投稿者: 西村 則康 Page 23 of 60

TBSテレビ「ピラミッドダービー」で子どもの成績が上がったわけ

■なぜ2週間で成績が上るのか
「必ず成績を上げます」
学習指導を仕事にしている以上、講師としては至上命題として常に心におかなければならない言葉だと思っています。
さて、先日TBSテレビで放映された「ピラミッドダービー」では、「勉強が大キライ」という小学4年生2人を私が算数、他塾の先生が国語(あと、インド式計算の方もいたようです)を指導し、ある塾の入塾テストを指導前、指導後に受けてみて点数に変化があるか、という企画に参加したのでした。
「指導によって成績が上がるのか」というシンプルな企画です。
ひとり、1科目でも満点が取れるかという「ダービー」だったわけですが、まず最初にスタッフの方にお伝えしたのは、少なくとも「算数が楽しい」と感じてもらえるようにする、ということでした。
「算数が楽しい」と思えれば勉強へのモチベーションも上がり、点数もアップするからです。
■実際に成績は上がったのか
指導前は2人とも半分くらいしか取れていなかったのですが、指導後の算数の結果は、1人が85点、そしてもう1人がなんと100点。
点数が上がる勉強というのは「どうして今は点が取れないか」がわかり「ではどうすればそれが解決できるか」がわかって、それが実行可能であればいいのです。
言葉にすると簡単ですが、実際には手間も暇もかかります。
たとえば今回の番組では(時間の都合?でカットされていましたが)算数の勉強を楽しくする工夫を様々行いました。
たとえば計算では多面体サイコロ(20面体など様々なものが売られています)を2つプレゼントし、その出目を足したり引いたり、かけたりといった「ゲーム感覚」をとり入れました。
私が帰ってからも、お子さんはひとしきりその「ゲーム」を楽しんでいたそうですから、工夫のしがいもあったようです。
塾にしても家庭教師にしても、実は先生に教えてもらっている時間というのは僅かです。
塾で週1回、算数の授業が2時間あるとしても、1週間=168時間のうちのたった2時間です。
残りの時間は家庭に委ねられている訳です。
ですから私は「家庭で再現可能」な勉強法を常に模索しているのです。
■「点数が上がる授業」を体験できる機会を作りました
私が主任相談員を務める中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」では、常にそのような「成績が上がり、家庭で再現可能」な勉強法の開発を、他の主任相談員の先生方と協力しながら実践しています。
5月20日(土)には、実際に「成績が上がる勉強法」を身につけるための算数イベント講座
「試すと成績が上がる 最強の算数勉強法」講座http://www.e-juken.jp/20170520event.html
を東京渋谷で開催します。
残念ながらすでに定員はいっぱいになってしまっていて、今から申し込んでいただくことはできないのですが、翌週の5月27日(土)には同様の国語講座、6月3日(土)には理科講座を予定しています。
いずれの講座も同サイトで私と一緒に主任相談員として活躍しておられるスーパー講師と呼ばれる方たち。
これらの講座の申込受付はまだもう少し先ですが、国語や理科で困っているという方は、「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」を覗いてみてもらえればと思います。http://www.e-juken.jp/
テレビの中だけでなく「勉強法を変えることで実際に成績を上げる」という体験を1人でも多くの子どもたちにしてもらうべく、上記のようなイベント講座は今後どんどん開催していきますので、楽しみにしていてください。
ゴールデンウィークも終わり、夏までをいい学習サイクルで過ごすのがとても大切ですが、そのヒントを講座を通して提供できればと考えています。 

