カテゴリー: 関西

合否判定のテストに向けてすべきこと

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

 

 

■志望校の合格可能性を判定するテストが本格的に始まります

 

学校でも新学年が始まり、6年生はいよいよ受験学年という気持ちで毎日の学習に励んでいることと思います。

同時に大手進学塾でも次のように4月から志望校の合格可能性を判定するテストが本格的に実施されます。

塾名

テスト名

実施予定日

日能研

実力判定テスト

4月8日

能開センター

中学受験公開模試 第3回

希学園

公開テスト

浜学園

公開学力テスト

四谷大塚

合不合判定テスト 第1回

サピックス

志望校判定サピックスオープン 第1回

4月15日

馬渕教室

馬淵公開模試 第2回

浜学園

合否判定学力テスト 第1回

4月22日

(五十音・日程順)

日能研はこれまでの「全国公開模試 実力判定テスト」が、5月からは「全国公開模試 志望校選定テスト」といった名称に変わり、成績資料に「自分の成績を基準に、志望校に対する可能性を確かめる(日能研HPより)」ことができる志望校判定情報が追加されるようになります。

四谷大塚も「公開組分けテスト」と異なり、「合不合判定テスト」では、「全国最多の受験生の成績結果と志望動向を、四谷大塚が持つ過去の膨大な合否データと照らし合わせて、 合格判定ラインを算出(四谷大塚HPより)」した詳細資料をつけてテストを返却します。

サピックスが実施する「志望校判定サピックスオープン」は、各教科1本であったテストが、算数と国語はAタイプが各35分、Bタイプが各45分、理科もAタイプ が20分、Bタイプが30分のように各教科2本となっています。AタイプとBタイプはそれぞれ、「知識の定着度と問題処理能力をみる問題(Aタイプ)、思考力と記述力を測る問題(Bタイプ)」という内容になっており、「2つのテストを受験することにより、より精度の高い形で志望校への適性や合格可能性を判定する(いずれもサピックスHPより)」ことができるものとされています。

このような2本立てのテストは、浜学園の「合否判定学力テスト」も同じです。そこで今回は、浜学園の「合否判定学力テスト」について見ていきたいと思います。

 

 

■浜学園の合否判定学力テスト

 

浜学園のHPではこの「合否判定学力テスト」について、「実際の入試出題傾向を踏まえた本格的なテストです。(中略)公開学力テストより多少難度を高め、出題形式も多様にして、入試レベルに柔軟に対応できるようにしています」と説明されています。それでは出題の特徴について具体的に見ていきます。次の表は、2017年4月23日に行われました「第1回 合否判定学力テスト」の出題分野と私が考える難度(A:基本問題 B:少し難しい基本問題 C:定番の問題 D:やや難しい問題 E:難しい問題 F:非常に難しい問題)です。

算数Ⅰ(試験時間50分 満点100点/平均点46.8点)

問題番号

主題分野

単元

配点

難度

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

数と計算

等差数列

5点

A

(3)

数と計算

逆算

5点

A

(4)

割合と比

比例式

5点

A

(5)

数と計算

群数列

5点

A

(6)

立体図形

円すいの展開図と表面積

5点

A

(7)

数と計算

概数の逆算

5点

A

(8)

割合と比

連比と比例配分

5点

A

(9)

割合と比

割合と線分図

5点

B

(10)

和と差の文章題

平均算

5点

C

(11)

数と計算

最小公倍数の利用

5点

A

(12)

平面図形

円の面積

5点

B

(13)

速さ

流水算と比の利用

5点

C

(14)

平面図形

三角形の相似

5点

C

(15)

和と差の文章題

平均算と①解法

5点

D

(16)

割合と比の文章題

食塩水の濃さと比の利用

5点

C

(17)

立体図形

角すい台の展開図と体積

5点

C

(18)

数と計算

数の性質と特殊な倍数

5点

E

(19)

