今、大手塾のほとんどで「割合」の単元が進行中です。

この割合の単元は、今後習う比の単元の基礎になります。

また、速さの単元の基礎にもなります。

この「基礎」には2つの意味があります。

1つは、今後習う問題を解くための感覚、もう一つは技術です。


この感覚で大切なことは2つです。

・「何が何の何倍か?」をとらえる力。

割合とは、かけ算なんだ。

これがストンと腑に落とすことが出来れば、割合はわかったことになります。

ところが、割合を教えるときに、よく使われるのが「割合の3用法」です。

(比べられる量)=(元になる量)×(割合)

(割合)=(比べられる量)÷(元になる量)

(元になる量)=(比べられる量)÷(割合)
この3つです。

この3用法の丸暗記から入る教え方では、感覚が身につきません。

ところがこの公式を暗記させて、当てはめる方法で解かせている講師が多いのです。

・かけた結果が小さくなる場合が多いことを当然と感じることが出来る。

これまで、かけ算をすると元の数よりも大きくなりました。

3をかける、12をかける、3.2をかける。

1より大きな数をかけると、元の数よりも大きくなりますから、これまで整数や1より大きな小数のかけ算ばかりをやってきた子どもたちが、

「かけると元の数より大きくなる」と思うのは当然なのです。

ところが、割合で現される数字の多くは1未満です。

かけたのに元よりも小さくなってしまったという違和感で立ち止まってしまっている子どもが多いのです。
 

たとえば、割合の導入時においては次のような方法が有効です。

「Aの30%が360です」という問題の場合、「Aの0.3倍が360だ」と頭のなかで翻訳させます。

それを「□×0.3=360」の逆算の式で解かせることを繰り返していると、割合の理解は進みます。
 

応用部分の技術としては、線分図が大切です。

割合の線分図では、

・割合数字は、必ず○や□で囲む。

・複数本以上の線分図が必要な場合は、端をそろえる。

この2つが大切なのです。和差算で書いてきた線分図よりも、複雑になります。“

線の上には○や□で囲まれた割合数字、下には実際の数字”という使い分けが必要になるからです。

これまで以上にわかりやすく線分図を書く技術が大切になります。

・フリーハンドで横線をまっすぐに引く技術

・複数本以上の線分図を引く場合、その間に書く数字の数を予測して、間隔を調節する技術

・読みやすい数字を線分図に書き込んでいく技術

つまり、“ちゃんと線分図を書く”ことが大切なのです。

 

式や計算だけで問題を解くことが習慣になってしまっている人は、この単元で「図を書いて考える」習慣を是非取り戻してください。