来年の2月に各塾とも新年度が始まります。入塾生が一番多いのがこの時期です。

入塾前に特に気をつけていただきたいことをお話しします。

入塾に際して、出来るだけ上位のクラスで開始できるように事前準備をしっかりとして頂くことの大切さは、

拙著や雑誌のインタビュー記事でお話しさせて頂いていますから、既にご存じの方が多いと思ます。

今回は、それ以上に大切なこと、学習の本質に関わることについてお話しします。

入塾時に同じような学力の子ども達でも、入試直前には大きな差が開いています。

その理由を、勉強の仕方という技術面で語ることも出来ますが、技術だけではどうにもならないことがあります。

それは、学習への意欲です。
 

意欲・モチベーション・知的好奇心などいろいろな言葉で現される学習への指向性が大切なのです。

子どもは、本来新しいことを知りたがるものです。そのようにプログラミングされていると考えて頂いて間違いありません。

それとともに、新しいことを知ったときに楽しい気持ちが自然にわき上がるようにもプログラミングもされています。

「知的好奇心が刺激されたときの快感」とはそういうものです。

ところが、このような元々のプログラミングは、間違った学習を続けていると書き換えられてしまうことがあるようなのです。

書き加えられるのかもしれませんが、高学年になると「な~るほど!」の快感を得ることが出来ない子どもが多くなるのです。

新しい知識や新しい考え方が入ってきたときに、過去に学習して既に頭脳に収納されている知識にふとつながる時に、

「わかった!」という気持ちになります。

このときには、「わかった!」や「なるほど!」という言葉が笑顔とともに発声されます。

このような感情の変化を伴う理解は長く定着します。これを納得と名付けています。

この納得が、次に新しく入って来る知識や考え方を受け入れる器を形作っていきます。

楽しそうに学習しているか、苦しそうに学習しているかを見て頂くだけで、その子が今後伸びていくか伸び悩むかが

わかってしまう理由がそこにあります。
 

知識や考え方の蓄積には階段があるとお考えください。

新たな知識が高度すぎる場合は、既に脳に収納されている知識とはなかなかつながりません。

そういう時は、無理矢理暗記することでその場をやり過ごすしかありません。

一方、低い階段を一歩一歩登っていくような学習の場合には、ストレス無く納得の感情が起こります。
 

入塾テストを目指す学習は、これまでの小学校で習っていた学習とは質量ともに大きく違います。

それを一足飛びにこなさせようとすると、プログラミングにノイズが書き込まれてしまう危険性があります。

一歩一歩登っていって、3ヶ月後には必要なレベルに到達できている。これが理想です。
 

現状の子どもの学力や知識量から、次に何が効果的なのかを考えていく必要がありますから、マニュアルを作るわけにはいきません。

3ヶ月後には、自由自在の3・4年生用の前半が理解できるレベルを目標にするという共通目標に向けてのプランニングは多種多様です。

そして、それを学習していく過程で、「楽しそうに学習する」ことを学ばせていく必要があります。

お母さんの小言や叱責を聞き続けていると、「苦しそうに学習する」子どもになってしまいます。

この時期に、入塾試験を目指して、家庭教師や個別指導をつけられる方が多いのですが、

その場合は、学習において楽しさの演出が出来る先生を是非見つけてあげてください。