立体図形

サイコロの転がり

5点

F

(20)

立体図形

表面積の最大化

5点

E

 

算数Ⅱ(試験時間50分 満点100点/平均点50.9点)

問題番号

主題分野

単元

配点

難度

1

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

四則計算

5点

A

(3)

時間の計算問題

5点

A

2

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

繰り返しと余りの処理

5点

A

(3)

繰り返す数の和

5点

B

3

(1)

平面図形

区切り面積(等高図形の面積比)

5点

A

(2)

隣辺比

5点

C

(3)

まわりから引く

5点

C

4

(1)

場合の数

順列

5点

A

(2)

場合分けまたは余事象の利用

5点

C

(3)

平均または繰り返しの利用

5点

D

5

(1)

平面図形

転がり移動の作図

5点

C

(2)

描いた線の長さ

5点

C

(3)

線で囲まれた図形の面積

5点

C

6

(1)

速さ

最小公倍数の利用

5点

A

(2)

3点の重なり

5点

C

(3)

二等辺三角形を作る3点の位置

5点

E

7

(1)

立体図形

投影図の読み取り

5点

C

(2)

5点

D

2017年の4月に実施された「第1回 合否判定学力テスト」の平均点を見ると、「一問一答式の算数Ⅰの方が、大問形式の算数Ⅱよりも易しい」とは言い切れないように思われます。しかし、詳細に見ていくと、どの中学を受験する場合でも正解できるようになっておきたい問題(難度A・B)の配点は、算数Ⅰが55点、算数Ⅱが45点となっていますから、出題者の意図は、「算数Ⅰは受験知識の確認」であったと想像されます。

それでも結果として算数Ⅱの平均点の方が高くなっている理由は、この時期の受験生が「一問一答式の問題で失点をしてしまってはいるが、1ランク上の定番問題(難度C)を算数Ⅰよりも算数Ⅱで多く正解できた」からではないかと思われます。

 

 ■合否判定学力テストに向けた準備

 さてこのように見てくると、「第1回 合否判定学力テスト」は、基本問題(難度A・B)を全問正解できればほぼ平均点に達し、定番問題(難度C)で得点を上乗せできると偏差値50を超えていくことができそうです。それでも実際には得点が20~39点の受験生が、受験者数の25%弱を占めています。

ですから偏差値50を目標とする場合は、①基本問題レベルの知識確認、②四則計算問題を含む基本問題を必ず正解させる練習の2点が合否判定学力テストに向けた準備になるといえます。また、難度Cまでを全問正解できれば上位100位前後の得点に達しますから、偏差値56以上が目標である場合も、①定番問題の知識確認、②定番問題を必ず正解させる練習の2点が合否判定学力テストに向けた準備になるでしょう。

これらの準備はいずれもマスターコースのテーマ教材や演習教材を利用して行うことができます。出題分野が広範囲なのですべての準備は時間的に難しいでしょうから、まずは「平均的だとは思うけれどもう少し伸ばせそうな気がする分野」、「少し苦手な分野」の順に、これらの教材を利用しておさらいをしておくとよいのではないかと思います。

(関西)塾の春期講習をどう活用する?

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■春期講習が近づいてきました

新学年がスタートして、はや1ヶ月が過ぎました。
新しいクラスや教材に慣れたかと思うのも束の間、あと半月もすれば春期講習がやってきます。
そこで今回は、この春期講習についてお話をしたいと思います。
一般に春期講習や夏期講習などの特別講習は、5年生までは多くの塾で復習中心のカリキュラムとなっています。

しかし、6年生の春期講習は塾によってかなりの違いがあります。
下記は、各塾の過年度の春期講習の算数についてまとめたものです。(最新の情報につきましては塾からの案内などでご確認ください。)