テレビであらためて考える算数の勉強法

■5月7日(日)テレビに出演します
お子さんたちが春休みの間、2週間ほど、テレビのロケの仕事が入っていました。
詳しい内容は言えなかったのですが、いろいろ考える機会が多い2週間になりました。
TBSテレビで19時から放映される「ピラミッドダービー」という番組です。
私が番組から受けた依頼は「勉強が大キライな小学生に勉強指導の名人が2週間教えたら100点が取れるか」というもの。
結果は・・・放送で確認いただけると幸いですが、「勉強が大キライ」というのは、もとから勉強が大キライなのではなく、勉強の習慣がついていなかったことが大きな原因で、あるところから
『わからないこと』が多くなった
  ↓
わからないから面白くなくなった
  ↓
面白くないから、やれと言われてもやる気にならない
という悪循環に入ってしまっている場合がほとんど。
わからないから、面白みを感じないからやるのが嫌なわけで、面白く感じればやりたいし、できるようになりたくないなんて思っている子は一人もいないんです。
だから、きっかけを掴めばわかるし、わかるように、できるようになれば、もっとできるようになりたいと思うものです。
■親ができる、勉強に「面白み」を追加するための工夫
こう考えると、きっかけとしての「面白さ」は重要で、お子さんの勉強で心配事があるお母さんは、この切り口でお子さんにアプローチするのも良いように思います。
たとえば、同じ暗算練習でも、ひたすらドリルで演習するのは苦痛でも「100ます計算」でお父さん、お母さんと「勝負」すると、それは勉強ではなくゲームになるかもしれません。
テスト直しを嫌がるお子さんの間違った問題を切り抜いて、紙に貼って小さく折りたたみ、どんどんダンボールに入れて、おみくじのようにしてひかせ、出たものを解くようにしたご家庭もあります。
わりとお子さんは面白がって、その「おみくじ」をひいていました。
勉強に「面白み」を追加することで「今まで踏み出せなかった一歩」を踏み出させる工夫というのは、親だからこそできること。
お困りの方はぜひ試してみてください。
■人数限定の講座を始めます
私が主任相談員を務めさせていただいている中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主催で、ちょっとしたきっかけで『勉強ができる子になる』ための講座を企画しました。
親子で参加いただけるイベント講座です。
算数・国語・理科をご用意しましたが、第一弾は算数です。
私たち「中学受験情報局」の主任相談員が試行錯誤した末、「勉強が楽しくなり、確実に成績が上がる勉強法はあるのか」という問いへの答えになる講座です。
この講座は単なる「塾の授業」とは違います。お父さん、お母さん(もちろんお二人でも、どちらかお一人でも結構です)にも一緒に参加いただき、お子さんの成績アップへのヒント、家庭学習に活かしていただきたいポイントなどをたっぷりお伝えします。
対象は中学受験を目指す小学4年生です。
「問題の解き方」レベルではなく、「算数の勉強のしかた」を親子で体験していただくこの講座。
算数の担当は、同じく「中学受験情報局」の主任相談員を務めておられる前田昌宏氏。
書籍「つまずきをなくす 算数」シリーズの制作にも協力いただいている、算数のエキスパート。
「算数の勉強で困っている」
「苦手な単元がある」
「算数の上手な勉強方法がわからない」
という方は、一度以下のページを覗いてみてください。

難関中学校も塾も「考える力」を育てようとしている・・・でも?

