前回は、知識単元のお話でした。今回は、計算単元のお話です。


計算単元には、物理(力学)化学(気体の発生と中和)を中心に、

地学(天体の周期・地震)、生物(蒸散量)などがあります。

それぞれ、仕組みがわかれば、計算手法は算数に比べて実に易しいのです。

ほとんどが比例です。

ですから、これらの単元が苦手だと感じている子供たちは、

仕組みの理解で躓いていることになります。
 

(仕組みの理解)

仕組みの理解のはじめは、「なぜそうなるのか?」です。
アルミニウムに塩酸を入れて水素の発生量を求める問題にしても、

アルミニウムに塩化水素がどのように関わって水素になるのかがわからなければ、

片方が使われてしまったら反応が終わることが理解できません。できれば、原子や分子での基本的な理解をしておいてほしいのです。

●や△や◎を使った反応式で説明されていることが多いのですが、

その部分が大切なのです。

また、酸性のものやアルカリ性の水溶液がなぜ電流を流すのかという

イオンの概念理解も大切です。

でも、この部分は多くの塾のテキストでは省かれています。

また、このイオンの概念理解があると、中和の問題を解くときにに大きなアドバンテージになります。

このように、中学受験に直接関係が無いように見える内容にまで掘り下げた理解があれば、

その後の計算処理が非常にスムースに進みます。
 

力学においては、釣り合いの理解が大切です。

この部分はどちらかと言えば、身体感覚にどうのように繋いでいくかがポイントです。

支点から遠くを動かす場合は小さい力ですむのに、支点に近づけば大きな力が必要になる。

このような経験に基づいた身体感覚が大切になります。

身体感覚につながった理解が無く、

(右の支点からの距離)×(右の重さ)=(左の支点からの距離)×(左の重さ)

という公式だけを頼りに解いているようでは、ほんの少しの応用で解けなくなってしまいます。

「公式の暗記は、確実な理解の後に!」これが鉄則です。
 

(正解にたどり着けるかどうかは、書き方による)

仕組みの理解ができたならば、次は解くために必要な書き方です。

化学単元の計算はほとんどが比例ですから、それが一見してわかり、

すぐに使える形で書く必要があります。

たとえば、

ホウ酸の飽和水溶液が200gあります。・・・・・

という問題については、下のように書きます。

数字の上の段は、その温度での溶解度の数字です。

   ホウ酸     水      ホウ酸水
       25g        100g       125g
  (     )g    (     )g      200g

このように書くことさえできれば、上から下に200/125倍ですから、後は計算だけです。

(*これを比例式で書いていこうとすると時間がかかります。

分数倍(この問題では200/125)の処理になれてほしいのですが。)

この方法は、気体の発生量の問題や、中和の問題にも非常に有効です。
 

力学問題においては、図の中に

「わかりやすい字で」

「もれなく」

「力や重さや距離」

を書き込んでいくことです。

・てこに重さがある場合は、その重心の場所に棒の重さ分のおもりを書く。

・滑車に主さがある場合は、滑車の図の中に重さの数字を書いておく。

・滑車の問題では、ロープ1本1本にかかっている力の数字を書いておく。

・バネの問題では、そのバネの(自然長)(10gあたりの伸び)をメモしておく。

このように、与えられた図の中に必要な数字をどんどん書き込んでいくことで、

答えに近づくことができます。
 

小学生の場合、自力で理科の各内容について仕組みを理解することはかなり難しいのです。

参考書を読み進めても問題集を解いても、

「なるほど!」と感じるような納得にはたどり着けないのが普通です。

この納得感は、塾の先生の話術と知識にかかっています。

また、子どもにとっては、「授業時間の集中度」が大切にもなってきます。

新しい単元を習う小6の7月までは、気を抜かずに授業を聞いてくださいね。
 

すでに習った単元なのに、苦手なままに残ってしまっている場合、

説明が上手な第3者が必要になることがあります。

家庭教師や個別指導のことです。

その際、「大人が聞いていてもおもしろい!」が良い先生の条件です。