■春期講習のタイプは主に4つあります

上の表のように、春期講習の位置づけは塾によって大きく異なっています。
最難関中に強いといわれている浜学園の春期講習は、「5年生までの知識を総動員して考える(春期講習の案内より)」経験を持たせるため、クラスを「志望コース別クラス編成」として、2、3月に学習した単元とは異なる「平面図形」や「立体図形」に取り組む、春期講習専用のカリキュラムとなっています。

一方、全国規模で展開する日能研の春期講習は、「志望校合格に向けて、実力どおりの結果が出せる知識と考え方を育てる(春期講習の案内より)」ためにクラス分けテストに基づく「学力別クラス編成」をしながらも、取り扱う単元は2、3月に学んだ「数の性質」、「場合の数」、「文章題」という、知識の復習とそのアウトプットを練習するカリキュラムとなっています。

首都圏が中心としながら、関西にも4校を展開するサピックスは、春期講習を「先取型の浜学園」と「復習型の日能研」の中間に位置づけていると言えそうです。
しかし、馬渕教室はこれらの3つのタイプとは全く異なり、通常の授業をそのまま進行させていきます。

■春期講習までの準備は塾によって異なります

このように春期講習の位置づけが塾によって異なりますから、春期講習までに家庭学習でしておくことも、お通いの塾によって自ずと違ってきます。

浜学園の春期講習は5年生の知識を用いての先取学習ですから、5年生で学んだ「平面図形」や「立体図形」に弱点がある場合は、春期講習までの2週間ほどの間にそれらをなくしておかなければいけません。
弱点を残したまま春期講習を受けることになると、「解けない」「わからない」だけになってしまう危険性があるからです。

また、6年生の2、3月内容である「数論(数の性質、数の規則性など)」の補強が必要な場合は、春期講習カリキュラムとは別に、独自で取り組むことになります。
一方、日能研の春期講習は2、3月で学んだことの復習ですから、「春期講習まで特に家庭学習ですることがない」ように思えます。

しかし、2、3月のカリキュラムテストの復習や直しが十分でないために、「本科教室」で理解できなかった内容が春期講習の授業時間中に「わかる」「使える」ようになれず、家に帰って「宿題ができない」という、お悩み相談を受けることも少なくありません。

既習範囲ということで一からの説明が行われないことの多い春期講習で「わかる」「使える」ようになるためには、やはり春期講習までの間にカリキュラムテストの復習や直しなどをしておかなければいけません。

春期講習が復習の機会ではない馬渕教室の場合も、6年生の2、3月内容である「数の性質」、「規則性に関する問題」に弱点があれば、小学校の春休みを利用して補強をすることになりますから、それまでに「何について補強すればよいかの洗い出し」が必要になります。
また、他の塾はこの期間中にレベルに応じた「先取」や「復習」をしていますから、それと同等の家庭学習の計画も場合によっては必要となってくるでしょう。

春期講習は塾によってその位置づけや取り組む内容に違いがありますが、春期講習が始まるまでにご家庭での準備が必要であることに変わりはありません。
これから春期講習までの約2週間を利用して、春期講習をより実りのあるものにしていきましょう。

2018年中学受験 関西の入試を振り返る

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 ■関西エリアの2018年度 中学入試を振り返る

 

少子化が話題になる昨今ではありますが、中学受験をする6年生の人数は、2015年を境に再び上昇傾向にあります。

NHKの「けさのクローズアップ」でも、「首都圏では、今年小学6年生の5人に1人、およそ6万人が中学受験をするとみられるとありました。受験者の数は一時、不況の影響で減りましたが、ここ3年は増え続けています」(1月15日放映)とも報じられていました。

