必要です。

 

 

 その話し合いの中で、○○中は、なんとアメリカの一流大学に10名も合格したんだって、とか、勉強が特別にハードでもないし音楽クラブが充実しているか
らピアノの練習が思いっきり出来そうね、また、理系教科の指導に定評があるからあなたに向いていそうね、などの情報も与えてあげてください。

 

学習意欲の面でも良い影響があります。

 

 

 親御さんとお子さんの将来の幸福イメージに合う中学校を選んでいくことになります。

 

 4 入試問題との相性で決める

 

 

この詳細は、次回にお書きしますね。

夏休み直後の組分けテスト

□夏休み後の小6組分けテスト□

 

 

サピックスでも、四谷大塚でも既に組み分けテストが実施されました。

 

夏の学習の成果は現れていますでしょうか。

 

 

■あんなに頑張ったのに、点数があがっていない■

 

 

実はこのようなお子さんが多いのです。

 

夏休みの学習は、体調や気力を考慮して、日々の学習を微調整して行くことが大切です。今年のように暑過ぎる夏はなおさらでした。

 

夏に、あんなに学習を頑張ったのに点数が上がっていない理由の多くは、テスト当日のコンディション調節の失敗です。

 

 

下記の内容をチェックしてみてください。

□前日はしっかりと睡眠時間をとった。

□夏期講習の後半は、どっしりと落ち着いて学習出来た。

(あたふたした学習から抜け出せた)

□テストの数日前から、問題文をしっかりとよむ練習を取り入れた。

□テストの数日前から、丁寧な字で計算をする練習を取り入れた。

 

いかがでしょう。

 

各塾共に、夏期講習では、多量の問題をスピーディーに解く練習を重ねてきました。

 

パターンの確認に重きをおいた学習だったはずです。

 

早稲田アカデミーや日能研、四谷大塚(Sコース以外)は、テキストの構成もそのようになっています。

 

これが落とし穴です。

 

一方、今回の組み分けテストは、例年どおり入学試験を意識した文章の長い問題や、パターンから少し外した問題が多かったのです。

 

問題をながめた瞬間に、頭の引き出しからその問題の解き方を探し出して、素早く解くという条件反射的な学習をしてきたのに、実際の組み分け問題は、問題文
を丁寧に読んで、わかっていることは何か(条件整理)・聞かれている事は何か、の2点を正確に捉えて解く問題が多かったという事になります。

 

 

まず、テストの問題用紙に残った計算のあとや、メモ書きをしっかりと見てあげてください。

 

「あっ、こんな引き算をまちがっている」とか「こんな雑な考え方をしている」、また「あんなに学習をした事をちゃんと思い出せていない」というような事に気付かれるはずです。それを今後の学習に生かしていただきたいのです。

 

こんなミスをして!と叱るのではなくて、

「もっと丁寧な数字で計算をしていればどうだったと思う?」

「後5秒でもいいから、思い出す努力をしていたらどうだったと思う?」

というように、お子様自信が改善すべき点に気付くように話しかけてあげて欲しいのです。

 

そして、

「夏がんばったのに、思ったような点数がとれない子って多いんだって。そこで諦めずに、欠点を修正出来た子は必ず次のテストで、夏の頑張りの成果が出るそうよ。」と言ってあげて下さい。

 

これは、長年生徒の指導をやってきた私の実感です。

 

あと、数週間で四谷大塚の合不合判定テストやサピックスの合否判定テストがあります。

 

それにむけて、今から心身のコンディション調節をはじめてあげてください。

お母様も、ミラーニューロンに注目

前回、ミラーニューロンとは、相手に共感する能力の源になっている物として注目されている物だと書きました。

 

生徒の共感を得るためには、塾の講師は、ミラーニューロンの働きを活性化するオーバーアクション気味の方が良い理由も書かせていただきました。

 

お母さんとお子さんの感家で見た場合、お母さんの喜びや嬉しさまた悲しみや苛立ちを感じる能力を、お子さんは本来的に持っているという事になります。

 

以前、

「なぜこんな問題が解けないの!」

という罵声やその後の小言は、お子さんの耳には届いていても、その意味を理解できる精神状態ではないようにしてしまうという事を書きました。

 

お母さんが、苛立った様子でお子さんを叱った場合、お子さんの気持ちはお母さんの苛立ちに共鳴してしまうと考えられます。

 

そして、お子さんの苛立ちが、お母さんの気持に共鳴してますます大きな渦になって行く事になります。大人同士でもよくありますよね「売り言葉に買い言葉」。

 

親子の間での最後の捨て台詞が、「うるさいクソババー」です。

 

お子さんを勉強に向かわせてあげたいという親心から発した言葉が、ボタンの掛け違いから、お互いの苛立ちを増幅してしまうことがよくあります。

 

