前回、受験生のお悩みについて具体事例をお話ししたところ、
大きな反響を頂戴しました。
同じようなお悩みを抱えていらっしゃるご家庭が多いことを痛感しました。
今回は、5年生のお子様をお持ちのご家庭からのご相談をご紹介しましょう。
・浜学園5年生のお子様
浜学園にお通いの小学5年生男子のご相談では、
「本人のやる気が感じられず、成績の波がとても大きい。」といったものでした。
お家でも勉強への取り組みの姿勢は見せてくれるのですが、集中力が続かず、ダラダラとした時間ができてしまうようです。
勉強に関して、小さな頃からご家庭で厳しくしておられるわけでもなく、
燃え尽き組でもありません。
よくお話をお聞きしてみると、まだまだ幼い部分を色濃く残しておられる様子です。
何事につけ、自分を主人公にしたお話を作ったり、夢想したりしていることが
多いようなのです。
そこで、お母様には受験勉強でも常にお子様が主人公でいられるような
環境づくりをお願いしました。幸い、ご家庭ではお母様が横について勉強する
習慣ができていたので、1問進むごとにゲーム感覚で次のステージへ進めるように、
お声かけをしてもらったのです。
「これができたのね。じゃあもっと難しいこれはどうかしら。」というようにです。
すると集中して問題に取り組める機会が増えてきました。
お母様にも「自分の目の前で問題を解いていく子供の姿を見ているのが楽しみです。」
と喜んで取り組んでいただけたようです。
さらに、週1回のみ通塾の土曜スクールから週3回の通塾となる一般コースへ
浜学園の受講形態を変えていただきました。
これは、1週間の学習サイクルを作りやすくするためです。
その結果、各科目を勉強する曜日が決まり、お子様は、
「今日はこれだけしたら終わり」と言って頑張るようになったそうです。
今では公開テストではまだ成績の波があるものの、復習テストでは毎日の
勉強の成果が出て、ベスト3にも名前が出るようになっています。
・希学園5年生のお子様
灘中を目指す希学園の5年生のご相談では、お母様が
「このまま灘を目指していていいのか?」と言った危機感をお持ちでした。
公開テストの成績では、常に成績上位で問題はなさそうです。
理科が算・国に比べるとやや苦手な印象でした。
希学園からの灘中合格者は例年30名強なので、お母様は、
公開テストで常に30位以内に入っていないとご心配な様子です。
また、ご家庭ではダラダラとして見えることがお母様のご不安を
より強くしていました。
まず、お伺いしたことは希学園の宿題が消化できているかどうかです。
「算数、国語は問題なく進んでいるが、理科の暗記分野を覚える努力をし
たがらない。」
というお返事でした。
そこで、希学園の宿題が消化できて、復習テストがP1クラスの平均点以上で
推移しているようなら問題のないことや、以前担当したお子様の事例を
お伝えしました。
この事例は、希学園の先生からは6年生2学期まで、
公開テストで40位以内になることがなかったために、
灘は無理と言われていたものの、10月以降ぐんぐん成績を上げて、
見事灘中合格を勝ち取ったお子様のものです。
お子様には長期的に綿密な学習計画を立てて準備することが適している場合と、
短期決戦型で6年生になってから負荷をかけてあげる方がよい場合があります。
ご相談のお子様の場合、復習テストを見る限り普段の勉強も問題なくこなし、
公開の成績も30位以内に入っていることも少なくないので、
これ以上の負荷をかけるのは6年生になってからが適しているとの
判断をお伝えしました。
そして、それは灘中合格のために必要なことであるとも添えておきました。
さらにお願いをしたことは、家庭内が明るくなるように心掛けていただくこと。
そのためには、お子様の現状を認めてもらって、良かったことは
必ずほめていただくことでした。
その後、お母様の努力もあって、お子様の表情は明るくなり、
理科の暗記にもお母様と一緒に取り組んでおられるようです。
お母様からは、
「このまま灘を目指して頑張ればよいことが分かり、子供の良いところをほめてあげる余裕が出来た。」
と教えていただきました。
・日能研5年生のお子様
日能研、灘特クラスに通う甲陽中志望のお子様をお持ちのお母様からは、
塾の先生との相性についてのご相談をいただきました。
先生からは、お子様の授業態度が悪いと目をつけられている。
お子様も塾の先生に良い感情を持っていない。
どうも悪循環のようです。
しかも、宿題をしているのにカリキュラムテストや公開テストで良い成績が取れず、灘特クラスの維持が難しそうな成績状態です。
お子様ご自身とともに返ってきたテストを拝見すると、
既に習ったはずの知識を知らなかったり、
解き方が回りくどかったりといった症状でした。
一方で、出題範囲を限定しない「思考力育成テスト」では高成績を残し、
高い能力をお持ちであることも認知できました。
明らかに塾の授業が機能しておらず、授業態度についてお叱りを受けることも
あるだろうと推察できます。
ここで、先生との相性を改善することは期待が難しいので、
塾の学習内容を毎週フォローできる環境をお作り頂くようお願いをしたのです。
早速、翌週から名門指導会の指導が始まりました。
ご相談から4ヶ月後には、希望通り灘特クラスのまま6年生を向かえ、
6年生の9月からは選抜コースに切り替えて
甲陽受験を目指して頑張っておられます。
名門指導会の指導時には、特殊解法になみなみならない好奇心を見せてくれるなど
積極的に勉強に取り組んでいます。
お子様も「名門の先生は大好き。」と言ってくれているようです。
問題の塾の先生との相性については、自分のために必要なことを授業で
持って返ることにだけ気持ちを向けてもらい、
できるだけ先生のことに気にならないように、名門指導会の先生が
誘導したことが功を奏したようで、6年生になる頃にはグチもなくなっていました。
それぞれのお子様に、それぞれのお悩みがおありですね。
もちろん解決方法も皆さん異なります。お隣のお子様に上手く言った方法が、
わが子にも適しているとは限らないものですね。
大切なお子様にとって最も適した解決方法を見つけたり実践する場面で、
私たちが協力させて頂けることは多いと自負しています。