関西エリアでは2018年度の中学入試が終わりましたが、結果をみると、この流れのように、最難関中や人気校の受験は昨年以上に厳しい入試となっています。

下記は、このブログを書いている時点で、学校HPに公開されている2018年度と2017年度の入試結果の一部をまとめたものです。

偏差値 中学校名 2018年 2018年 実質倍率
募集定員 合格者数 2018年 2017年 増減
    (ポイント)
男子64  男約180 252 2.88 2.76 0.12
女子64 洛南高等学校附属  男女280 71 3.58 3.4 0.18
男子 210 2.62 2.14 0.48
併願64
専願58
男子61 東大寺学園  男176 373 2.44 2.46 ▲ 0.02
女子63 西大和学園  女約40 51 5.61 5.49 0.12
男子60  男約180 471 2.27 1.93 0.34
男子59 大阪星光学院  男190 284 2.57 2.1 0.47
男子59 甲陽学院  男200 222 1.81 1.68 0.13

※偏差値は、「浜学園 2018年度入試用 小6 浜学園 公開学力テスト 偏差値一覧」(2017年10月8日時点)より、A判定の値を抜き出したものです。

この表のように、東大寺学園中の実質倍率が2017年度入試と比べてわずかに低くなったことを除くと、最難関中や人気校は、軒並み、前年よりも実質倍率が高くなっています。

特に募集人数が少ない洛南高校附属中と西大和学園中の女子においては、それぞれ約3.6倍、約5.6倍となっており、非常に厳しい入試が続いています。

 

 

■2019年度 中学入試予測

 

正確なところはこれから実施される各塾の新6年生を対象とした模擬テスト受験者数の推移を見ていかなければわかりませんが、国公立・私立中の受験人気はおそらく来年度も続くことと思われます。

というのも、この中学受験人気の大きな要因のひとつに、2020年度の大学入試改革があるからです。

今回の大学入試改革では、これまでの知識重視の形から「思考力」「判断力」「表現力」などを評価する方針に変わり、それにともない、センター試験も「大学入学共通テスト」に変更され、記述式の問題が導入されることになっています。

中学入試を行う中高一貫校であれば、これらの変更にいち早く対応してくれるという期待が、小学生のお子さんを持つ保護者にあることが、ここ数年の中学受験者数の増加に繋がっていると考えられるからです

事実、2017年度の入試でも、首都圏屈指の難関中である駒場東邦中(サピックス 80%合格偏差値60)において、「今まで算数を学んできた中で、実生活において算数の考え方が活かされて、感動したり、面白いと感じた出来事について簡潔に説明しなさい」といったように、つるかめ算や相似の解き方などと全く異なる記述の出題があり、中学入試を行う中高一貫校がいち早く2020年度の大学入試改革に対応しようとする動きが見られます。

 

 

■これからの受験勉強

 

とはいうものの、中学入試問題の大半はこれまで通りの問題が中心です。

算数の場合ですと、「記述」といえども多くは「理由説明」になります。

実際、2018年度の灘中2日目算数の問題3に記述問題の出題がありましたが、「第7部分列に並んでいる数のうち、一の位が1である数は、(理由①   )から、その個数は第6部分列に並んでいる数の個数と同じです」のように、解き方の理由を書くものでした。

従って、これからの受験生に求められるものは、問題を解く力と、その解き方を「紙の上に書いて残す」力だと言えます。

ですから、もし、お子さんが「条件整理をしない」「途中式を書かない」「答えさえ合っていればいい」といった傾向が見られるようでしたら、6年生の早い段階で、問題の正解・不正解にかかわらず、テキストやテストの解答・解説を読んで自分なりに「納得」し、答案の書き方を学び、採点者に伝わる答案を作る家庭学習となるように、お父さん・お母さんをはじめとした、周りの方々がサポートしてあげていってください。

中学受験 関西での12月入試に関して

今回のコラムは、名門指導会の関西統括、都関靖治氏のコラムを掲載したいと思います。関西では12月から始まる中学入試。

そのあたりの実際はどうなのでしょうか。

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■岡山県の中学入試は12月からスタート

名門指導会は、関西エリアの場合、主に大阪府、兵庫県、奈良県、京都府で指導を行っていますが、この2府2県で行われる2018年度の中学入試は、2018年1月13日の土曜日から始まります。この入試本番でも本来の実力が発揮できるように、いわゆる「前受け」と呼ばれる併願受験をする受験生が、関西大手進学塾の指導もあり、決して少なくはありません。この「前受け」の対象となるのは、大阪や神戸などで県外受験を実施する岡山県、香川県、愛媛県、長崎県、北海道などの中学ですが、その中でも岡山県には、今月12月に入試を行う学校があります。