以前フジテレビの「フルタチさん」という番組の特集で、古舘伊知郎さんといっしょに聖徳学園という小学校を訪れ、独特の教育方法を体験したのですが、中学受験する、しないにかかわらず、考える習慣をつけることの大切さを、改めて考えた経験でした。
古舘さんはとても頭のいい方で、「できない子」でしかもヒールという役割を演じつつ、子どもたちから率直な意見を見事に引き出しながら、私を持ち上げてくれたのですが、そういった種類の頭の良さも「丸覚え」や「詰め込み」では育たないものです。
■難関中学が求めているのは「単にものをたくさん覚えている子」ではない
今解決しなければならない問題は何か。
それを解決するには何が必要か。
それが必要なのはなぜか。
こういったことを自問自答しながら考えなければ解けない、決して「習ったことをそのまま当てはめれば解ける」ということがないのが、中学受験の難関校の問題。
あれを覚えてるんです、これを知っているんです、だけでは解けない。
「そうじゃなくて、今から条件を与えるから、それをもとに、習ったことも使って、一から考えてごらん。」
そう語りかけてくるのが難関校の入試問題。
ただたくさんのことを知っていればいいとか、そんなに単純なことではないんです。
中学校だって「たくさん知識だけを詰め込まれてきた子どもがほしい」とは思っているはずがありません。
■塾も実は「詰め込み」をしているつもりはない
「中学受験の勉強は『詰め込み』だ」という考え方というか、意見がありますが、結果的にそうなってしまっている例は数多くあります。
しかし、実は進学塾も「知識をとにかく詰め込んでやろう」なんて考えていないはずです。
自分の力で考えられる子を多く育てたいと思っているはずです。
でななぜ結果的に「詰め込み」になってしまっている例があるのか。
「自分の力で考えられる子に入ってきてほしい」と願う中学校は、いわゆる「パターン問題」をたくさん詰め込んできただけの子には解けない「新作」の問題を出題します。
するとその「新作」は、次の年の塾の「◯◯中学対策講座」のテキストに収録されます。
年月がたつうち、その「新作」は「標準問題」として塾の平常授業テキストに収録され、かつての受験生が入試会場で知恵を絞って「考えた」問題の解き方を「覚える」生徒が続出します。
塾も「詰め込み」をするつもりはないのですが、やはりいかんせん量が多すぎるのです。
ゆっくり考える時間が惜しいから、覚えることで対応しようとする。
これが世間で言われる「詰め込み」の実態です。
ここから逃れるためには、受験生、ご家庭が主体になって「やるべきことの取捨選択」をしなければなりません。
「捨てるものの決定」と言ってもいいですね。
ゴールデンウィーク、数日の休みをうまく使って、勉強の優先順位にしたがった復習を心がけてみてください。
PS
実は、面白い企画へのお誘いがテレビ局からあり、春休みの間ロケが続いていいました。
まだ内容は詳しくは言えないのですが、もちろん勉強に関する企画です。
TBSテレビの「ピラミッドダービー」という番組です。
放送は7日(日)の夜7時から。
ちょっとおもしろい結果になったので、みなさん放送を楽しみにしていてください。 

中学受験 親の不安を取り除くための視点

■お母さんの気持ちをざわざわさせるのは・・・
「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の記事で、勉強したがらないお子さんのことを書きました。
お子さんが勉強を嫌がる、なかなか宿題に取り掛からない、最後には親子喧嘩になって、無駄に時間が過ぎていく・・・。
そして、感情的になった自分に自己嫌悪。。。
そんなお母さんからの相談もよく受けます。
お母さんが、なかなか勉強しない我が子を見て感じるのは、たとえば
「自分が『中学受験したい!』っていい出したんだから、頑張ってよ!」
という、我が子の不甲斐なさへの腹立たしい気持ち。
でも、それだけならまだいいのです。
同時に感じるのが、
「他の子はがんばっているのに、こんなところで足踏みしてちゃ、どんどん差がついてしまう・・・」
という焦り。
これが余計にお母さんの気持ちをざわざわさせてしまうのです。
■他の子はがんばっているのか
「うちの子は、受験までもう1年もないのに、まだ『本気モード』にならなくて・・・」
この『本気モード』はお母さんや地域によっては『目が三角』『キレッキレ』などいろいろですが、『超真剣な状態』みたいな感じで仰っているようです。
つまり、「うちの子がのんびりしている間に、他の子は『本気モード』で頑張っているから、どんどん差をつけられるのではないか」というのが先ほどの言葉のもとになっている不安ではないかと思います。
中学受験するお子さんが本当に真剣になるのは、もちろん直前期。
その次に真剣なのは冬休み。
その次に真剣なのは12月。
もうちょっとさかのぼって、6年生の9月や10月はどうかというと、少なくとも「焦っているようには見えない」のがふつうです。
お母さんから見ると「なに呑気にやってんのよ」くらいにしか見えない(笑)。
念のために申し上げますが、お子さん本人は(『超』ではないかもしれませんが)真剣です。
のらりくらりする(そのようにしかお母さんからは見えない)お子さんに気持ちがざわついたときは、このことを思い出していただくといいかもしれませんね。
■お子さんと「真剣勝負」してみる
以前、私のところに「電流を教えてください」と頼みに来られたお母さんがいました。
理由を聞くと「息子に勝ちたいから」というのです。
なんでも「自分はできないくせに、うるせえクソババア」と言われて腹を立て、なんとしてもギャフンと言わせてやると、息巻いてこられたのでした。
「私ももとリケジョですから」と鼻息の荒いお母さんに、できるだけ丁寧に電流の単元をお教えしたのですが、結果は惨敗。
そのときは素直に「あんたすごいね・・・」という言葉が出たそうです。
それ以後勉強面での「不毛な親子喧嘩」が減ったようです。
もしもお父さんやお母さんが、お子さんの勉強の内容まで把握している場合、一度勉強で「真剣勝負」してみるのもいいかもしれませんね(^^)
結果はどうあれ、相手への見方、接し方が変わるのではないでしょうか。 

