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■夏に備えましょう
もう5月も下旬ですね。6月は祝日がなく、天候も不順であることが多いので、お子さんのモチベーションも上がりにくい時期ですが、あっというまに夏はやってきます。夏に備えていくつか意識していただきたいことがあります。
6年生は、夏休みに非常に忙しい毎日を過ごすことになります。たとえばサピックスなら13時〜19時まで、塾に拘束されます。夏期講習のテキストをご覧になったことがある方はわかると思うのですが、算数の1日分の量は、B4のプリントが20枚程度あるのです(もちろん裏表印刷です)。普通に考えて、とてもお子さんが簡単にこなせる量ではありません。
それでも多くのお子さんはできるだけこなそうとしますから、講習期間中の貴重な「空き時間」である午前中は、他教科も含めた「宿題消化」の時間になるはずです。ここで注意しなければならないのは、やはりこれだけの量をこなそうとすると「覚えて当てはめる」という「作業」中心の学習になってしまいがちだということ。ときどきチェックする必要があります。
これに、「有名中学入試問題集」という過去問の演習が「家庭演習用」として指定されます。
もちろん講習会は算数だけではありません。他教科の宿題もあります。バランスよく学習を進めるには、午前や講習の空き日の時間の使い方をあらかじめ決め、決めた時間内にこなせる量がんばる、といった工夫が必要です。
そんな夏を過ごす前の時期に当たる今は、ハードな夏に備えて1つでも2つでも苦手分野を解決しておきたい、というのは前回もお伝えしたとおりです。
■うまく日程を調整しましょう
ふだんの宿題もあるし、なかなか時間が取れないと思うのですが、たとえば千葉県の方は6月15日は「県民の日」で学校がお休みですね。サピックスにお通いのお子さんなら、7月の21日から24日は塾が休校です。そういった「すきま時間・休日」をうまく確保して上手に使いたいものです。
学校が夏休みに入ってから塾の夏期講習が始まるまでの期間、そして夏休み前の短縮授業期間など、地域や学校によっても違いますが、夏休み「前後」の期間はわりと時間が取りやすいのです。
その時間を使って解決する苦手単元の問題などを、あらかじめ用意しておきたいですね。
4年生・5年生は、6年生に比べると夏休み中も時間を取りやすいですが、前後の期間もなんとなく過ごしてしまうともったいないです。あらかじめ「いつ、何をするか」を決めておくといいでしょう。
そして、決めた予定はカレンダーに書き込むなどしてお子さんにも共有しておきましょう。お子さんもあらかじめ「来週の休みの日は◯◯をするんだな」ということがわかっていれば、友達と約束してくることもありません。
■ターゲットとなるテストに備える形で
いつのテストで、目標とする偏差値がいくつ、そこからさかのぼって考えると・・・と、つねに「逆算思考」の考え方でやるべきことを決めましょう。特に6年生は、夏までにひとまず第一志望校を決めておきたいところです。その意味でも、夏までのテストで何を達成したいかを考え、それに向けて学習計画を立てなければなりません。
サピックスの6年生は6月のオープン、7月の組分けテストを目標に、四谷大塚・早稲田アカデミーなら7月10日の合不合判定テストが対象になりますね。日能研は毎月の公開模試がターゲットです。
受験校に関しては、塾から「お勧め」が示される場合もありますが、ご家庭が中心となって決めましょう。ちょっと身も蓋もない言い方になりますが「6年間通わせる価値を感じる学校かどうか」が何より重要な判断基準となります。
夏に向け、学校情報の収集も大切になってきますね。しっかり備えていきましょう。
■お出かけに「目的」と「イベント」を
ゴールデンウィークが近づいています。お子さんが高学年のご家庭、特に6年生のご家庭は「思い切って遠出」とはいかないかもしれませんが、5年生以下なら、お出かけするご家庭も多いのではないでしょうか。
お泊りだったら、もう行き先は決まっていますね。自然の多いところを訪れるなら、花の季節を最大限に活用しましょう。理科の学習で出てくる植物は、野草レベルのものが多いので、お出かけ先でいくつも見つけられると思います。
カラスノエンドウ・スズメノカタビラ・ハルジオン・ハコベ・ノゲシ・ナズナ・ハハコグサ(ゴギョウ)・・・数え上げればきりがないくらい、(中学受験の勉強に関係あるものに限りませんが)花であふれています。
実は自然の多いところでなくても、町中のちょっとした植え込み、花壇などにも「学習のネタ」はたくさんあります。
「学習」としてではなく、「よく見る」だけを心がけて植物を見る習慣をつけてみてください。人はよく見ることで、気づかないうちに共通点を探したり、「どうしてそこに生えているのか」と考えるものです。
こういった視点が高学年での伸びにつながっていきます。
■高学年なら、半日でできるフィールドワークがオススメ
さすがに高学年のお子さんのご家庭は、遠くへ旅行と言う訳にはいかないでしょうか。そんなご家庭には、半日でできる「フィールドワーク」がおススメです。
