小4生 応用学習の大切さ

進学塾に入るのは、新小4生になる時期(小3の2月)からが良いと言い続けています。

その理由は2つあります。

(1つ目)
進学塾のカリキュラムが本格的に始まるからです。

大手を始め、地域密着型の小中塾でも中学受験を中心に授業を行っている進学塾では、

小4から小6までの3年間をかけて、受験に必要な知識や考え方を完成させていく

カリキュラムを組んでいます。

小4の1年間で習う内容は既に本格的な受験内容といえるものです。

入塾が遅れれば遅れるほど追いつくのが大変になります。

(2つ目)

受験に必要な応用学習が可能になる年齢に達するからです。

小学校の低学年までは、まだまだ具体的なものしか理解できません。

リンゴとミカンであれば理解出来たものが、牛肉と豚肉になった途端に分からなくなることが

しょっちゅう起こります。

AとBというように記号にするともっと分からなくなります。

大人には理解しづらいことなのですが、抽象的な事柄を理解できる年齢でないことが原因です。

また、自分とはまったく感じ方が異なる他人が存在していることも切実には感じてはいません。

友情・愛情・悲哀・慟哭・信頼というような抽象言語も理解できることが少ないのです。

小学校の低学年(小3あたりまで)は、幼い全知全能感の中で生活しているのが普通なのです。

それが、小4生あたりから他人を意識することが出来るようになります。

例えば、他人の立場にたって考えたり感じたり出来るようになります。

友達との比較も始まります。

「9・10歳の壁」という言葉をご存じのことと思いますが、

この言葉は、幼い全知全能感に支えられた自己肯定感が、他人や仲間や友人を意識することで

崩れやすいことを言い表しています。

また、一方で抽象的な事柄を急激に理解し始めます。

もし〇〇したら□□になる、というような一手先を考える力も身についてきます。

受験に必要な考える力(応用する力)がやっと備わってくる年齢です。

受験内容の先取り学習の効果が現れにくいことは当然なのです。
 

この時期に身につけたい応用力は3つです。

1 今分かっていることから、次に何が分かるのかと「一手先を想像する力」。

2 この答えが出るためには何が分かれば良いのかと、「一つ戻る力」。

3 これがそうだったらあれもそうではないかと「一般化する力」。

この三つの力は物事を納得する力と言い換えることも出来ます。

また、子どもの頭の中で回る言語(内語)で感じたり考えたりする必要がある事柄です。

また、納得の感情とは、新たな知識や考え方が、過去に自分の大脳に収納した知識や考え方にふとつな

がる際の快感(だと私は思っています)です。

「なるほど!」と感じることが出来るチャンスを出来るだけ多くする必要があります。
 

例えば、植木算の場合

「(距離)÷(木と木の間隔)+1」という公式は納得の感情を引き起こしてはくれません。

自分の指を出してみて、指は5本あるのに指と指の間は4つしかないと気付かせることから始めて、

木が100本あれば間の数が99であることを気付かせる(一般化)必要があります。

また、「和差算」においても、「(合計-差)÷2」と覚えさせるのではなく、

線分図を自分で描き、

「この出っ張りを切り取ったら、同じ長さの線が2本になる」ことを納得する必要があります。
 

ところが、小4生の場合は、「とりあえず解き方を覚えておこう」という学習でも

ある程度の点数をとることが可能です。

記憶力に優れた子どもの場合は上位の得点すらとれてしまうことがあります。

それに味を占めて「とりあえず覚える」学習を繰り返していく中で、

丸暗記の学習が習慣化してしまいます。

これが、小5や小6になったときに失速してしまう大きな原因です。
 

そうならないように、親御様の方で気をつけてあげてくださいね。