中学受験 計算問題を得意にしよう

■「つまずきをなくす 算数」シリーズが出揃います
「つまずきをなくす 算数 計算」に始まり、図形、そして文章題も刊行になった「つまずきをなくす 算数」シリーズが4月26日にすべて出揃います。
書名のとおり、算数のつまずきをなくすためのドリルです。
ドリルといっても、一般に数百円で書店で売られている「計算ドリル」ではなく、学校でそれぞれの学年で習う計算・図形・文章題の考え方、計算(筆算)のしかたなどの詳しい説明も掲載している参考書+問題集といったものです。
低学年のお子さんには、「塾に入る前に、あまり高度な算数をする必要はないが、計算は学校の1学年上くらいまでをやっておくといい」とアドバイスすることが多いのですが、その「計算の先取り」にもぴったりだと思います。
ご購入いただく場合は、主任相談員を務めさせている「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」のほうでキャンペーンがあるようなので、追って皆さんにお知らせしますね。
■計算は「100%正解」が基本
計算の重要性は、上記の「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の記事にもあるのですが、私も強く感じています。
「計算ミス」「ケアレスミス」とよく言いますが、計算に関しては「常に100%正解」を目指していただきたいと考えています。
計算テストでの1問不正解は「多くの問題の中の1問不正解」ですが、文章問題や図形の問題を解く中で1つ計算間違いをすると、その問題そのものが「不正解」となってしまうからです(部分点を貰える場合もありますが)。
また「答えが正解になるか」も大切ですが、「せっかく苦労して計算したのに正解ではなかった」となるとお子さんのテンションもあがりませんね。
解き終わってマル付けしたとき「よっしゃ〜!」となったほうがもちろんお子さんのモチベーションは上がるものです。
■計算練習は毎日が基本です
運動などと同じように、計算練習は毎日するのが基本です。
やらない日が多くなると、どうしても「面倒」「大変」という気持ちが生まれて大きくなってしまうのは、大人も子どもも同じ。
お子さんがもしも低学年なら、今のうちから習慣づけておきましょう。
もう塾に通っているなら、塾から与えられた計算問題集やプリントがありますね。
それを活用するといいと思います。
ただ、市販の計算問題集にも面白いテーマを持ったものがありますから、書店を覗いてみることもお勧めします。
入試では「知らないと解けない」類の問題も出ます。
10000 × 10000 − 10001 × 9999
この計算を暗算で解くのは非常に困難だということは、一見してわかると思いますが、あることを知っているといとも簡単に解けてしまいます。
ヒントは「面積」です。
このようなものも含めて、毎日の訓練と経験が計算の知識と作業力を育んでいきます。
毎日の計算を習慣づける方法としては、日常必ず行う行動と結びつけるのがおすすめです。
朝ごはんの前、夕ご飯のあと、お風呂の前、といった具合です。
ぜひ試してみてください。 

お子さんに「もう一人の自分」がいるでしょうか?