入試日 男女区分 中学校名 科目数
12月3日 共学 朝日塾 3科目
12月3日 共学 岡山学芸館清秀 3科目
12月9日 共学 岡山 4科目
12月10日 共学 就実 3科目
12月16日 共学 岡山 3/4科目
12月17日 女子 ノートルダム清心 3/4科目
12月17日 共学 就実 2科目
12月23日 女子 ノートルダム清心 2科目
12月23日 共学 岡山学芸館清秀 3科目

1月にも入試を実施しますが、いわゆる「2次募集」の意味合いが強く、メインの入試はこの12月です。

■岡山中の入試問題

入試日が大阪府や兵庫県よりも約1ヶ月早いということは、岡山県の受験生にとってはそれだけ受験の準備期間が短くなっているということを意味します。そのような受験生でも取り組むことができるようになっている岡山県の中学入試問題はどのようなものでしょうか。昨年行われた「平成29年 岡山中学 B方式」を見てみましょう。

5 図のような、たてが10cm、横が15cmの長方形の外側に円A、内側に円Bが接しています。この円A、Bがそれぞれ長方形の各辺に沿って転がりながら1周しました。次の問いに答えなさい。

(1) 省略

(2) 円Aの中心が移動した距離と円Bの中心が移動した距離の差が47.4cmになりました。円A、Bの半径がともに整数になるとき、円A、Bの半径はそれぞれ何cmですか。(円周率は3.14)

近年よく出題されている作図力を問う問題です。作図力を問う問題を解くためには、知識に基づいた正確な作図と計算力が必要ですから、受験生の実力を測るのに適しているためでしょう。

【解答例】

作図をすると下の図のようになります。

図より、

円Aの中心の移動距離=長方形の周りの長さ+円Aの円周、

円Bの中心の移動距離=長方形の周りの長さ-円Bの半径×8

とわかります。

円Aの中心が移動した距離と円Bの中心が移動した距離の差が47.4cmなので、

円Aの円周+円Bの半径×8=47.4cm となり、

円Aの円周は小数第一位までの数で、その小数第一位は4となることもわかります。

従って、

円Aの半径が5cmのとき、5cm×2×3.14+円Bの半径×8=47.4cm より、

円Bの半径×8=2cm

のようにして、答えを求めることができます。

■12月校の「前受け」について

この問題からもわかるように、準備期間が短くなる12月の前受け校の入試問題は、「基本がどれだけできているか」を測る問題が多くなりがちです。ですから12月に「前受け」をする場合、まずは、受験予定校の直近2ヶ年程度の過去問に取り組んでどのような問題が出題されているかを知っておくとよいでしょう。さらに11月に塾で行われた公開学力テストなどの模擬テストで、正答率の高い問題の解き直しとその問題に関連した周辺知識の再チェックに取り組み、本番入試にも必要とされる基本問題が正解できる力をより確実なものにしておくことが望ましいと考えられます。

【関西】6年生の模試は入試レベルに

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■浜学園の10月の公開学力テストから

浜学園のテストシステムは、6年生の場合、毎週の復習テスト(日曜志望校別特訓は隔週・特訓講座は実戦テストもあります)、毎月行われる公開学力テスト、年4回実施される合否判定学力テスト、年に1~3回ある学校別オープン模試、そして年に1度だけ塾生だけが対象となる学校別プレ入試の5種類からなっていて、おおむね、回数が少ないものほど難度が高く設定されています。