首都圏にお住まいなら、周りは歴史で言うと「近代」のまさに表舞台。特に暗記が大変な近代〜現代の歴史の、一部でいいから下調べの上でたどるのです。1860年、時の大老、井伊直弼が襲撃された「桜田門」は実際どんなところなのか。今はどうなっているのか。その門は江戸城のどのあたりに位置していたのか。
そんなことを調べ、歩き、そして記録する。そんな作業はまるで歴史学者かジャーナリストにでもなったような気分をお子さんに味あわせてくれます。親子で楽しんでもいいですね。
関西なら古墳の頃から平安の貴族の時代まで、訪れて学べる場所は数えきれないほどですね。訪れるべき寺社仏閣も、全国有数です。
■勉強とレクリエーションのバランスを
ふだん私がオススメしているように、もちろんゴールデンウィークのようなお休みは「ふだんやりたかったけど手付かずだった勉強」に取り組むチャンスです。そちらも計画を組んでしっかりやりつつ、メリハリのある休暇にしたいですね。
もう間近に迫っていますが、ゴールデンウィークに大量の宿題が出て塾はお休み、というタイプの塾なら注意してくださいね。その大量の宿題はほんとうに全員に、ぜんぶ必要かといえば、これはNOです。やっていかなかったら叱られる、という事情があるなら、まずは塾の先生に「絶対にやるべきこと」を教えてくれないか聞いてみるとよいでしょう。
何事も優先順位が大事、ということを理解している先生なら教えてくれると思います。「とにかくぜんぶやってきてください」なら、ご家庭で優先順位を考えるしかありません。私は「全部できていませんが叱らないでください。できなかった理由は・・・」というお手紙をお母さんに書いていただくようお願いしたこともあります。
大切な数日間、充実したものにしてくださいね。
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■「なるほどな」と思うことが快感
大人もそうですが、「なるほど、そうだったのか!」と何かがわかったとき、納得感を得たときに、子どもは快感を感じます。また、なにか問題を考えていて、パ〜っと視野がひらけるというか、「見通し」が立ったときも快感を感じるのです。これまでつけてきた知識が、新しく入ってきたものと結びついて、なにか新しいものになる。そのときがすごく「気持ちいい」のです。」
家庭教師としてお子さんのすぐ横で見ていると、そんなときお子さんの表情、そして息遣いが変わります。だから、子どもがわかっているかどうかを確かめるのには、表情を見るのが一番だし、わかると快感が得られるから楽しいので、楽しそうに勉強するものです。
分かれば楽しいし、楽しければもっと勉強したくなるという好循環が生まれるわけです。
■「ちょっとがんばればできるようになる問題」に集中する
では、どうすれば楽く勉強できるようになるかです。
「楽しくない勉強」の代表例の1つが「あたふた学習」と私が呼んでいるものです。毎週出るたくさんの塾の宿題を「片付ける」ことが目標となってしまい、「とにかく答えを出す」ということばかりに意識が行ってしまう状態です。
この状態になりやすいのが、塾の学年上がりの時期。勉強の内容が難しくなり、宿題も増えるから、とにかくどんどん片付けなくちゃ、という気持ちになりやすいのです。そういう時ほど、「楽しむことができているか」に気をつけてあげなければなりません。
「あたふた学習」ではなく、1つ1つしっかり考えて勉強することができれば、お子さんは楽しく勉強できるはずです。「1つ1つしっかり考えて勉強」したいけど、宿題が増えてどうしても「あたふた」になってしまいがちなら、「もうやらなくてもできる問題」は省き、「ちょっとがんばって考えればできそうな問題」に時間を割くことです。
つまり、私が普段から提唱している「◯△☓勉強法」を徹底することで、宿題を取捨選択するのです。「◯・・・もう理解できていて自力で解ける問題」や「☓・・・全然わからない問題」に費やす時間をできるだけ少なくして、「△・・・ちょっとがんばればできそうな問題」に集中するのです。
■「成功の予感」が先か、努力が先か
人間は「成功できそうだ」と思えばがんばれるし、「たぶん無理だろう」と思っているときはあまり努力できないものです。努力できれば「成功できそうだ」という「予感」はさらに大きくなるし、成功の予感が大きくなれば、ますますがんばれるわけです。
卵が先かニワトリが先か、という話に聞こえるかもしれませんが、これはもう絶対「予感」が先の方がいい。「努力すれば合格の可能性が大きくなるぞ」は正論ですが、現実には、なかなかお子さんの心に火をつけることができない言葉です。「努力しないと合格できないぞ」は声かけとしては最悪の部類かもしれません。
子どもたちを元気づけるのは、失敗の予感ではなく成功の予感だからです。
新学年になって勉強が大変になっているからこそ、小さなこと(のように感じているかもしれませんが、進学塾の宿題にがんばって取り組んでいること自体、けっこうたいへんなことです)を拾い上げて褒めてあげましょう。
「それって、なんでその考え方で解くの?」
で「考える」という勉強にお子さんを導き、答えてくれたら
「へぇ、そうなんだ。ちゃんと説明できるって、すごいね。」
みたいな声かけができればいいですね。