図のような角度の問題があります。XとYの角の大きさを求める問題です。
この問題を子どもたちに教えるときに「Xの角度は25°と35°の合計になります。」とまず結論を伝えて「なんでなんで?」と子どもたちの好奇心を高めて説明を展開していくか、あるいはまっさらな状態でまずはいろいろ考えてもらうか、講師によって、またクラスやお子さんによって手法は様々ですが、上手な講師ほど、お子さんを主人公にして解いていきます。
お子さんが主人公、というのはどんな様子か、ちょっとシミュレーションしてみましょう。
講師「さて、XとYの角の大きさを知りたいんだけど、どうすれば求めやすくなりそうかな?
お子さん「・・・補助線?」
講師「補助線!いいね。引くとしたらどこに引こうか。」
お子さん「えっと、Aのところから中心かな。」
講師「どうしてそう思ったの?」
お子さん「円の問題の補助線は中心まで、って習ったんだ。」
講師「そうなんだ。じゃ引いてみよう。」
講師「さて、なんか気づくことはあるかな?」
お子さん「二等辺三角形だ!」
講師「そう。円の半径はどこも長さが等しいからね。」
お子さん「そうか、二等辺三角形ができやすいからなんだね。じゃあ、Xは 25 + 35 で 60°だ!」
講師「その通り!こんどはYだね。」
お子さん「これって『ブーメラン』だよね。Yはこの3つの角の大きさの合計になるんだよね?」
講師「よく知ってるね!どうしてそうなるんだっけ?」
お子さん「ええっと、たしか外角が関係あるんだよね・・・こうやって・・・」
お子さん「こうでしょ?こっちの三角形の2つの35°の合計がここで、こっちの三角形の2つの25°の合計がここ。だから3つの合計がYですっ!」
講師「素晴らしい!(パチパチパチ)」
お子さん「エッヘン!」
ま、今どきお子さんが「エッヘン」と言うかは別として、講師がナビゲート役としてお子さんが解き進めるのをサポートしています。
『ブーメラン』についてお子さんが覚えていましたが、さりげなく理由があやふやになっていないか確認しています。
そして、もしも『三角形の外角定理』まで不安だと思ったら、さらにこの講師は確認を入れるでしょう。
あくまでも考え、解いていく主体はお子さんの方です。
だからお子さんは「解いた」という実感があり、納得感もあるでしょう。
こういう講師に習っているお子さんは、自分で勉強するときも「対話」しながらするようになります。
「えっと、ここがこうでしょ。だったらこれは3になるよね・・・そうそう、だから・・・」みたいな感じです。
自分の中に「もう一人の自分」がいて、その「もう一人の自分」と対話しながら解くんですね。
この「もう一人の自分」は、頼りになる相棒としてお子さんを助けてくれます。
「え〜、だめだよこのやり方じゃ。さっきからずっと同じところをグルグル回ってんじゃん。ちょっと視点を変えてみようよ。」
「ちょっと時間使いすぎてない?テストなんだからさ、他にできる問題を見つけてそっちをやったほうがよくない?」
ときにはこんな助言もくれます。
講師になりたての頃は、皆「教えること」に一生懸命になります。
でも、やがて「教える」というプッシュ型のアプローチから「引き出す」というアプローチに変わっていくのです。
教えて、わからせても、お子さんが解けるようにならなければ意味が無いからです。
だから「わかりやすい先生」の先に、まだ講師には目指すところがあるのだと思っています。
そんなことを考えながら、主催する「名門指導会」の先生方との勉強会を常に続けていこうという思いを強くする春です。
お子さんたち「もう一人の自分」はいるでしょうか。
ちょっと確認してみてあげてください。