ですから出題範囲が決まっていない実力テストの中では公開学力テストが最も難度が低く設定されていることになりますが、さる10月8日に行われた6年生の公開学力テストの問題を見てみると、2018年1月13日から始まる近畿圏の中学入試までおよそ3ヶ月となる時期に実施されただけあって、入試本番レベルの問題も数問見受けられました。

■入試本番レベルの通過算

6 長さ230mの列車Aが西から東へ向かって、長さ200mの列車Bが東から西へ向かって走ると、列車Aと列車Bが地点Dで出会ってから、地点Dより西側の地点Eで完全にはなれるまでに10秒かかりました。次に、列車Bが西から東へ向かって、長さ340mの列車Cが東から西へ向かって走ると、列車Bと列車Cが地点Eで出会ってから、地点Eより東側の地点Fで完全にはなれるまでに12秒かかりました。さらに、列車Bと列車Cがともに西から東へ向かって走ると、列車Bの先頭が列車Cの最後尾に地点Dで追いついてから、列車Bの最後尾が列車Cの先頭に地点Gで追いつくまでに1分48秒かかりました。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、列車A、B、Cは常に一定の速さで走っています。

① 列車Bの速さは毎時何kmですか。

② 2地点間FGの距離は何mですか。

問題文の長さだけで降参してしまいそうですが、通過算の基本解法「図を描く」を用いて条件整理をし、解ける問題かどうかを判断しましょう。

図2と図3は、列車BとCの「すれ違い」「追い抜き」を表していますから、これを使うと①が解けるとわかります。

(200m+340m)÷12秒=45m/秒…速さの和

(200m+340m)÷108秒=5m/秒…速さの差

(45m/秒+5m/秒)÷2=25m/秒=90km/

もし図を描かなくても、速さの和と差が求められることに気づけば正解できる問題でしたので、正答率も20%と比較的高い値となっています。

しかし、②を図なしで解くのは難しいでしょう。

①と図1から、25m/秒×10秒-200m=50m…ア

①と図2から、25m/秒×12秒-200m=100m…イ

①と図3から、25m/秒×108秒-200m=2500m…ウ

50m+2500m-100m=2450m=2.45km

図があれば②の正解も難しくはないのですが、テストでの正答率は1%と非常に低い値となりました。

■公開学力テストの得点方法

公開学力テストの2枚目の問題では、この問題6のように、小問①の正答率が高く、②が低くなりがちです。しかし、上記の②の解き方が通過算の基本解法であったように、②自体は奇問や超難問ではありませんから、テスト時間が残っていれば正解することは十分に可能です。ですから、公開学力テストで高得点をとるためには、計算力と知識が問われるテスト1枚目の1行問題を素早く処理し、2枚目の各問で条件整理をする時間を残すことが重要になります。一方、そこまで高得点を取ることが目標でない場合は、テスト1枚目で「ミス」をしないように少し時間をかけて解き、2枚目は条件整理があまり必要とされない①の正解を目指すという「戦い方」になるでしょう。公開学力テストも残り2回となりましたが、どれだけ得点したいかに応じた「戦い方」ができるよう、この10月のテストを振り返って、次につなげていくことができるといいと思います。

【関西】6年生のこれからの受験対策は?

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■これからの受験対策

さて、間もなく10月です。

6年生にとってはいよいよ学校別の傾向対策が気になる時期ですね。

関西の大手進学塾である浜学園では、7月から「小6日曜志望校別特訓」という各中学校の出題傾向、問題の特色、難易度なども掴めるように傾向と対策を行う講座を開講しています。

この「小6日曜志望校別特訓」は、夏期講習と連動した7月・8月期、9月~12月期のように指導期間を2期に分け、「基礎力の充実と応用力の錬成」、「受験校の傾向と対策」の順で段階的な受験対策を行っています。