親御さんには、「前向きの気持の共鳴」を上手に利用していただくことをお願いします。

 

そのために工夫出来ることは、

 1 感情が高ぶったら、10秒待つ。

(お子さんの顔をしげしげと眺めながら)

この10秒間に、親御さんはいろいろなことを考えたり感じたりされるはずです。

 

「うちの子なりに、頑張っているんだけれど」

とか、

「あの子なりに、シマッタと思っているようだ」

とか、

「自信を無くして、ちょっといらついているのかな」

という思いが、この短い時間に沸き起こってくるものです。

 

 

その様子を見ているお子さんは、

「いつも瞬間湯沸かし機のように怒りだすお母さんが、何か考え込んでいる」

 

ということを感じたり、感受性の高いお子さんの場合は、

「お母さんなりに冷静になろうと努力しているんだ」

というようなことまで感じ取ったりしてくれることもあります。

 

その、10秒がすぎたあと、

 2 言葉かけは、「近い将来の成功の予感」を感じさせる事を心掛ける。

(自信に満ちた表情で明るく)

 

例えば、

「普段から、塾の先生にも言われているように、ノートに書く数字や文字を読みやすくしていれば、この25点分のミスは防ぐ事が出来たと思うんだけど、どう思う?」

「うん」

「あなただったら、これから注意してやっていけそうね。そうしたら、次のテストでクラスアップも出来ちゃうかもね。」

「今回の点数は、神様が「このままじゃあこれから困る事になるから」とサインを送ってくれているのかもね。神様は、何を変えなさいといってくれているのかな?」

「宿題をやり切らずに塾に行っている事かな。」

「じゃあ、これからは宿題をちゃんと出来そう?」

「たぶん。」

「多分じゃあ困るけど、あなただったらできると思うわ。そうしたら、塾に行くのももっと楽しくなるじゃない。」

このような、言葉かけが出来たら良いですね。

 

 

そして、お母さんの表情が自信に満ちた笑顔なら最高です。

塾の先生に必要なオーバーアクション

 今回は、学校や塾の先生向けのお話です。

 

私も、長年集団塾で教えてきましたし、先生方の研修にも関わってきました。そういう中で経験したことの中から、近年の脳科学の成果に照らし合わせて、なるほどそういうことだったのか!と 感じたことを書いてみたいと思います。

 

 

 □人気のある先生は、オーバーアクション□

30人?50人もの生徒をぐっと引きつけて、60分の授業で学習効果を上げることが出来る講師というのは、例外なくオーバーアクションです。

 

身振り手振りも大きく、時には教室の中を歩き回ったり、走り回ったり。また、表情の変化も大きいのです。

 

逆に、鉄面皮・無表情の先生は人気がありません。話し方も一本調子、授業を聞いていると眠くなってしまう。こんな先生が多いのですが。

 

ここ数年、ミラーニューロンについての書物を何冊か読む機会がありました。

 

この研究成果はまだ学説という仮説の段階なのか、事実として受け止めて良い段階なのかは、専門家でない私には何とも言えないのですが、経験上なるほどと思えることが多いのです。

 

「速さ」の説明を授業でするときに、全力疾走のジェスチャーをして、息が切れてゼイゼイと荒い息をしている様子を演技しながら授業をする先生と、いきなり速さの3公式を教える先生の、生徒に与えるインパクトは大きく異なります。

 

 

教壇の前で、走る演技をしている先生を見ている子供たちの頭の中には、疾走しているときの景色の流れや、自分自身の荒い息づかいまで思い浮かんでいるかもしれません。

 

「速さとかかる時間は反比例する」ということを理解させる道筋として、「息が切れるほど速く走れば、早く着ける」という子供たちの経験を喚起することで、いきなり納得させてしまうことが出来ることになります。

 

理科で、条件反射の説明をするときに、熱湯の入っているヤカンに手を触れてしまって、思わず手を離す場面の演技がうまくいくと、不思議に子供たちの理解がスムーズに進むことを何度も経験しています。

 

ミラーニューロンは、例えば、「梅干しを食べて、酸っぱさに思わす口をすぼめた相手の様子を見て、見ている人も酸っぱいような気持ちになる」という働きに関わっています。このような共感性をほとんどの人が共通に持っていることが証明されつつあるようなのです。

 

 オーバーアクションで、生徒の人気を得ている先生は、「パフォーマンスで生徒の人気とりをして」というような、やっかみの視線を投げかけられることが多いようなのですが、自信を持ってそのスタイルを続けてください。

 

 「理解を納得に落としこむ」ことが教える者の大切な力量です。オーバーアクションのパフォーマンス型の授業は、子供を教える際の非常に有効なスタイルだと思います。

 

 

次回は、子供を励ましたりねぎらったりする場合の、抑揚や表情の変化について書いていく予定です。

 

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