算数の『裏ワザ』で隣の子を出し抜くのは楽しいのか

このところ、というか「近年」くらいのレベルで気になっていることがあります。
「先生、この図形の問題は、この辺の比を分数にして3つかけ算すると答えが1になるから、AF:FDは2対1だね。」
こんなことを言う子がいます。
「どうしてそんなことが言えるの?」
と聞くと
「塾の先生が『裏ワザ』って教えてくれたんだ。」
と言います。
「どうしてそうなるかは知ってる?」
と聞いてみると、
「知らない」
メネラウスの定理という高校数学で習う定理を言っているのですが、理由を教えないまま『裏ワザ』として教えてしまうことに不安を感じます。
小学生は高校数学を学んではいけない、ということではありません。
小学生でも中学、高校分野の数学を理解して使いこなせる子はいますし、そういう子に数学を学ばせることに関しては、特に反対の立場ではありません。
一方で、メネラウスがなぜ高校数学分野で教えられるのかを考えると、小学生の段階では多くの子が抽象的なことがらへの理解力が発達途上だからです。
だからまず小学生は、算数という分野で、面積比から辺の長さの比を考えるのです。
平たく言ってしまえば、年令にあった学習、ということです。
それでも中学受験の勉強は、一般の「小学生向け」の勉強よりはずいぶん抽象度の高い学習ではありますが。
では、どうしてそうなるかがわからない『裏ワザ』を使って算数を解いて楽しいのかというと、楽しくないはずです。
算数の本当の楽しさは、『裏ワザ』を使って楽に、早く答えを出し、隣の子を出し抜くといったところにはないからです。
入試で点を取り、合格するためには速く、正確に「正解」を出さなければならないじゃないか、という意見もあるのかもしれませんが、やはり考えずに当てはめて正解を出す「近道」は、受験生であっても取らせてはならない選択肢だと考えています。
子どもたちは「考える楽しさ」を存分に味わうための「素養」を持っています。
その素養を枯れさせてしまわないように、私たち大人は気をつけなければなりませんね。
やはり1つの大きなヒントは、幼少期だと感じています。
「どうして?」「なんで?」を連発する時期は親は手を焼くものですが、そんな時期にしっかり「?」に親が付き合ってくれた子は、安易に『裏ワザ』に頼り切ることなく、上手に付き合えるようになるものです。 

この春、お子さんとやってほしいこと

■4年生には何をさせればいいですか?
表題のような質問を受けることが多くなっています。
4年生から塾に通わせ始めたものの、意外に「空き時間」が多く、「何をさせればいいですか?」となるようです。
塾の復習や宿題の空き時間に何をさせればいいかは、お子さんそれぞれです。
しかし「しないでいいですよ」とお願いすることは「塾の宿題を何度も繰り返して、来週のテストに備えて完璧にする」ということ。
4年生のお母さんは、ついついやってしまいがちなことです。
これをやってしまうと、お子さんは「がんばって覚えることが勉強だ」と勘違いしてしまうことがあります。
もちろん勉強の中には「覚える」という要素は必要でとても大切なことでもあります。
でも「とにかく覚えることが勉強なんだ」となってしまって「考える」「納得する」といった要素が勉強の中に少なくなっていけば、おのずと勉強が楽しくなくなっていきます。
でも、その時点でも「勉強嫌い」には見えないお子さんもいます。
なぜなら頑張って覚えればいい成績が取れて、上位にいられるからです。
いい点をとったらお母さんだって喜びます。
これを1年間続けてしまうと、ちょっと危ない状態になってしまいます。
何度もお伝えしていることですが、5年生からの勉強では「とにかくがんばって覚える」という勉強法では通用しなくなるからです。
■お母さんは「楽天家」くらいがお子さんはのびる
特に、お子さんと過ごす時間が長いお母さんには気をつけていただきたいのですが、どうしても「できていないこと」「できないこと」に目が行き、焦ってしまいがちです。
大切なお子さんだから当たり前なのですが、子育てに不安はつきません。
「まわりの子はもうできるのにどうして?」とか「こんな調子で大丈夫かしら?」なんて、時間があると考えてしまいがちです。
でも、4年生の学習で大切なことは、宿題を繰り返して「範囲の決まったテスト」でいい点をとることではなく、5年生になっても通用する「勉強のしかた」の素地を作ることです。
それには勉強が「苦しくて辛くて嫌なもの」ではいけないのです。
塾の宿題がひととおり、直しまでできたら、今週学んだことでどんなことが面白かったか、どんなことに興味が湧いたか、聞いてみてあげてください。
お子さんが興味が持てることがあったなら、それについて一緒に考え、調べてあげるのです。
春になってカエルが冬眠から目覚めて産卵することに興味を持ったなら、そのことを掘り下げて調べてみる。
いつごろから冬眠に入ったのか。
カエルは何年くらい生きるのか。
それはすべてのカエルで同じなのか。
そうやって掘り下げた経験は、繰り返し「覚える」ことに費やした時間以上のものを高学年になったお子さんにプレゼントしてくれるはずです。
それは「勉強は楽しい」「知ること、わかることは楽しい」という気持ち。
この気持ちさえあれば、高学年の受験勉強も必ず乗り切っていけます。
春休み、ぜひお子さんといっしょに調べ物の時間を取ってみてください。