■9月~12月の「小6日曜志望校別特訓」

現在は、「小6日曜志望校別特訓」の第2期にあたり、次のようなコース構成(一部抜粋)となっています。

コース

主眼校

受講基準

M灘コース 灘・洛南・東大寺・西大和

63

M東大寺・西大和コース 東大寺・西大和・星光

56

M甲陽コース 甲陽・西大和・東大寺・洛南

56

M星光・東大寺コース 星光・東大寺・西大和

56

M洛南・洛星コース 洛南・洛星・西大和

56

L洛南コース 洛南・西大和・高槻・四天王寺・須磨学園・清風南海

57

L神女コース 神戸女学院・西大和・高槻・清風南海・須磨学園

57

L四天・清南コース 四天王寺・西大和・清風南海・高槻・須磨学園

53

R六甲コース 六甲・高槻

52

R清風理Ⅲプレミアムコース 清風・西大和・清風南海

52

R白陵コース 白陵・須磨学園・淳心・滝川第二・岡山白陵

50

Eコース 関西学院・関大系列・啓明・甲南・同志社系列

43

Dコース 四天王寺・神戸海星・大阪女学院・大阪桐蔭 他

43

Rコース 高槻・清風・明星・帝塚山・開明 他

43

(2017年度の場合)

上の表にあるように、浜学園の「小6日曜志望校別特訓」では、最難関中や難関中を対象としたそれぞれのコースに「受講基準」が設けてあり、原則としてこの基準を満たすことが受講の条件となっています。(上記以外のコースの中には受講基準のないコースもあります)

「受講基準」の値は、浜学園が実施する「公開学力テスト」「小6合否判定学力テスト」(どちらのテストも浜学園の塾生であるなしにかかわらず受験可能です)の3科あるいは4科の平均偏差値です。

9月~12月期の場合ですと、6、7月に行われた上記のテストが対象となっています。(8月以降であっても基準を超えた場合は途中から希望コースでの受講が可能です)

■「受験校の傾向と対策」に向けて

「小6日曜志望校別特訓」は、2期に分けて開講されていますが、受験生が最も気になる「受験校の傾向と対策」は概ね11月~12月に行われます。

ですから、現在、希望のコースで受講できていないお子様の場合、10月のテストが非常に重要なものとなってきます。

冒頭で「まもなく10月です」と書いたのは、もし9月までのテストで受講基準をクリアできていなければ、この10月のテストでクリアしなければならず、その準備期間があと3週間しかないからです。

その10月に実施された公開学力テストは、2016年の場合、以下のような結果でした。

100

99-90

89-80

79-70

69-60

59-50

49-40

39-30

平均点

国語

0

34

153

288

376

441

428

314

52.3

算数

11

81

126

223

331

363

367

391

49.8

理科

2

56

166

329

405

459

419

317

55.6

(単位:人)

平均点の10点上のゾーン、20点上のゾーンにおよそ300~400人の受験生(受験者数:2304人)がいます。

いわゆる「団子状態」ですから、ゾーンを1つ上げるだけで大幅な偏差値アップが期待できます。

浜学園の公開学力テストは満点が100点で、10点アップには、算数の場合は2~3問、国語の場合は3~5問、理科の場合も3~5問、「マル」を増やすことが必要な配点となっています。

9月までのテストで受講基準をクリアできていない場合は、8月、9月に受けたテストを振り返り、どの問題を正解すれば10点の上乗せが可能だったかを調べてみてください。

その結果、知識のあいまいさが失点の原因であったのであれば、まちがえた問題に必要な知識とその関連事項を、この3週間を利用して補っておくという対策が考えられます。

しかし、原因がよくわからない場合や対策が立てにくい場合は、塾の先生など専門家に3週間の学習計画を相談してみることも必要でしょう。

小学校によっては行事の多い季節ですが、限られた時間を上手く使って、希望するコースで「小6日曜志望校別特訓」が受講できるような準備がすすめられるといいですね。

(都関靖治)

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▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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