春休みは学習サイクルの見直しを

■塾のある学習リズムがつかめていないのなら
春休みですね。
塾では春期講習などもあると思いますが、ご家庭なりに「やっておきたいこと」に手をつけるチャンスです。
2月に新しい学年を迎えて2か月。
たとえばこの2月、塾の新年度時から通塾を始めた場合は、「塾のある一週間」のサイクルがきちんとできたかを検証してみるのがいいですね。
今ひとつリズムが掴めていないというなら、春休みをその「調整期間」と捉えるのがよいように思います。
この2ヶ月間、一週間のうちで特にしんどかったのが何曜日なのか思い出し、その原因を探ってみるのもよいでしょう。
学校の授業がないぶん、塾の春期講習がありますから、それを学校の授業時間ととらえて生活サイクルを組んでみるのも一つです。
ポイントは、休みだからといってあまり夜更かしをしたりといったことが無いよう、できるだけふだんと同じ時刻に寝起きし、生活サイクルを大きく崩さないことです。
学校の長期休暇にふだんとまったく生活サイクルを変えると、休みが終わった時点で調子を崩しやすいのです。
■5年生2月から入塾した方に気をつけてもらいたいこと
5年生の2月から塾通いを始めたお子さんは「4年生の知識が空白」ということを意識して振り返りを行ってください。
たとえば理科や社会は、塾では4年生で「ざっくりと」習い、5年生で「詳細」を習います。
四谷大塚の「予習シリーズ」の単元名であげてみます。
4年生理科
「春のころ(1)(2)」
「いろいろなこん虫」
「植物の育ち方」
4年生社会
「ものを売る仕事」
「くらしやすい街」
「地図の見方」
「寒さのきびしい地方のくらし」
4年生にはこういった横断的な単元があるのですが、5年生になるとずいぶん詳細になります。
5年生理科
「気象の観測」
「物のあたたまり方」
「星の動き」
5年生社会
「日本の水産業」
「九州地方」
「関東地方」
4年生で学習したことをベースに、やや詳細を5年生で学習するという習い方になっており、4年生の「ベース」のあるなしで、ずいぶん5年生は学習の「楽しさ」の感じ方が違うのです。
5年生から入塾して「理科・社会の勉強のしかたがわからない」「理科・社会の勉強が面白くない」というご相談がこの時期多いのですが、春休みの空き時間に4年生内容を学習することで解決することも多いのです。
ふだんの学習でも、5年生の予習シリーズを補完する目的で「予習シリーズ 4年」を入手することも有効です(「予習シリーズを宣伝するわけではないのですが、他塾の5年生のお子さんにも有効です)。
■春期講習を休みにくいサピックス生は、講習会がない日を上手に使いましょう
何度かこのコラムでも言っていて、他のメディアでもお伝えしていることですが、サピックスのカリキュラムは基本的に「講習会でも進み続ける」というもの。
日能研や四谷大塚が復習中心のカリキュラムなのと対象的です。
だから「うまく回っていないな」と感じていても、春期講習を受講しないという選択が取りづらい塾です。
塾側も「受講するのが当然」という態度ですから、受講しないというご家庭は少数でしょう。
しかし日数は日能研などと比べても短いので、春期講習がない日に「気になる単元」を片付けることは可能です。
塾のない日をうまく使って片付けましょう。
もっとも手っ取り早いのは、マンスリーテストで間違った問題のうち、正答率が高いものを選んで、その単元をデイリーや基礎トレで復習する方法です。
もちろん市販の問題集を使ってもOKです。
もちろん春休みですから遊びや楽しみのメニューも入れていただきたいですが、バランスよく予定を組み立てたいですね。

サピックス組分けテストで点を取れるようにする対策は?

3月12日、サピックスで「3月度組分けテスト」が行われました。

サピックスの組分けテストというと、その前後にご相談などが集中するテストです。

 

■塾に通わせているのに、力がついていない?

 

「範囲が決まっているマンスリーテストでは点が取れるのに、組分けテストのような実力テストでは点が取れません。」

 「組分けテストの対策、どんなことをさせればいいですか?」

 「やっぱり今回も取れませんでした。力がついていないんでしょうか?」

 「転塾させたほうがいいのでしょうか?」

 

いろんなご相談を受けます。

 

ご相談への回答は、それこそ個人個人によって千差万別。すべての方に当てはまる、最大公約数的な解決策は(なくはないですが)個別にお話ししているときにはあまり意味がありません。

 

■多くの方に当てはまる解決法は「細かな復習のルーティン化」

 

しかしあえて「多くの方に当てはまる解決法」をお話しするとすれば、「細かな復習をルーティンにすること」がその答えかもしれません。

先日、「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している、辻義夫先生とお話ししているときにも話題に出たのですが、華々しい難関校の実績を出している塾ほど、カリキュラムに「無駄」がないのです。

カリキュラム上で復習に充てる回は最小限で、常に「進み続ける」イメージのカリキュラム。1年のカリキュラムの中で「繰り返し」は、見た目上はありますが、実質的には同じ単元の「よりレベルが上」の学習になっていることが多いのです。

 

大切なのは、塾の「スパイラル式のカリキュラム」を「1回習ってわからなくても、また繰り返し教えてくれるから大丈夫」と過信せず、復習のスケジュールを決めてルーティンにすること。

塾で習う単元は毎週目まぐるしく変わっていきます。

文章題を習ったかと思えば、次の週に図形を習い、次の週は数の性質。

大げさな話、そんなことも珍しくありません。

 

大人でもこのような習い方をすると、先に習ったものからどんどん忘れていくのがふつうです。

「忘れるのがふつう」という前提に立ち、1日後、1週間後、1ヶ月後に細かに復習の機会を設けるのが、組分けテストなど「実力テスト」への(地道ですが)最大の対策です。

 

■春のうちに学習サイクルの修正を

 

では、その1日後、1週間後、1ヶ月後のこまかな復習のサイクルを、お子さんに「復習しなさい」と言って「丸投げ」してうまくいくか?

・・・いかないですね。

お子さんはまだ生まれてからせいぜい10年、11年です。長期の学習プランを自分で立てられるのは、お子さんたちのうち、ほんの数%でしょう。

 

だから、中学受験においてはその部分は大人が担当する。

それが上手にできたご家庭が、中学受験で成功する。

そういった傾向があります。

 

中学受験が

「親の受験」

「家庭の受験」

と言われるのは、そういう意味です。

 

今回の組分けテストで

 

「実力がついてないんじゃないか」

「ふだんの『復習テスト』ではとれるのにどうして?」

 

などと感じたご家庭は、具体的な「1週間、1か月後の復習サイクル」を検討してみることをお勧めします。

 

「塾の毎週の宿題が大変なのに、1週間、1ヶ月後の復習なんて・・・」

と感じられる方もいるかもしれませんね。

私たちもそういう学習計画を作り上げるお手伝いをすることが多いのですが、塾の宿題は「言われたとおりにそれだけやっておけば成績が上がる特効薬」ではありません。

 

今回の結果がイマイチだったら、一度学習サイクルに関して考えてみるのがよいでしょうね。

「まだ春だから」と思っているとすぐに夏が来ます。

そのとき慌てないように、今から準備しておきましょう。

 

 

Page 23 of 60

▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「夏休みの学習計画!うまくいく方法  夏期講習を有効活用して力をつける!学習戦略の立て方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年6月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験を迷っている!?保護者必見セミナー 未就学・小学低学年から、親が知っておきたい「中学受験」の実像」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月27日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「自分で学習する子の育て方  中学受験、高校受験でも生きてくる「子が自走する学習法」を伝授します」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年3月18日(金)

「「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「頭のいい子が育つ! 学習環境のつくり方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年2月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナーわが子の合格に必要な学習は?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年12月17日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験・合格する家庭のつくり方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年11月19日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「苦手克服し成績を上げるコツ」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年7月16日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

COPYRIGHT@西村則康公式サイト